◆◆◆◆◆◆◆◆
(「この場でスガン・カブレラ=サンが決闘裁判すると聞いた。アブハチトラズとはまさにこのこと。我が組織は生き残った正当性のあるセンシをスカウトする準備がある」「ヂューッ!」「なんだネズミか……」「来るぞ!備えよ!」「サーカス!」背中は信用するしかない!)
(「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・メルヘン」#3)
ピュルルールルー。笛の音が地下下水通路に反響する。ニンジャスレイヤー少女はニンジャ感覚で音源を目指して駆ける。「「「「ヂューッ!」」」」無数のハツカネズミが怒涛の勢いで追う。だが速度に不足。ニンジャが走れば追いつける速度ではなく、みるみる離れていく。「イヤーッ!」
JAMP!ニンジャスレイヤー少女は下水路を跳び跨いだ。「「「「ヂューッ!」」」」留まる事を知らないハツカネズミが次々と下水路に飛び込み、泳ぎきれず、溺死していく。誘い込まれている。確実に罠だ。だが行く。「悪いニンジャはみんな殺してやる!」
ハーメルンの笛吹き男。ハーメルン市の悲劇的な史実はヨーロッパにおいてはあまりにも有名。約束を破るのは悪いことだと誰もが語り継ぐ伝説。もしも敵がリアルニンジャであれば、イズミ・ニンジャと肩を並べるほどの知名度。勝てるのか?イズミ・ニンジャのように見逃してくれる相手ではあるまい。
一抹の不安は、キュドーが拭い去った。『負けると思ってリングに立つカラテマンはおるまい』ニューロンに駆けるのはスガンのカラテトーク。勝つ見込み?少女にそんなものはない。だが殺す!死ねば助かる……殺される前にスレイすれば実質勝利!スーサイド・タクティクス!「イヤーッ!」
ニンジャスレイヤー少女は決断的に地下下水通路をジグザグに走る!「「「「ヂューッ!」」」」進路上からハツカネズミのアンブッシュだ!「ウウウニャニャニャニャニャニャ!」ニンジャスレイヤー少女はミニマルでコンパクトなカラテパンチ連打でハツカネズミ殺!包囲網突破!
一呼吸で駆け抜ける!ピュルリララー。笛の音。笛の音がニンジャスレイヤー少女を誘導する。「「「「ヂューッ!」」」」進路上に再びハツカネズミのアンブッシュだ!「ウウウニャニャニャニャニャニャ!」
ミニマルでコンパクトなカラテパンチ連打!カラテ処理が追いつかなくなる前に包囲網突破!駆け抜ける!ピーヒャララー。笛の音誘導。「「「「ヂューッ!」」」」ハツカネズミのアンブッシュ!「ウウウニャニャニャニャニャニャ!」ミニマルでコンパクトなカラテパンチ連打!
ピーヒャララー。「「「「ヂューッ!」」」」「ウウウニャニャニャニャニャニャ!」ピーヒャラルー。「「「「ヂューッ!」」」」「ウウウニャニャニャニャニャニャ!」ピーヒャラリッラ。「「「「ヂューッ!」」」」「ウウウニャニャニャニャニャニャ!」サツバツカラテ処理!
……やがてニンジャスレイヤー少女は、どことも知れぬ地下広場空間に誘い込まれた。どこか古臭い。閉鎖地区か、廃棄地区か……ありうべからざる下水のどんずまり。道中の汚水は泥めいて淀み、腐敗発酵の悪臭が鼻につく。
待ちうけていたのは、青白のエプロンドレスニンジャ装束を身に纏う金髪碧眼乙女ニンジャであった。青白のスカーフめいたメンポをズラした口元にはニンジャフルート。神秘的な桃色発光。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ゴブサタしています。カガミ・ニンジャです」
「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤー少女の体温は道中カラテ処理対応で否応無く上がり、褐色肌となっている。カガミ・ニンジャの網膜に焼きつく、赤黒の女王に相違なし。「今日は故郷を焼かれた復讐に呼び寄せました」「復讐?アタシたち、初対面では?」
バキッ。彼女は怒りの余りへし折ったニンジャフルートをレンガ床に叩きつけ、踏み砕いた。そのように怒りを露にをされても、少女に心当たりは無い。まったく記憶にございません。そも、ハーメルンの笛吹き男だと思ったのに、女だったことに平坦な胸中で驚いている。
だがオールドヤングマンウーマンの区切り無く、ニンジャスレイヤー少女は悪いニンジャをスレイする。ミームにそう決めている。「コレはもう用済みですわ」ニンジャアーティファクトであろうそれを、カガミ・ニンジャはあたかも価値の無いゴミ屑めいて扱った。
「オマエが忘れても、アタシは覚えてる。みんなの恨み!イヤーッ!」カガミ・ニンジャは超自然的桃色発光するガラススリケン投擲!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女はブリッジ回避!バリン!レンガ壁に当たったガラススリケンが非人道兵器マキビシめいて砕けた!
