ファイナルファンタジー3 リブートエディション 作:北村 貴之
大地震の影響で復活した魔神・ジンによって、ミスリルが採掘できる町・カズズと、そのカズズの町よりはるか西に存在するサスーン城は、人々が皆幽霊のような姿へと変えられてしまった。
その呪いを解くべく、クリスタルの光によって「光の戦士」となったウルの村出身のソール、マイム、ヴェント、ティエラの4人は、ジンが封印されていたという、ウルの村とカズズの町の共同墓地へと向かうこととなった。
その共同墓地は、サスーンの城の北部にあり、青々とした森林を抜けた先にあった。
カズズの村で呪いを受けてしまった老人、シドから空飛ぶ船「飛空艇」を借りていたため、その飛空艇に乗り急いで共同墓地へと向かったのだった。
飛空艇なら、たった数分で目的地にたどり着けてしまう。
姫君のサラがどうなってしまったのかを王が心配していたため、急いで現場へと赴いた。
呪いを解く方法は、サラ姫が持つとされている「ミスリルの指輪」だ。これがあれば、ジンを封印できる。
そして今、彼らは共同墓地の入り口付近にいた。
「ここか……共同墓地っていうのは」
ソールは、入り口からその共同墓地を見渡していた。
幾多の墓石が並んでいるこの場所は、まるで死者の国に来たかのような気分になる。
しかし、今はそんなことを考えている場合ではない。
早く姫君を見つけ出さなければ、ジンの手にかかってしまい、封印ができなくなってしまうからだ。
「ここにお姫様がいるっていうの?」
ヴェントはそう言いながら、辺りをキョロキョロと見回している。
だが、そこには誰の姿も見当たらない。
「いないね……」
マイムは、少し寂しそうな表情を浮かべていた。
「まだ中に入ってないんだろ?きっとどこかに隠れてるんだよ」
ソールは、早速墓地の敷地内へと足を踏み入れていた。
「多分…。この中にいると思うな。王様の発言なら、おそらくジンを捜しに来てる」
ソールはサスーン城で手に入れた赤い刀身を持つ剣、「ワイトスレイヤー」を持っていた。
ソールもティエラも、周囲を警戒していた。大地震でジンが復活したため、この共同墓地も何かしらの現象が起きているに違いないからだ。
今、時刻は昼過ぎくらいだろうか。しかしながら、この共同墓地は霧が発生していて少し薄暗く感じる。
「前に来たのはいつか覚えてないけど…。すごい霧ね」
ヴェントは、手で口を覆っていた。
「ん?待てっ!」
すると突然、ソールが大きな声をあげた。
「えっ!?何よいきなり!」
ヴェントは驚いてしまったようだ。
「見てみろって!ほらそこ!」
ソールは、ある方向を指さす。ソールの指さす方向には、骨だけの姿の剣士や、この墓地で眠っていたであろう死者が、こちらに向かって歩いている様子が見えたのだ。
「うわぁ……あれ全部、この墓地で眠っていた……!」
ヴェントはその光景を見て、少し恐怖を感じてしまっているようであった。
「……でも、どうしてこんなにたくさんいるんだろう?」
マイムは不思議に思っていた。
この共同墓地には、数えきれないほどの数の遺体が眠っているとされている。それもそうだ。ここまで面積が広ければ、多くの死者が眠っていても不思議ではない。
大地震の影響だろうか、ここで眠っていた死者が復活してしまったようだ。
彼らはいわゆる「アンデッド」と呼ばれる存在だろう。ゾンビのように生気のない者や骸骨の姿をした者など、様々だ。
「歓迎しているのか…」
ソールは、彼らを見ながらニヤリと笑った。首筋には汗が伝っていた。
「ねえ、こっちに来てる……!」
ティエラがそう言うと同時に、アンデッド達はソールたちを発見したその直後、襲い掛かってきた。
「嬉しいね、こっちももてなしてやるか」
ソールは赤い剣を構え、アンデッド達を迎え撃とうとしていた。マイムたちも戦闘態勢に入る。
蘇ったゾンビたちは、けたたましい声をあげ、ソールたちに向かって走っていった。
汚い口からよだれをたらしながら、鋭い爪を立てて襲いかかってくる。
「くらえっ!!」
