ニンジャスレイヤーIF少女   作:BANZAINAMUSAN

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キルゾーン・キャッスル

(あらすじ:ディパイセル地方の靴屋に3人の美しい娘がいた。そこへ身なりの良い立派なユンカーがやってきて長女に求愛する。カネモチのヨメになれば幸せになれると考えた長女は二つ返事で婚姻を承諾し、そのまま男の豪華な馬車に乗って彼の城へと向かう)

 

 

(翌月、靴屋に長女の訃報が届く。しばらくすると、再び身なりの良い立派なユンカーがやってきて次女に求愛する。次女は不安だったが、ユンカーの城はとても素晴らしく、彼が言うように確かにカネモチだった)

 

 

(翌月、靴屋に次女の訃報が届く。しばらくすると、再び身なりの良い立派なユンカーがやってきて末子に求愛する。末子は死を恐れ、断った。「ヨイデワ・ナイカ!」「アーレー」末子の拒絶も虚しく、ユンカーは権力の力で城へ連れて帰った)

 

 

(翌日、ユンカーは末子に城のマスターキーを預け「城をくまなく見れば、お前の夫はどんなカネモチなのかわかるだろう」と言い残して出かける。末子は姉たちの死因を暴こうと城を調べ、最後に地下へ向かう)

 

 

(地下室には老婆がおり、火かき棒を持ちいて無数の死体から臓器をかき出している。末子が声をかけると老婆は「明日にはきっとお前のはらわたをかき出すのさ」と言う。コワイ!)

 

 

忍殺メルヘン紀行より【キルゾーン・キャッスル】

 

 

オティリエは恐怖に震えた。もしかして、何かルール違反を犯してしまったのでは?やはり、あの立ち入り禁止のショドーか?先ほどまでの勇敢ジャーナリストめいた精神は失われ、彼女は小動物のごとく狼狽し始めた。「アッ!」動揺からか手にしていた城のマスターキーを落としてしまう。

 

 

ポチャン!落下先は……ナムサン。並々ならぬ血を溜め込んだタライだ。「これでお嬢ちゃんが死ぬことは決まったね」老婆はしわがれた声で無慈悲に言った。血のように赤く、そして黒く薄汚れたビロードの頭巾を被った老婆はためらいなくタライに手を入れ、マスターキーを拾い上げた。

 

 

「アッアッアッアッ」オティリエは老婆からマスターキーをひったくるように取り上げた。悲しみに嘆きながら地下下水で鍵の血痕を洗い流そうとする。だが血痕は落ちぬ!血の汚れを落とせなければ、立ち入り禁止区域に入ったことなど到底隠し通せぬではないか!

 

 

「アッアッアッアッ!オネガイシマス!助けてください!私は攫われたんです!死にたくない!」オティリエは老婆へすがりつくように懇願!「え?」よく見れば、老婆に見えたその女性は若くカワイイな少女であった。ニンジャ器用さを活かした変装の妙技である。ワザマエ!

 

 

少女は声色を本来のものに戻し、オティリエの耳元で小さく囁いた。「助かりたいなら、城から出る干草を積んだ荷馬車に隠れなさい」オティリエから城の鍵を取り返し、入れ替えるようにその手へハンド・ランタンを収めた。そして、地下通路から地上へつづく別ルート脱出路を伝えた。

 

 

「ワカラナイ。助けて。連れて行って」「アタシはアナタのヒーローじゃない」「そんな……」ニンジャスレイヤー少女にはディパイセル・キャッスル潜入の目的があった。新生オーカミ・ニンジャクラン組織表があるとドブネズミから情報が齎されたのだ。

 

 

組織表に名前の書かれているニンジャは全員殺す。オーカミ・ニンジャも殺す!「アッ……」僅かに漏れでた殺気に当てられたオティリエは生存本能に身を任せ逃げ出した!言われた通りに地下通路を進んで地上に出ると、実際荷馬車があった。彼女は密やかに干草に紛れた。

 

 

ガタン!さして間をおかず、荷馬車が動き出した!あたかも誰かが乗り込むことを待っていたかのように。ドブネズミが用意したミッション終了後の退路だ。ではニンジャスレイヤーはミッション終了後、どのように撤退するというのだ!?

