(あらすじ・半神的存在であるニンジャがローカルコトダマ空間でイマジナリー創造神となり、ロバ、犬、サルそれぞれの生き物の寿命を定めた。次に現れた人間の寿命を定めようとするが、それは自身の考えた都合の良いイマジナリーモータルではなく、ニンジャスレイヤー少女だったのだ!)
白靄に包まれた、解像度の低い不明瞭空間。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。シンクレティズムです。一体あなたは?」アイサツを交わすニンジャのうち、純白トーガニンジャ装束のニンジャ、シンクレティズムは小首をかしげた。
ここはシンクレティズムのローカルコトダマ空間。フリーミアムの体現……イマジナリーは自由……ベッドへ横になり豊かな空想をふくらませる権利は誰にでもある。そのはずだ。だが異物たるその赤黒のニンジャは、何らかの方法で入り込んできたのだ。「まあよい」
シンクレティズムは些細な疑問を捨て置いた。「君は30年生かそう」「フーン、ソッカ。アタシはオマエの生存を許さない」カブーム!「グワーッ!」カンシャクバクチク!シンクレティズムは全く抵抗できずに爆発に巻き込まれた。「何をする!」だが目に見えるダメージは無し!
この領域を己のホームグラウンドと定めているシンクレティズムのフーリンカザンによるものか?「いま、アタシを30年生かすって言ったよね?何様?」「ニンジャ様だ」カブーム!「グワーッ!」シンクレティズムは全く抵抗できずにカンシャクバクチク直撃!「何をする!」だがあんまりきいてない!
自我が強い!色々あってこの邪悪ニンジャのニューロンに潜入こそしたが、とにかくどうにか心をへし折らなければマインドスレイするのは難しいぞ少女!「オマエのくだらない創作が世界にどれだけ悪影響なのか分かれ!イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女は瞬く間にタタミ4枚距離を……
ワッザ?疾駆しているにも関わらず、タタミ4毎距離の間合いがいつまでたっても埋まらないではないか!?フシギ!ニンジャスレイヤー少女の疾駆速度とどうとうのスピードで後退しているようには見えぬ。無限に埋まらぬ相対距離。「なに?」彼は逆向きに首を傾げた。
ニンジャスレイヤー少女は駈ける足を止めれば、シンクレティズムの後退も止まった。自動的だ。ローカルコトダマ空間の定義によるものか?コトダマ空間の定義は、オーナーが定める。実質己の世界を支配するこの男のほうがアドバンテージで有利。
「もしかして、自覚してないの?イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女はスリケン投擲!スリケンは瞬く間にシンクレティズムの元へ……元へ……届かない!?スリケンに籠もるカラテ推進力が何らかの理由で半減し、半減し、半減半減半減半減半減!
タタミ3枚距離詰めたあたりから特に減速しシンクレティズムに到達することがない!?減速減速減速減速減速減速減速減速減速!やがて十分なカラテ推進力を失ったスリケンは地に落ち、白靄に隠れた。ローカルコトダマ空間内に謎めいたニンジャ力学が定義されているのか?
「自覚?自覚だと?言っている意味がわからない」次の瞬間。「ヒーン!」「バウワウ!」「キキーッ!」白靄に紛れどこかに去っていたロバと犬とサルのエントリーだ。「イヤーッ!」「ヒヒーン!」「キャイン!」「ウッキャー!」弱敵瞬殺!問題にもならぬ!
ニンジャアニマルですらない。「なにをする!」だがその行為にシンクレティズムは怒った。彼は両手のニンジャサインをニンジャスレイヤー少女に向け……PINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPING!ニューロン速度のPINGコマンド連打!
20世紀重機関銃を想起させるPING弾幕!「ウワーッ!」たくさん打つと実際当たりやすい!現実では到底実現不可能な弾幕をニンジャスレイヤー少女は回避しきれぬ!みょうにいたい!「ひどいことしやがって!二度とこの世界から出ていけ!イヤーッ!」PINGPINGPINGPING!