ソールは素早くワイトスレイヤーを振りかざすと、アンデッドたちの身体を真っ二つに切り裂いた。
切られた箇所からは、大量の血が吹き出し、地面を赤く染めていく。
「よしっ!次だ!」
ソールはばっさばっさと、ワイトスレイヤーで襲い来るアンデッド達の身体を切り裂いていく。
マイムは弓矢でゾンビたちの頭部を器用に射貫いていく。ヴェントは骸骨の剣士たちを持っている斧で攻撃し、弱点であろう頭部をかちわっていく。「はああっ!!」
ティエラは槍を使い、ゾンビたちをどんどん突き刺していく。
「あともう少しで全滅だな!」
4人は、息ぴったりの動きを見せていた。まだ出会って間もないが、村にいる頃から有事に備えて鍛錬をしてきたのが功を奏したのかもしれない。
そして数分後、彼らはアンデッドの群れを全滅させることに成功したのだった。
「ふう……。終わったか」
ソールは額の汗を拭いながら、一安心していた。
「ちょっと、大丈夫なの?この墓地」
ヴェントは、ソールに話しかけてきた。
「わからない…。警戒しながら進もう。奴ら、どこに隠れているか、わかりゃしない」
ソールはそう返答し、剣を納めずに共同墓地の奥へと進んでいく。
「そうね、早く行きましょう……」
ヴェントは少し不安そうな表情を浮かべながら、ソールの後を追った。
マイムとティエラも、その後をついて行った。
墓地を進んでいる中で、ソールたちは何度もアンデッドに遭遇し、襲ってきては迎撃して倒していった。
武器で攻撃するだけでなく、クリスタルの力で得ていた、黒魔導士の力である炎の魔法も使いつつ、敵を倒していた。
アンデッドには炎の攻撃が有効だ。その理由としては、彼らの持つ腐食した身体が、炎により燃えやすくなっているからだ。その証拠として、彼らは炎に包まれると、苦しむような仕草をして灰となっていった。
「はぁ……はぁ……」
ソールは、呼吸を整えながら歩いていく。敵を倒すのはいいものの、これだけの数が多ければ流石に体力も消耗してしまう。
「大丈夫?少し休む?」
そんなソールの様子を見て、心配そうに声をかけるヴェント。
「いや、平気だ……。このまま行こう」
そう言いながらも、顔色は悪い。しかし、ここで止まるわけにもいかないため、必死に耐えている。
それを見かねたティエラがソールを引き留めたのだった。
「あ、ソールくん。少し待ってもらっていい?」
「ん……?どうしたんだ?」
「私の力を使えば、疲れも回復すると思うから」
「回復の……力……?」
「うん。じゃあいくよ……!ケアル!」
すると、ティエラの手から優しい光が溢れだし、ソールの身体を包み込んだ。
白魔法のひとつであり、疲労した肉体を回復する「ケアル」だ。
ティエラから放たれたケアルを受け、ソールの疲れがとれたようだ。
ソールは右手を握ったり、開いたりした。
「すごい……力が戻ってきたみたいだ……!」
「よかった。これでまた戦えるよね」
「ああ、ありがとう。助かったよ、ティエラ」
「ふぅ……良かったわ」
ソールが元気を取り戻した様子を見て、ティエラが少し嬉しそうな顔をした。
共同墓地を奥へ奥へと進んでいくソールたち。
その道中、ひとりの人間が歩いている姿が目に付いた。
金色の長い髪に、青を基準とした色合いのドレスを着ていた。その姿はまるで、童話に登場するお姫様のような風貌をしていた。
ソールはその姿を見て、確信した。
「あの、すみません…。サラ姫様ですか…?」
後ろを向いていたその女性に、ソールが話しかけた。ソールのその声に反応したのか、女性がこちらを振り向く。
その女性は青い瞳をしており、金色の髪を青い髪飾りで結っていた。
「いかにも私がサラですけど…。あなたたちは?」
どうやらこの女性がサラだったようだ。彼女はソールたちに何者かを聞いてくる。
「私たちは、ジンを封印すべく、この墓地にやってきたの。あ、その前にミスリルの指輪を私たちに貸してちょうだいね」
ヴェントが自分たちの目的を話した。
「あとは私たちに任せて、お城に戻ってください」
「いいえ、私も一緒にいかせて!私だってみんなを助けたくて、ジンを封印するためにきたんだから!」