 

 

荷馬車は城から出ていき、入れ替わるように身なりの良い立派なユンカーが馬に乗って帰ってきた。「オボコはどこに行った?」「地下階段を下りるところを見ました」答えたのは……ナムサン。メン・イン・ブラックだ!ヨロシサン錬金術士の魔の手は各地の悪徳ユンカーに伸びている。

 

 

「ククッ。手間が省けたな」ユンカーの顔は愉悦に歪んだ。身なりの良い立派なユンカーの正体は、オボコをサディスティックにファック&サヨナラすることが趣味の邪悪ニンジャだったのだ!男は私室で貴族服から薄い青紫のニンジャ装束に着替え、地下へ向かった。

 

 

「バアヤ!オボコはどこだ!」「こちらに」老婆はしめやかに先導した。「ン?キサマ、バアヤではないな?」ユンカーは鋭く指摘した。「バアヤ=サンは風邪をひきました。私は代理です」「そうか」「ええ」予備ハンド・ランタン内の炎が揺らめき、地下通路を不気味に照らす。

 

 

右も左もレンガ造りの牢獄が無機質に連なっている。中には誰もいない。だが凄惨な顛末を想起させる血痕は、到底隠し通せるものではない。道の先は十字路。老婆は十字路を右に曲がった。「おい。ルートが違うぞ。バカめ」悪徳ユンカーがとがめた。「スイマセン」老婆が淡々と謝罪した。

 

 

「でもこれでいいんです」「何?」「拷問ファック部屋じゃないです、行き先は」地下通路の空気がどろりと濁る。老婆は無感情に言葉を続けた。「行き先は地獄ですよ」老婆は振り向き、双眸がユンカーを射抜いた。

 

 

「何?」ハンド・ランタンの明かりが、赤黒いビロードの頭巾の下のメンポを光らせる……「忍」「殺」の禍々しい漢字を!「ニンジャ殺すべし!」CRASH!ハンド・ランタン無残!地下通路暗黒!「ナニィッ!」「イヤーッ!」「ヌウーッ!」

 

 

インスタント・フーリンカザンを作り出したニンジャスレイヤー少女のカマめいたフィッチ(訳注・爪先蹴り)をユンカーは腕ガード!「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」そして素早くアイサツした。「グッ……ニンジャスレイヤーだと?どこのアサシンだ……」ユンカーはたたらを踏んだ。

 

 

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ブルービアードです」だが素早くオジギを返す。アイサツは決しておろそかに出来ないニンジャの礼儀だ。古代ローマ史にも古事記にもある。既にブルービアードのニンジャ暗視力は闇を見通していた。暗黒に怯んだのは瞬間的光量変化によるものだ。

 

 

地下通路に殺気が満ちていく。直後!「デアエーッ!デアエーッ!」ブルービアードの防衛チャント!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは低姿勢から足首を刈り取らんばかりの踵ローキック足払いを放つ!「ヌゥーッ!」ブルービアードは小ジャンプ回避!「イヤーッ!」

 

 

ニンジャスレイヤーは蹴り足軌道反転ハイキック!「ヌウーッ!?仕込み刃グワーッ!」ブルービアードはハイキックを腕ガードしたが、ニンジャスレイヤーの赤シューズ爪先先端部に仕込まれたアサシンブレードがその腕を裂く!出た!メルヘンニンジャギアだ!

 

 

「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」ランタンやニードラ銃を持って駆けつけたメン・イン・ブラックらがウェーブ襲撃!「グワッ……ヤツを殺せ!」ブルービアードの指示により、ニンジャスレイヤーを抹殺対象と認識し銃撃!アブナイ!「イヤーッ!」

 

 

「グワーッ!」メン・イン・ブラックの一人が脳天に銃弾を受けて即死!何故?ニンジャスレイヤーがローリングソバットで銃弾をリフレクトに弾き返したのだ!「グワーッ!」さらに一人が即死!脳天に刺さったのはスリケン!ソバットの勢いでスリケンを投げていたのだ!