なんたる19世紀末に締結されるダムダム弾の禁止に関するハーグ宣言に該当しうる非人道スリケンか!もしも人差し指と中指の間でつまもうとしていたら、触れたとたんに割れ砕け、繊細な指先に無視できぬ炸裂ダメージを負ったであろう。「イヤーッ!」
カガミ・ニンジャはガラススリケン連投!「ニャーッ!」ニンジャスレイヤー少女はネコめいた柔軟性でバック転後に地へうつ伏せ、四足獣じみて回避!バリンバリンバリン!砕け散るガラススリケンが撒き散らされる!非人道兵器マキビシめいた!
「チェシャ・ニンジャ=サンの真似事はヤメロー!」カガミ・ニンジャは憤怒の表情で超自然的桃色発光するミラー生成!ニンジャビースト存在の召喚!ニンジャユニコーンナイト!「ヤッテオシマイ!」「ヒヒーン!」ニンジャユニコーンナイトはイッカク・ランスチャージ!
静止状態からのノーモーションで初速300Kmは出ていよう。これほどの重装甲では生半可なスリケンやカラテは通用しづらい!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女は素早く立ち上がり、ジュー・ジツじみた変則系ネコカラテで一角と顎を掴み投げ飛ばす!「ヒイーン!」KRASH!
ニンジャユニコーンナイトの一角無残!バリン!その全身が桃色発光するミラー破片を撒き散らし、実体化を保てなくなった。カガミ・ニンジャは怯まず憤怒の表情で超自然的桃色発光するミラー生成!ニンジャライオンの召喚!「ヤッテオシマイ!」「Arras!」
ニンジャライオンはサバンナのガゼルに見せる残虐な飛び掛かり!「イヤーッ!」あ、アレは!伝説のカラテ技!サマーソルトキック!まさかエレメンタラーの手によるアクマめいた存在との暴走カラテ一体感で学習していたとでもいうのか!「UGAAAA!」
サマーソルトキック右足がニンジャライオン飛び掛かり両前足を蹴り退け、一瞬後に振り上げた左足が首を刎ねた!バリン!その全身が粉砕し、桃色発光するミラー破片を撒き散らし、実体化を保てなくなった。復活だ……赤黒の女王の得意技が復活!
カガミ・ニンジャの脳裏に悪夢めいた過去の情景がフラッシュバック!「許さない!」ニンジャソウルが激しく励起!憤怒の表情で超自然的桃色発光するミラー生成!ニンジャグリフォン召喚!「ヤッテオシマイ!」「ケーン!」ニンジャグリフォンは鋭角滑降ダブルキック!
イーグルグライダー!「ムウーン」ニンジャスレイヤー少女はニンジャ溜めの原理に不足!サマーソルトキック迎撃出来ぬ!一呼吸、いや、最低でも二呼吸の間が必要!しかしのんきにニンジャ溜めの原理を蓄えようとすればニンジャグリフォンの鋭利な両前鉤爪に裂かれて死ぬ!
「イヤーッ!」堪らず3連続側転回避!「ケーン!」ニンジャグリフォンは鋭角Uターンし再び鋭角滑降ダブルキック!イーグルグライダー!「イヤーッ!」更にカガミ・ニンジャがキックボックス・飛び膝蹴り!まさに前門のタイガー、後門のバッファロー。
ネコカラテは前後襲撃両対応した流派ではない!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女は堪らず3連続側転回避!「ケーン!」ニンジャグリフォンはカガミ・ニンジャとワン・インチ交差後に鋭角Uターンし再び鋭角滑降ダブルキック!イーグルグライダー!
