複数の誤字が発見され、通報を受け取っています。私の心の中の担当はケジメ後、ZAP光線を浴びて心から入れ替わったので安心だ。前回の担当はかんぺきではなかったが今回の担当はかんぺきです。(LP-1)
酸性雨の音は止んでいた。少女は眠れぬ夜を過ごす。旅に出る前は誰でも不安なものだ。特にリアルな旅はフィクションやファンタジーめいてワクワクと楽しい事ばかりではない。鉛色の不安に苛まれる決断の連続……寄せては返す後悔と郷愁……コワイ!それが旅の正体だ。
だがそれでも少女は旅立つ。何故か?すべては亡き祖母の無念を晴らすために!恐れて逃げた事を悔い、一生惨めにビクビクと過ごす実際情けない生きざまなど認められないからだ!(((本当に忘れ物はありませんか?まだ準備に不足が)))(うるさいなーモーッ!)
少女はテンシめいた声を拒絶した。ファースト・コンタクトの印象がかなり悪いのだ。アクマめいた声より悪い。アクマめいた声は少女の復讐心を肯定したが、テンシめいた声はガミガミと口うるさく、今はその心象を回復させようと媚を売っているよう少女には聞こえるのだ。キライ!
明日少女は旅に出る。たった一人のメルヘン紀行。ヴァイスサムニテから重症を負ったドブネズミを連れ歩くわけにはいかぬ……多種多様なトークンの取り扱い、乗合馬車について、最寄の街へのアクセス過程。そして情報収集。不安イマジナリーの種は尽きぬ。
(((バカ!コムスメ!シンプルに考えよ!ヤルか、ヤラナイかだ!実質二択!迷う必要なし!迷うは体力の無駄!)))アクマめいた声は辛辣だ。だがひとつの真理でもあった。(うるさい!ひとりで出来るモン!みんな黙ってて!)少女は左右から聞こえる声に耳をふさぎ、身体を丸めて寝た……
そして夜が明けた!
……「エート、エート」少女は馬車駅で右に左に往復し、どれが乗るべき馬車なのかを探して彷徨う。「どうしたんだいお嬢ちゃん。パパを探しているのかな?」駅馬車を利用しにきたシルクハット紳士が少女に声をかけた「エート、エート、ヴァーレンにはどういったらいいですか?」
「ヴァーレン!馬車で二日三日かかっちゃう遠いところじゃないか!パパとママはどこだい?」「死んじゃった」「アー……」シルクハット紳士は口を噤んだ。そして、恐らく親戚の家に行くのだろうと空想を膨らませた。「ウーン、おじさんはヴァーレンにいかないけど、御者さんに聞くといい」
親切なアドヴァイス。「御者さんって?」「見てごらん、御者台に座るお兄さんたちがいるだろう?」シルクハット紳士は幾つか待機している馬車ホースのタズナを握る者達を指差す「ウン」「あの人たちは自分がどこに馬車を走らせるか知っているのさ」「そーなんだ!アリガト!」
少女はアドヴァイスをさっそく実践し、乗車賃を払ってひとつの馬車に乗り込んだ。「ウンショ」「やあ、かわいらしいお嬢さん。パパとママはどちら?」馬車内には先客がいた。中年の夫婦と、トレンチコートの男だ。声をかけたのは中年のミドル層マダムだ。「死んじゃった」「チッ」男が舌打ちした。
少女はちらりとトレンチコートの男を見やり、その横に座った。「こっちも空いているよ」ミドル層のふくよかな夫は妻との間に空間を作り、座席を軽く叩いた。「アリガト、でもダイジョブです」「それならいいんだが」……その後、懐中時計で時刻を確認した御者が馬車を動かした。ガタン!
