「ドーモ!ニンジャスレイヤー=サン!アルドドルフです!今日は貴様を暗殺しに来ました!」「ドーモ!アルドドルフ=サン!ニンジャスレイヤーです!」互いに姿見せぬままアイサツシャウトを交換する二人。
否、アルドドルフはニンジャスレイヤーの姿を一方的に捉え、スナイパーイシユミを用いたアンブッシュを仕掛けたのだ。フーリンカザンは彼にあり。超長距離アドバンテージ。相互の距離、実に5km。
広大な森林地帯を駆けて途方も無い間合いを埋めんとするニンジャスレイヤーに対し、アルドドルフはこそこそと距離を取った。ヒキョウだぞー!というシャウトを背に受けても、なんの痛痒もない……
……チチチ、チチチ。フェーン。野生動物が鳴いている。アルドドルフは熟練のハンターめいて、それらに関与せずしめやかに距離を取った。広大な森面積が彼のニンジャ野伏力を、フーリンカザンを最大限活かす。
4km先で、ニンジャスレイヤーが索敵しつつカラテ警戒しているアトモスフィア。「イシユミ・ドーは始めてか?アカチャン以上に隙だらけだ」まったく問題ではない。カシャン。ギリギリギリギリ。
ヤギ・ニンジャクランの残せしニンジャウェポン、アルバレスト。都市国家間弾道イシユミ「アルバレスト計画」の忘れ形見が、アルドドルフのイシユミ・ドーを完成させた。アルドドルフはパラニンである。専門はイシユミ・ドーによるスナイパーイシユミ。
今回、かなりの高評価と目されるニンジャスレイヤー殺害クエストを受けて、彼女をこの地におびき寄せた。事あるごとに口にする、悪いニンジャを殺すという証言は、インターネット経由で共有されている。その端的な行動理念を狙い射つべく、彼は寒村をひとつ潰した。
森林迷彩ニンジャ装束に不釣合いな、全長1.5メートルのオオイシユミ。その射線は、無数の木々の合間を縫い、ニンジャスレイヤーの頭部をロックオン。「イシユミはカラテで支える……ワザマエ頼りは信用できない。微細なストレスが筋肉を収縮拡大させ、コンマ01ミリを狂わせる」
ヘイキンテキ維持のための独白。舞い散る木の葉のアトランダムめいた動きは、アルドドルフに大気の、エテルの揺らぎ乱数を教える……シュタァーン!発射!「カマエテウツ」と刻まれたルーンカタカナ文字に秘められし謎めいた加速機構により、マッハ2で放たれた先端クナイダートの矢。
いかほどのカラテやワザマエもつニンジャと言えども、頭部直撃ともなれば爆発四散は免れぬ。この一射に耐えうるのは、それこそニンジャモンスターを始めとした伝説上のバケモノだ。果たして、ヘッドショット直前に反応したニンジャスレイヤーはカラテ迎撃で破砕。
イヤーッ!静謐の空間に、やや遅れてカラテシャウトが轟く。間合いを一気に詰める全力疾走。アルドドルフはシズケサを第一に距離を取る。足跡ひとつ残さず匍匐前進。のたうつ蛇めいた痕跡など残さぬ。真のニンジャの匍匐前進だ。
ヤギ・ニンジャクラン……スイスからドイツにかけての森林地帯にドージョーを構えていたニンジャクラン。彼らをはじめとするヨーロッパ各地の熱狂的なイシユミの一派は弩にまつわる奥義を追求し、長い年月をかけてイシユミ・ドーとして完成させた。
アルバレスト計画は相互確証破壊の一翼を担うかと思われたが、イクサの膠着を嫌ったオーカミ・ニンジャの手により頓挫……アルドドルフが己に宿るニンジャソウルを御し、ウィリアムに仕えるのは、ケイオスめいた勢力の縮図であるヨーロッパを統一するため。
その思想に共感していた。「ヨーロッパ統一のために、貴様は邪魔なのだ」チチチ、チチチ。フェーン。野生動物が鳴いている。アルドドルフは熟練のハンターめいて、それらに関与せずしめやかに距離を取った。広大な森面積が彼のニンジャ野伏力を、フーリンカザンを最大限活かす。
……3km先で、ニンジャスレイヤーが索敵していた。現在の彼女のニンジャ野伏力では、アルドドルフの痕跡を捕らえることはできない様子。彼は十分な距離を取り、再びアルバレストを構えた。ニンジャアトモスフィア感知範囲は圧倒的に上回っている。異形のクナイダートをカラテ生成。
