(これまでのあらすじ:少女雀士「エヌエス」を名乗り、ボッタクリ・マフィアクランのダイウチとして邪悪なパラディンニンジャと目される「ハイデンベルク」の根城たる非合法マージョンカジノ「咲」へとエントリーしたニンジャスレイヤー少女……)
(利権を巡るマージョン勝負。彼女はサシウマにパラディンニンジャ首領ウィリアムのひみつの正体を要求するエヌエスに対し、ハイデンベルクは違法脱衣マージョン行為たる女体の神秘を賭けさせた。互いに譲れぬひみつを賭けた仁義無きテーブルゲームイクサが幕を開ける)
【ブラインダリィ・イントゥ・ダークネス・マージョン】
「もう払えないよオ……家も、畑も、全部だよオ……」「ザッケンナコラーッ!」「タテッコラーッ!」支払能力を失ったオノボリ豪農をメン・イン・ブラック2人が抱え、店の奥へと連行する。「アイエエエエエ!アイエーエエエエ!」もはやオノボリ豪農の自我は崩壊寸前とみえた。
「愚かなものです」「オノボリ豪農としては下の下」「出身大学を聞きたいですね」同じ雀卓を囲むカチグミ・サラリマンから、無慈悲なまでの失笑が漏れる。彼らにとって、他人のレース脱落は完全なる見世物なのだ。
いまは昔の19世紀。すなわち香港統治時代。イギリスを経由してヨーロッパに流れ着いたこのテーブルゲームは、知性と運気を量るに適した、優越性の高い遊戯であった。
その頭脳スポーツ性に目をつけた者達の尽力により、ネオプロイセンにも根付いている。ここは違法マージョンカジノ「咲」。ベルリン・エロスセンタービル街通りに程近い立地に作られた、後ろ暗い娯楽の殿堂。
ホールには、赤く分厚い絨毯が敷き詰められ、サツバツとした打牌音を呑み込んでいる。適切な距離で設置された各雀卓を、高天井のガス灯が照らす様は、まるで高級レストランのように格調高い。
レートと点数は条件付ながらもほぼ青天井。一晩に数万マルクのカネを接待費で賄えるカチグミ・サラリマンであれば、夢のようなマージョン体験を楽しめるであろう……しかし、この違法マージョン領域において、死と破滅はすぐそこに口を開けている。
そしてここに集う誰もが、それは自分の運命ではないと考えているのだ。自らに破滅が訪れる、その瞬間までは。それを証明するように、ホール中央の最上座で対局を続ける四人の雀士は、オノボリ豪農の連行を知っても、眉ひとつ動かさなかった。
それほどまでに、目の前の対局に集中しているのだ。仮に、どこかの卓でセプクを行う者が出たとしても、彼らの反応は同じだろう……勝負の次元が違うのだ。「カリカリ」2D6。「カリオヤ」2D6。カッ。「東」と描かれた表示札を引き寄せた少女は2D6。「ジ5」
将来的に用いられるエニグマめいた暗号プロトコルに沿って、一同は以後無言で手を動かす。チャッチャ。チャッチャ。チャッチャ。チャッチャ。チャ。チャ。チャ。チャ。各自13牌のハンドを自分だけに見えるよう起こし、最後に少女が14牌目をドロー。
理牌?しない。するはずがない。そのようなマネをすれば、暗黙のうちに自己の手牌を晒しているようなもの。すべてニューロン処理。自己の思考パターンらしきものなど、なんであれ悟らせぬポーカーめいた注意深さ。
ダッ。少女がいらない牌を捨てた。ダッ、ダッ、ダッ。打牌音がつづく。四人は黙々と牌を引き、いらないものを捨てる。ダッ、ダッ、ダッ、ダッ。四人全員が、サツバツとした真の雀士の目つきである。一人を除いて。
親兄弟をニンジャにでも殺されたかのような狂人の眼差しをする者がひとり。「アガリ」明らかに場違いな、カワイイな声。赤いビロードの頭巾の少女がハンドをオープンした。「メンゼンチンモホー。500オール」