ガラガラガラガラ!「ワッ動いた!」「そりゃあ動くさ、馬車だもの」ふくよかな夫は朗らかだ。馬車のサスペンションは上質とは言いがたく、ときおり上下する震動を少女に伝えた。「……静かにしてくれ。眠りたい」トレンチコートの男はぶっきらぼうだ。少女は男を見た。
アウトローめいて、その体格は厳つく、大きい。右腕はスチーム義手「ブリキンキャッチ」であり、そのフィンガーは2つ――現代で言うところのカワイイ・キャッチめいた――の構造をしている。「目を合わせないほうがいい」ふくよかな夫は口元に手を当てて言った。
「……」マダムはバッグから何らかの小説を取り出して読み始め、夫は妻と少女に交互に目をやってから、腕を組んで麦藁帽子を目深に被った。トレンチコートの男はブリキンキャッチを枕に、馬車の隅に身を預けて目を閉じている。ガラガラガラガラ!馬車は進んでいく。時折上下に跳ねる。
少女は小さな覗き窓から空を見た。「屠殺代行」「モルグ街の殺人ようやく入荷!」「ホーリーブラウニー」アドバルーン広告が少しずつ離れ、小さくなっていく。座席から腰を浮かせて、移り行く街並みを見やる。大きな通りを越えて、橋を渡っている。シュプレー川なのだとドブネズミに聞いた。
コロコロと景色を変える窓からの風景を少女は楽しんでいたが、やがてベルリンを出て、代わり映えの無い街道に出ると、とたんに退屈になった。少女は馬車内を見やり、三人の同行人を再び見た。トレンチコートの男はブリキンキャッチを枕に、馬車の隅に身を預けて目を閉じている。
マダムは小説を読みつづけている。ふくよかな夫は、麦藁帽子の粗い目のスキマから目を細めて少女を見ていた。「退屈かい?」ふくよかな夫は小声で喋った。「ウン」「絵本でも持ってこれば良かったな」「そうカモ」ガラガラガラガラ!馬車は進んでいく。時折上下に跳ねる。
馬車の平均時速はおよそ10km未満といったところ――現代の車とは比較にもならない低速――だが、ひとむかし前は平民が馬車に乗ることさえ許されなかった。馬車は貴族のものだからだ。ネオプロイセン連合王国の近代化改革と自由化の推進政策がそれを可能にした。
ガタンゴトン!ガタンゴトン!遠くからスチーム機関車の力強い躍動音が響く。残念ながら、ヴァーレン行きのスチーム機関車は現在のところ存在しない。ハンス重工が生み出す鉄鋼が鋭意主要都市間を繋いでいるが、ヴァーレン―ベルリン間を繋ぐ線路が完成するのはいつになるか……
……更に馬車が進むと、窓の外に煙突から暗黒物質めいた煙を休まず噴きだす工場群が見えてくる。ニードラ銃の量産工場だろうか。それとも線路?ほかの鉄鋼業?それ以外?トーフめいた外見からはさっぱりわからない。その近くに川が流れているようにも見える。
少女は馬車内を見やり、三人の同行人を再び見た。マダムは小説にしおりを挟み、ランチボックスを開いていた。ふくよかな夫はその中に手を伸ばし、取り出したサンドイッチを食べている。「おひとついかが?」マダムの勧め。「良いの?」「ええもちろん」
少女はなにかの肉とキャベツを挟んだサンドイッチをもらった。「美味しい!」「それは良かった」トレンチコートの男はブリキンキャッチを枕に、馬車の隅に身を預けて目を閉じている。「おば……おねえさんは何の本を読んでいるのかしら?」少女は眉を顰めたマダムの顔を見て言葉を選びつつ聞いた。
「あらコレかしら」マダムは背表紙を見せた。モルグ街の殺人。「どこに行っても売り切れだったのだけれど、最近また入荷したところを買えたのよ」マダムはやや早口だ。「どんなおはなし?」「コワイなお話よ。密室殺人。ニンポみたいに物理的に殺害不可能な場所で人が死んでるのよ」
マダムの声は弾んでいた。「ニンポなの?」「ニンポじゃないわ。この本はミステリっていう新しい枠組みのようなのだけれど……ミステリにニンジャは出ないんですって」ガチャン!不意にパワフルな機械音が室内に響く。ブリキンキャッチのフィンガーが噛み合った音だ。「ヒッ」マダムは怯えた。
「……シツレイ」アウトローは悪びれずに謝罪し、割ったクルミを口に含んだ。プシューッ!スチームが排気口から噴出!「ケホッケホッ」ふくよかな夫が麦藁帽子を脱いで仰ぎ、迫るスチームを払った。その先には少女。「ケホッケホッ」「オット、シツレイ」ふくよかな夫は謝罪した。
ガラガラガラガラ!馬車は進んでいく。時折上下に跳ねる……太陽が顔を覗かせた頃から走り、沈みつつあった今になってようやく馬車は今日の停車予定地についた。4人は馬車を降り、乗合馬車に定められた宿に入った。御者はホースの世話をするためにホース小屋へ。