 

 

「ザッケンナコ」「イヤーッ!」「グワーッ!」ニードラ銃を構えようとしたメン・イン・ブラックが股間を押さえ即死!瞬時に間合いを詰めたニンジャスレイヤーが股間トーキックしたのだ!「スッゾコ」「イヤーッ!」「グワーッ!」最後の一人は何もできぬうちにスリケン投擲で即死!

 

 

CRASH!落下ランタン無残!「バカな、バカな!」ブルービアードが呻いて立ち上がる。「何者だ貴様!目的は何だ!」ニンジャスレイヤーはツカツカと早歩きで近づく。「悪いニンジャは一人残らず殺してやる!」「救援がここへ向かっている!死ぬのは貴様だぞ!」「ニンジャ殺すべし!」

 

 

ブルービアードはやおらドゲザした。「マ、マイッタ!見逃してくれ!頼む!」もしや勝利を諦めたのか?否。その目は死んだマグロではない!「ダメ」「ナンデ!?」「オマエがニンジャだからだ」だがこれほどモンド・ムヨーではタイジン・ジツをかける暇がない!

 

 

そう、彼は卑劣にも白旗を挙げつつも法的拘束力を適応しようとしたのだ!ペナルティ制約を後天的に与えて精神と肉体を縛り、ファック&サヨナラするのが彼のオハコであったが、その強みを活かせぬまま「イヤーッ!」「アバーッ!」決断的にカイシャクされた。

 

 

「サヨナラ!」ブルービアードはしめやかに爆発四散した。ニンジャスレイヤーの足元には爆発四散せぬメン・イン・ブラックたちがむごたらしく斃れていた。少女はまるでそれが日常見慣れた光景であるかのように、無感情な目で見下ろすばかりだ。

 

 

「ザッケンナコラー!」「スッゾコラー!」新たなメン・イン・ブラックらがランタン片手にウェーブ襲撃!ニンジャスレイヤーの右腕が鞭めいてしなり、目にも止まらぬ速度で4枚のスリケンを射出!「イヤーッ!」「「「「グワーッ!」」」」一投四殺のワザマエ!CRASH!落下ランタン無残!

 

 

「ザッケンナコラー!」だが敵の数が多い!たくさん撃つと実際当たりやすいというコトワザもある。ニンジャスレイヤー少女はフーリンカザンの不利を察し、ひみつの地上ルートへ逃走!マスターキーは手に入れた。退路はアワレな女性に譲ってしまったが、あとは探索行為だけだ。

 

 

ニンジャの……ハック&スラッシュ!非常事態警備体制となったメン・イン・ブラックから逃げ隠れ、あるいは殺し、闇夜に紛れて探せ!ニンジャスレイヤー!探せ!

 

 

◆タイプ・リフレッシュの時間◆

 

 

◆総じ緑な◆

 

 

プーピポパポパピピポピポ!ピーブピーブーピガーーーーーーピガッ!ピガガーッ!『ドーモ、ウィリアム=サン。確認した。オーバー……ハイ、これよりキルゾーン・キャッスル作戦を開始する。オーバー』ブツッ!スモトリ数人分ほどもある大掛かりなインターネット中継設備。

 

 

19世紀という世情に似合わぬハイテックが如何なる原理で動作しているのか、この場にいる誰もが理解し得ない。だが彼らにとって重要なのは、この機器がディパイセルから遠く離れたハーゴンベルクの地へとリアルタイム通信を確立するほどの繊細な科学技術の粋ということだけだ。

 

 

その雑木林には四人のニンジャと4ダースのメン・イン・ブラックが潜んでいた。中隊チームの視線の先はディパイセル・キャッスル。煌々と夜篝がたかれ、喧騒が止まぬ。何が起こっているのか彼らは概ね把握していた。「目標はニンジャスレイヤー。それ以外に構うな」「「「ヤー」」」

 

 

