「エース!ルフィ!ソイツは誰だァ!!」
朝、ダダンさんの怒号が響き渡る。
「ん…そいつ…?」
昨日殴られまくって怪我をしまくり、疲労が溜まった所為で尋常じゃないくらい眠い。いつもならば早起きなわたしだけど、今日はダダンさんの大きな声でも眠気が覚めなかった。
「朝からうるせェな…」
「…?スゥ…」
エースくんもサボくんもかなり無茶をしたからか、とても眠そうに二度寝を決め込もうとしている。
「何でガキがもう一匹増えてんだよ!おめェは誰だ!」
「ん…おれのこと?」
十中八九サボ君のことだろう。寧ろそれ以外に見慣れない顔はないだろうから。
「おれ、サボ。よう、ダダンだろ?」
サボくんはにこやかな表情でダダンさんへ自己紹介をする。
「サボ?知ってるよその名前」
ダダンさんも知ってるくらいサボくんって有名な悪ガキなんだね…わたしビックリだよ。でもきちんと挨拶をする辺りやはりある程度の礼儀作法は習っているのだろう。いや、本人が言ったわけじゃないからまだ貴族だと断定は出来ないけれど。
「そうか?なら話が早ェや。今日からよろしくな!」
そう、サボくんの提案とは、わたしたちが住まわせてもらっているダダンさんたちの家に、サボくんも一緒に住むということである。だがしかし、だ。サボくん、説明もなく「今日からよろしくな」はダダンさんも戸惑うよ。ただでさえ手のかかる子ども二人預かってるのに。
「ん?よろしく!?まさかおめェここに居つこうってんじゃね…」
「へッ」
「屁で返事すな!」
さ、サボくん…
「へへへ…」
「冗談じゃねェよ!サボって言やあおめェも余っ程のクソガキだと聞いてるよ!」
「そうか!おれもダダンはクソババアだと聞いてるよ!」
「余計な情報持ってんじゃねェよ!これ以上悪ガキの面倒はごめんだよ!」
エースくん情報だな…これは…
「でも、人に頼まれれば断れねェ、いいクソババアなんだろ?」
いいクソババアとは。
「え?」
「男の中の男のようなクソババアだって聞いてるよ!」
「男の中の男って…あたしゃ女だ!!性別不明かよ!!」
性別の大渋滞だね…って、それよりも。
「あのねダダンさん。サボくん…厳密に言うとブルージャムって海賊のお金に手を出したのはエースくんなんだけど…うっかり手下のポルシェーミに捕まったわたしを二人が助けてくれて、それで目を付けられちゃって。今までの住み処だと危ないから、ここに一緒に住まわせて欲しいの」
「おう、そういうことだ」
「そういうことだ、じゃねェよ!!ポルシェーミってお前……!!」
その言葉に暫く険しい顔をし抗議していたダダンさんだが、やがて諦めたような表情になり。
「…ハァ。エース、ルフィ、サボ!おめェらショバ提供してんだからとっとと働きやがれ!!」
サボくんがここで暮らすことを許可してくれた。おじいちゃんの頼みというわけでもないのに、なんやかんやで人がいいのだ、ダダンさんは。
「ふはは、ありがとう、ダダン!!」
「よかったねサボくん。これから一緒に暮らせるの、嬉しいな」
「お、おう」
エースくんだけでなく、もう一人年の近い子が一緒に暮らすことになった。ブルージャムの一味が襲って来ないとも限らないけれど、エースくんとも進展はあったし、サボくんという新しい家族(家族でいいよね?)も増えて、これからの生活が楽しみだ。
成り主ちゃんにとっては一緒に暮らしている皆が家族。フーシャ村の人たちも家族。そういう認識。