麦わら少女の異世界冒険譚   作:クリオネf。t

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恐らくフーシャ村編はあと少しで終わります。多分次くらいかな。


EP07 友達

「本当におもしれェ身体だな」

「引っ張れば伸びるし、殴っても効かないらしい」

 

 わたしは現在、山賊に首根っこを掴まれて取り囲まれている。

 それにしてもこの人たち、子どもに対する態度とは思えない。本当に酷い人たちだ。この村でこんな人たちに遭遇するとは思わなかった。

 村の人たちはわたしを心配するような声を上げてはいるものの、山賊たちが恐ろしいのか手も足も出ずに傍観するばかりだ。それはそれでいい。普通はそうだし、そもそもわたしのせいで彼らが巻き込まれるのは本意ではない。

 

「ほぉ、ゴム人間とは…」

 

 山賊がわたしの頬を摘まみ、みょん、と引っ張る。

 

「触らないで」

 

 ジタバタ暴れても敵わないのはわかっている。ならばせめてもの抵抗で、わたしは彼らに睨みを効かせた。まぁ、こんな幼子の睨みなんて、彼らにとっては屁でもないのだろうけど。

 

「中々威勢のいいガキだ。ゴム人間、そしてこの容姿、将来有望だ。売り飛ばせば高額になるだろうなァ…!」

 

 そう言って山賊はわたしを地面へ叩きつけた。

 打撃は効かないけれど、せめてもう少し丁重に扱って欲しいものだ。彼らに言っても無駄だろうが。

 

「おいおい、このおれが何か嬢ちゃんの気に障ることでも言ったかい」

「…あなたみたいな人と話をしてて気に障らないことなんてひとつもないよ。さっきのマキノちゃんの態度もそう、この前のシャンクスくんたちへの態度だって、わたしは嫌だった」

 

 あの時は別に大事がなかったからよかった。そもそも余っ程のことがない限り、わたしは他人に怒ったりしないのだ。今回だって別に、怒鳴り散らしたりしたわけじゃない。不快だったから、視線を向けただけ。それだけのことなのにこうやって幼い子どもを痛めつけるような真似をして、なんて器の小さい人たちなんだろうか。いい大人が、聞いて呆れる。呆れて物も言えない。

 

「その子を離してくれ!」

 

 わたしが山賊に睨みを効かせていたら、村長さんがマキノちゃんと共に駆けつけてくれていた。

 ああ、わたしのせいで村長さんたちまで巻き込んでしまう。どうか村長さんたちには手を出してくれるなよ、と思う。

 

「ルフィが何をやったかは知らん!アンタたちと争う気もない!失礼でなければ金も払う!その子を助けてくれ!」

「村長さん…」

「…流石は年寄りだな。世の中の渡り方を知ってる。だが駄目だ!!コイツは返さねェ。いいおもちゃになる」

 

 そう言って山賊はわたしの髪を掴み引っ張り上げる。

 

「いッ…!」

「ルフィッ…!!」

「た、頼む!!見逃してくれ!!」

 

 村長さんがそう叫んだ時だった。

 

 

 

 

 

 

「港に誰も迎えがないんで、何事かと思えば……

 

 

 

 

 

 いつかの山賊じゃないか」

 

 

 

 

 

 そう言いながら現れたのは、航海帰りなのであろう、シャンクスくんたちだった。

 

「船長さん…!」

「シャンクスくん…」

「海賊ゥ……まだいたのか、この村に。ずっと村の拭き掃除でもしてたのか?」

 

 村の拭き掃除って何???

