ニンジャスレイヤーIF少女   作:BANZAINAMUSAN

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クローズ・エンカウンター・オブ・ザ・ドゲザ#2

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

(「教会はリアルズンビーの存在を認めない」「何の成果も得られませんでした」で済ませるわけには行かぬ。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ドゥゲザーです」ドゲザニンジャ……もとい、ドゥゲザーはザレイカラテの構えを変えた。)

 

 

(「クローズ・エンカウンター・オブ・ザ・ドゲザ」#2)

 

 

ニンジャスレイヤー少女はドゲザしているニンジャからのカラテアトモスフィアに応じ、とっさにネコカラテを構えていた。みたかんじ友好的ではない。そのドゲザ、人体構造上の弱点であるセイチュウセンをすべて隠し、しかも爆発的な瞬発力を秘めている。一瞬の油断が命取り。

 

 

ひとまず彼女は自分がここにいる理由を語った。「アタシは教会のクエストでリアルズンビー調査に来ました」「そうですか」ドゲザしているニンジャは頭を上げた。その双眸に宿るのは、疑念。「私は偶然ニンジャソウルを感知してここにいます。アナタのニンジャソウルも見た感じ邪悪だ」

 

 

「ッ!」少女はロウバイした。事実は欺瞞の10倍威力のコトダマ攻撃力を持つのだ!「だが信じよう。ニンジャソウルと本人は別だからな」あくまでカラテ警戒を解かぬまま、ドゲザニンジャは座ったままの姿勢で器用に180°反転。そして緑色の死体を指差す。

 

 

「見ろ。リアルズンビーだ。いま三体ほど倒した。調査すると言うならば調査は任せる。私は謎めいた敵性ニンジャ存在を相手する」ドゲザニンジャの目はサーチライトめいて光った。なんらかのアナライズをアパートメント全体に向けている。

 

 

「敵性ニンジャは204号室にアリ。他の部屋は分からんが、生きた存在を感じない。おそらくリアルズンビーがいるだろう。要警戒な」ニンジャスレイヤー少女はケープのポケットから蓋のついた小瓶を取り出した。蓋にはスポイトめいた何かがついている。調査アイテムだ。

 

 

二人は互いのパーソナルスペースを侵さぬよう間合いを取ったまま遠巻きに動いた。ニンジャスレイヤー少女が小瓶の蓋を開け、リアルズンビーから溢れる体液を採取しようとした、次の瞬間!バターン!すべてのアパートメントの扉が一斉に開いた!リアルズンビー複数!「イヤヤヤヤヤッ!」

 

 

ドゲザニンジャ跳躍!座ったままの姿勢で右手の平を天に向け、左手をイアイドめいて右手の平上を高速スライドさせることでスリケン生成からスリケン発射をシームレスに!「アバーッ!」「アバーッ!」「アバーッ!」「アバーッ!」「アバーッ!」ハヤイ!二階リアルズンビー瞬殺!

 

 

ニンジャスレイヤー少女は右手をしならせてスリケン投擲!「イヤーッ!」「アバーッ!」1階リアルズンビー1体討伐!「イヤーッ!」「アバーッ!」トビゲリで二体目討伐!「イヤーッ!」三体目のスモトリズンビーにカマめいたフィッチ!「ドッソイ!」スモトリズンビーはタフネスで耐える!

 

 

「ハッキョホー!」危ない!人間の筋力限界を無視したネクロパワーでガップリヨツに掴まれればニンジャと言えども……「ヨイショー!」KABOON!ブチカマシ!「アバーッ!」ニンジャスレイヤー少女はホールド完了前にスモトリズンビー吹き飛ばし!

 

 

スモトリズンビーは頚椎がドアノブに突き刺さり、頭部胴体間の物理接続損壊死!「窓からニンジャが逃げたぞ!追え!」ドゲザニンジャはシャウトとともにしめやかに匍匐着地!ほとんど制止状態から時速70kmに加速し追跡開始!判断が早い!

 

 

ニンジャスレイヤー少女は一瞬、採取かニンジャスレイのどちらが重点かどうか迷う。(((ニンジャが先だ!)))「イヤーッ!」1秒遅れて屋根裏から逃走ニンジャ追跡開始!屋根上を逃げているのは蒼いニンジャローブを着たニンジャである。右足をロストしている様子。

 

 

敵性ニンジャは左足一本でピョンピョンと屋根から屋根へ飛び跳ねていた。ニンジャスレイヤー少女のワザマエでは追跡しながらのスリケン投擲でクリーンヒットを狙うのは難しい。(((儂に代われ!手本を見せてやる!)))(ヤダ!)アクマめいた誘惑拒絶!