「おやおや」「運が良いですね」「……」少女は差し出される100点棒たちを掴み、ブラックボックスめいた領域に投入。そのうちの1本を卓の隅に置いた。「イッポンバです」
ネオプロイセンの暗黒ハウスルールにより、アガリのたびに証明100点棒表示が1本ずつ増え、アガリ時の点数が2倍となる。ゆえに次は2の1乗により2倍。これは親ボーナスであるが、親以外がアガリしても2倍となる、スーサイドめいた諸刃のカタナ。
ゲームスタート時、各自に配られる点数は10万点。500点など、卓を囲む誰にとっても些細なダメージ。ジャラジャラジャラ。4人の手が山を崩しながら卓上をぐるぐるし、マージョン牌をかきまぜる。シーパイと呼ばれる、手動攪拌行為だ。
この時点ですでに、一触即発の鉄火場なのだ。「……」エヌエスは目深に被った赤いビロードの頭巾の下から、左右二人の目つきを伺った。どちらも油断ならぬ裏プロ級の腕前。またたくまに2列17牌の山を各自で積み上げる。そこには何らかの積み込み調整が。
少女も?少女はニンジャ器用さでスピードだけは劣らぬようにしている。真の敵はこの二人ではなかった。エヌエスの対面西家には、ハイデンベルクと名乗るカジノ支配人……明らかにニンジャが座っているのだ。
少女は2D6を振った。コロコロコロ!「ジ9です」規定プロトコルに則り、少女は指定位置から4つの牌を掴む。チャッチャ。チャッチャ。チャッチャ。チャッチャ。4つの牌を同時に掴み、ハンドとする順番がぐるぐるしている。
同様のドロー行為を3順繰り返し、4順目に各自1牌ずつ掴む。チャ。チャ。チャ。チャ。そして東家、親番の少女が14牌目を引く。チャ。
マージョン!14牌のハンドを組み合わせ、アガリ役を目指すゲーム!実際ふくざつでなんかムツカシイのだがアトモスフィアを察するだけなら理解はそれだけで十分だ!
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ。少女の打牌を皮切りに、再び場に不要牌を捨てる音。四人は再び黙々と牌を引き、捨てる。ダッ、ダッ。ピクリ。ハイデンベルクが眉を顰めた。すさまじい形相の双眸がハイデンベルクを貫いていた。
(馬鹿な。気付いているのか?)ハイデンベルク次なる牌をドローする。ダッ、ダッ。「アガリ」カワイイな声。エヌエスがハンドをオープンした。「メンゼンチンモホー。1000オール」「ああ、もったいない。機会の損失だ」「そのハンドならばサンショクが狙えたでしょうに」
「……」少女は差し出される1000点棒を掴み、ブラックボックスめいた領域に投入。そして100点棒を引き出し、卓の隅に置いた。「ニホンバです」
ここから先は2の2乗により4倍。その次は8倍、16倍、32倍、64倍、128倍、256倍……青天井であるが故に、倍々計算はどこまでも伸びていく。
しかも親番であれば親ボーナスで1.5倍。最低カス役のメンゼンチンモホーによる1000点が1500点、3000点となり、それを3等分して各自支払う。故に500オールであり、1000オールなのだ。
ジャラジャラジャラ!シーパイ。手積み。ハイデンベルクは三度のシーパイを経て、ひとつの事実に気付く。2D6。コロコロコロ!小さいサイコロが赤丸の1の出目と4の出目を示す。「ジ5です」規定プロトコルに則り、少女は指定位置から4つの牌を掴む。チャッチャ。
(またしてもエヌエス=サンのハイパイは好形のイーシャンテンではないか。間違いない。このガキ、サイコロの出目を操っていやがる)ワッザ?何故ハイデンベルクがその事実を知るのだろう?まさか……ガンパイしているのでは?
