ニンジャスレイヤーIF少女   作:BANZAINAMUSAN

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チャイルド・プレイング・スローター

 

 

【ニンジャスレイヤーIF少女AoM】

 

・舞台は19世紀の産業革命期

 

・パイプラインが張り巡らされ、ベルリンでは人体機能を上回るスチーム義肢が盛ん

 

・ある日突然ニンジャになる

 

・ニンジャは非ニンジャより非常に強く、邪悪な事が多い

 

・ニンジャスレイヤーはニンジャをスレイする

 

 

【ニンジャとは】

 

・古代ローマをカラテによって支配した半神的存在

 

・ニンジャ大戦において古代ローマは東西に二分し、文明の滅びとともにニンジャは歴史から姿を消す

 

・超人的な身体能力や超自然的なパワー(ジツ:術)を発揮する

 

・突然ニンジャになるので欲望のままに行動する者が多い

 

 

【主な登場人物】

 

・「少女」:この物語の主人公で、ニンジャスレイヤーだ。

 

・ドブネズミ:「少女」の保護者で、情報屋だ。

 

・まだ見ぬニンジャスレイヤーの協力者:ネオプロイセンの戦時体制移行を阻止したい者だが、今はまだ詳細を知る時ではない。

 

 

【今回のエピソード】

 

・元ネタは「子どもたちが屠殺ごっこをした話」

 

・救いの無いメルヘン伝説の影にはニンジャが潜む

 

・そのニンジャを今回スレイする

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

(あらすじ:父親が食用のためにプロイセン豚を屠殺するところを見た兄弟が、父親の真似をして屠殺ごっこした。しかし屠殺者役の兄は豚役の弟の喉をナイフで刺し殺してしまう。ウカツ!)

 

 

(アカチャンを風呂に入れていた母親は、弟の悲鳴を聞いて現場に駆け付けると瞬間的激情にかられ、弟の喉に刺さっていたナイフで兄の心臓を刺殺!そうして目を離した隙にアカチャンが浴槽で溺死!母親は悲しみのあまりセプクして自殺!)

 

 

(畑仕事から戻って来た父親はこれらの惨劇を目の当たりにし発狂死!ナムアミダブツ!なんたるマッポーめいたドミノ連鎖的悲劇多発一家か!この悲しみの連鎖は偶然ではない……すべては邪悪ニンジャの仕業だったのだ!)

 

 

 

空は茜色に染まり、散り散りに雲が浮かんでいる。クロウタドリがどこかへ飛び去った。沈みゆく太陽はありのままの稔り豊かなプロイセン王国を照らす。この自然が二世紀と経たぬうちに見るも無残に成り果てるとは誰が想像できただろうか?

 

 

未だ近代化政策の届かぬ、のどかな村フィリャンチャル。しかしその日はのっぴきならないアトモスフィアに包まれていた。悲劇の一軒家を取り囲む「外して保持」の囲い。何事かと押しかける近隣住民。自警団たちは事情を知りたがる人々を止めている。

 

 

「ミリィ=サンはダイジョブなの?ちょっと通して頂戴!」「近づかないで」「ランディ=サン!昼まで畑を耕してただろ!何があったんだ!」「離れなさい」「通せオラー!」「話させろオラー!」「ここはアブナイ!」アトモスフィアが険悪!何故おおらかなはずの彼らがこれほど凶暴に?

 

 

ボック家の内部は凄惨なありさまであった。仲の良い夫婦と3人の子供、全員死んでいたのだ。ナムアミダブツ。彼らは善良な村民であった。プロイセン豚を飼い、畑を耕して暮らしてきた。考えるまでもなく、ボック家にここまでされる謂れは無い!

 

 

事件の解決を望むなら、頭脳指数の高いネオプロイセン警察の調査力が必要であった。だが農村に賢いマッポなどいない。いるはずがない。自衛のための自警団がせいぜいだ。果たして地方警察権をもつユンカー(訳注・地主貴族)がこの事件をどう処理するのかも未だ定かではない。

 

 

近代化発展地域差の歪みがマッポーめいた惨殺事件の引き金を引いたのだろうか?すべては沈んでいく夕日のように闇に隠されてしまうのか?都合よく探偵行為を生業とする者が来ようはずもなし。ただ徒に騒ぎは大きくなるばかり。

 

 

かような混迷の現場を高みの見物にしゃれ込む影あり。泥棒は火をつけた家の様子を見にくる。平安時代の哲学者、ミヤモト・マサシのコトワザの通り、茶緑のストライプ柄ニンジャ装束を着た犯忍は事件現場から1.5km離れた森林地帯に陣取り、望遠鏡を覗き込んでいた。

 

 

その顔は愉悦に歪んでいた。「アーイイ……もっと一家惨殺したいぞ!今日は寒村ストライクいけるかァ?」コワイ!まさかこのニンジャはターゲットに狙いを定め……何らかの方法でヒュプノ・ジツをかけ……ジョルリめいて操り殺そうというのか!?その時である!

 

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」油断しきったストライプ柄ニンジャへと何者かがトビゲリを見舞った!ダイナミックエントリー痛烈!カラテ反動で飛び上がる赤黒の小柄なシルエットは、しめやかに着地した。それは探偵ではない。凶悪殺人犯ニンジャをこそ殺す、忍殺少女なのだ!

