ニンジャスレイヤーIF少女   作:BANZAINAMUSAN

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【誤字報告インシデント】
ドーモ、新しい担当です。複数の誤字が発見され、通報を受け取っています。私の心の中の担当はZAP光線を浴びて心から入れ替わったので安心だ。前回の担当はかんぺきではなかったが今回の担当はかんぺきです。(LP-1、二回目)


アングリー・プロレタリアート・ストライキ#3

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

◆「メメント・モリ!」(ヘータイは何も考えない!)「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ミュルメティオです」「ドーモ、ドラゴン・ニンジャです。あなたは誰です?組織の者ではありませんね?」◆

 

 

【アングリー・プロレタリアート・ストライキ】#3

 

 

「ア、アバッ……ドラゴン・ニンジャ……だと……冗談ではない」ミュルメティオは上半身をヨロシサン製薬ビルに突き刺した体勢でありながらも生きていた。ハードラック・ジツ。アルカナ・ニンジャクランのニンジャソウルがもたらしたジツと運命が、かろうじて彼の命をこの世に繋ぎ止めていた。

 

 

実際様々な偶然がミュルメティオを爆発四散から遠ざけている。例えば、殺したあと同志が屋外へと撤去したバイオスモトリが偶然にもクッション代わりになった、などだ。だがドラゴン・トビゲリの直撃そのものを無効にできたわけではない。ミュルメティオはいつ爆発四散してもおかしくなかった。

 

 

彼は幸運にも目前にあったオリガミメールと万年筆を手に取り、急いでメモを残す。「同志!ダイジョブですか!我々はもうダメです!指示を!」ヨロシサン製薬ビルへとヤバレカバレ突撃した集団の指揮者存在がミュルメティオに助けを求めた。ラッキーな。

 

 

助けが欲しいのは自分の方だが間に合うまい。ミュルメティオはその同志にオリガミメールを託した。折りたたむ余裕は無かった。「革命のノロシには十分な損害を与えた!決断的に撤退せよ。そしてこれをバスター・テッツォ=サンに届けるのだ!必ずだ!」「ヨロコンデー!」

 

 

指揮者存在は涙を流しながら生き残りを統括、撤退に入る。だが果たして何人が生き延びられるか。「まだだ。私の革命はまだ」なんらかの決意とともに、ミュルメティオはコンクリート壁で上下半身を分かたれた状態から抜け出そうとした。

 

 

尻へ飛来してくる矢に気付かず。「アバーッ!サヨナラ!」一瞬後、ミュルメティオはしめやかに爆発四散した。悪運は二度三度と続くものではない。一方、ポツダム広場では、ドラゴン・ニンジャがニンジャスレイヤー少女への誰何の最中、唐突に弓を手に矢を番え、射撃したところであった。

 

 

「ドラゴン・トビゲリを耐えられるとは。私もまだまだ未熟」射撃姿勢でザンシンしながらも、しかし彼女はニンジャスレイヤー少女へのカラテ警戒も怠っていない。(((ドラゴン・ニンジャ!なんたるキンボシ・オオキイ!儂と変われ!殺すのだ!)))(嫌だ!)

 

 

ニンジャスレイヤー少女は決断的にアクマめいた声を拒絶した。筈だった。だがその腕は、足は、プルプルと震え、いまにも忍殺衝動に呑まれかけようとしている。「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」少女はアイサツをかえす余裕すらなかった。(誰をスレイするかは、アタシが決めるんだ!)

 

 

少女は赤黒の炎を纏いそうになる右腕を左手で押さえた。「しず、まれぇぇええ!」何人かスレイすることで多少は忍殺衝動を発散したが、アクマめいた声に煽られカラテが高まれば、自ずとそれは膨れ上がる。彼女の目からは血涙が溢れてきた。

 

 

流し目でその様子を見たドラゴン・ニンジャは、その瞳に底無しの闇と一筋の光を見た。「もう一度だけ問います。アイサツなさい」冷たい声色は変わらぬ。だが敵でも味方でもない第三者ニンジャ存在への対応としては、二度問うだけまだしもヌルいものであろう。

 

 

プシューッ!プシューッ!プシュウウウウウ!ニンジャスレイヤー少女はなんどもスチームめいた熱気を噴いた。注意深く観察すれば、その熱気が「ド、モ、ニンジャシュレヒタです」と誤認を生じさせるオコサマフォントで描かれていることに気づくことだろう。当然、ドラゴンニンジャも気づいた。

 

 