 

 

幸いにして逃走速度はニンジャスレイヤー少女より遅い。いずれ追いつく。「イヤーッ!」それどころか、4階建てビルの屋上で逃走の無駄を悟ったのか、留まったではないか。「ドーモ、エレメンタラーです」「ドーモ、エレメンタラー=サン。ニンジャスレイヤーです」「いや、違うね」

 

 

エレメンタラーは原型も分からぬほど酸に溶けた顔をゆがめ、こう続けた。「キミの名はゼクスマイレンだ。久しぶりだなゼクスマイレン=サン。若手のホープと言えども、ジェヴォーダンの獣の再来を押さえ込むのは難しいと見える」「何を……何を言っている……アタシは!」

 

 

(((エレメンタラー=サン!?どうしてここに!)))テンシめいた声は、そのニンジャネームを知っていた。かつてニンジャ6騎士の先例に習い、6人で組んでいたニンジャチームの一員の一人のニンジャネームであった。「緊急ディセンション先があまり良くなくてね。ソウル療養中だ」

 

 

エレメンタラーはあたかもニンジャスレイヤー少女の心の中にしか聞こえぬゼクスマイレンの言葉が聞こえているかのように返答した。「そんなイタミ、セイジョ=サンがいればすぐ良くなるでしょうに」少女の口が、少女の意思の外側で動き、言葉を発した。(えっ?)

 

 

「セイジョ=サンか……惜しいニンジャソウルを亡くした」「アンデルセンデルタ=サン。ダメージディーラー=サン。サブシスタンス=サン……皆勇敢に散りました」「ニンジャモンスターハントの理だ。みな、役割を貫徹してくれた。納得ずくだろう」何らかのシンパシーが両者を繋いでいる。

 

 

(えっ。アレっ。ナンデ?)少女は身じろぎしようとした。できない。何らかの理由で、肉体の主導権がゼクスマイレンに奪われている。(嘘でしょ?)「貴様ら、やはりグルか」そこへ、壁を垂直に匍匐前進して追いついたドゲザニンジャが辿り着いた。「話は聞かせてもらった」

 

 

「マズいな」エレメンタラーはカラテを構える代わりにニンジャサインを構えた。ジツ重点な。「前衛が居ない。ゼクスマイレン=サンはジェヴォーダンの獣の再来のパワは制御下か?」「いえ、全く」「ならばボクのソウル・ジツでとにかくどうにかしよう。こっちへ」

 

 

ニンジャスレイヤーの肉体は少女の意に反し、エレメンタラーに背中を預け、ドゲザニンジャと対面した。(ゼクス、何をするのよ。ヤメテ)(((本当にごめんなさい。これも必要なことなのです)))テンシめいた声は無慈悲であった。「させるものか!タイガーッ!」

 

 

ドゲザニンジャが瞬間的にタイガー・シューティングスターの構えとなり、タイガー飛び掛かりを想起させるジャンピングドゲザアタック!匍匐前進によりニンジャ溜めの原理を継続維持することでその全身にはカラテが満ちている!生半可なカラテではガード不可能攻撃!

 

 

「ソウル・ジツ!イヤーッ!」エレメンタラーは古式タイガーニンジャサインから何度もふくざつにニンジャサインを組み替え、最後にニンジャスレイヤーの肉体の背を叩いた!「ARRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRGH!!」少女の物理肉体からジゴクめいた咆哮!そして!

 

 

「イヤーッ!」あ、あれは!伝説のカラテ技!サマーソルト・キック!中空でカラテ衝突!「すべてのカラテは大地から力を得る!そのようなニンジャ溜めの原理の足らぬサマーソウル・キックで破れるものか!」ゴウランガ!ジャンピングドゲザアタック両手がサマーソルト・キック右足と拮抗!

 

 

(ッ!)少女は瞠目した。その主張、スガン・カブレラが口にしたフーリンカザンに相違あるまい。(ヤメロー!)どうにもならぬ身のまま心が叫ぶ。しかし!「イヤアアアーッ!」インスタント暴走ニンジャスレイヤーの肉体は咆哮!直後!左足がイアイドめいた!

 

 

BREAK!血中カラテ粒子濃度の異なる左足が半円を描き、ジャンピングドゲザアタック両手を弾いた!「バカなーッ!ニンジャ溜めの原理はこっちが上なのに!」ドゥゲザーの主張はニンジャカラテ学の一側面をついている。しかし!「イヤーッ!」ニンジャ溜めの原理だけがニンジャカラテ学ではない!

 

 

ニンジャスレイヤーの肉体はニンジャ溜めの原理足りぬまま血中カラテ粒子の爆発的な勢いだけで追加一回転!ダブルサマーソルト!繰り出す右爪先がドゲザニンジャの顎下を捉えて跳ね上げ、左爪先が一瞬送れて喉を抉り、切断!「アバーッ!サヨナラ!」ドゥゲザーはしめやかに爆発四散した。

 

 

少女の心にとてつもない過負荷が襲った。今はまだ、殺すべきではないと思ったニンジャが死んだ。ニンジャスレイヤーの肉体が殺した。ゼクスマイレンが勝手に。(ふざけるな)少女は怒った。しかし肉体の主導権はゼクスマイレンにある。(((ふざけるな)))アクマめいた声もまた怒った。

 

 

ニンジャがニンジャの肉体を操る。時と場合によっては、そういうこともあろう。だが、こともあろうに、かような手法に自らが操られるなど、到底許せることではなかった。二人ぶんの怒りが、ローカルコトダマオーバーレイネットワーク経由で繋がろうとしていた。