 

「何をしに来たかは知らんが、怪我せんうちに逃げ出しな。それ以上近付くと撃ち殺すぜ、腰抜け」

 

 山賊の頭領はそう言ってニヤニヤと下卑た笑みを浮かべている。その周りにいた子分たちも皆そうだった。

 シャンクスくんは、そんな彼らの言葉など無視して、こちらへ歩み寄ってきた。ただそれだけで、何故かもう大丈夫だと、安心感を感じた。それと同時に、見たことのないシャンクスくんの冷たい眼差しに若干の恐怖も覚えたけれども。

 そんなシャンクスくんの頭に、山賊の銃が突きつけられる。

 

「てめェ聞こえなかったのか!?それ以上近付くな。頭吹き飛ばすぞ。ははははッ!!」

 

 そうやって尚も下卑た笑い声を上げる山賊たちに、シャンクスくんが口を開いた。

 

「…銃を抜いたからには、命を賭けろよ」

「あァ!?何言ってやがる」

「そいつは脅しの道具じゃねェって言ったんだ」

 

バァンッ!!

 

 

 そんな乾いた銃声がその場に響いた。

 何が起こったのかわからなかった。

 シャンクスくんの隣で肉を頬張っているルウさんの手には銃が握られ、硝煙が出ている。そしてその傍に倒れ込む山賊の姿。つまりそれは、ルウさんの持っている銃で山賊が撃たれた、ということで。

 わたしは人が撃たれる瞬間を初めて見た。日本は銃社会ではなく、そういうものとは無縁で、そんなわたしにとってその光景はあまりにも衝撃的すぎて、思考が止まった。

 

「や…やりやがったなてめェ!!」

「なんてこと…なんて卑怯な奴らだ!!」

 

 本当に撃たれるとは思っていなかったのだろう。山賊たちはそれはもう面白いくらいに慌てていた。

 

「卑怯?甘ェ事言ってんじゃねェ。聖者でも相手にしてるつもりか?お前らの目の前にいるのは、海賊だぜ」

 

 そう、海賊だ。普段どんなに陽気な彼らも、海賊なのだ。

 

「うるせェ!!大体おれたちはてめェらに用はねェぞ!!」

「いいか山賊。おれは酒や食い物を頭からぶっかけられようが、唾を吐きかけられようが、大抵のことは笑って見過ごしてやる。…だがな。

 

 

 どんな理由があろうと!!おれは友達を傷つける奴は許さない!!」

 

 友達。

 そうか、シャンクスくんはわたしのことを友達と思ってくれていたのか。

 わたしからすれば精神年齢的にそんなに年の離れていない彼のことはお兄さんとかそういう認識よりも、友達という認識の方がしっくりくる。でも、彼にとってはわたしは一回り以上年の離れた子どもだ。それに、我が子(ウタちゃん)と同じくらいの子ども。わたしは友情に年齢も性別も関係ないとは思っているが…彼もそうなのだろうか。

 

「はっはっはっは!!!許さねェだと!?海にぷかぷか浮いてヘラヘラやってる海賊が山賊様に盾突くとは笑わせる!!ぶっ殺しちまえ、野郎共!!」

 

 

 そんな声と共に、山賊たちは一斉にシャンクスくんたちへ襲い掛かる。しかし、力の差は圧倒的だった。

 彼らはあっという間に山賊たちを蹴散らす。

 最後に残ったのは、頭領のみ。

 

「凄い…これがシャンクスくんたちの力…」

「……や、待てよ…!仕掛けてきたのはこのガキだぜ」

 

 どの口がそれを言うのか。わたしはただ視線を向けていただけ。寧ろ仕掛けてきたのはそちらではないのか。

 

「どの道、賞金首だろう」

 

 シャンクスくんがそう言った瞬間、山賊の頭領は煙幕を使った。

 

「来いガキ!!」

「きゃっ!!ちょっ、離して!!」

 

 そしてそのままわたしは、その場から連れ出されてしまった。




私思うのですが、どう考えても島の外へ出たことなさそうな山賊よりも、海へ出て色んな島を冒険してる海賊の方が色々経験豊富だろうし、色んな修羅場潜り抜けて来てるだろうから絶対色んな意味で強いと思うんですよね。ヒグマは阿保なのかな。
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