ニンジャスレイヤーIF少女   作:BANZAINAMUSAN

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【誤字報告インシデント】
複数の誤字が発見され、報告形式の通報を受け取っています。私の心の中の担当はケジメを嫌がったので、シベリアで木を数える仕事に転職したので安心だ。


ミラー・ミラー・フー・アー・ユー?#3

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

◆「セーシュクに!セーシュクに!」「ヒコクニンは名乗りなさい」「名前を聞かれても分かりません」「ニンサツカン。私の名前を言いなさい」「シンモンカン。私の名前を言いなさい」「早く言って。役目でしょ」◆

 

 

【ミラー・ミラー・フー・アー・ユー?】#3

 

 

『あなたはニンジャスレイヤーです』とゼクスマイレンは言いました。

「そっちじゃないよ」と少女は言いました。

『これは異な事を。あなたはニンジャスレイヤー!ニンジャを殺すニンジャ!なんと恐ろしい名前!』

 少女はぷりぷり怒って、「性格が悪い!たくさんの減点!」と言いました。

 

 

 カンカンカン!カンカンカン!少女は木槌を叩きました。

「せーしゅくに!せーしゅくに!」木槌に合わせて言いました。

「もう一度だけ聞きます。私の名前を言いなさい」

 ですがもう、ゼクスマイレンはこのロールプレイングふわふわ裁判スクリプト構造を読み解いていました。

 

 

 平安時代のミヤモト・マサシは言いました。

 狂人の真似をしたら実際狂人。と。

 同じなのです。

 サイバンチョの真似をしたら実際サイバンチョ。

 ヒコクニンの真似をしたら実際ヒコクニン。

 シンモンカンの真似をしたら実際シンモンカン。

 ニンサツカンとは?

 

 

 なにはともあれ、ロールプレイングしたら良いのです。

「ヒコクニンはニンジャスレイヤーだ!シンモンカンをスレイしようとしているぞ!デアエーッ!デアエーッ!」急にゼクスマイレンは叫びました。

 

 

 シンモンカンのロールを担うゼクスマイレンがそういえば、どこからか現れた等身大トランプ・ヘータイが、ぴょんぴょんしながら少女に飛びかかっていくのは何事もフシギではありません。

 ロール立場を見てみなさい。

 シンモンカンはヒコクニンの上位権限を持っているでしょう?

 

 

 まるでシステムハックみたい!

「ワーワーワーワーワー!」

 ぴょんぴょん!ぴょんぴょん!

「ワーワーワーワーワー!」

 ぴょんぴょん!ぴょんぴょん!

「ウワーッ!ヤメテウワーッ!」

 少女はすっかりトランプ・ヘータイに囲まれてしまいました。

 

 

 ウカツなロール変更はアブナイだね!気を付けよう立場。

「ワーワーワーワーワー!」

 ぴょんぴょん!ぴょんぴょん!

「ワーワーワーワーワー!」

 ぴょんぴょん!ぴょんぴょん!

「ウワーッ!ヤメテウワーッ!」

 そうしてトランプ・ヘータイが少女の視界いっぱいに……0110110……

 

 

--------------------

 

 

……01110110001……「おーい。いつまで寝てるんだ?」少女が目を覚ますと、酸性雨が木窓を激しく叩いていた。ウルシコーティングされた「ミニミ」は酸性雨にもビクともしない。「あれ?サイバンは?」「裁判?ああ、公開裁判の犯罪者はどうせみんな銃殺刑だよ。誰か気になる人でもいた?」

 

 

ネオプロイセン警察に逮捕された犯罪者の一部は、ベルリン内にいくつもある大広場で略式の裁判を行い、銃殺刑パフォーマンスされることもある。ネオプロイセンの誇るテッポウ、ニードラ銃の力強さアッピール。国民の戦意高揚。ヘータイ・ニュービーに覚悟を決めさせモラール向上。多目的な相乗効果。

 

 

少女はザブトンチェアで仰向けに寝ていた。夢?「ミラー割るとアブナイだよ。片付けておいた」ドブネズミは手にした木箱を持ち上げた。残骸の擦れる音。少女が大きな姿見に目をやると、イビツな破片を隅に残した無残な縁だけがあった。「掃除、手伝うよ。明日にでも」「エート、エート、なんだっけ?」