ガンパイとはモパイ透視行為と似て異なる手法を用いた違法探知行為だ。モータルに分からず、ニンジャ観察力であれば分かる微細な目印を牌につけ、卓上すべての牌をマジックミラーめいて自身だけ把握……ダッ。「それ……」
ハイデンベルクが人差し指を立て、宣言した。「ポンです」ポンであった。アガリではない。エヌエスは息をつく。ハイデンベルクは、今しがたエヌエスによって捨てられたばかりのマンズ牌を、無慈悲に掴み取った。
一瞬、雀卓のアトモスフィアが凍りついていた。少女は首元に、目に見えぬドス・ダガーの刃を幻視した。もしもハイデンベルクが何らかの恐るべきマージョンのワザマエを駆使して手牌すべてを入れ替えていたなら、事実上の即死であったからだ。
ヤクマンと呼ばれるハイエンド役。32000点。その4倍は128000点である。104500点を保持する少女は支払い能力に不足し、過剰なニューロン酷使により爆発四散する暇も無く即死するであろう。
マージョンはニューロンを酷使する頭脳スポーツである。プロ同士の対局時にはたびたび死者が出る。レート無制限の違法マージョンともなれば、そのニューロン崩壊による死傷率は劇的に跳ね上がるのだ。表向きには、そういうことになっている。
裏では、狡猾なるワザマエが跋扈する、ヘンゲヨーカイめいた魔の域。例えニンジャと言えども、モータルコンビネーションによって心停止に追い詰められる可能性はゼロではない。戦乱に満ちる中国において、モータルがニンジャに対応しうる数少ないサツバツ遊戯。
ハイデンベルクはゆっくりとした動作でマンズ牌を自らの側にこれ見よがしに引き寄せながら、己の手牌2枚を表返し、同種3枚にして組み合わせた。ダッ。オープンした不要牌をカワと呼ばれる卓中央付近の捨て場にスライド。少女の目つきがより一層鋭くなった。
ポン効果により、エヌエスとハイデンベルクの間にいた南家席のヨロシサン製薬カチグミ・サラリマン手番はスキップされ、北家のハンス社カチグミ・サラリマンが牌を引くこととなるのだ。(これで早アガリはできまい)
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ。異様な緊張感を漂わせながらも、打牌音が鳴る。四人は黙々と牌を引き、捨てる。ダッ、ダッ、ダッ、ダッ。ダッ。「アガリ」「なに?」エヌエスがハンドをオープンした。「メンゼンチンモホー。2000オール」
ハイデンベルクは訝しんだ。彼のガンパイによれば、そのツモでアガリとなるはずが無かった。まさか……エヌエスは一枚も脱衣したくないからといって……ハイデンベルクの気付かぬうちにスリカエを?「サンボンバです」次のアガリ者は8倍点ボーナス。
ジャラジャラジャラ!エヌエスは恐るべきニンジャ器用さにより、卓上の牌から自身にアドバンテージかつ、他者に不利な牌並びとなるよう手積みしていく。そうと疑ってみれば、一目瞭然であった。次の2D6は出目合計5に違いない。「ジ5です」
これが真のニンジャのマージョンなのか!?しかしながら、配牌は個人の山だけでなされるものではない。隣の手積み山に至る。そちらの4牌グループがバラバラであれば、良いかたちにはならない。しかし幸運か必然か、彼女の手に入る4牌はハンドのグループと噛み合っている。
(オレサマのシマでスリカエだと!?ナメやがって!現場を押さえてやる!キサマはスリカエの罪で全裸ストリップののちファック台拘束!ニクベンキの刑だ!)ナムサン。なんたる違法脱衣マージョン流儀に則った暗黒非合法刑罰か!