ハヤイスギル!だが!カブーム!カブーム!カブーーーーーム!コトダマ空間に直接生成されるカンシャクバクチクがたくさんシンクレティズムのちかくで爆発!なんてことだ!ローカルコトダマ空間内が塹壕なきワールド・ウォーじみている!
神話ニンジャ大戦を局所的ミニマライズしたかのような激戦!「イヤーッ!」「イヤーッ!」PINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPINGPING!カブーム!カブーム!カブーーーーーム!イクサが激しすぎて観測困難!
「「「「ヒヒーン!」」」」「「「「キャイン!」」」」「「「「ウッキャーッ!」」」」シンクレティズムのイマジナリーしたアニマルたちが白靄に紛れ、たくさん死んでいく!アビインフェルノジゴク!
読者諸君の中にニンジャ動体視力をお持ちのかたはおられるだろうか?ならば尋常のカラテでは通用せぬと悟ったニンジャスレイヤー少女が、現実では到底実現不可能な挙動によってPING弾幕の回避率を高めていることに気づけよう。
徐々にニューロン速度PINGに、対応している?馬鹿な。できるはずがない。だが実際に!?「イヤーッ!」コワイ!ニンジャスレイヤー少女の凄まじい反復横跳びじみた挙動によりブンシン・ジツじみている!ニューロン速度の動きが彼のニンジャ動体視力を圧倒的に上回っている!
PINGPINGPINGPING!もはや当たらぬ!カブーム!カブーム!そして止まらぬ爆発。「イヤーッ!」シンクレティズムは堪らずファイアウォール生成!「イヤーッ!」カブーーーーーム!ファイアウォール爆発!「やめてください死んでしまいます!私が一体なにをしたというんだ!」
「なにもかもだ!悪いニンジャはみんな殺してやる!」カブーム!カブーム!カブーーーーーム!たくさん爆発!シンクレティズムがコトダマ空間オーナーとしてバクチクをとにかくどうにかしようにも、生成した瞬間にはばくはつしているのでとても干渉できない!「グワーッ!」
純白トーガニンジャ装束が少しずつ破損!だがやはり目に見えたダメージは無し。弱点はどこだ?「イヤーッ!」堪らずシンクレティズムは多積層ファイアウォール構築!カブーム!カブーム!カブーーーーーム!多積層ファイアウォール塹壕効果で防御!
「ヤメロ!俺が何をした!」「知りたいの?」「何かあるなら言ってみろ!論破してやる!」たいへんしぜんなながれで恐るべきコトダマ空間イクサはバトル・オブ・ゼンモンドーフェイズへとシームレスに移行した。「オマエは豊かな空想を文字で表現するニンジャ小説家だ。そうですね?」
「そうだ。彫刻家が石を削るように、画家や墨絵士が絵筆を取るように、音楽家が楽器を取るように、私はペンを手に取り振るっている。何か問題でも?」「とても問題だ。オマエの小説に感極まった読者が死んでいく。悪いニンジャだ」お分かりいただけただろうか?
今日のおはなしはそういう事情なのだ。「感動!素晴らしい心のはたらきですよ。何か問題でも?」シンクレティズムの自我は強固だ。ぜんぜん悪びれない!反省皆無!「共感した人を殺す小説など書くな!」「死ぬのが嫌なら読むな!読者にはその権利がある!」
PINGPINGPINGPING!カブーム!カブーム!カブーム!相手を否定するコトダマの奔流が弾幕や爆発物と化し交差!相互に無傷!シンクレティズムは両手を大きく広げ、朗々と自分語りをはじめる。自己顕示欲が強い!
「読んだら感極まって死ぬ小説!良い帯だろう?どんな話か気にならないか?手にとってみたいと思わないか?私はそんな作品を読んでみたかった。だから書いた。なにか問題でも?」邪悪!シンクレティズムの創作論はかなり自己主張が激しく、さっきから聞いてるかんじ理論的な論破は難しい!
