ルフィ「シャンクスがそんなことするか!お前だって知ってんだろ!」
ウタから聞かされた信じがたい話に怒りに震わせた。
ウタ「じゃあ私の12年は何だ!」
ウタは叫び返すと、表情を冷たくした。ちぎれた麦わら帽子を小さな音符に変えてしまい込む。
ウタ「ルフィ、あんただってシャンクスにとってはただの道具なんだよ」
ルフィはウタの言葉を黙って受け止め目を閉じ考えた。ルフィは知ってる。ウタが居なくなったあの日、シャンクスと喧嘩した。シャンクスが飲んだくれて「辛い」と零していたのは嫌な思い出だが覚えてる。だから違うはずだ。シャンクスはそんなことしない。絶対に。エレジアで何が起こったのかわからない、だが事実はきっと違うはずだ。じゃなきゃゴードンのおっさんがシャンクスに期待をしない。・・・・・!?
ルフィ「何度も言うぞ。シャンクスはそんなことしねえ」
ウタ「ルフィ!!」
ウタが感情を怒りに震わせるが先程とは逆にルフィは静かだ。
ルフィ「お前の話はおかしいぞ、ウタ」
ウタ「何がよ!!」
ルフィ「ゴードンのおっさんはシャンクスを恨んでねえ、憎んでねえ。なんならゴードンのおっさんはシャンクスが来ることを期待してる。おかしいだろ!?そんなの国を滅ぼされた奴がする態度じゃねえ。何度でも言うぞウタ、シャンクスはそんなことしない。お前も知ってる筈だ」
ルフィ「シャンクスがそんなことするか!お前だって知ってんだろ!」
ウタ「ルフィは凄いね。私がついた嘘を直ぐに見抜いちゃう」
ウタは雨に打たれながらうつむくと、一人静かに自供を始めた。
現実世界のライブ会場では、ルフィや麦わらの一味が、地面の上に倒れて眠り込んでいる。誰の耳にも届かない罪の告白だ。
ウタ「ルフィの言う通りだよ。シャンクスは何も悪くない。シャンクスはエレジアを滅ぼしてない。むしろ守ろうとしてた。その為に戦ってくれた。
ルフィ、エレジアを滅ぼしたの本当は私なの。私がやったんだ。トットムジカって曲を歌ったの。そしたら皆滅ぼしちゃった。酷いよね、最低だよね。そんな最低な私をシャンクス達は庇ってくれた。エレジアを滅ぼしたという罪をシャンクス達がやったことにしてくれた。
でも本当に最低なのはここからなんだ。私、エレジアを滅ぼしたの忘れていたの。私がやったことなのにそのこと全く覚えていなかったの。あまつさえ、庇ってくれたシャンクス達のこと恨むようになった。憎むようになった。ゴードンさんがついた嘘を鵜呑みするようになった。それで出来たのが『海賊嫌いの歌姫ウタ』というキャラクター。もう遅かった。何もかもが遅かったんだよ。
私が真実を知ったのは1年前。その頃には私のキャラクターはすっかり世間に知り渡って定着しちゃった。世界中が私の歌を待っているんだよ。今更、どうしようもないじゃん、そんなの。私、ファンの皆を裏切れないよ。私『海賊嫌いの歌姫』として生きる他ないんだよ。私は『新時代』にしか居場所がないんだ。
だから、ごめんね、ルフィ」
覚悟を決めるように、決心を鈍らぬように、決別するように両手でナイフを握りしめる。
ふとルフィとの再開を思い出す。仲間に囲まれて楽しそうで、シャンクスから帽子も託されてて、そして立派に強くなってる私の大好きな海賊。
ウタ「私だって本当は・・・・・」
何を今更・・・。自嘲の笑みと頬に流れる水滴を感じながら、ルフィの胸向けてナイフを振り下ろす。
??「そんなことはない。何も遅くなんてない」
ナイフ持った手を誰かの声と共に優しく止めていた。
ウタ「シャン・・クス・・・・なんで・・・・・」
シャンクス「久しぶりに聴きに来た。お前の歌を」