「イヤーッ!」カガミ・ニンジャもまた180°反転キックボックス・飛び膝蹴り!まさに前門のタイガー、後門のバッファロー。なんたる高度なソロれんけいワザマエか!ニンジャスレイヤーの少女は激しいカラテ駆動の連続で体温がぐんぐん上昇!皮膚色は褐色を超えて赤黒になりつつある。
このまま逃げ回り続けてもジリー・プアー(訳注・徐々に不利)彼女のニンジャアドレナリンが多量分泌され、時の流れが泥めいて鈍化した。その時である。『何故私の刹那の見切りが冴えているか、だと?』少女のニューロンにスガン・カブレラとのカラテモンドーが蘇る。
『己のカラテパーソナルスペースを定め、ウカツに侵入した者を100%確実に迎撃する。カラテ防衛圏思想の賜物』(そうだった!フーリンカザンだ!)時の流れが戻る!ピッキーン!少女のニューロンに閃きインスピレーションが走る!「イヤーッ!」
◆カラテが高まっている!◆
◆昂るぞソウル!燃え尽きるほどヒート!◆
ニンジャスレイヤー少女のニューロンに閃きインスピレーションが走る、その1秒前!カガミ・ニンジャは必勝を確信した。(あの時よりずっと遅くてニブい!今なら殺せる!チェシャ・ニンジャ=サンのメモ通り!)ニンジャソウル憑依現象には幾つかのパターンがあるという、戯言めいた情報。
憑依後、修行より徐々にニンジャソウルのカラテを引き出し強くなるパターン。あるいは憑依直後こそがもっともパワフルなパターン。カガミ・ニンジャがその摂理を知る故はないが、太古の昔からセレクティブ・ディセンションを繰り返すチェシャ・ニンジャは憑依パターンを幾らか把握していた。
赤黒の女王は憑依直後こそがもっともパワフルなパターンに該当し、大抵そのまま暴走して死ぬ。死後は十数年の潜伏期間を経て、また地球の何処かに復活。日本か黒き森かのリスポーン地点。戯言か否か、真偽は定かではない。
今回の赤黒の女王は生き残っている。何の因果かネオプロイセン移住イケメンイギリス人に生活を養わせ、自由気ままにニンジャスレイ諸国漫遊!(アタシがネズミ・ダンジョンでフケツな連中と特訓してる間、オマエはイケメンとイチャつきながらニンジャスレイだなんて!フケツ!)
復讐の憎悪に個人的憎悪を乗せたキックボックス超次元飛び膝蹴り!憎しみにカラテをかけて飛び膝蹴り威力実質100倍!そして1秒後!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女がネコカラテ前足を上げ、コマめいてくるくる回転しだした!?
一体何を!?あ、ああっ!?コンマ1秒早く襲来したニンジャグリフォンのイーグルグライダーをニンジャコロの原理で巧みに逸らし、軌道修正し、背後から強襲せんとするカガミ・ニンジャへと向かわせたではないか!「ケーン!?」「イヤーッ!」身代わり正面衝突!?
否!一瞬早くカガミ・ニンジャのネンリキによりニンジャグリフォンはスーサイド自害し、桃色発光ミラーに戻っている!バリン!カガミ・ニンジャは桃色発光ミラーを割り超えてキックボックス超次元飛び膝蹴り!ニンジャスレイヤー少女はちょうど正面相対している!ワザマエ!
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女は回転勢いでカマめいたフィッチを繰り出す!ガイン!カラテ衝突!「イイイヤアー!」「ンアーッ!」カラテ衝撃に弾き飛ばされたのはニンジャスレイヤー少女のほうだ!ヒサツ・ワザを相殺するには威力が不足!
5連続バックフリップで必死に体勢を整える!「シュシュシュッ!」カガミ・ニンジャは高速追従しカラテジャブ!「イヤーッ!」カラテパンチで相殺!「ンアーッ!」だがカラテパンチを縫って更なるカラテジャブがメンポを打つ!「シュシュシュッ!」更なる3連続カラテジャブ!
「ニャーッ!」ニンジャスレイヤー少女は踏み込んでのネコ肘撃ち!「シュシュシュッ!チェシャ・ニンジャ=サンの真似事はヤメローッ!」カガミ・ニンジャは憤怒の表情で2発のカラテジャブでネコ肘撃ち相殺し、1発をニンジャスレイヤー少女の顔面に!「ンアーッ!」
「シュシュシュッ!」更なる3連続カラテジャブ!ケイデンスがハヤイ!「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤー少女は堪らず腕ガード!「シュシュシュッ!」カガミ・ニンジャは更に3連続カラテジャブ!「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤー少女は腕ガード!