エッチなのはいけないと思う!ニンジャスレイヤー少女の貞操がアブナイ!ダッ、ダッ、ダッ、ダッ。再び、無言の打牌時間が訪れた。ダッ、ダッ、ダッ、ダッ。「ツモ。メンゼンチンモホー。4000オール」ハイデンベルクが妨害する暇もなく場が進んでしまった。
今回、スリカエはしていない。注意深く観察していたので、間違いない。このままいけば次はヨンホンバ効果で8000オール。その次は16000オール。更にその次は32000オール。64000オール。全員の支払い能力の限界を超えたことを意味するトビが発生し、ゲームエンド。
ヨロシマンとハンスマンもまた人生ゲームオーバー。少女の狙いが分かり、二人は額の汗を拭った。飛び出たネイルは叩かれる。敵同士でありながら、以後3人は結託して、とにかくどうにか少女のアガリを妨害することになろう。マージョンのゲーム性がそうさせる。
ジャラジャラジャラ!あからさまに少女の手元へ不要牌となりやすい字牌が送り込まれていく。字牌は2つ3つと重ならなくては意味が無い牌で、戦略性のある牌。
タテマエ上はシーパイによりランダマイズ手積みしていくことが暗黙のルールであるが、何かしらのワザマエを見せている少女へ、遠慮無用となったのだ。字牌だけではよくないので、数牌も。できるだけバラバラに。
それでいて自己の山積みに調整。なんたるワザマエ。21世紀全自動卓マージョンで遊んでいる無軌道大学生には到底至れぬ高度なワザを惜しげもなく使う!しかし少女が積む山は2列17枚。34枚。ある程度までは、調整が効く。
「つかぬ事を聞くがエヌエス=サン。まさかイカサマはしていないよな?」ハイデンベルクが目つき鋭く睨む。しかしその目はすぐに逸らされた。睨み返す少女の鋭い目つきが、その双眸が、逆にハイデンベルクのヘイキンテキを乱したのだ。
少女の目だけは、真の雀士のそれではなく、親兄弟をニンジャにでも殺されたかのような、狂人の目であった。「ちょっとアガリが早いだけで疑うんだ。フーン」2D6。コロコロコロ。
「トイ3です」流れが変わった。規定プロトコルに則り、少女は指定位置から4つの牌を掴む。ハイデンベルクが手積みした山から。3人のいずれの想定とも異なる。チャッチャ。チャッチャ。チャッチャ。チャッチャ。
(ヌウーッ!なんたる強運!またしてもエヌエス=サンは好形のイーシャンテンではないか!どうなっているのだ!?)スリカエは現場を押さえなければカイスイヨク!だが、いつどのようにスリカエしているのか分からない!
◆少女エヌエスな◆
◆闇に、電気ビリビリ、走る◆
「ツモ。メンゼンチンモホー。32000オール。次はナナホンバです」「ヌウーッ!」「いやはや、参りましたな」「これじゃなにもできない」良い歳をした大人達は少女の鮮やかなる手腕に唸った。隠しきれぬ汗を拭いされぬ。何をされているのか分からないが何かされている。
そしてそれを止めることができなかったのだ。この卓の隅を見れば、連続和了(アガリ)を示す点棒が、すでに7本並んでいることに気づくだろう。異常事態なのだ。そのアガリはすべて3順~4順以内に達成されている。
次にエヌエスが最低カス役であるはずのメンゼンチンモホーをアガリすれば、1000点の128倍に親ボーナス1.5倍した、19万2000点。その3分割で64000オール。全員トビ終了だ。
無論、裏プロ級のワザマエを持つヨロシマンとハンスマンはマージョンの裏ワザを使おうとした。手積みによる積み込みなどそもそもの前提となる必須技能であり、裏ワザには当たらない。ブッコヌキ。ツモチェンジ。バラノハナ……しかし、少女の鋭い目が。
イカサマの現場を押さえられ、メン・イン・ブラックに連行されるアワレな末路を、二人に幻視させた。ウカツに裏ワザを使えば、死、あるのみ。裏ワザは使えぬ。それはハイデンベルクも同じ。裏ワザを使った瞬間、鋭いアンブッシュで首を刎ね飛ばされる錯覚。
しかしながら、裏ワザが使えぬからと諦めるのは三流だ。裏ワザがなくとも、3人が呼吸を合わせれば、理論上はとにかくどうにかなるはずである。マージョンとはそういうゲームだ。だが、何の間違えかと言いたくなるようなウーシャンテンのクソ配牌が、それを許さなかった。
果たしてその問題がなかったとしても、サシコミによる妨害?馬鹿な。仮にメンゼンチンモホーと同レベルであるヤクハイホーのみに振り込んだとしても、ヨンホンバ時点で1000点の16倍の16000点の損失だ。
少女を食い止めたいが、過剰に損したくはない。ゴホンバで32000点の損失。それはヤクマンという最高峰ハンドへの支払いと同等。敵の敵は味方とは言え、限度がある。限度いっぱいまで信用することは出来ない。それは自らの死を意味する。
少女の振る出目は、ここしかないと言わんばかりにドンピシャリ。少女の手は整い、のこるみんなはダメ。悪夢めいている。何故?2D6で算出される2から12の出目に全対応する積み込みなど、裏プロといえども想定の範囲外なのだ。
シーパイ。手積み。2D6。「トイ7です」「キサマ見ているな?」ここでハイデンベルクが少女に言いがかりをつけた。その意図は明らか。精神的優位を得るためだ。「ガンパイ行為だ。マージョン牌に微細な傷をつけて、伏せられた牌を判別しているのだろう?そうであろう?」ナ、ナムアミダブツ!