「でも、危険ですよ!」
ヴェントが少し心配気味に言い返す。
サラの強い意志に、ヴェントは圧倒されてしまった。
「困ったお姫様だな…。どうする?」
ソールがため息をつく。
「私たちでしっかり守ればいいんじゃない?」
ティエラが少々めんどくさそうな顔で言った。
「そうですね」
マイムもティエラの意見に賛成のようであった。
「ありがとう、みんな!よろしくね!」
こうして、サラを加えた4人は墓地の奥地へと向かうことになった。
【サラとの会話】
ジンのいる場所へと向かう最中、ヴェントはサラからこんな話を聞いていた。
「ジンは炎の魔神。寒さに弱いはずよ」
彼女はどこからその情報を得たのかは不明だったが、それを聞いたヴェントは、
「…という事は魔法だとブリザド、道具だと南極の風が効くかも…」
と呟きながら、何かを考えていた。
【サラとの会話 2】
サラを加えたが、男は相変わらずソールだけ。そんな中でのやりとりが…。
「私はサラ。あなたは?」
サラがソールに話しかけてきた。おそらく名前を聞いてきたのだろうか。
そんな彼女に反応し、ソールはサラを見た。
(おぉ…。これは…)
ソールの目に飛び込んできたのは、サラの豊満そうなバストだ。
見るからにEカップほどはありそうな、お姫様にしては少々けしからん大きさだった。
その胸を強調するかのように、ドレスの隙間からは谷間が見えており、思わず視線がいってしまう。
また、お腹の部分も肌の露出があり、男性なら誰もが釘付けになってしまうであろうおへそや、きれいな腹筋のラインが主張していた。
「ぼ、僕はソール…」
ソールが少し照れながら、自分の名前を告げた。
そんなソールの様子を近くで見ていたティエラが少し不機嫌になっていたのだが、それに気づく者は誰もいなかった。
「ふふっ、ソールくんっていうのね……。かわいい」
サラは微笑みながらソールを見つめる。
「か、かわいいって!?」
ソールは予想外の言葉をかけられてしまい、動揺してしまった。
「あ、あの……。それはどういう…」
言葉をつづけようとしたが、ティエラが舌打ちしたようで、これ以上は話してはいけない気を感じ、ソールは話すことを中断してしまった。
(い、いくら胸が大きいからって、あの態度はないでしょ!?あ、あたしだってこんなに大きいのに!)
ティエラは内心、嫉妬している様子だった。薄い青色のブラウス越しにふっくらと膨らんだ大きめの胸を、無意識に手に置いていた。
そうこうとしているうちに、ソールたちは墓地内に、大きな洞窟を発見した。
この場所は、墓地の中でもかなり奥深くの場所に位置していた。
「ここがジンがいるところなのかしら……?でも、なんだか寒気がするような……」
マイムが少し嫌な気配を感じている。
「えぇ、確かに妙な感じがしますね」
「まぁ、とりあえず中に入ってみるしかないな」
5人は早速中に入った。
その中には、ひとりの大男が鎮座していた。
上半身裸で、お腹が出ている。髪は弁髪で、口と顎に無償髭を生やしていた。
この男こそが、ソールとサラたちが追い求めていた魔神のジンだった。
彼は呪いでサスーンやカズズの人々を幽霊のような姿へと変えた張本人だ。
「……ん、誰だお前らは?」
ジンがこちらの存在に気付き、話しかけてくる。
彼を封印する唯一の手段、ミスリルの指輪を持つサラがさっそうと前に出た。
「いたわ…。ジン!覚悟しなさい!この指輪で封印してあげるわ!!」
そう言った後、指輪をしている右手を天に掲げる。それと同時に、彼女の持つけしからん大きさの乳が、ぷるん、と上下に揺れる。
ミスリルの指輪は輝きを放った。
…しかし、封印の対象であるジンは無事のようだった。
「あれ、どうして?何も起きないじゃない!!」
サラが慌てている。
「ファファファファ!」
ジンが慌てているサラに向かって笑い声をあげる。悔しい様子を嘲笑うかのように、いやらしい顔がさらにいやらしく見える。
「闇の力が戻った俺様に、そんなもの通用せんわ!」
大地震の影響は、ジンをただ復活させただけでなく、たやすく封印できなくするよう力を加えたようだ。