「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」何たるカラテ速度か!ニンジャスレイヤー少女は回避や反撃するヒマが無い!ウカツに手を出せばニンジャスレイヤー少女はスタンディング・ダウン死!「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」カガミ・ニンジャが少女の周りをぐるぐるしている!
「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」前後左右から絶え間ないボックスカラテジャブがストームじみた!
彼女にカラテジャブは見えている。イズミ・ニンジャのイズミ・ケンよりはずっと遅いからだ。だが見えていることとカラテリアクションできることは話が別だ。「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」速度の差で回避や反撃するヒマがない!
タタミ0.5枚距離前後の絶妙な距離でニンジャスレイヤー少女の回りをぐるぐるしながら繰り出すカガミ・ニンジャのオールレンジカラテジャブ!少女のインファイト秘儀、赤黒の炎バースト射程外!ウカツに赤黒の炎バーストしては、ザンシンを打たれスタンディング・ダウン死!
(カガミ・ニンジャ=サンのほうがハヤイ……フーリンカザンだ……まずは自分の命を守る!)フーリンカザン、水の心得。すべてのカラテは大地から力を得る。地の心得。湧き水めいた力で、まず身を守る。ボックスカラテストーム中心に捕らわれながら、ニンジャスレイヤー少女は腕ガード継続。
命を守り続けると闘争心が燃え、返し手や攻め手が浮かぶ。火の心得。やがて心に一陣の風が吹き、自由な風となる。風の心得。フーリンカザン。その一側面。それらすべてを同時に実践すれば、実質地水火風の精霊とコネクトすることと同義!
古式カラテ四段。自身もリアルニンジャに至らんと秘めやかに古代のモータル間に口伝されたミームがいま!未だカラテ道半ばの少女の中でひとつに形になろうとしている!ヒュゥゥゥウウウウウ……風が……なんだろう吹いている。非物理的に。超自然的に。
地下空間に自然な風が意味も無く吹くはずもなし。だが確実に、着実に、ニンジャスレイヤー少女の心に、風が吹いている。「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」「シュシュシュッ!」「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤー少女は腕ガード継続!だが!風が……機会が……来る!
「シュシュシュッ!」(見切った!)ニンジャスレイヤー少女の目が赤く光った!「イヤーッ!」オールレンジカラテジャブにカラテリアクション!タタミ床を踏みしめ、瞬間的にカラテ充足!迫りくる3連続カラテジャブを腕ガードしつつも一歩踏み込む!「イヤーッ!」「ンアーッ!」
足!ニンジャスレイヤー少女の踏み込み足がカガミ・ニンジャのステップ足の甲を捉えている!今のカラテではカラテジャブを捉え切れぬと見たニンジャスレイヤー少女は、そのサイドステップに狙いを定めていたのだ!
足の甲を万力めいた力で踏まれてはサイドステップできぬ!必然的ワン・インチ距離!「ニャーッ!」「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤー少女の左ネコカラテジャブをカガミ・ニンジャはクロス腕ガード!
「ニャーッ!」ニンジャスレイヤー少女の右マネキネコパンチがボディーブローめいてカガミ・ニンジャの脇腹!「ンアーッ!」マネキネコパンチ強烈!マネキネコパンチはワン・インチ距離に対応した、手首のスナップのみで高火力パンチを繰り出すインファイト技なのだ!
「ニャーッ!」「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤー少女の左ネコカラテジャブをカガミ・ニンジャはクロス腕ガード!「ニャーッ!」足の甲を踏んだネコ前足をあげローキック!「シュ、ンアーッ!」カガミ・ニンジャ転倒!「カラテ相殺したはずなのに!?」
ナムサン。カガミ・ニンジャの相殺ローキックは一方的に打ち負けていた。彼女の想定カラテ衝突力はハツカネズミ。ニンジャスレイヤー少女のネコ前足足払いのカラテ衝突力は想定外の破壊力だったのだ!ニンジャスレイヤー少女はすかさずマウンティング!
