黎明なるヴィランアカデミア   作:洛陽

1 / 14
黎明:オリジン

 僕は好奇心と欲が抑えられない性格だった。幼い頃より、生命の起源と"個性"の特異点の研究に傾倒していた。ヒト以外に"個性"は無いのかと探して周り、寝食を忘れて没頭し続けた。自分の"個性"は自分が一番知っている。

 

 私は、普段から無"個性"として過ごすことにした。それが何に役立つかはともかくとして、両親も知らず、"個性"届けも無"個性"であるとされている。

 

 "個性"については謎が多い。遺伝するし、かと思えばしないし、隔世遺伝もある。所がどっこい、突然変異もある。これが分からない。もし、"個性"が作れるのなら。もし、"個性"が固形化できるのなら。もし、"個性"が授受できるのなら。僕はこの世においても悪逆無道の限りでも尽くしてこの好奇心と憧れを満たそうとするだろう。

 

 ああ、申し遅れた。僕は水核 灰理(みさね かいり)。今考えているヴィランネームはストレンジャー、シグマ、プラネット・ドーンとかだ。とはいえ、ここに来た時点で、見当はついているのだろう?私がどんな存在で、何を成そうとしているのか。なぁ、オールフォーワン。

 

▼▽▼

 

 彼女の素性は既に割れている。しかし、彼女について知っている事は女性で、家が何処で、家族構成といった初歩的なものばかり。彼女自体の事は何ら知らないのだ。10にも満たない年齢で、既に知識欲と好奇心の限りに生きている。彼女の両親はこの町にて権力を持つ優秀な家系であり、土地や資産も一般家系とはかけ離れたものだった。

 

 彼女と接触した日。突然現れた我々に臆することなく、人質なら余所を当たるといいと言い放ち、読書に戻った。その上、質問には答えず、どころかふてぶてしくも逆に質問を投げてくる始末。子供とは怖いものだと認識していたが、こんな人種もいるのだと感心させられた。

 

 だが、彼女の興味を引くことには成功した。暫く会話していると、ある程度の認識を持ってくれたようで、約束をしてくれた。協力するなら、協力する、と。彼女は強欲な事に、裏社会の首領たる僕に対して、協力するのなら、私も協力してやろうと大きく出たのだ。

 

 面食らったが、これを承諾。手始めに研究所を案内しようかと思ったが、彼女の方から招待された。それは、彼女の短いこれまでの歩みが全て詰まった秘密基地だった。海外の論文や、ナノ技術と思われる物の試作品、そして"個性"研究の成果たる彼女の"個性"の複製。自力でここまで来たのかと関心したのを覚えている。

 

▼▽▼

 

 あの日、僕は運命に出会った。5歳の冬、一つの論文。その一節。原始地球における水の生成過程についての考察から抜粋。

「我々は母なる海から陸に上がった哺乳類の末裔だ。それならば、母の母はどこから来たのだろう。我々の歴史はどこから始まり、何処へ向かうのだろう」

 

 これが始まりだった。

 

 ヒトがかつては海の生物だったこと。ましてやプランクトンサイズの微小な細胞が進化した生物から全てが始まったこと。46億年の遥かなる歴史の積み重ねによって今があること。それら全ての情報が、今や手に入る。

 

 この世にて、好きを通すことは難しい。ましてや、僕の目指すものは倫理、道徳、規範、法律、人間性に反するものだ。故にこそ、僕はこの知的好奇心に従い、このヒーロー社会における謎の解明に尽くす。僕の研究は何れこの表裏どちらの社会においても役に立つだろう。合法、非合法問わずに僕はこの世に新たなる夜明けを見せる。故に、故に、故に。

 

 

この黎明を完遂する。

 

 

これが僕の原点(オリジン)だ。

 




絵は手書きした下書きをAIで出力し、加筆修正したもの。


【挿絵表示】


水核 灰理/みずさね かいり
女性 "個性"不明
性格 ボンドルド+アグネスタキオン+主任(ACV)÷3
解説 自分の行いは社会的には悪だと知った上で止まらない。基本的に敵味方の区別は無く、利用できるものは何でも利用する。
座右の銘 好きに生き、好きに死ぬ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。