正面から見るジンのお腹は、かなりの大きさで膨らんでいた。
まるで妊婦のような大きさで、胸と腹周りには毛が生えていた。
「……ちょっと!なんなのよ、あいつ!本当に魔神なわけ!?」
サラが怒りをあらわにする。
「まてっ!まずはこいつを弱らせれば…」
ソールは剣を抜き、ジンへ向かって走り出した。
「おっと、そうはさせねぇぜ?」
そう言って、ジンも動き出す。彼の両手から、炎の球が飛び出してきた。
「ぐあっ!」
ソールはその炎の球に直撃してしまい、そのまま後ろへ吹き飛ばされてしまう。
「そ、ソール!!」
マイムが心配そうに彼に駆け寄る。ソールはゆっくりと立ち上がる。
「いてて」
ソールは剣を杖代わりにして起き上がったようだ。
一方、ヴェントとティエラはというと…。
「ティエラ。あいつには冷気が効くみたいよ」
「となると…」
ふたりは魔法の詠唱を始める。ジンがそんな彼女たちに向かって、手にした剣で斬りかかろうとした。
「待てぃ!」
ソールは剣で、ジンの斬撃を受け止めた。
「おぉ、やるじゃねーか。人間にしてはなかなかのもんだ」
「そりゃどうも……」
ソールはそのまま押し返す。ジンの巨体が少し後退した。
「今のうちに……」
そう言いかけたその時、ソールの背中に激痛が走る。
「ぐぅ!?」
先ほどのダメージが応えたせいか、ソールの力が引いてしまった。
そのすきを見計らったのか、ジンは左手から火炎放射を放ちソール目掛けて飛ばしたのだった。
「うわーっ!!」
ソールはその火炎をもろに食らってしまい、重傷を負ってしまった。
「おいおい、そんなもんか?人間の割には強いと思ったけど、もう終わりかい?」
ジンはさらに追撃をかける。今度は、両手に魔力を込めて火柱を発生させ、それをソールに向けて放った。
「ぐあああ!!」
ソールは地面に倒れこみ、動けなくなってしまった。マイムが回復魔法をかけてソールを治療した。
その一方で魔法を詠唱していたヴェントとティエラは、準備を終えたようだ。
特大の氷の魔法を、ジンにめがけて放とうとしている。
「くらえぇぇぇぇ!!」
巨大な氷塊がジンに向かって飛んでいく。ジンはそれを軽々と避けようとするが、マイムの魔法で発生した風によって軌道を変えられてしまう。
「なぬ!?」
さすがのジンもその攻撃を避けることができず、まともに命中してしまった。
「うおおーっ!」
冷気に弱いジンは、氷塊を頭上に落とされ、大ダメージを負った。しかも、この氷塊はただの大きな氷の塊ではない。氷の温度はかなりの低温度となっており、冷気に弱い魔物は触れただけでダメージが徐々に蓄積されるようにされているのだ。
ジンは体中に傷を負い、膝をつく。
「ちきしょう……、まだだ!こんなところで……!」
ソールはなんとか立ち上がり、とどめをさすべくジンのもとへ近づこうとする。
しかし、彼の前に、再びサラが飛び出てくる。
「さあ!今度こそ覚悟なさい!」
先ほどは失敗したものの、再びミスリルの指輪を天に掲げる。
ソールたちがなんとか弱らせたので、今度は封印できるはずだ。
天に掲げられたその指輪は、光を放ち始めた。
ヴェントたちの魔法を食らい弱っていたジンに、抵抗できる力は残っていなかった。
「これで、やっと終わるわね……」
サラは安堵している。指輪の光は眩しさを増し、ジンは指輪に吸い込まれている。
指輪を天に掲げるサラの姿は、どこか神々しさすら感じさせていた。
抜群のプロポーションも相まって、まさに女神のようだった。
そして光が収まり、ジンは完全に指輪の中に封印された。
サラが指輪を掲げる手を下ろすと、ミスリルの指輪は普段通りの、青く銀色に光る指輪の状態へと戻ったのだった。
「ありがとうございます。あなた方のおかげで、ジンを再び封印することができました」
サラがソールたちにお礼を言い、頭を下げた。
「後はこの指輪をサスーンの城の聖なる泉で浸けて清めれば、ジンの呪いを解くことができます。サスーンの城まで、ワープしましょう!」
サラは早速、瞬間移動の魔法を唱え、ソールたちをサスーンの城へ連れていった。