麦わら屋、お前ウタにキスしろ   作:涙巻き

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エピローグ

 ボロボロになったライブ会場でシャンクスは必死にウタを探していた。そして見つけた時、シャンクスは思わず苦笑していた。

 ウタはルフィの腕を腕枕にして寄り添うように眠っていた。ボロボロの状態であろうと、規則正しい寝息が彼女の生存を確かなものにしている。

ホンゴウ「診たところ、命に別状は無さそうだ。このまま寝てれば回復する」

シャンクス「そうか・・・良かった・・・・」

ベックマン「それで、どうする?船長」

シャンクス「さあて、どうしようか。どうしたら良いと思う?」

ルウ「本当はもうどうしようか決めてんじゃねえのか?船長」

シャンクス「そんなことはないぞ、ルウ。俺は本気でウタを迎えに来たんだ。12年の空白を埋めようと思っていたんだ。思っていたんだ、ついさっきまで・・・」

ロックスター「幸せそうっすね」

 ウタの寝顔は、それは穏やかで幸せそのものの顔をしていた。

 そこに、海兵達を引き連れて、黄猿と藤虎が姿を見せた。

黄猿「さぁて、そろそろウタを、世界を滅ぼそうとした極悪人を渡して貰おうかねェ」

 ゆったりと言う黄猿に、ベックマンが黙って銃口を向ける。他のメンバーも、揃ってウタを守るように並び立った。

藤虎「ほぉ、お前さんがた」

黄猿「逆らうってことでいいのかねェ?」

 藤虎と黄猿が戦闘態勢に入る。

ホンゴウ「ウタは死んだ。俺が死亡の確認をした。お前たちが求めるものはもう無いはずだ」

藤虎「戯言を」

黄猿「海賊の言う事を信じられるとでも思うかねェ」

 瞬間、シャンクスの身体から恐ろしい量の覇気が放たれた。海が震え、海兵達がバタバタと倒れてく。

シャンクス「こいつは、俺の娘だ。俺達の大切な家族だ。それを奪うつもりなら死ぬ気で来い!!!」

 モモンガ中将まで膝をついたのを見て、黄猿は冷や汗を垂らした。

黄猿「中将の一部まで持っていくとはねェ・・・・。これが四皇シャンクスの覇気か」

 戦闘の緊張が張り詰めるなか乱入者が現れた。

ロー「戦うのは一向に構わねえが、いつまでも市民を俺に押し付けてるんじゃねえぞ!!」

 市民や魔王に操られた者達を戦場から避難を任せていたトラファルガー・ローが現れた。

藤虎「確かに、市民の安全をいつまでも海賊に任せるわけにもいかねえ。早いとこ彼らを帰らせるべきだ。ローさん、島の反対側まで我々を移動させて貰っても?」

ロー「断る!てめえらの足で歩け」

藤虎「これは手厳しい。モモンガさん、もう大丈夫ですか?彼らを起こして助けに行きますよ」

黄猿「赤髪ィ、今回は騙されといてあげるよ。全く、サカズキに怒られるだけの報告なんて嫌だねェ」

 黄猿は愚痴を零す。

ロー「魔王に操られて凶暴化した連中は俺の能力で斬っておいた。生きているがパニックは起こっているからせいぜい急ぐんだな」

 それを聞き海軍は足早に去っていった。

シャンクス「ありがとう、トラファルガー・ロー。お陰で助かった」

 彼は手をひらひらさせて去っていった。自分の船に戻るのだろう。

シャンクス「さてと」

ゾロ「行くのか?娘を置いて」

 麦わらの一味の剣士、ロロノア・ゾロが目を覚ましていた。

シャンクス「起きて・・いたのか」

 赤髪海賊団一同がゾロの起床に驚いていた。

ゾロ「あれ程の覇気を感じりゃ嫌でも起きる。まあ、俺が特別眠りが浅いだけかもしれねえが」

 他の面子は未だに眠っていた。

ゾロ「それで、行くのか?娘を置いて」

シャンクス「本当なら連れて帰るつもりだったんだ。だが、どうやらウタはルフィの隣に居るほうが幸せになれるらしい。これを見てそう思った」

 シャンクスはウタがルフィに寄り添うように寝てる姿を穏やかな顔で見つめる。

ジンベエ「じゃが、黙って行くのはそれはそれで酷な事じゃ。それはあまりに無責任じゃないか?」

ゾロ「なんだ、起きてたのかよ」

ジンベエ「まあの」

 ジンベエの問いにシャンクス達は思わず押し黙った。

サンジ「良い物がある。ちょっと待ってろ」

ゾロ「お前もかよ」

 ゾロの言葉をスルーしてサンジはサニー号へとひた走る。数刻後、サンジは手にあるものを持って、やってきた。

サンジ「電伝虫と音貝、どっちを使う?」

 そしてシャンクスは、それを手にした。

 

 

 