 

 

少女は何か思い出そうとした。大切なことだ。大切なのに思い出せない。「ンンーッ!」少女は歯噛みした。何かされたのだ!でも何をされたか分からない!ぴょんぴょんしていた!「……まあ、いろいろあるだろうけどさ、ポトフを作ったから食べて落ち着きなよ。お嬢ちゃんの訴えはアッシが聞くよ」

 

 

……少女は整理した。「サイバンしてたの」「裁判?」「ニンジャ裁判」「フーン、そっか」ドブネズミはただ相槌をうつ。「ウソつきにタタミ針千本飲ませたわ。それで、エート、エート、ピー=サンがね」とにかく喋り続けて、整理を続ける。「ピー=サン?」「名前は分からないの」

 

 

「フーン、そっか」ドブネズミは相槌をうつ。「そりゃ残念」「ウン」少女はウッドスプーンでポトフを掬い、息を吹きかけてから食べた。「モニュモニュ。ニンサツカンのピー=サンはゼクスマイレン=サンを死刑にしたがるの。シンモンカンのゼクスマイレン=サンはピー=サンを禁固刑にしたいんだって」

 

 

ドブネズミは注意深く少女の言葉に耳を傾けた。「他には誰かいた?」「おばあさまがもういないのに、いたの。きっとゲン・ジツなのだわ!」少女は大げさなゼスチャーとともに事の重大さをアッピール。「そういうこともある」「そうなの?」「死んだ人は生きてる人に会いたくなるものさ」

 

 

「そうなんだ……」少女はつづけて覚えている限りの事を口にしたが、本名を忘れている事を忘れてしまっていた。しかしその自我を失うことは無かった。何故なら、「アタシはニンジャスレイヤーだから、最後にはゼクスマイレン=サンをスレイしたわ」自己を再定義し、安定させたのだ。

 

 

「そりゃあ良かった。解決だ」ドブネズミは無感動に寿ぐ。「でも、ゼクスマイレン=サンはモヤーッって消えちゃうの。ピー=サンがいうには、あいぴー?ナントカっていうのをちゃんとスレイしないとダメなんだって」「IP?」「おはなし聞いても、よくわかんない」「フーン、そっか」

 

 

ドブネズミはただ相槌を打つだけではなく、少女語とでもいうべき言語アーキタイプをニューロン内翻訳し、少女の危ういメンタルバランスを推し量った。「じゃあ、次はアッシに届いた訴えを聞いてもらおうかな」ポトフの入ったウッドプレートの中身を浚えたドブネズミが、帰宅時の陳情を伝えた。

 

 

「多分アイゼンダンベルかなにかでドンドンしてたでしょ。そういうのは奥ゆかしくない。真下の階の人が怖がっていたから、部屋の中で暴れたり騒いだり叩くのヤメテダゼ」「……はぁい」少女はウッドスプーンでポトフをグルグルしている。彼女にはそんなことをした記憶はなかった。

 

 

夢の中の木槌は、アイゼンダンベルだったのだろうか?チリチリと、ニューロンが何らかの警告を発している。(憎悪を忘れるな。ちゃんと覚えてる。でもきっと、全部は覚えていられないんだわ)強くなりたい。悪い大人に良いようにされないくらい。騙されないくらい。少女はそう思った。

 

 

ニンジャスレイヤー。ニンジャを殺すニンジャ存在。少女は、自身がニンジャを殺すニンジャなのだと、心を改めたのだ。幼年期の終わり。ニンジャという超常存在としての目覚め。いつまでも無垢な子どものままでは居られぬ。少女はニンジャスレイヤーなのだから。

 

 

だが同時に、少女はその少女性も残している。たった1日ばかりの保護者が、少女の訴えにただ相槌を打ち、そしてレスポンスを返してくれる。ニューロンを右に左に激しく揺さぶられた少女にとって、なんと心強い体験だったことだろう。守護されていると直感的にわかるのだ。「カラテやりたい」

 

 