 

 

ストライプ柄ニンジャは五連続側転して必死に体勢を整えた。彼の視線の先では、既に両手を合わせオジギしている少女の姿。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」少女は赤黒に染まるビロードの頭巾を被り、カワイイな顔を「忍」「殺」と刻まれたメンポで隠している。その胸は平坦であった。

 

 

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。スローターです」アイサツは絶対不可侵の礼儀である。アイサツされれば、返さねばならない。古代ローマ史にも書かれている。エジプト壁画や古事記にもだ。スローターもまた両手を合わせオジギした。「何故ガキがこんなところに……」

 

 

この判断はウカツ!スローターはイクサ相手を誰何するよりも先にカラテ警戒せねばならなかった!「悪いニンジャはみんな殺してやる!」気勢とともにニンジャスレイヤーの右腕が鞭めいてしなり、目にも止まらぬ速度で2枚のスリケンを射出!「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 

スリケンがスローターの両目に突き刺さる!両目から血が噴出!「待て、俺を殺しても組織が貴様を……」有無を言わせずニンジャスレイヤーの右腕が鞭めいてしなり、目にも止まらぬ速度で2枚のスリケンを射出!「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 

スリケンがスローターのチキビに突き刺さる!チキビから血が噴出!「アッ、アバッ、お、俺は、ニンジャ、なのに……」インガオホー!ニンジャスレイヤーの右腕が鞭めいてしなり、目にも止まらぬ速度で2枚のスリケンを射出!「イヤーッ!」「アバーッ!」

 

 

スリケンがスローターの股間に突き刺さる!次の瞬間!「サヨナラ!」スローターは突然爆発四散した。まさか自爆か?否。ニンジャ耐久力を上回るダメージを受けたことで宿主が死亡し、カラテエネルギの供給先を失ったニンジャソウルがオーバーフロー爆発したのだ。

 

 

ニンジャスレイヤーは右腕の動きを止め、ザンシンした。そのメンタルに囁きかけるジゴクめいた声が!(((グググ……未熟!オヌシに確かなカラテあらば、この程度のサンシタはアンブッシュでケリがついたであろうにのぅ)))(ナラクは黙ってて)

 

 

少女に憑依した謎めいたニンジャソウル、ナラク。実際卓越したカラテを持つが、本領発揮していない。ニンジャを殺す前に少女がマッチめいて容易く燃え尽きるからだ。(((儂に身体を預け、カラテを鍛えたほうがよいのでは?)))(エッチ。ヘンタイ)少女の身持ちは堅く、ナラクに隙を見せなかった。

 

 

爆発四散痕には謎めいたマキモノが残されていた。少女はニンジャドロップ品を一読し……「ムゥー?」難解な暗号だ!プシューッ!頭上からスチームめいた熱気がクエスチョンマークめいた。少女は即座に読解を諦め、マキモノをケープ(訳注・カワイイなマント)の内ポケットに仕舞う。

 

 

予期せぬニンジャハントとなったが、ニンジャスレイヤー少女の目的は別にあった。「狼と七匹の子ヤギ」の民間伝承メルヘン伝説を追い、彼女はここまでやってきたのだ。何故か?ニンジャを殺すためだ。前後の繋がりがないのでは?そう疑問に思う読者諸君がいるのも無理はない。お教えしよう。

 

 

メルヘンとは、恐るべきニンジャ真実を改変し、修正し、概念的に置き換えた、子供が聞いてもあんしんな配慮が施された童話改善なのだ。それは幼子に教訓や社会常識を伝えると同時に、心胆を寒からしめるニンジャ存在の恐怖を失伝させぬためのモータルの知恵でもあった。

 

 

つまり、童話を注意深く聞き、隠された真意を読み解けば、その裏に潜む闇のニンジャ伝説を暴くことができるのである。少なくともニンジャスレイヤー少女はそう信じ、行動に移している。狂気の沙汰?その通り。少女は狂っていた。ニンジャへの復讐に。

 

 

色々あったのだ。初版グリム童話の原稿に残された添削。乱れきったゲルマンフォントで書かれた「見るな」ワンセンテンス。その直下の簡易スケッチに描かれた毛皮ニンジャ装束。それを見た瞬間、ニンジャスレイヤー少女はこのニンジャこそが敬愛する祖母の仇だと確信したのだ!

 

 

目指すはオーカミ・ダンジョン!シロヤギ・ニンジャクランを滅ぼしたオーカミ・ニンジャが眠りについたとされる――その真実は見晴らしの良い丘めいてメルヘン改変され、暗号解読には専門家知識が必要であった――邪悪なリアルニンジャ魔窟だ!

 

 

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女は闇夜を駆ける!既に日は沈み、モータルの時間は終わった。今は昔の19世紀。燃料は粗末にできぬ財産であり、田舎モータルは日が沈めばエッチするか寝るかだ。夜とはヘンゲヨーカイ、そしてニンジャの時間なのである!

 

 

【チャイルド・プレイング・スローター】終わり

 

 




◆忍殺◆ニンジャ名鑑#017【スローター】◆少女◆
ヒュプノ・ジツを用いて一家惨殺を楽しんでいた邪悪ニンジャ。ニンジャスレイヤーに対して反撃らしい反撃もできぬままスレイされた。その情けなさから一部のマニアから妙な人気が……一切ない。ニンジャ邪悪さが高いからだ。
 
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