だがニンジャスレイヤー少女は臆することなく彼に指を突きつけ、鋭く指摘した。「書いて読んだオマエは死んでない。あんまり面白くないんじゃない?」「ニンジャだからだ。きっとモータルのままだったら感極まって死んでいた」客観的な指摘は効かない!自己陶酔!
「傑作だ。私はニンジャになって、ついに傑作を書いたのだ。私が考えた最高の小説だ。死ぬほど面白い。だから自費出版した。手に取る、取らないはすでに私の手を離れた個人の趣味嗜好の問題であり、自殺したのは読者の自己責任だ。逆説的に、私に問題は無い」「ある!」「無い!」
PINGPINGPINGPING!カブーム!カブーム!カブーム!PINGPINGPINGPING!カブーム!カブーム!カブーム!こ、これは!アドバンスショーギのサウザンド・ウォーを想起させる理論と理論の打ち込み合い、カイスイヨク!両者一歩も引かずゴジュッポ・ヒャッポ!
マッタ、考えるから、などという甘い発言は、バトル・オブ・ゼンモンドーにおいて許されない。このままでは勝ちも無く、負けもない。それはこのニンジャをスレイしにきたニンジャスレイヤー少女の実質敗北に等しい。どうするニンジャスレイヤー少女!
「ちなみにアタシも読んだけど、あんまり面白くなかったです」「バ、バカなーッ!ゴボボーッ!」シンクレティズム嘔吐!小説家は読者からの批評によってはニューロンに傷がつくのだ!ニンジャ小説家であれど同じこと!「死ぬほど面白い?どこが?どうして評価されてるかよく分からないです」
カブーム!カブーム!カブーム!「グワーッ!」シンクレティズムのニューロンにダメージ!だがさらなるファイアウォール多重構築で守りを固めて物理隙がない!「ゴボッ……ふ、フフフ、これだから読解力のないオコサマは。対象年齢外!大人になったらワカル」そこで一度言葉を区切る。
シンクレティズムは深呼吸を挟んで続ける。「ちょっとビックリして嘔吐したけど全然効いてないしノーダメージだからマジだし本当だから」嘔吐後の発言では説得力がない!ワザアリの有効打だぞニンジャスレイヤー少女!メンタルアドバンテージで有利!
少女はかの作品の是非から作品の問題点に話題スライドした。「ていうかドイツ語文法おかしいところ多かったね。アッ編集いないもんね?誤字脱字チェックしてないんじゃない?なんていうか、バカ?」「グワーッ!」否定できぬ事実を指摘されシンクレティズムのニューロンにダメージ!
「ヤメロ。アレはそういう表現なんだ。没入感重点でアトモスフィアが大事」「それってオマエの主張ですよね?意味分からない人には分からないと思うんですけど。文章表現力が足りないのと違うの?」「グワーッ!ヤメロー!」ちょっと気にしてたところを突かれてニューロンダメージ!
「オマエは傑作書いたと思ってるかもしれないけど共感しなかったみんなはあんまり面白くないって言ってたよ」「グワーッ!」「あんな作品書く作者はそうとうなキチガイだと思った」「グワーッ!」「きっとユウジョウとか知らないんだろうな、っていうのが透けて見えるよ」「アバーッ!」
ニンジャスレイヤー少女は既に作品の問題点から作者ニンジャの人格攻撃に話題スライドしている!人格攻撃痛烈!カブーム!カブーム!カブーム!多積層ファイアウォールがひび割れ、だんだんカンシャクバクチクに耐えられなくなっていく!確実に効いている!
「死にたいなら一人でセプクしたら良いのに」「ゴボボーッ!」シンクレティズム再嘔吐!だが!「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!ひ、批判したければすれば良い!聞く耳持たぬ!」ついにこの男は開き直った!