少女は突然ワガママを言った。「カラテ?」「ニンジャだけど、カラテわからないもの」「フーン、そっか」「それに、学校に行きたい。バレリーナになりたい。カワイイなお嫁さんにもなりたいし、掃除やお料理やお裁縫もできるようになりたいわ」ほかにも少女は、思いつく限りのワガママを言った。

 

 

そして、ドブネズミを見た。死んだマグロめいた瞳を覗きこむように。かすかな不安を湛えて。ドブネズミは左手で鼻先を撫でて、ニューロンにポップアップする選択可能性を吟味し、一度リセットした。そうじゃないだろう。「やりたいことがたくさんあるのは良いことだ」つまり、こうだ。

 

 

「アッシはやりたいことなんかないからな。ただ何となく生きてるだけだ。だったら、キアイのある子供の応援くらいするさ」そこで一度言葉を区切り、二度瞬きをし、息を吸った。「それになにより、おばあちゃんの仇を討ちたいんだろう?」「ウン。仇のニンジャは絶対許さない」「オーケイ」

 

 

ドブネズミは不意にニューロンによぎったメルヘンを例えに出した。「シンデレラのネズミのようには行かないが、一つ一つ叶えていこう。準備は整える」「……良いの?」少女はまだ不安げだ。「情報をカネに変えるのが、情報屋の仕事だ」ドブネズミは指先で側頭部を叩く。無償ではないアッピール。

 

 

だが少女には、その取引がアクマめいた声よりテンシめいた声より誠実に聞こえた。「アリガト」少女はポトフを全て浚えた。それからスチーム風呂に入り、おおきなふかふかのベッドに飛び込み、クマチャンを抱きしめて寝た。ベッドの中で少女は、敬愛する祖母の死を想って目から人間性のしずくを零した。

 

 

「(ミラー・ミラー・フー・アー・ユー?)終わり」

 

 

 

 

◆ここまでのあとがき◆

 

 

◆CM◆今は昔の19世紀。パイプラインがベルリンに張り巡らされ、スチーム機関が普遍化した近代ヨーロッパIF。戦時マッポーマッタナシ。ネオプロイセン連合王国を舞台にニンジャスレイヤー少女は民間伝承メルヘン伝説を追い、人類史を影から操らんとする祖母の仇の邪悪ニンジャを追う!◆定期◆

 

 

◆少女性◆ニンジャスレイヤーIF少女。BANZAINAMUSANから◆重点◆

 

 

◆テスト◆少女の中にテンシ存在とアクマ存在がいるというのは、前時代的なキャラクターパーツだ。だから前時代的なスチームパンクに合うと判断した。よくあるそれらのネタと異なる点は、少女の心の天秤がどちらに傾いてもオタッシャ重点ということだ。スッゴイカワイソ。◆点検◆

 

 

◆ライン川◆ゼクスマイレンをスレイしジッカイ・ジツが解ければ、【ピーーーーーー】ことナラク・ニンジャは容易に少女のすべてを掌握し、死ぬまで暴走するだろう。逆もまた実質同じで、少女がテンゴクを受け入れ、ゼクスマイレンと心を入れ替えたならジョルリ人形になる。◆ドナウ川◆

 

 

◆クマチャン◆少女の自我が確立し、力強く手綱を繰ることができるようになるまでこの両天秤はつづく。そういうプロットだ。油断ならぬ心の中の隣人は、少女にストレスを与え、成長させる。ストレスに負けぬように。カラダニキヲツケテネ!◆ウサギチャン◆

 

 

◆工場◆こういう話がつづくと気が滅入るし、フラストレーションが溜まっちまう。はやくニンジャが爆発四散するところが見たい!起承忍殺してスカッとしたい!そんな時のための忍殺メルヘン紀行だ。時系列など気にするな。楽しもうアトモスフィア。それでは今後ともヨロシクオネガイシマス◆勤務◆

 

 




◆忍殺◆登場人物#016【ゼクスマイレン】◆少女◆
異端審問チーム『アイゼンハンマー』の一員。チームは暴走するナラクを封じるべく動き全滅したが、チーム一体感で聖なるゴスンクギを邪悪なニンジャソウルに打ち込んだ。ゼクスマイレンは今もナラクを封殺すべく、少女の心の中で生きている。
 
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