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女の右カワラ割りパンチ!「ンアーッ!」カガミ・ニンジャの顔面にパウンド!「イヤーッ!」今度は左カワラ割りパンチ!「ンアーッ!」カガミ・ニンジャの顔面にパウンド!スピード特化したカガミ・ニンジャのカラテではマウントを跳ね除けられぬ!
「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」次の瞬間!
ほとんど抵抗の無くなったカガミ・ニンジャに、ニンジャスレイヤー少女が抱き着いた!ジュドー縦四方固め!二人の顔が近い!「このまま死ね!」カブーム!赤黒の炎バースト!「アバーッ!」零距離で爆発的な赤黒の炎バーストを浴びたカガミ・ニンジャが延焼!
「イイイヤアーッ!」SMASH!ニンジャスレイヤー少女は決断的にカイシャク!「アバーッ!」(((ミラー・カケラジツだ!とにかく防げ!)))カガミ・ニンジャはしめやかに爆発した。超自然的に桃色発光する硝子欠片が爆発したカガミ・ニンジャから地雷めいて炸裂!
「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤー少女は直前に身体を丸めてジャンプ。ガラス片が四肢に突き刺さるが、重要部位は無事。「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」本体は何処に?少女は息も絶え絶え。皮膚が赤黒。いつ全身がマッチめいて炎上してもおかしくない。
見渡せば、タタミ十枚距離。地下空間の片隅にひっそりと隠されたマジックミラー。チェシャ・ニンジャの忠告を冷静になって一部受け入れていたカガミ・ニンジャが備えていたそれが、桃色発光している。中に写るのはカガミ・ニンジャ。鏡面が波打ち、ミラーワールドから本体が姿を現した。
「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」ミラー・カケラジツとのシンクロ率が上がったカガミ・ニンジャは大きなフィードバックダメージを受けている。外見上に負傷こそ無いが、ニューロン損傷は重篤。だが目は死んでいない。
(((大気エテルはもはや足るまい!やっかいなミラー・ジツ無し!コムスメ!今こそ勝機なり!コシャクなりしカガミ・ニンジャ殺すべし!)))(オマエは黙ってて!)カブーム!アクマめいた声に頼らず勝つ!少女は爆発的な勢いで一気に仕掛けた!「イヤーッ!」
◆ファイナルアタック◆
◆どちらかが確実に死ぬ◆
ニンジャスレイヤー少女はその背から赤黒の炎バースト噴出し、爆発的鋭角トビゲリを繰り出す!「イヤーッ!」カガミ・ニンジャはブリッジ回避!「イヤーッ!」カブーム!ニンジャスレイヤー少女は交差直前に急転直下!通常の3倍の赤黒の炎バーストで強引にカラテ慣性操作!「ンアーッ!」
爆発的ストンピング痛烈!万全のアーチを描いていないブリッジ姿勢では耐えられぬ!「イヤーッ!」カブーム!ニンジャスレイヤー少女は足裏から赤黒の炎バースト噴出ストンプ!「アバーッ!」カガミ・ニンジャはカラテ対応できぬ!腹筋崩壊!カラテ反動で少女は天井に!
「アバッ……こんなの絶対おかしいよ」カガミ・ニンジャは涙目で泣き言を漏らした。時の流れが鈍化する。ソーマト・リコール。フーリンカザンでは勝っていた。単純なカラテ力量でも勝っていた。だがこのザマはなんなのだ?イクサのおさらいをしても、悪手は無し。
(カラテ、スピード。どっちも上回ってる。チクショーメ。混乱する。ナンデ?誰か教えてよ!)メンタルへの問いかけに、返ってくる言葉は無い。カガミ・ニンジャは仰向けに倒れ、ニンジャスレイヤーは天井を蹴り、爆発的加速でフィニッシュムーブメント。
どこで差がついたのか。リアルニンジャとなった増上慢。カラテ・トレーニングの質。実戦意識の違い……(アタシは最初、勝っていた!絶対に!アドバンテージで有利だったのに!)だが、有利と勝利は違う。そのアドバンテージ差は、閃きインスピレーションとカラテ対応で覆された。
「イイイイィィィィイイイイイヤアアアアァァァァアアアアア」赤黒の女王、ニンジャスレイヤーのカラテシャウトが彼女の耳にはスローモーに聞こえる。アルジャーノンの教えに、この絶望的状況から逆転するようなインストラクションは、無い。
(無尽蔵なハツカネズミの怒涛に対応するには、常にアドバンテージ有利を意識し、決して不利になるべからず)(ジリー・プアーとなればハツカネズミは容赦なくソナタの全身を食い破るぞ)(スピードだ!スピードあるのみ!速度で勝ればどのようなニンジャを相手にしても負けは無い!つまり無敵!)