アルドドルフはニンジャになる前からイシユミ・ドーの信奉者であった。テッポウよりもイシユミのほうが勝ると考えていた。カシャン。ギリギリギリギリ。「テッポウにカラテは乗らない……イシユミにカラテは乗る……どちらが強い?論ずるまでも無い」ヘイキンテキ維持のための独白。
赤黒のビロードの頭巾は、アルドドルフにとって格好の的であった。森林地帯においてなんのタクティカルアドバンテージもない。撃ちぬきやすいリンゴめいている。シュタァーン!発射!エアロカラテめいた衝撃波がカラテ防御を許さず、ニンジャスレイヤーの左手を削る。
側頭部カスリヒット。ザクロめいて果実は弾けない。「のけぞりながらのカラテ迎撃だったか。ワザマエ。だが次は無い」イヤンアーッ!静謐の空間にカラテシャウトが轟く。ニンジャスレイヤーが平衡感覚を失い、四つ這いとなった。
その間に、アルドドルフはシズケサを第一に距離を取る。イヤーッ!間合いを一気に詰める四足獣めいた全力疾走が遠い。彼は足跡ひとつ残さず匍匐前進。のたうつ蛇めいた痕跡など残さぬ。真のニンジャの匍匐前進だ。
アルドドルフに憑依したニンジャソウルは、オーストリア公国のアクダイカーンを暗殺したスイスでは伝説的英雄のニンジャである。だが彼はその力をネオプロイセン連合王国のために使う。祖国のために使う。彼はウィリアム・テルその人ではないのだから……
「世界の平和のためには敵対者のすみやかなる殲滅が必要なのだ」2km先で、ニンジャスレイヤーが索敵していた。現在の彼女のニンジャ野伏力では、アルドドルフの痕跡を捕らえることはできない様子。彼は十分な距離を取り、三度アルバレストを構えた。
二度あることは三度四度と続くというコトワザもあるが、三度目の正直というコトワザもある。アルドドルフは「カマエテウツ」のルーンカタカナ文字に指を這わせた。神秘的な発光がその性能を三倍に高める。「サラバ。その並々ならぬニンジャソウルのカラテを活かせぬまま死んでいけ」
マッハ6。それは2kmを1秒以下で飛来する速度。たとえニンジャスレイヤーといえども、半ばアンブッシュめいたこの一撃をかわすことはできまい。マッハ2速度へのカラテ処理を学習したならなおさら。ヒキョウだぞー!というシャウトが静謐の空間を裂く。なんの痛痒もない。
カシャン。ギリギリギリギリ……チチチ、チチチ。フェーン……野生動物が鳴いている。アルドドルフは熟練のハンターめいて、それらに関与せずじっくりと狙いを定めた、次の瞬間。コオーン。コオーン。ニューロンに不愉快さを催す超自然的な音。「なに?」
集中が乱れた、直後。イヤーッ!ニンジャスレイヤーが真直ぐに駆けてくる。何らかのジツか?だが、何の問題も無い。アルドドルフはシズケサを第一に距離を取る。足跡ひとつ残さず匍匐前進。のたうつ蛇めいた痕跡など残さぬ。真のニンジャの匍匐前進。だが!
「イヤーッ!」「なんだと?」ニンジャスレイヤーの爆発的なシャウトが、その逃走経路に沿って迫ってくる!コオーン。コオーン。ニューロンに不愉快さを催す超自然的な音が……アルドドルフの隠しきれぬ存在格を捕らえているとでも……言うのか!?
「ま、マズイー!」アルドドルフは立ち上がり、全力疾走で逃げ出した。だがニンジャスレイヤーがハヤイ!「イヤーッ!」逃げ切れぬ!「ヌウーッ!」アルドドルフはバッファロー殺戮スチーム機関車めいた爆走タックルをアルバレスト防御!カラテ斥力でタタミ4枚距離!
「ドーモ、よくもやってくれたな!悪いニンジャはみんな殺してやる!」「馬鹿め!イヤーッ!」アルドドルフは構えて射つ!シュタァーン!近接射!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはブリッジ回避!目視距離であればマッハ6でも回避可能!