はっとなってルフィは目を覚ます。

ルフィ「ウタ!?」

ウタ「ん?」

 いかにも起きたばかりで寝ぼけ眼のウタがすぐ隣にいた。ルフィは呆れればいいのやら、喜べばいいのやら、複雑な内心を抱きながらウタの両頬を引っ張る。

ウタ「ルフィ、いひゃいいひゃい」

 ウタの悲鳴でようやくルフィはようやくウタの生存に安堵する。

ルフィ「馬鹿なことしやがって、本気で心配したんだからな」

ウタ「ごめん、ルフィ」

ウソップ「おーい、いつまでもイチャイチャしてると飯無くなっちまうぞルフィ!あ、それとも先ずはイチャイチャが優先か?これは失敬」

 一味の皆とゴードン、クラゲ海賊団も混じってバーベキューに興じられていた。

ルフィ・ウタ「「別にイチャイチャなんか……」」

ロビン「息ピッタリね」

 お互い同じタイミングで同じ事を言って気まずい雰囲気になる。

 グルルル〜〜〜・・・・

 そしてお互い同じタイミングで腹の音も鳴った。

ナミ「お腹の音が鳴るタイミングも同じなんて、なんというシンクロ率」

ルフィ「飯、食うか」

ウタ「そうだね」

 二人が宴に加わった。

 

 

 

 

 かくして宴が始まった。ウソップは一発芸をかまし、クラゲ海賊団は漫才をして笑いをとる。ルフィは馬鹿でかい肉を早々と食ってる。楽しい。こんなにも楽しくて幸せを感じるのはいつぶりだろうか。

ゴードン「楽しいかい?ウタ」

 ゴードンが声をかけてきた。

ウタ「うん、凄く」

ウタ・ゴードン「「ごめんなさい(すまない)」」

 二人は同じタイミングで謝った。

ウタ「なんでゴードンが謝るの」

ゴードン「謝るのは当然だ。君にずっと真実を言うのを隠していた。私はエレジアの国王だ。トットムジカとウタウタの能力者の関係性を知っていた。にも関わらず私は良かれと思って君の歌声を国中に聴かせた。そして君の元へトットムジカを招き寄せてしまった。国王であるにも関わらず私はトットムジカの封印を解いてしまった。エレジアを滅ぼした真の元凶は私だ。

 その後の事もそうだ。私は君をエレジアに閉じ込めてしまった。君に寂しい思いをさせた。君の能力を恐れて君がデビューする機会を失っていた。災厄を起こしたトットムジカを処分出来ずに居た。何より、君の計画を止める事が出来なかった。

 私は愚か者だ。なんだかんだ理由付けて逃げてた卑怯者だ。君を最高の歌い手に育てると誓ったのに、その誓いも守れなかった。本当にすまなかった」

ウタ「やめてよゴードン。これでもちゃんと感謝してるんだよ、私。ただ、私は1年前に真実を知ったんだ。そしてわからなくなっちゃった。だって国を滅ぼした悪魔を育ててるようなものだもん。だからシャンクスは迎えに来てくれないのだと思った。だからゴードンは私をエレジアに閉じ込めてるのだと思った」

ゴードン「そうか、君にとってこのエレジアは監獄だったんだな。君の心をずっと殺し続けてたんだな。すまない、本当にすまない」

 ゴードンは大粒の涙を流しながら謝罪した。私も涙が沢山流れてる。私達はようやくお互いを理解したのだ。

ルフィ「ところでよう、シャンクスはどうしたんだ?何でまたシャンクスはウタを置いていっちまったんだよ。ウタを迎えにエレジアに来たんだろ?」

ウタ「いいよ、ルフィ。ちゃんと愛されてた事は私は十分わかったから」

ルフィ「良い訳ねえだろ。自分の娘だぞ」

サンジ「その娘宛にメッセージを貰った。聞くか?ルフィ、お前宛にも有る」

 ルフィと私は顔を見合わせたあと同時に言った。

ルフィ・ウタ「「聞く」」

 

 

 

 

 サンジはシャンクスのメッセージが入った音貝を再生させた。

シャンクス『ウタ、先ずは12年前に何も言わずエレジアに置いていって済まなかった。お前に罪を背負わせない為とはいえ、あんな所に置いておくのは間違っていた。お前をカタギの道に進ませたい、重い十字架を背負わせたくないとそんなことばかり考えていた。ゴードンも無茶な要求をして済まなかった。海賊としても父親としても俺は半端者だ。

 お前が起こした事件のことは気にするな。ウタ、お前のことは死んだことに海軍に通してある。今のお前は何の肩書の無いウタになってる筈だ。どうか変に重荷を背負わずに自由に生きてほしい。それが父親である俺の願いだ。

 それはそれとしてだ、12年ぶりにお前の歌を聞いて思ったんだが、随分下手になったなあ。あんなにも歌が上手かったのに、心がきちんと籠もってないとああも下手になるとは。あんな歌ではたとえ娘であろうと乗せられない。四皇赤髪海賊団の音楽家には到底格不足だ。