「誰かが部屋をノックしてきても、簡単に空けてはいけないよ」質素な夕食の席で、ふくよかな夫は少女にアドヴァイスした。相席しているのだ。「わるいやつがキミにエッチなことをするかもしれない」ふくよかな夫は少女のカワイイな顔を見ながら口にする。「ウン」
「それに、下手をすると殺されるかもしれないわ。モルグ街の殺人みたいに!モルグ街の殺人みたいに!」マダムも続ける。マダムは、名探偵なる存在の解決編について口に出さぬよう注意しながら、様々な描写を事細かく喋り続けていた。
質素な食事を終え、少女は割り当てられた部屋に入った。カチャ!ウォード錠を鍵で開ける。中に入って、つまみを回す。カタン!室内はタタミ4枚を組み合わせた部屋割りで、ベッド、木人拳めいた帽子かけ、やや曇った姿見テーブル程度のものしかない。木窓は閉じている。
申し訳程度のミニ暖炉が室内を照らし、暖めているが、追加の燃料は室内になく、宿屋に注文しなければ手に入らない。身を清める湯も?身を清める湯もだ。あと1、2時間程度で暖炉の火も消えるだろう。少女はそそくさと硬いベッドに潜り込んだ。
◆「この」「なかに」「ニン」「ジャ」「がいる」◆
◆ニンジャは、オマエだ!ぎぃぃいいいい!◆
ノックノック。少女の泊まる部屋にノックが響いた。「どなた?」少女は尋ねた。「俺だ」その声は、馬車の中で少女の隣に座って寝ていた男の声だった。「開けなくていい。嬢ちゃんがあんまりにも危なっかしいから一つアドヴァイスしてやろうと思ってな」ぶっきらぼうな言葉で、男は続ける。
「あの夫婦を信用するな。嬢ちゃんを狙ってやがるゼ」「えっ」「忠告はした。アバヨ」ガチャン!不意にパワフルな機械音が廊下に響いた。ブリキンキャッチのフィンガーが噛み合った音だ。本人証明のつもりだろうか?男はコツコツと足音を立てて去っていった。少女は急に不安になった。
(どっちが良い人で、どっちが悪い人なのかしら?)単純な印象が良いのは、夫婦の方だ。より多く言葉を交わしたからだ。一方、トレンチコートの男から直接的に乱暴されたわけではない。(((怪しい奴は全員殺せ!)))(ダメ!)アクマめいた声のなんたるサツバツか。印象が悪い。減点!
(((私の推理によると)))(オマエには聞いてない)テンシめいた声には辛辣!少女は固いベッドのなかで徐々にまどろみ、ふわふわとしたユメミルローカルコトダマ空間を夢想した……000110111011……
……1101……「このなかにニンジャがいる!」と少女は言いました。
ふわふわ食堂の中には、ミドル層の夫婦と、トレンチコートのスチーム義手男と、御者と、マッポ衣装の少女と、シスター少女と、褐色少女がそれぞれ丸テーブルに座っていました。
「まず、あなたたちはニンジャね」と少女は指差しました。
シスター少女と褐色少女です。
すでに知っていることなので、さいしょに言いました。
「グググ……実際時間の無駄」褐色少女は言いました。
「ニンジャスレイヤー=サン。聞きなさい。まずモガッ?」シスター少女が喋りかけましたが、コトダマ生成されたチャックが閉じて、喋れなくなりました。
「モガーッモガーッ!」シスター少女がチャックを引っ張っても開きません。
「静かにしてください」とマッポ少女は言いました。
それからマッポ衣装の少女は、巡回マッポめいてしょくむしつもんしました。
「おじさんはニンジャですか?」と少女はふくよかな夫に聞きました。
「ニンジャなんて居ないよ」とふくよかな夫は言いました。
「おば……おねえさんはニンジャですか?」と少女はマダムに聞きました。
「ニンジャなんて居ないのに」とマダムは言いました。
「おにいさんはニンジャですか?」と少女はトレンチコートのスチーム義手男に聞きました。
「チッ」スチーム義手男は舌打ちしました。
ガチャン!ブリキンキャッチが噛み合いました。
「おじいさんはニンジャですか?」と少女は御者に聞きました。
「ヴァーレンまではターラー銀貨で50枚だけど、ホントに払えるかねェ?」と御者は言いました。
それから「うん、これなら足りてるねぇ。ダイジョブだねェ!乗っていきな!」と続けます。
どの言葉も、今日聞いた言葉でした。
少女はふわふわイメージを整理しているのです。
BANG!少女は特に意味もなく天井に向けてピストル撃ちました。
ドブネズミがもっていたものとなんだか似ていることですね?