ソーマト・リコールに蘇る臭い臭いネズミ・ダンジョン最奥の記憶。心の折れそうなミラーマッチに授けられた幾つものインストラクション。だが、その速度が奪われたとき、どう対応すれば良いかは一度たりとも語られなかった。何らかのインシデントで速度を失った時が、死ぬときだから?
ああ、カガミ・ニンジャ!もうダメなのか!復活の赤黒の女王に屈してしまうのか!(モウダメダー!チェシャ・ニンジャ=サン!助けてちょうだい!)いくら助けを求めども、チェシャ・ニンジャの助力は彼女自身が断っている!助けは来ない!インガオホー!
(復讐なんてくだらない。ワンダーランドに帰ろう。比較的穏やかに暮らしていた、蝶や鳥が舞い、色とりどりの花が咲く、秘密の花園めいた楽園へ)カガミ・ニンジャのカラテ緊張は、切れてしまった。それはつまり、ミラーめいたメンタルが砕け散ったことを意味する。
分からされたのだ。復讐に賭ける熱量差を。カガミ・ニンジャはもはや、ローカルコトダマ空間がお花畑でふわふわしている。逆境への対応力。イクサメンタルの維持。イクサにおける絶対の理。それらもまた、カラテトレーニング中に学ぶことはなかった。
その現実逃避中の標準的な胸に、ニンジャスレイヤー少女の、赤黒の炎バースト加速した爆発的垂直トビゲリが突き刺さる!KRASH!「アバーッ!サヨナラ!」カガミ・ニンジャはしめやかに爆発四散した。ミラー・カケラが炸裂する事は、無い。死して屍拾う者無し。
「フゥーッ……ハァーッ……」ニンジャスレイヤー少女は二度、深く息を吐いた。プシュウウウウウゥゥゥゥウウウウ!尋常ならざるスチームめいた熱気が放出されていく。カガミ・ニンジャ。油断ならぬ強敵であった。あと3秒粘られれば、カラテタイムアップ。炎上していたのは少女のほうだった。
(アタシは強くなった!強くなった、実感がある!)少女はカラテ成長を特に強く実体験し、蒸気の漏れる手の平を握り締め、更にグッと力強く拳を握った。皮膚が赤黒から褐色を経由し、ゆるやかに白魚めいた白肌に戻っていく。
……どれだけ時間が経っただろう?(アッ決闘裁判!)少女は今日この日に予定された、当初の目的を思い出した。「およよ!およよ!ちこくしちゃう!お待ちさせたらカンカン!そんなのイヤ!」少女は走った。急げ!ニンジャスレイヤー少女!急げ!
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ドブネズミは狡猾であった。彼は決して一線を越えなかった。仮にここで加減を誤り、過剰な欲を出せば、マーダーランツェは物理手段に出たことだろう。鍵となったのは「名誉」と「怨嗟」だ。その手管は老獪なチェス・ステルスメイトじみていた。
クエスト達成とは別個に存在するマーダーランツェ自身の欲望を、彼は巧みに揺さぶった。上位ランク昇格の欲が。口では「昇進なんて」と腐す口ぶりこそが、何よりの証拠だった。ドブネズミは今日の決闘者がこの場に辿り着くまでの雑談の中で胸中の本質を見抜き、それとなく、くすぐったのである。
口先三寸――舌八丁。なによりも巧かったのは、ドブネズミが一度たりとも欺瞞を口にしなかったことだ。その間、ウドルフは沈黙していた。他者のプレゼン営業を邪魔する無粋者ではないからだ。
ドブネズミは事実を陳列し、あるいは沈黙し、仮定を重ね、想定し、予測可能性を提示し、選択権利をマーダーランツェに譲り、選ばせた。人は自らが選択した回答をこそ正解と思いたがる。ニンジャも?ニンジャもだ。
かくしてニンジャスレイヤー少女が決闘裁判の地下広場施設に戻るまえに、決闘裁判の誓いとは別個に、ウドルフの懐には古式に則った文書をおさめた封筒がしまわれることとなった。
そこにはニンジャスレイヤー少女が決闘裁判に勝利した暁にと望まれたスカウトを先延ばしする文言、少女の目的である復讐を成し遂げた後に改めてスカウトに応じるか否かの話し合いの場を設ける約束等が、本人のおらぬ間に定められ、タチアイニンであるウドルフのハンコが捺されている。