声を出す余裕すらない少女の、精一杯のアイサツだった。「……読み取りづらい。シツレイを承知で言うが、シュウジを学んだほうが良いでしょう、ニンジャシュレヒタ=サン」(ニンジャの肉屋とは、奇妙なニンジャネームですね)ドラゴン・ニンジャは天然であった。

 

 

言うまでもないが、少女が意図して欺瞞スチームを噴出したのではない。すべては偶然だった。しかしここに少女=ニンジャシュレヒタ=エヌエスのコトダマラインが破綻なく繋がってしまったのだ。このことがのちのちの奇妙なエピソードに繋がるのだが、今はさておこう。

 

 

ひとまず名乗る意思ありと受け取ったドラゴンニンジャは、インタビューのために弓を背負い直しつつ少女に歩み寄り、その背を撫でた。そして静かに「イエモト」と呟いた。自身のニンジャソウルすら御せぬサンシタへの、ほんの少しばかりの配慮であった。

 

 

(((グワーッ!)))少女の自我を奪わんとするアクマめいた存在が大きく怯んだ。グルグルワッカロープじみたイメージが幾重も重なり拘束を強めていく。(((いまです!)))ゼクスマイレンは便乗めいて聖なるコトダマを重ねようとし……(((ナンデェ!?)))ナムサン。一緒に封じられた。ヒトククリ!

 

 

二人はお互いを邪魔だと罵りあった。なんたる似た者同士か。「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ……アリガトゴザイマス」すごく落ち着いた少女は頭を下げた。「どういたしまして。それで、あなたは何故ここに?」「悪いニンジャがいたから」「英雄願望ですね。分かります」

 

 

ドラゴン・ニンジャは自己解釈した。「しかし未熟な身の上で驕り高ぶるべきではないでしょう」その背を二度、軽く叩き、ドラゴン・ニンジャは周囲の状況判断に勤めた。ポツダム駅周辺に動く者はなし。全員死亡確認。フーリンカザンがささやかに、ヨロシサン製薬ビル側の躍動を伝える。

 

 

「私はポツダム駅を邪悪存在から開放しに来ました。邪悪ニンジャではない者にかまっている時間はありません。詳しい話は後で聞かせてもらいます。オタッシャデー」ドラゴン・ニンジャは色のついた風めいてニンジャスレイヤー少女の前から消えた。

 

 

つまり、モータルから見たニンジャの動きと同程度の差が、ニンジャスレイヤー少女のニンジャ動体視力とドラゴン・ニンジャのニンジャ敏捷性の間に隔たっているのであろう。少なくともカラテの上ではその可能性大。ともあれ、この場のイクサは終わった。

 

 

(何が違う?)少女は考えた。何かが違うから、違うのだ。同じニンジャなのに。その秘密を知りたい。天を仰ぎ見れば、空高くに浮かんだ複数の気球にそれぞれ乗る軍人が四方に警戒を飛ばし、ツェッペリン級の飛行船が三機も周回巡航していた。

 

 

少女はポツダム駅内を目指して歩いた。その皮膚は褐色で、体温が高かった。いま何度あるのだろう?オンセンタマゴを温める温度くらいはあるだろうか?プシューッ!プシューッ!プシュウウウウウ……何度もスチームめいた熱気を噴出し、体温調整を進めていく。

 

 

死者に敬意を払う精神的余裕はなかった。彼女は改札エリア付近に折り重なるデスマウンテンブラッディリバーのどれかひとつに隣人が混ざることに気付かず、通り過ぎる。駅員のモギリマンがいなかったので、スチーム機関車へは無賃乗車だ。

 

 

……「ベルリン駅前広場も、政府軍が鎮圧しました。ハンス重工の支援は、プシューッ!確実で、完璧です」欺瞞?数あるコンパートメントのひとつに入り込んだ少女は、ツェッペリン級の飛行船から発される放送を他人事のように聞いた。体温はあるべき平熱に戻り、皮膚はもう白魚めいた白肌。

 

 

コンパートメント内は馬車めいた個室であり、向かい合わせの座席で構成されている。「ここ開いてるかい?」ガチャン!ブリキンキャッチのフィンガーが噛み合った音が、障子戸の向こう側に響いた。「開いてるよ」ターン。入ってきたのは、いつか見た、アウトローであった。「アッ」

 

 

はて、名前はなんだったか……「ドーモ、エヌエスです」「ご丁寧なこった、お嬢ちゃん、いや、エヌエス=サン。誰だ?って聞きたそうな顔してるから名乗らせてもらうがよ。俺は旅歩きのフォルクスワーゲン。奇妙な偶然だが、同席させてもらうぜ」