ハイゼンベルグは自らの違法配牌探知行為の責をニンジャスレイヤー少女に押し付けるつもりか!?「この闘牌!モノイイだ!ノーカウント!」「そ、そうだ!」ハンスマンが便乗した。「ノーカウント!」ヨロシマンもだ。
なし崩し的に敗北の負債を無くさねば、確実なセプクが待っている。切実であった。「ノーカウント!」「ノーカウント!」「ノーカウント!」「ノーカウント!」「ノーカウント!」「ノーカウント!」「ノーカウント!」シュプレヒコールめいてノーカウント連呼!
「アラー、やーねぇ」「みっともないザンス」「ダッサ」別の卓を囲む3人のマダムがホール中央の最上座で繰り広げられるミジメな行為を見咎めるものの、口を動かす以上のことはしない。カジノ支配人に逆らう愚は冒さない。
何らかの間違いで飛び火し、エロスセンタービル勤務の売女になどなりたくないのだ。「ザッケンナコラーッ!」「タテッコラーッ!」ああ、メン・イン・ブラックが少女の背後から迫る!「フーン、マージョン。やめるんだ?良いンだよね?やっちゃって」
少女の目つきにサツバツとした光が帯びる。「スッゾコラー!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女は両肘を背面に繰り出しメン・イン・ブラック肘打ち殺!「ウワッ死んだ」「ウワーッ!」南家と北家は頭を抱えて卓に伏せた。
そのカラテ速度を元手に少女の赤いビロードの頭巾が赤黒に!口元に生成されたメンポに刻まれる字牌めいた「忍」「殺」の漢字!変身!「何だと!?貴様、さてはニンジャ」「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤー少女は機先を制するようにスリケンを投じた!
ハイデンベルクの両目にスリケンが突き刺さり、スプリンクラーめいた血が雀卓と頭を抱えるカチグミ・サラリマン二人を染め上げた!「アイエエエエ!?」「ウワーッ!ウワーッ!ウワーッ!」悲鳴!失禁!マージョンカジノ「咲」はサツバツとした様相となった!
「ドーモ、ニンジャスレイヤーです。ハイデンベルク=サン、オマエがニンジャなのはお見通しだ」「ニンジャスレイヤー=サンだと!?何故ここに!?ドーモ、スリーストリクです」簡略アイサツ!精神的優位は既にニンジャスレイヤー少女の側にある!「イヤーッ!」
ニンジャスレイヤー少女は目の前の雀卓に跳び箱競技めいて飛び乗り飛び越え、連続カラテキックを繰り出した!「グワーッ!?」スリーストリクはアトモスフィアによって敵の動きを読んで対応するも、とてもではないが凌ぎきれぬ!「な、何たる連打か!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」右、左、右の巧みな蹴りの連打が、スリーストリクの顔面に叩き込まれる!ヘイキンテキの乱れたスリーストリクは対応しきれぬ!
この違法マージョン領域において、死はすぐそこに口を開けている。そしてここに集う誰もが、それは自分の運命ではないと考えているのだ。自らに破滅が訪れる、その瞬間までは。「ザッケンナコラー!」「スッゾコラー!」BAAAAANG!10人のメン・イン・ブラックが射撃インターラプト!