「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!スガン=サンは!?」「まだだよ」急いで戻ってきたニンジャスレイヤー少女へ、ウドルフは悪い大人の表情で答えた。「よう戻った。あと5分な」少女の想像以上に廃熱処理に時間がかかっていた。懐中時計の必要性を感じた。
少女はその場で跪座。足の甲を床につけず、爪先を地に引っ掛ける正座姿勢。自然と背筋が直線に伸び、また座ったままの姿勢でカラテ警戒を維持する古式メディテーション姿勢。「スー、ハー」目を閉じて深呼吸し、彼女はコンディションを整える。備えなければ。無様なカラテは見せられぬ。
5分が経った。
スガン・カブレラは来なかった。「施設借用時間は終わりだ。ニンジャスレイヤー=サンの不戦勝とする。オツカレサン」ウドルフは手の甲で背を叩き、疲れを隠さずに立ち去った。長居は無用であった。「ふ。スガン・カブレラ=サン。一度この目で直に見てみたかったがな。サラバ」
マーダーランツェもまた立ち去った。長居は無用であった。欺瞞を混ぜたクエスト経過報告し、ニンジャシュレヒタのスカウトクエストを中断させる必要があったがため。ドブネズミは一体どのように言いくるめたのだ?今はまだその時ではない。
「フーッ、疲れた。僕達も、帰ろうか」「……ウン」その帰り道。少女は何度も背後に振り返った。ナンデ?どうして?約束したのに。スガン・カブレラは既に死亡している。しかし少女がその事実を知る方法など、現時点では一切無かった。
(「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・メルヘン」終わり)
◆ここまでのあとがき◆
◆CM◆ちゃんと静かに歩いて、道をそれないのよ。良い子で
◆ミラーマッチが死んだ次元へようこそ。彼女には生と死の境界にいるとき2つの道があった。1つはチェシャ・ニンジャに窮地を救われ、割れたガラスメンタルを溶接し、ニンジャスレイヤー少女のカラテ成長ぶりを定期的に測るカマセドッグの道。さもなくばこの場でスレイされる道◆
◆だいたい50%ずつくらいだ。私が今日の21:30くらいにシュレーティンガーボックスのなかみを観測したけっか死んでいたので死んだ。合わせ鏡の向こう側では50%くらいのかくりつで生きている。つまりIF次元のIF次元のことだが。ここじゃない◆
◆ところで時系列順に進めてる第一部メインストーリーも起承転結の「起承」あたりに来ているので、そろそろグリム兄弟を出そうかと思うが、もうちょっと引っ張れそうだから引っ張るかもしれない。予定は未定だ。続きは明日書く◆
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#041【ミラーマッチ】◆少女◆
本名マリアージュ・リデル。時を逆しまに生きると嘯くニンジャに拉致され、過酷な修行をかせられたにも関わらずカイデンネームを与えられる前に鏡のコトダマ空間から放り出されたフォーセイクン。反射物に由来する様々なジツを使いこなす。
↓↓↓ニンジャ真の姿↓↓↓
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#072【カガミ・ニンジャ】◆少女◆
復讐のキックボックスカラテを高め、ハツカネズミ100万匹スレイしメンキョを得たばかりのリアルニンジャ。イクサ経験値の低さからくるワンパターン戦法をニンジャスレイヤー少女にカラテ対応された。
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#073【アルジャーノン】◆少女◆
ハーメルンの笛吹き男の異名を持つリアルニンジャ。その真のニンジャネームは未公開情報だ。隠蔽されたネズミ・ダンジョンの最奥で息を潜めて暮らしているが、ネズミ・ダンジョンに潜り込んだ来訪者には戯れにカラテ稽古をつけることもある。
◆忍殺◆登場人物#074【ウドルフ】◆少女◆
初老の神聖戦士。古事記に記されしボンジャン・カラテ奥義『拒否のハンマー』すら使いこなし、一時はアンデルセンデルタのモータルアデプトであった事もあったが、ニンジャのカラテについていけず、ドロップアウトした。