 

 

◆インターミッション◆

 

 

◆少女の奇妙なメルヘン紀行◆

 

 

主要な問題は、90分以内に鎮圧を終えた。非常事態宣言対応および緊急出動の成果はまずまず。だが課題は山積な。「アカはどうなった」ウィリアムが問う。「99.89%は確実に処理しました」銀縁眼鏡のオイランメイドは報告事項をまとめ、しとやかに告げた。ドラゴン・ニンジャだ。

 

 

「のこる0.11%は?」「潜伏狂人、もとい、間接的協力者可能性の暗喩です。すべてを追いきる時間はありません。非効率的な」突発的な問題はあらかた解決した。ベルリンは平時の姿に戻っている。表面上は。事後処理は多数。「燻り出せ。つまらぬ些事で国家的に損害だ。禍根を残すな」

 

 

不可能だ。と述べるのは簡単だった。しかし納得すまい。「善処します」ドラゴン・ニンジャはお茶を濁した。次の発案が本命だった。「カイセキキカンUNIX導入についてですが」「予定変更だ。取り入れる。官制室とのやりとりにタイムロス。実体験で分かったが、もっとリアルタイムが良い」

 

 

授業料は実際安い。国家的視点では。ドラゴン・ニンジャはそこに実在するパーセンテージではない具体的数値を言及しなかった。「賢明です。国家予算を使っても?」「構わん。EUヨーロッパアンダーグラウンドへのアクセスはハイパーグロッセ=サンに任せよ」「ヨロコンデー」通った。

 

 

これで、最新鋭のモータル科学技術を追求できる。ドラゴン・ニンジャがウィリアムに仕える真の目的はそれであった。以前はあまりにも核心に迫りすぎたために痛手を負ったが、適度に距離を置いて研究できれば良い。「ああ、些事ですが、以前報告にあったエヌエス=サンであろう者と出会いました」

 

 

「なに?」ウィリアムは関心を示した。「モータルではなくサンシタニンジャでした。英雄願望的にロート・シュトルムボック所属ニンジャへ挑み返り討ちにあっていました。任務を優先し捨て置きましたが、取るに足らぬ存在かと」「なんだ、つまらん。ニンジャネームは?」「ニンジャシュレヒタと」

 

 

ウィリアムはメンポ下顎部を親指と人差し指で幾度かしごいた。「愛国心はあるのだな?一応勧誘しておけ。損害補填だ。あの、名前はなんだったか……そう、ドゲザニンジャへ勧誘クエストを出しておけ」「ハイ」ドラゴン・ニンジャは瀟洒に退室した。事後処理の大半は自己の任務ではない。

 

 

ニンジャシュレヒタとの再会場所を指定しなかったのは彼女のウカツであった。おそらくだがニンジャシュレヒタはその対応に呆れ、帰ったのだろう。ニンジャの肉屋と名乗るからには、ベルリン各地の肉屋を総当たりすればエンカウント可能性。褐色肌は比較的少数だ。捕捉は容易かろう。

 

 

はたと、ドラゴン・ニンジャのニューロンに引っかかるものがあった。(少女のニンジャ?よくよく考えてみれば、これはおかしい。ニンジャソウルがディセンションしたなら、身体能力を万全に使える成人体となるはずだ)違和感。統計学的なデータはないが、主観的にはそうであるという経験則。

 

 

ドラゴン・ニンジャはそこになんらかのニンジャ特異点性を算出しようとしたが、データに不足。なにごとにも例外、ハズレ値というものはある。ハズレ値であるから、ニンジャソウルも満足に御せぬのだと、そう結論付けた。

 

 

少女に施した簡易的なイエ・モトの拘束は脆い。一週間とたたず再び活性化するかもしれないが、構わぬだろう。それよりも、カイセキキカンUNIXだ。あのシンピテキを解き明かさねば!ドラゴン・ニンジャはニンジャ科学者としての一側面を強め、些細な任務を片付けるのであった……

 

 

……「う……あ……」ヘドロは呻いていた。戦闘用スチーム義足「ブレヒ」はテクノカラテの渦中で無残に壊れた。ニンジャマニアックの攪乱を突破してきた五倍近い戦力差を、彼らはあと一歩でひっくり返せそうだった。しかし、たくさん撃てば実際当たりやすいのだ。

 

 

ヘドロは先に逝ったスモトリマニアックや小隊長を肉盾に、最後まで生き残った。しかし、生き延びてどうする?(終わったんだ……俺の人生はもう終わったんだ……!)ヘドロがヤバレカバレに殺したヘータイの腰元へと腕を伸ばし、ナゲル・バクチクを手に取ろうとした、まさにそのとき!