しかしアルドドルフにはイシユミ・ドーの先人たちが追求した、弩そのものを近接武器として用いたカラテがある!「イヤーッ!」スレッジハンマーめいたアルバレスト縦振り降ろし!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはバックフリップ!
アルドドルフはアルバレストを近接射設定に切り替え!「ニャーッ!」ニンジャスレイヤーはその隙を見逃さず再接近!鋭角小ジャンプネコ膝蹴り!「ヌウーッ!」アルドドルフはアルバレスト防御!「ニャーッ!」
ミニマルなネコパンチが頭上から!「ヌウーッ!」アルドドルフは堪らずアルバレストを手放し腕ガード!上下ワン・インチ距離!「ニャーッ!」「ヌウーッ!」「ニャーッ!」「グワーッ!」「ニャーッ!」「グワーッ!」ワン・インチ距離では分が悪い!
フタツイシユミ・ドーであれば、アルドドルフはこのカラテ暴風圏さえも凌ぐ自信があった。だがアルバレストは全長1.5メートルの両手持ち専用オオイシユミ!愛用のフタツイシユミは分解して背嚢の中!いまから組み立てる暇は無い!「ニャーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーがハヤイ!
ヤギ・ニンジャクランはその近接戦闘力の脆弱性を補うべく、シロヤギ・ニンジャクランやゴート・ニンジャクランに分派した。マジョ・ニンジャクランに傾倒したクロヤギ・ニンジャの系譜も……「イヤーッ!」あ、あれは!暗黒カラテ、マルタボーストライク!「アバーッ!」
着地直後の強烈なボディーブローに臓腑を抉られ、アルドドルフはニンジャソウル由来の現実逃避からの帰還を余儀なくされた。回想から形勢逆転に至る何かを得る事はできなかった。
キルゾーン形成のため、オトリ代わりに動かしたメン・イン・ブラック1ダースはすでにスレイされている。インターラプトは期待できぬ。「ハイクを読め。カイシャクしてやろう」
こんなとき、バスターカタナブレード使いのソウルブレイダーがいれば!ハルバード・ドーの精鋭、マーダーランツェがいれば!(ウィリアム=サン!どうしてニンジャ小隊編成を変えたのですか!?この編成は、対ニンジャに不足!)今更後悔しても、もう遅い!
「アバッ……テルは、大陸一のイシユミ名人だ。バンザイ!」「イヤーッ!」「サヨナラ!」アルドドルフはしめやかに爆発四散した。「フゥーッ……ハァーッ……」プシューッ!スチームめいた熱気が少女の全身から漏れる。アルドドルフ。油断ならぬ強敵であった。
実質ワンオンワンでこのザマだ。ニンジャ小隊のスリーマンセルであれば、イクサのかたちにすらならなかった。「おばあさま……アリガト……」ニンジャスレイヤー少女の胸中に抱いたのは、敬愛する祖母への感謝。
教えを思い出せねば、彼女はイシユミ・ドーに手も足も出せぬまま爆発四散していただろう。少女は振り向いてザクザクと落ち葉溢れる森を歩き、アルバレストに早足で近づいた。「イヤーッ!」アルバレスト無残!イシユミは射程が長いので遠くまでよく届く。ヒキョウだ。
少女が望むニンジャウェポンでこそあるが、フィーリングが合わない。「それにしても……テル is 誰?」少女はウィリアム・テルの童話とアルドドルフの関連性を見出せず、しばし頭を悩ませるのだが、悪いニンジャはスレイした。思い悩む時間はいくらでもあった。
【イシユミ・フロム・アウト・オブ・レンジ】終わり
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#095【アルドドルフ】◆少女◆
シシャクランクのスナイパーパラニン。ウィリアムの望む政策に反対する貴族議員を森での狩り中に複数暗殺した実績を持つ恐るべきニンジャ。長長距離戦でニンジャスレイヤーを追い詰めたが、ハドーへの目覚めを促す結果となった。
◆忍殺◆アイテム名鑑#009【アルバトロス】◆少女◆
原作ニンジャスレイヤーに登場する同名のアマクダリニンジャがいるが、名前以外の関連は無い。射程が長い。だからツヨイ。クナイダートワッカ部位にバクチクを括り付けて爆撃可能。ニンジャスレイヤー少女とはフィーリングが合わす、破壊された。