 

 

◆ニンジャ溜めの原理◆

 

 

◆いかりはばくはつするもの◆

 

 

「ふう。なんとかなった。ボク一人じゃほとんどノーカラテ・ニンジャだから助かったよ、ゼクスマイレン=サン」「いえ、どうやら、一概に助かったとは言いづらいようですね、エレメンタラー=サン」ニンジャスレイヤーの肉体はサマーソルト着地後、立ち上がることができなかった。

 

 

ローカルコトダマ空間で繰り広げられる、いまだかつてないほどのカンシャクが、ゼクスマイレンのニューロンに過度の負荷を強いているのだ。また、ニンジャ溜めの原理が足らぬままダブルサマーソルトした無理な駆動で全身が赤黒い。「吐きそう」ゼクスマイレンは四つ這いになった。

 

 

「おいおい、大丈夫かい?ひとまず最寄のアイゼンハンマー支部に帰還しようじゃないか。そこで落ち着こう」エレメンタラーが左足でぴょんぴょん近づき、その背を撫でる。「これが落ち着いていられますか!」四つ這いの姿勢で、ニンジャスレイヤーの肉体が叫んだ。

 

 

ゼクスマイレンは抑えきれない。ニンジャスレイヤー存在の憎悪が形となった。「なに?」エレメンタラーは訝しみ、一歩引き跳ねた。アトモスフィアが……アイゼンハンマーが全滅した時と酷似しているのだ。草木も眠るウシミツアワー。最も闇のエテルが色濃い時間。

 

 

ニンジャスレイヤーは四つ這い姿勢のまま片目が邪悪に見開き、センコめいて収縮!「ニャーッ!」ネコカラテ伏せの構えから繰り出されるはネコアシ・ウシロアシ!「グワーッ!」エレメンタラー唯一の左足にクリーンヒットし、軋む!「イヤーッ!」ハヤイ!

 

 

あれは暗黒カラテ!ボディチェック!四つ這いの姿勢から一瞬で!?その通り!ニンジャスレイヤーは一瞬で身を起こしてワン・インチ距離に間合いを詰め、その怒髪天を衝く背を叩きつけたのだ!「グワーッ!」エレメンタラーはビル四階屋上から叩きだされた。

 

 

「な、なにをやっているゼクスマイレン=サン!さっさとコントロールしろ!役目でしょ!」(((ごめんなさい無理です)))テンシめいた声は万策尽きた様子で呟いた。「オマエ!もう!黙れ!イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはダッシュ跳躍し、吹き飛ばしたエレメンタラーを追跡!

 

 

そして、背から仰向けに地にうちつけられ、何とかウケミ後に身を起こそうとするエレメンタラーの真上から!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは憎悪に満ちた落下カラテチョップで脳天を叩き割った!「アバーッ!サヨナラ!」エレメンタラーはしめやかに爆発四散した。

 

 

(((ああ、エレメンタラー=サン。コトダマに包まれてあれ)))テンシめいた声は十字を切るイメージ。「フゥーッ!ハァーッ!」プシューッ!少女は怒りの廃熱処理。「フゥーッ!ハァーッ!」プシューッ!怒りの廃熱処理。「フゥーッ!ハァーッ!」プシューッ!廃熱処理。

 

 

「フゥーッ……ハァーッ……」少女は二度、落ち着いて息を吐いた。プシューッ!スチームめいた熱気がその全身から噴出した。皮膚色が緩やかに褐色を経由し、白くなっていく。(((違うのです。先ほどの行いはエレメンタラー=サンが原因。私の本意ではないのです)))ゼクスマイレンは言い訳めいた。

 

 

(オマエ、黙れ)(((アッハイ)))ゼクスマイレンは黙った。いまは何を言っても逆効果だと悟ったのだ。少女は何度か深呼吸を繰り返し、邪悪に見開いた目を、センコめいて小さく収縮する瞳を、何とかコントロールしようとした。(((ニンジャ殺すべし!)))(悪いニンジャは殺した!鎮まれ!)

 

 

それは、二週間前の少女ができなかったことだ。憎悪の荒波に呑まれ、抵抗はほとんど無意味であり、激流に身を委ねるしかなかった。しかしキュドーという指針が、その目を徐々に……徐々に……。「スー、ハー」幾度目になるかも分からぬ深呼吸の末に、少女は憎悪を深く心の奥に鎮めた。

 

 

これもまた、ひとつの成功体験。カラテ成長。(それで?)ニンジャスレイヤー少女はローカルコトダマ空間に同居するゼクスマイレンを凝視した。コワイ!(((ヒッ)))(話、聞かせてもらうから)聖なるブレインウォッシュなど許さぬ気迫が、アトモスフィアがあった。

 

 

少女は改めて取り出したスポイト付き小瓶を手に、来た道を戻りつつ、精神的ドゲザさせたゼクスマイレンに精神的インタビューするのだった。ピシリ。ゼクスマイレンのコトダマイメージにまたひとつ、不可逆な亀裂が増えた。

 

 

(「クローズ・エンカウンター・オブ・ザ・ドゲザ」#2終わり。#3につづく)

 

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