 

 

(((終わらせないよ)))謎めいた声が直接ヘドロの心中に囁きかけた。(((ボクが終わらせてあげない)))そのソウルは、蒼かった。(((お前はここで終わりだがな!)))(グワーッ!)何かが、何かがヘドロのメンタルを蹂躙し、主導権を奪い取ろうとしている!(ニンジャナンデ!?)

 

 

アイデアロールに成功してしまい、ニンジャ真実に気付いてしまったヘドロの慟哭!(((お前はここで終わりなんだ!)))(グワーッ!)ああ、なんということだ!ニンジャソウルはモータルのソウルに憑依融合するものではないのか!?そのソウルの挙動はアカウント乗っ取りめいているではないか!

 

 

(クソ食らえだ!もうやめだ!何もかも!コワイ!インガオホー!)ヘドロは大粒の涙をこぼした。もうヤメだ。ニンジャがいるならブッダもいるのだ。だからこうしてニンジャを三度遣わして、試しているのだ。聖書にもある。殺した人達に償います。だからヤメテ。もうここには居られない。

 

 

そうだ。インドだ。インドに逃げよう。全財産を乞食に寄付しよう、インドでブディストになろう。ゼンを学び修行僧になろう。贖罪の苦行をしよう。ロスタイムの生き方を変えるんだ。もうヤメだ、こんな事は。インガオホー。インガオホー!(母さん!ゴメンナサイ!反省します!)

 

 

ヘドロは心中に後悔を吐露した。(心を入れ替えて真面目に生きます!給与50%カットでも、文句は言いません!許してください!)(((ん?いま心を入れ替えるって言ったよね?)))そのとき、ヘドロのメンタルを蝕むニンジャソウルの挙動が明らかに変わった。

 

 

(((その言葉が聞きたかった。許可が出たなら入れ替わらせてもらおう)))(グワーッ!グワーッ!グワーッ!)おお、ナムアミダブツ!インガオホー!ヘドロの肉体の主導権を、むしろニンジャソウルのほうが握ったではないか!まさか完全にクリティカルに成功したディセンションは!?

 

 

モータルの肉体を……簒奪することに……あるのか!?……やがて、デスマウンテンブラッディリバーの中から、蒼い影が起き上がった。カカシめいて片足の、ニンジャローブを身に纏ったニンジャだった。そのニンジャはケンケンと二度跳び上がったかと思うと、その場から姿を消した……

 

 

【アングリー・プロレタリアート・ストライキ】終わり

 

 




◆忍殺◆ニンジャ名鑑#046【ヘドロ】◆少女◆
無軌道にロート・シュトルムボックの革命活動に参加してしまい、生死の瀬戸際に彷徨った際、謎めいたニンジャソウルに自我漂白され、肉体的主導権を奪われた。


◆忍殺◆登場人物#047【ハイパーグロッセ】◆少女◆
ウィリアム・フォン・ハーゴンベルグ第一の側近。太陽色のニンジャフルアーマーを着込むパラニン。ゲルマンカラテは勿論のこと、カタナブレードツルギを用いたゲルマンドーもかなりの段位であり、忠誠心も高い。


◆忍殺◆登場人物#048【ニンジャ小隊】◆少女◆
バメンテンカンホーによりイクサの一切をオールカットされたが、三人一組の連携で油断ならぬ強敵であったようだ。ニンジャスレイヤーに殺された。


◆忍殺◆登場人物#049【ミュルメティオ】◆少女◆
ロート・シュトルムボックの革命戦士ニンジャ。常人の三倍の身体能力のほか、ハードラック・ジツにより幸運/悪運を引き寄せる。生きていればトリックスターめいてネオプロイセンの行く末を左右しかねない存在であったが、そのミームは果たして。


◆忍殺◆ニンジャ名鑑#008【ユリコ】◆少女◆
ドラゴン・ゴールド・トークン刻印女性と非常に似通った顔立ちの謎多き美女。そのバストは豊満である。オーカミ・ニンジャによれば伝説のニンジャであるらしい。一体何者なんだ?
↓↓↓ニンジャ真の姿↓↓↓
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#050【ドラゴン・ニンジャ】◆少女◆
ウィリアム・フォン・ハーゴンベルグ配下としてカイセキキカンUNIXの謎に迫るリアルニンジャ。そのバストは豊満である。完璧で瀟洒な態度を見せるが、度々ウカツを見せる一側面も。
 
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