 ウタ、最高の歌い手になったらまた聞きに来てやる。

 それとルフィ、ウタは俺の大事な娘で大切な家族。俺達の1番の宝で、いずれ新時代の歌姫になる女だ。その隣に相応しい立派な男になれ!!』

赤髪海賊団『幸せになれよ〜、ウタ〜!!!』

シャンクス『お前ら勝手に乱入するな。それじゃあ二人共、またな』

 音貝の再生は終わった。

ルフィ「当たり前だ!!」

 ルフィは拳を掌に打ち付けた。

ウタ「下手って、私はこの2年の活動で世界に名を轟かせたのに認めないなんて……。音楽何もわからないくせに知ったような事言って」

ブルック「歌は技術ではないということですよ。音を楽しむ事が音楽です。あのライブ、あなたは心の底から楽しめてない事を親である彼は気づいていたのですよ。1からやり直しましょう」

ウタ「ありがとう。私もう1回1からやり直すよ」

 

 

 

ウソップ「なあ、最後のメッセージ、あれ絶対に……」

ナミ「ええ、父親公認って奴ね。当の二人はわかってないみたいだけれど」

フランキー「背中押した方が良いのか?良いのか?」

 3人がコソコソと話してた。

ルフィ「何コソコソ話してんだ?アイツラ」.

ウタ「それじゃあ歌姫ウタのリスタートを始めますか」

 宴のメインとなるウタのミニライブが始まった。

ウソップ「よっ!待ってました!!」

サンジ「U!T!A!」チョッパー「U!T!A!」

ウタ「ありがとう。それじゃあ聞いてください。『世界のつづき』」

 ウタが歌うたびに、彼女の身体から光の粒子がふわりと浮かび、夜の暗闇を照らしてく。

ゴードン「天使の歌声・・・・これだ!これがウタの歌声だ!!」

ブルック「ええ・・・・全くです」

ナミ「綺麗」

ロビン「本当。天にも昇りそう」

 ウタの歌声はこの小さなステージを優しく包んでいった。

ルフィ「おっと、危ねえ」

 ウタが歌い終わった瞬間少しふらっとした。

ウタ「・・・//// あ、ありがとう」

 ルフィに支えられた事に気づいた瞬間ウタは瞬時に離れた。二人の間に不自然な間が空く。

ルフィ・ウタ「「なあ(ねえ)」」

ウタ「ルフィからいいよ」

ルフィ「いやウタからでいいぞ」

ウタ「いやルフィから」

ルフィ「いやウタから」

ウタ「いやルフィから」

ルフィ「いやウタから」

ゾロ「さっさと話進めろお前ら」

ルフィ「それじゃあおれから。…オッホン。スー、行こう!おれお前の舞台一杯知ってる」

 

 

 

 

ウタ「・・・プッwなにそれww」

 ルフィのその言葉に思わず笑ってしまった。

ルフィ「厶・・・・なんだよ」

ウタ「べっつに〜〜w」

 そう言って私はルフィの差し出された手を握った。

チョッパー「なんかルフィらしくないな」

ウソップ「あれは幼馴染同士特有のやりとりの奴だな。俺にはわかる」

ナミ「それだけじゃないわね。ルフィの耳を観なさい。真っ赤よ」

サンジ「どうりでらしくなくキザな言い方なわけだ」

フランキー「問題はそれがウタに通じてるかどうかだが、ありゃ微妙に通じてねえな。仲間に誘われたとしか認識してねえかもしれねえ」

ロビン「でも手助けはよしときましょう。もう少し見守りたいし」

ブルック「長い目で見守りたいですものね。私、見守る目ないですけれど。ヨホホホ」

ジンベエ「よさんか、お主ら」 

 翌日

 ウタは船出の準備をしていた。

ウタ「それじゃあゴードンさん、私行ってくる。育ててくれてありがとう」

ゴードン「ああ、行っておいで。君達が創る新時代を楽しみに待ってるよ」

ルフィ「ウタ、行くぞ!お前ら〜、出港だぁ〜〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 麦わらの一味は新たな仲間を乗せてエレジアから出港した。

ウタ「この風は〜♪」

 ウタは鼻歌交じりに身体を洗い、浴槽に浸かった。

ウタ「あゝ〜〜極楽極楽」

 湯に浸かる幸福感に包まれながらも歌は続く。そこにチャプチャプと何かが泳ぐ音がする。目を開くとそこにはサニー君がいた。

ウタ「あれ?なんでサニー君が!?あ!無意識に能力使ったのか」

 そこでウタはサニー君相手だけに内緒の告白をした。

ウタ「ねえサニー君、私一味の皆には言ってない目的が有るんだ。それはね、海賊王のお嫁さんになること。なれるかな〜」

サニー君「サーニー!!」

ウタ「ありがとう。私、海賊王のお嫁さんになる!!」

 ニカっとした素敵な笑顔だった。                Fin

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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