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤー少女は跳び箱競技めいて高く跳躍し、空中回転とともにスリケンを四方に投じ、着地ザンシンを決めた。メン・イン・ブラックたちはピストル構え姿勢のまま、ニンジャスレイヤー少女の投じたスリケンを額に生やして死んだ。
「アイエエエエ!?」「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」「アイエエエ!アイエーエエエエエエエエエ!」カジノにいたサラリマンやマダムたちは悲鳴をあげ、失禁し、点棒を放り出して床を転げ回った。あるいは我先にと非常階段に殺到し、違法マージョンカジノから逃げ出した。
「……オレサマの負けだ」スリーストリクは両目を潰された状態でアグラ姿勢となり、神妙に口を開いた。「だが分からない。メイドのミアゲに教えてくれ。どうやって牌のスリカエを?」ニンジャスレイヤー少女は早足でツカツカと歩み寄った。
「……スリカエ?」「していたはずだ。オレサマには分かる。ガンパイしていたのはオレサマのほうよ。だから分からない。余剰牌でも使ったか?牌の数に不足する瞬間はなかった。微細な傷暗号パターンを読み、書き換え、オレサマの目を誤魔化した?」思いつく限り、口にする。
そのいずれも、注意深く観察したはずであった。謎を知らねば、死んでも死に切れぬ。「そんなこと、考えたこともなかったよ。ドローするまで、牌は分からないものでしょう?」「馬鹿な!?」ニンジャスレイヤー少女はカイシャクの構えを取った。
「ウィリアム=サンのひみつを言え!カイシャクしてやろう」このテーブルゲームイクサはそういう取り決めで行われた。爆発四散前に果たすべきだ。だが。「知らぬ」「ナンデ」「空手形よ。オレサマは元来、ペーベアス=サンのオヒキ……外部協力者……組織の詳細など知らぬ」
セプクもののトテツモナイ・シツレイ!次の瞬間!「イヤーッ!」スリーストリクはアグラ姿勢からブレイクダンスじみて転がりつつ旋回脚!両目を潰されていながらも、モパイ透視行為めいてニンジャスレイヤー少女のいどころを察知しているのだ!「イヤーッ!」「アバーッ!」
カラテ・カウンターでスリーストリクの足関節無残!あまりの早業にニンジャ動体視力が追いつかなかった読者諸君のために、一度時を巻き戻し、スロー再生でもう一度見てみよう。スリーストリクがウインドミル旋回脚を繰り出した、次の瞬間!「イヤーッ!」「アバーッ!」
ニンジャスレイヤー少女は前方へ出した片腕の肘先を上向け、肘先を捩じって手の平を外側に向けた構えから、手の平にケリが届いたと同時に全身を巻き込みサイドローリングしたのだ!これは色々あって失伝したと噂されるドラゴン・ニンジャクランの投げ技!ドラゴン・タツマキ・ナゲ!
あのときスガン・カブレラからカラテ学習をすませていたというのか!?「ハイクを読め!」「アバッ……マージョンパイに……愛され少女……うらやましい」「イヤーッ!」「サヨナラ!」スリーストリク爆発四散!「ゴヨウダ!」「ゴヨウダ!」ネオプロイセン警察だ!KRASH!
騒動を聞きつけ、サイレ突入していた彼らより一足早く、ニンジャスレイヤー少女は施設奥の関係者以外立ち入り禁止扉を蹴破り、その先にあったガラス窓を蹴破り、トライアングルリープを駆使してすみやかに脱出した。
手積み山めいて画一的に連なる屋根上ショートカットを駆使して帰路につく、夜のベルリンの闇に影絵めいて跳びあがり、舞い降りる少女の胸は平坦であった。
(「ブラインダリィ・イントゥ・ダークネス・マージョン」終わり)
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#096【スリーストリク】◆少女◆
カジノキングを夢見る邪悪ニンジャ。エロスセンタービルでは体験できない非合法脱衣マージョンからの過剰アドレナリン分泌セックス体験をウリにシマの拡大に努めていたが、ニンジャスレイヤーに慈悲は無い。