ナムサン。すべてはニンジャスレイヤーを目障りに思ったウィリアム・フォン・ハーゴンベルグの罠だったのだ!「タイガー班は短距離通信網を絶やさず拾い、中継。インターネットを密にしろ。ライオン班はその護衛。バッファロー班とドラゴン班は北門と南門に行け」「「「「ヨロコンデー」」」」

 

 

ダース毎に装備の異なるメン・イン・ブラック達にも指示を出したラッシュアワー指揮の下、ニンジャチームは行動を開始する。ウィリアムは自身に従わぬ目障りなユンカーニンジャ処理を敵であるニンジャスレイヤーに任せ、更に発生するであろう騒動を合図に囲んで叩く包囲殲滅作戦を立案したのだ。

 

 

スッスッスッ。ラッシュアワーの示すニンジャサインめいた軍事ハンドシグナルでチームは分かれた。囲い込みのためだ。ニンジャの背にはランドセル状のリュックサック。中身は耐衝撃改善された携帯インターネット端末だ。有線マイクとイヤーホンが高度に融合した機器が短距離通信を可能とする。

 

 

「ナンダテメッコラー!」「ドコノテッポダマコラー!」ブルービアード配下の城外見張りメン・イン・ブラックが配属コードの異なる敵勢メン・イン・ブラックを発見!BABABABABA!たちまち戦争が始まった!今夜起こったすべての騒動を不仲ユンカー同士の小規模戦争で片付けるつもりなのだ!

 

 

なんたる事後処理計画まで行き届いた邪悪軍事作戦か!「「「「イヤーッ!」」」」ニンジャチームはデブリーフィング時点で配布されたカギナワを用いてそれぞれ指定ポイント、城壁の東西南北にある側防塔を登っていく!

 

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」一方その頃、新たにやってきたウェーブ襲撃を退けたニンジャスレイヤーは呻いていた。「クソーッ!どこにもなんにもない……」(((グググ……愚かなり……まだ分からんのか。罠だ)))(えっ)(((来るぞ!備えよ!ソニックカラテだ!)))「イヤーッ!」

 

 

「イヤーッ!」反射的に側転したニンジャスレイヤーの真横を衝撃波が通り過ぎた!ピガッ!ピガガーッ!『こちらプロフェッショナル。ニンジャスレイヤー発見。北西三階バルコニー付近。オーバー』『こちらアイゼンソルジャー。西側からも目視可能。援護する。イヤーッ!』スナイパースリケン投擲!

 

 

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは北西三階バルコニーから領主室内に退避!「なんだアイツら!?」(((グググ……分からんのか。ニンジャが四人。囲まれておるぞ。)))「モォーッ!」ニンジャスレイヤー少女は廊下を駆ける!ピピーッ!謎の警笛!

 

 

「ザッケンナコラー!」メン・イン・ブラックのウェーブ襲撃!「イヤーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはトリプルアクセルからのカマめいたフィッチで三人同時カイシャク瞬殺!「スッゾコラー!」だがメン・イン・ブラックの数が多い!

 

 

ニンジャスレイヤーは危険なたくさんの銃撃を避けるため城外に逃れざるを得ない!ピガッ!ピガガーッ!『こちらラッシュアワー。ニンジャスレイヤー発見。すばやいぞ。南東二階テラス付近。オーバー』『こちらマーシナリー。南側からも目視可能。射撃する。イヤーッ!』

 

 

最新鋭コンポジット・ユミからアロー射撃!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは南西二階テラスからパーティールームに退避!まさかこのニンジャチームは……距離を理由にアイサツひとつ交わさず……ニンジャスレイヤーをアウトレンジ殺しようというのか!?

 

 

なんたるトテツモナイ・シツレイ!近代戦争の悪影響だ!(((グググ……実際オーテ・ツミでは?儂に任せなければの話だが)))(ヤダ!)ニンジャスレイヤー少女は謎めいたニンジャチーム、スレイしたブルービアード配下のメン・イン・ブラック、そしてナラクと三重包囲状態だ!ピピーッ!謎の警笛!