「このなかにニンジャがいる!」再び少女は言いました。
でも結局、何一つ進展はありませんでした。
……0110……そして夜が明けた!
……ピシャッ!ガタン!ガラガラガラガラ!「ワッ動いた!」「そりゃ動くさ、馬車だもの」御者のおじいさんは答えた。新たな乗客が3人乗り、馬車内がいっぱいになったため、少女は御者の隣に座る事になったのだ。「ホースさんカワイソ」少女は馬車に繋がれた3頭のホースを見て言った。
「そうかな?ホースさんもバカじゃない。自分が何をしているか分かっているさ。それでも私達のために走ってくれている。立派なもんだ」「そーなんだ」少女は膝の上においた包みを両手で押さえた。「ランチを買ったみたいだね?」「ウン」宿屋で金を支払い得たサンドイッチだ。
初日に備えなかったことを反省し、買っておいたのだ。「にしても、一人でヴァーレンまでなんて大変だねえ。なんでまた?」「オーロン=サンのところに」「ヘェー!あのナリキン!アイヤッ、失礼。ヘェー!」御者は何かしら言いかけ、口を噤んで少女をまじまじと見た。
「オーロン=サンってどんなひと?」「知らないのォ?ヘェー!オーロン=サンはねぇ、ここ五年で急に成り上がった人でねぇ、性格が悪い!」御者は歯に衣着せぬ物言いだ。「特にねぇ、オスモウレスリングに出してきたツヴェルフズは最悪だよ!12人兄弟らしいンだけどねェ!」
少女の目つきがやや鋭くなった。「ホムンクルスみたいに?」「アッハッハッハ!お嬢ちゃん賢いねえ!ホムンクルスなんて言葉知っててねぇ!」御者は朗らかに笑った。「ワシの応援するバルトパワーズはみんなアイツらにコテンパンでねェ!勘弁してくれよってねェ!」
どうやら贔屓するオスモウレスリングチーム絡みで一方的に嫌っているようだった。まさかバイオホムンクルスの応用で作り出した、ヨロシサンのバイオスモトリなのでは?(((ホムンクルスは神意に背く犯罪!火刑!火刑!)))テンシめいた声が興奮している。(ウルサイ!)少女は一喝した。
かような情報収集から、つまらないヨシナシゴトまで、御者と少女の二人は口を紡ぐ必要なく自由に言葉を交わして、馬車は進んでいく。ガラガラガラゴトン!時折上下に跳ねる。そして太陽が沈みつつある頃になってようやく次の停車予定地についた。
6人は馬車を降り、御者はホース小屋。定められた宿へ。質素な夕食。「誰かが部屋をノックしてきても、簡単に空けてはいけないよ」その席で、ふくよかな夫は少女にまたアドヴァイスした。また相席しているのだ。「わるいやつがキミにエッチなことをするかもしれない」
ふくよかな夫は少女のカワイイな顔を見ながら口にする。「ウン」「殺されるかもしれないわ。モルグ街の殺人みたいに!モルグ街の殺人みたいに!」マダムも続ける。質素な食事を終え、少女は割り当てられた部屋に入った。カチャ!ウォード錠を鍵で開ける。中に入って、つまみを回す。カタン!