「俺には読者がいる!俺と彼らは共有幻想を通し、没入一体感!彼らは俺で、俺は彼らだ!皆でニンジャなのだ!マイワールドクラフト!ローカルコトダマ空間に創世し、実質異世界ディセンションして何が悪い!」「実質オナニーの見せあいっこだ!ヘンタイ!」「ウルッセーゾコラー!」
F虚数領域をバイパス経由したミーム共有……確かに絵や彫刻、音楽よりも即効性に劣るが、読解さえできれば文章の自己投影没入感は他表現の比ではない。「つまり分かってくれる人はいる!イヤーッ!」シンクレティズムは自己を再定義して三度立ち上がり、多積層ファイアウォール再生成で硬い!
「俺はニンジャ小説家だ!実質神で創世神!オマエにふさわしい寿命は決まった!ゼロコンマ3秒後に寿命で死ね!ニンジャスレイヤー=サン!死ね!」シンクレティズムはローカルコトダマ空間内の定義を書き換える豊かな空想でニンジャスレイヤー少女を……少女を?少女はどこに行った?
まさか、この期に及んで逃走したのか?否!「フーン、ソッカ。アタシはオマエの生存を許さないって意見に変わりはない」赤黒の影は、シンクレティズムの真背後に。ワン・インチ距離!「え?ナンデ?」「IP特定しました。なんで特定されたのかはジゴクで考えといてください」
ローカルコトダマ空間内においてニューロン速度で進行するイクサにおいて、ゼロコンマ3秒後はどれだけ未来だろう?ニンジャ相対性理論を用いて換算すれば解き明かせるであろうが、計算する意味はない。何故か?いまからシンクレティズムは死ぬからだ。「イヤーッ!」「グワーッ!」ゴートゥーアノヨ!
ニンジャスレイヤー少女は現実では到底実現不可能な速度で心臓摘出チョップを繰り出し、シンクレティズムのIPごと胸を貫いて圧縮爆破した。「サヨナラ!」シンクレティズム爆発四散!
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! ローカルコトダマ空間定義者の消滅により仮初の世界が滅びはじめている!F式虚数領域に呑まれれば、物理肉体のロストは避けられぬ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女はケープからハンドミラーを取り出し、即座に脱出!
……恐るべき強敵であった。ニンジャスレイヤー少女が敵のIPを暴けねば、延々と果ての見通せぬバトル・オブ・ゼンモンドーを繰り返すこととなっていただろう。そしてノロイめいた寿命作用性悪性ウィルスに感染させられ……マッタ。
少女は既に、寿命30年の悪性ウィルスに感染したのでは?コンマゼロ3秒後の寿命定義は、対象に選択されなかったので不発であった可能性は高い。ゼロコンマ三秒経過したが、死んでいない。だが、寿命30年のノロイめいた定義は、彼女の中にするりと入り込んだのでは?
ニンジャは実質不老不死性をもつ。だが少女はこのノロイで、モータルじみた寿命に縛られることになるのだろうか?分からぬ……コトダマ空間の多様性はフシギが多い。基本定義のコントロールさえ可能なウィザードは19世紀では希少な存在だ。実際どうなるかは不明瞭。
「寿命など知ったことか。30年以内にオーカミ・ニンジャさえ殺せれば、あとのことなど知ったことか」炎に燃え、うち捨てられたワンダーランド要塞地下。かろうじて原型を保つミラールームのミラーのうちのひとつから姿を現し、現世に舞い戻った少女は、ただそう独白した。
【グリムリーパー・ライフスパン】終わり
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#115【シンクレティズム】◆少女◆
ニンジャになって得た邪悪な暴力性を創作の燃料にした自称傑作【轢殺リーンカーネーション】を読んで感極まった者たちが馬車に身を投げ出して死ぬ事件が複数件発生し、ニンジャスレイヤーに存在が露呈したノーカラテ引き篭もりニンジャ。