 

 

(((ニンジャ殺すべし!生き延びたければ儂に身体を預けよ!)))(ナラクは黙ってて!)ニンジャスレイヤー少女は身持ち固く、ナラクに隙を見せずパーティールーム疾走!「ザッケンナコラー!」メン・イン・ブラックのウェーブ襲撃!「イヤーッ!」「グワーッ!」両手スリケン投擲で四人同時殺!

 

 

「スッゾコラー!」「うるさい黙れ!イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤー少女は数の多いメン・イン・ブラックをひたすら全員カラテ殺!「フゥーッ……ハァーッ……」プシューッ!カラテ廃熱処理!(罠……騙された……クヤシイ……落ち着いて、まずはニンジャ全員殺してから考える!)

 

 

ヘイキンテキを整え、ニンジャスレイヤー少女は決断的に再度テラスに出た!「イヤーッ!」マーシナリーは最新鋭コンポジットアロー射撃!「イヤーッ!」少女は側転回避し、南側防塔屋上に向けてスリケン投擲!「届かんよ!」だが彼女のスリケンは途中でカラテ推力を失い墜落!

 

 

高さと距離とカラテの問題でアウトレンジなのだ!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」マーシナリーは連続してコンポジットアロー射撃!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは南東二階テラスから回転跳躍回避し中空にまろびでた!「バカめーッ!死ね!ニンジャスレイヤー=サン!死ね!」アロー!

 

 

その時である。ニンジャスレイヤーの目がレーザーポインターめいて光った!「イイヤアーッ!」コンポジット・アローの軌跡を精密に捉え、回転で軌道微調整後にヤジリを摘み、回転エネルギーを活かし180度軌道反射!タツジン!「馬鹿なーッ!」マーシナリーは慌てて反射アロー回避!「イヤーッ!」

 

 

ニンジャスレイヤー少女は前回り受身し落下ダメージ無効!中庭から南城門へと走り出す!ピガッ!ピガガーッ!『こちらラッシュアワー。ニンジャスレイヤーは南門から脱出しようとしている。包囲網をD陣形に狭めよ。オーバー』『了解オーバー』『了解アウト』北と西のニンジャが配置転換!

 

 

「逃がすかよ!」マーシナリーもまた側防塔屋上から中庭に飛び降りてニンジャスレイヤーを追跡しようとし……「えっ」走行進路を切り替え、憤怒の表情で自身に駆け寄るニンジャスレイヤーに気付いた。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです。アイサツせよ無礼者!」走りながらの簡略アイサツだ!

 

 

落下中にアイサツを返せば転落死してしまう!「イヤーッ!」マーシナリーはアイサツせず前回り受身した。直後!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの助走つきサッカーボールキック炸裂!「アイサツせよと言ったでしょう!シツレイしちゃうわね!」マーシナリーの首が刎ね飛んだ!

 

 

ケリ・キックはパンチの三倍の威力!首へのクリーンヒットで威力倍点!更に爪先部アサシンブレード作動!合わせ技イポンでカラテ実質100倍!「サヨナラ!」マーシナリーは前回り受身ドゲザ姿勢で爆発四散した。「なんという戦術的フーリンカザンだ……あれほどのカラテもデータにないぞ!」

 

 

ラッシュアワーはやや慌てた。だが作戦は絶対だ。東側防塔屋上から城外へ飛び降り前回り受身したラッシュアワーは、サーベル抜剣後に距離を詰め、アイサツに赴く。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ラッシュアワーです」「ドーモ、ラッシュアワー=サン。ニンジャスレイヤーです」

 

 

「我々はSNSTF(Special Ninja Slayer Task Force)。先ほどまでのアウトレンジ攻撃は貴様のカラテを試していたのだ」欺瞞!「コムスメ一人にニンジャで囲んで恥ずかしくない?」「抜かせ!」ピピーッ!ラッシュアワーは呼子笛を鳴らした。「ザッケンナコラー!」

 

 

たちまち周囲のメン・イン・ブラックが集結!だが同じ侵入者であるはずのラッシュアワーには襲い掛からぬ。音を介してバイオ・コードに介入するジツなのか!?「これはイクサだ。まさか卑怯とは言うまいな」「ヒキョウだからヤメテと言ったら?」「抜かせ!」ピイィーッ!号令!