室内はタタミ4枚を組み合わせた部屋割りで、ベッド、宝箱、木人拳めいた帽子かけ、曇った姿見テーブル程度のものしかない。木窓は閉じている。先日の宿とほとんど同じ造りだ。何らかの系列店舗なのだろうが、少女には想像も出来ぬ。宝箱の中身は空で、客用の貴重品保管ボックスだ。
申し訳程度のミニ暖炉が室内を照らし、暖めているが、追加の燃料は室内になく、宿屋に注文しなければ手に入らない。身を清める湯も?身を清める湯もだ。あと2時間少々で暖炉の火も消えるだろう。少女は湯を頼むかどうか迷ったが、そそくさと硬いベッドに潜り込んだ。
ノックノック。少女の泊まる部屋にノックが響いた。「どなた?」少女は尋ねた。「お嬢さん、大変よ」その声は、マダムの声だった。「大変なの、鍵を空けてもらえるかしら」あわてた声で、言葉を続ける。「ナンデ?」「人が死んでいるのよ!密室殺人なのだわ!」マダムは興奮していた。
「鍵を開けたらいけませんって、言ったのに」少女は訝しんだ。「ええ言いましたわ。でも大変なのよ」廊下の外から、ガヤガヤと騒ぎの声が聞こえる。隣のパブの喧騒だろうか?それとも……少女は逡巡し、ツマミを回した。カチャ!マダムはすぐさま扉を開いて中に押し入った。夫を伴って。
「アーア。鍵を開けたらいけませんって忠告してあげたのに」マダムは少女にピストルを突きつけた。「ゴーメンなさいねぇ。ウチのダンナがねぇ。どうしてもお嬢さんをファックしたいみたいでねぇ。天井のシミを数えていてもらえないかしら?」コワイ!インモラルレイパー夫婦だ!カタン!
アッふくよかな夫がツマミを回して鍵を閉めた!「フゥーッ!フゥーッ!オトナの忠告も守れない悪いコはこらしめてやる!」ああ、夫がボー・オブ・ザ・コラシメルを取り出そうとしている!アブナイ!健全が!「ニャーッ!」少女はミニマルなネコフックでピストル粉砕!「アイエエエエ!」
マダムは驚愕に目を見開く!「ニンジャ!?ニンジャナンデ!」ふくよかな夫は急性ニンジャリアルティショック発症!「出て行け!二度とこの部屋から出て行け!」ニンジャスレイヤー少女は恫喝!「「アイエエエエ!」」二人は転がるように部屋から逃げ出した!
ナムサン!読者諸君はとっくにご存知であろうが、少女はニンジャだったのだ!……この世はミステリではない。ニンジャはフィクションでもブラフでもない。実在するのだ。
ノックノック。再び少女の泊まる部屋にノックが響いた。「誰?」少女の声は険しい。「俺だ。生きてるようだな」その声は、スチーム義手男のものだった。「開けなくていい。カラテやるじゃねぇか。シャウト聞いたゼ」ぶっきらぼうな言葉で、男は続ける。
「ザマミロだ。ハハハ。ニンジャー、ニンジャーってよ。ニンジャなんているわきゃねーのにな」ガチャン!不意にパワフルな機械音が廊下に響いた。ブリキンキャッチのフィンガーが噛み合った音だ。本人証明のつもりだろうか?「ま、なんにせよ無事で良かった。面倒があったら寝覚めが悪いからな」
「……アリガト」「アリガト?おいおい。勘違いするなよ。俺は何もしちゃいない。嬢ちゃんが一人でやったことだ……ヴァーレンで何しでかすつもりか知らんが、オーロンには気をつけな。ヤツはコズルいゼ!」プシューッ!スチーム義手の音を響かせて、男はコツコツと足音をたてて去っていった。
……今のところ、少女は旅の中でニンジャ存在とはエンカウントしていない。だが今後もそうとは限らぬ。少女はツマミを回して鍵を閉め、明日に備えて眠った。一人でもできた。それを一人のぶっきらぼうな男に認められた。この小さな成功体験を自信に変えて、今はただ、備えよう。
【アイ・キャン・トラベル・アローン】終わり
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#024【ぶっきらぼうな男】◆少女◆
少女を見かけるたびに何らかの忠告を残していく謎めいた男。だからと言って少女に付いていく訳でも身を張って救う訳でもないアウトロー流儀も併せ持つ。シツレイなことに、名乗るつもりはないようだ。
◆忍殺◆アイテム名鑑#001【ボー・オブ・ザ・コラシメル】◆少女◆
実際ニンジャもモータルも関係なく所持している可能性がある謎めいたボー。様々な状況下で幾度となく取り出し、なんとかして少女を叩いて懲らしめようとするが、成功する事は一度もない(忍殺少女なので)割と良く破壊される。ヒッ!