 

 

「ザッケンナコラー!」BBBANGGG!戦列歩兵陣形メン・イン・ブラックのニードラ銃一斉射!赤黒のビロードの頭巾が宙を舞う!まさか……ニードラ銃一斉射でネギトロになったのかニンジャスレイヤー少女!「イヤーッ!」否!SLASH!「「「「「グワーッ!」」」」」

 

 

多数のメン・イン・ブラックの首が宙を舞う!その凶器は……サツバツ!異形のクロスカタナのユガミ・ダイシュリケン形態!メルヘンニンジャギアだ!赤熱に染まるダイシュリケンは赤黒の炎スラスターを噴出し、メン・イン・ブラック達をオードブルにラッシュアワー目掛けて殺戮飛行!

 

 

「イヤーッ!」ラッシュアワーはブリッジ回避!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはブリッジ先端部へ2枚のスリケンを射出!「イヤーッ!」ラッシュアワーはバック転回避!SLASH!「グワーッ!?」背後からブーメランめいて舞い戻るユガミ・ダイシュリケン!上下半身マップタツ!

 

 

catch!ニンジャスレイヤーはダイシュリケンを受け止めた。その刀身には「タチキリ」「バサミ」のルーンカタカナ文字。元は大型ハンドガードのついた異形のクロスカタナブレードは、ギミックチェンジすることでダイシュリケンにもなるのだ!これはマーケティング的にも大正解ですよ!

 

 

「これが真のニンジャのイクサよ。まさか卑怯と言うアリンス?」少女はオイランめいた口調で挑発した。「クソガキが!このままでは終わらんぞ!サヨナラ!」ピピィーッ!爆発四散カラテエネルギを込めて轟かせたラッシュアワー最期のプロトヨロシ・ジツが城内すべてのメン・イン・ブラックに届く!

 

 

「ザッケンナコラー!」メン・イン・ブラックの最終ウェーブ襲撃!残るニンジャチーム二人も射線の通る配置につく!ニンジャスレイヤーの皮膚が赤黒い!体温はいま何度だ!?マッチめいて赤黒の炎に燃え尽きないか!?だがイクサの最中に憎悪の炉の内燃機関を冷やすことはできぬ!

 

 

ピガッ!ピガガーッ!『ラッシュアワー=サンとマーシナリー=サンはやられたようだな。オーバー』『こちらも確認した。指揮権を引き継ぐ。増上慢にならずアウトレンジを貫こう。アウト』どうするニンジャスレイヤー少女!?

 

 

 

◆スシ休憩◆

 

 

◆インターネット再開◆

 

 

 

「フーム……」ウィリアムはチェス・ボードを前にわざとらしく腕を組み、悩んだ。d4に配置された赤黒のクイーンの進路八方向を取り囲む黒いポーン、安全地帯から命を狙う2つのナイト、ポーンスレイ退路を断つルークとビショップ。ポジショナルアドバンテージは確実に勝っている。

 

 

だが一抹の不安が拭えぬ。それはニンジャスレイヤーの協力者存在だ。定石を無視した未知の手法エックスによりキャスリングめいた挙動をされては堪らない。情報屋のドブネズミは捨て置いて構わぬ。既に存在を把握しており、こちらからの情報提供も可能だからだ。トラップめいて。

 

 

だが……knock knock「入れ」「シツレイシマス」艶やかな黒髪のオイランメイドがしとやかに入室した。「SNSTFが負けました」バキッ!ウィリアムの手中で白いポーンが砕けた。「何故?協力者がいたか?」「ドブネズミ=サンが荷馬車の手配を」「アヤツはどうでも良い!イクサ協力者だ!」

 

 

「ハイ、イイエ。確認できませんでした。SNSTFはニンジャスレイヤー相手に全滅です」「バカナーッ!」CRASH!ウィリアムの拳がチェス・ボードを砕いた。(大物フィクサーぶっているが少女一人殺せぬ小物とは、などとオーカミ・ニンジャ=サンに思われたとしたら……失望されたくない!)

 

 

「アヤツは超長距離戦と連戦が弱点だったはずだ!間合いを詰められぬよう戦列歩兵メン・イン・ブラックも用意した!腐れディパイセルの若造のコマも使えるよう、ラッシュアワーをチームリーダーに据えた!それで何故負けるのだ!」「カラテでは?」CRASH!ウィリアムの拳がオーク材テーブル破砕!

 

 

「やつのカラテ成長性は認める!だがその成長曲線グラフを上回るニンジャ戦力を押し付けたはずだ!」「カラテ計算式が間違っているのでは?」「ワシが計算したのだ!ミスは無い!」オイランメイドは右手中指で銀縁眼鏡を持ち上げた。「では計算外のカラテ成長イベントがあったかと思われます」

 

 

ウィリアムから溢れる殺気に怯えぬこのオイランメイドは只者ではない。「カラテ成長イベントだと」「例えば、ニンジャ同士のイクサです。イクサを経れば思いもよらぬ成長をするものです」「相手はどこの誰だと言うのだ!」「さあ?ドブネズミ=サンにでも聞きますか?」

 

 

「フン!アヤツもニンジャスレイヤーのすべてを知っている訳ではなかろう!」「でしょうね」「だが聞いておけ!」ウィリアムはトークン・バッグをオイランメイドに放り投げた。中身はすべてゴールド・トークンだ。「かしこまりました」オイランメイドは瀟洒に退出しようとした。「待て」

 

 

「まさかキサマもニンジャスレイヤーの協力者じゃないだろうな?」ウィリアムの表情はパラノイア・ダークオーガ。何も信じられぬ。「ハイ、イイエ。違います」「本当に?」「疑いだしたらキリがないというではありませんか。家族と会話していますか?ボッチャマも心配しておりますよ」

 

 

「今はドイツ帝国化の正念場なのだ!そんな余裕は無い!」実際、ウィリアムの顔に余裕は無かった。だがそれはネオプロイセンのドイツ帝国化に向けた最終調整によるものだけではないのは明白だ。ウィリアムは激昂管理メントのため、立ち上がって椅子を蹴り倒し、木人トレーニングを始めた。

 

 

オイランメイドは数秒、そのゲルマンカラテを見つめていたが、改めて瀟洒に退室した。「実際大変です!」入れ替わるようにしてウィリアム配下のゲルマンセンシが入室!「通信にニンジャスレイヤーらしき声が!」「なんだと!?」ウィリアムは即座にトレーニングを取りやめ、通信室に急いだ。

 

 

プーピポパポパピピポピポ!ピーブピーブーピガーーーーーーピガッ!ピガガーッ!インターネット通信の乱れが激しい。大掛かりなインターネット無線装置は精密機器であり、耐久性に課題が残っていた。これでもずいぶんと小型化が進んでいるのだ。やがてダイアルアップ再接続が終わる。

 

 

『アー、アー、これで直った?直ってる?ダイジョブ?』ニンジャスレイヤー少女のカワイイな声だ。『アバッ……ハイ。ここのランプが緑なので……』アイゼンソルジャーの掠れた声が混じる。苛烈なインタビューを受けたのは明白だ。少女の声色がジゴクめいたそれに変わった。

 

 

『ドーモ、名も知らぬザコ=サン。ニンジャスレイヤーです』「ドーモ」ウィリアムは集音マイクに向けて本能的にアイサツを返そうとし、現在のインターネットは単方向通信であることを思い出した。相手が受信チャネルを切り替えねば、アイサツを返しても言葉が届かず意味が無い。機能に不足。不便だ。

 

 

『ネーネー実際どんな気持ち?少女に一方的にスレイされてセプクしたくならないの?』再び少女特有のカワイイな声に切り替えたニンジャスレイヤー少女はまだ見ぬ敵を扱き下ろした。『襲撃ニンジャよわよわ♪これは作戦立案者のケジメ案件では?』「言わせておけば、クソガキがぁ……」

 

 

『イヤーッ!』『アバーッ!サヨナラ!』その瞬間、アイゼンソルジャーが無慈悲にカイシャクし爆発四散したのは想像に難くない。だが通信映像はない。それほどのハイテックは未実現だ。『ハイオタッシャデー。襲撃ニンジャチームが逆襲スレイされた。ナンデ?ジゴクまでに考えといてください』

 

 

そこまで言って、ニンジャスレイヤーは再びジゴクめいた声色に変えた。『オマエはハーゴンベルグに居るんだな?もう全部わかっちゃったモン。悪いニンジャはみんな殺してやる。マッタナシ!』ブツッ!通信は一方的に終了した。「クソーッ!なんたるシツレイ!クソーッ!クソーッ!クソーッ!」

 

 

ウィリアムは癇癪めいて通信室内を手当たり次第に破砕した。「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」通信室に詰めていたゲルマンセンシたちとともに!もはや敵味方の区別もつかないのか!?ヘイキンテキの乱れは深刻だ!「殺してやる!殺してやるぞニンジャスレイヤー!」ウィリアムは遠吠えた。

 

 

……重化学スモッグ溢れるハーゴンベルグ市街。ドイツのどこよりも早く産業革命を経たハーゴンベルグの空は暗かった。マネーの力で未来は明るいはずなのに、マッポーの到来を暗示する暗雲めいている。計画性があるようで無い、煩雑なナリキン都市。

 

 

黒髪のオイランメイド、ドラゴン・ニンジャはメイド擬態のまま駅を目指して歩く。その顔は能面めいて無表情。得るべきものは得た。今日までは義理人情故に止め時が掴めなかったが……「潮時か」コトダマが口から零れ落ちた。

 

 

手にはゴールド・トークンがたくさん入ったトークン・バック。一度日本に帰り、自身のダンジョンへ近年の最新鋭ハイテック事情データーを保存する必要性。しかし、ニンジャスレイヤー。その名前だけがドラゴン・ニンジャのニューロンにひっかかる。だが何も思い出せない……色々あったのだ。

 

 

都市の至るところに走るパイプライン。「産業革命で実際安い」「ゲルマンカラテヤッテミロ!」「工場で家族めいた安心感」アドバルーンのネオンカラー垂幕。「「「「カラテウケテミロオネガイシマース!」」」」ゲルマンカラテ・ドージョーから響く若者たちのシャウト。

 

 

あるいはニンジャスレイヤーとカラテを交えれば、このモヤついたニューロンも活性化するだろうか?

 

 

決戦の時は近い。

 

 

(「キルゾーン・キャッスル」終わり)

 

 

 




◆忍殺◆ニンジャ名鑑#060【ブルービアード】◆少女◆
タイジン・ジツの使い手を自称するニンジャ。ウィリアムの推奨するユンカー政策に逆らい独自路線を突き進んだため、今回ディパイセル城が包囲殲滅作戦の舞台になった。


◆忍殺◆ニンジャ名鑑#061【ラッシュアワー】◆少女◆
ドイツ騎士団領のパラディン・ニンジャ。メン・イン・ブラック存在に可能性を感じ、インスピレーションを働かせソウル由来のジツをプロトヨロシ・ジツに改善した。ユガミ・ダイシュリケンに切断された。


◆忍殺◆ニンジャ名鑑#062【プロフェッショナル】◆少女◆
ソニックカラテの使い手。ドングリバレットを衝撃波に乗せて撃ち出すスナイパーソニックカラテ改善には確かなカラテ研鑽が見られるが、近距離カラテは並のソニックカラテ使いよりニガテになった。


◆忍殺◆ニンジャ名鑑#063【アイゼンソルジャー】◆少女◆
ドイツ騎士団領の砲兵がニンジャになった。スナイパースリケンの使い手。それ以外に何も言うことはない(描写してないので)ニンジャスレイヤーにインタビューされ、最期にはスレイされた。


◆忍殺◆ニンジャ名鑑#064【マーシナリー】◆少女◆
最新鋭コンポジット・ユミの使い手。落下中にアイサツされ、アイサツを返せないまま前回り受身しサッカーボールキックを喰らうという高い芸術点を誇るオタッシャ芸を披露した。
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