ニンジャスレイヤーIF少女   作:BANZAINAMUSAN

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マスト・バイ・リムーブ・ナイトメア#2

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

(あらすじ:『ホーリー・ブラウニー』は広告アドバルーンでたまに見かける謎めいた店舗であったが、ドブネズミの情報によりヨロズ修復屋であることが分かる。ニンジャスレイヤー少女はスリケン穴の開いたグリム童話初版原稿の修復のため、該当の店舗があるというホッフェンハイム地区を目指す)

 

 

(「マスト・バイ・リムーブ・ナイトメア」#2)

 

 

若者向けの施設が等間隔に立ち並ぶ、ホッフェンハイム・ストリート。3階建てビルとビルの間には無数のスチームパイプラインが張り巡らされ、茨のごとく各ビル外壁を覆い隠し、霧雨めいた少々の酸性雨程度ではものともしないバリケード的な役目をも果たしていた。

 

 

「ゲルマンカラテヤッテミロ!」「ヨメ修行」「塾・郷土愛」大小様々なトレーニング施設存在を示す物理看板。優れていれば生き残り、劣っていれば消える。次々と淘汰されては、新たなアイディアから目新しい店舗に生まれ変わる施設群はショッギョ・ムッジョの体現。

 

 

往来にはレインコート者が多く、ティーンエイジャーが他の地区より目に付く。酸性雨を恐れぬスチームゴスやスチームヤンク存在が自己主張アッピールしているが。警察パトロールは手厚く、問題やトラブルが起きないか目を光らせている。

 

 

ガタン、ゴトン!ガタン、ゴトン!キイイイイイイーッ!スチーム機関車の力強いブレーキ音が唸り轟き、騒音を撒き散らしながらカーブ前減速していく。「おひるの時間ですプシュー!昼休みは一日一時間!規律を守って日々を効率的!」スチーム拡声器からの訓示が時報めいた。

 

 

一軒家一体型店舗である「こどものくつや」は、近隣の店舗から完全に浮いている。無慈悲なりし優勢性と劣勢性の選別は、いずれその店舗を磨り潰して雨後のタケノコめいて湧く3階建てビルに建て替えるだろう……初見の者は、古臭い二階建て木造住宅を見て誰もがそう思う。

 

 

どっこい生き延びていた。子供心に寄り添う、優越性のある店舗である証拠だ。杖をつき腰を90°曲げた姿勢で歩く老婆が、プルプル震えながらその出入り口で立ち止まった。「マダム、お気をつけて」ガチャ!チリンチリーン!

 

 

出入り口ベル音!老婆の買い物に付き添い、左手に持つ大きな傘を老婆側に掲げた男はドアボーイめいて「こどものくつや」の出入り口を開く。「いつもアリガトねぇ」「イッツマイプレジャー」「オマエサン、帰ったよー」

 

 

「オカエリ」老婆のアイサツに答えたのは夫であろう老人。「では店長。あとの接客労働は若い者に任せてもらえれば」「そういってもらえると助かるよ。ジョバンニ=サン。ではよろしく」「ヨロコンデー」店長夫婦は店の奥のプライベートスペースへ戻っていった。

 

 

歴史の荒波にもまれ世間擦れしたジョバンニは、メンターの悪い教えを活かして実際様々なモータルの家に入り込んでいる。地域に溶け込まなければ、クリスマス前夜にプレゼントを配るのは難しい……そのための言いくるめ。(モータル社会はこんなはずじゃなかったことばかりだ)

 

 

左手に持っていた傘を畳んで規定位置に仕舞い、自らの身を守っていたレインコートを脱ぎ、オールバック・ヘアを晒して仕立て屋装束に着崩れを整えるジョバンニ。右手に持った麦わら編みの買い物バッグを老人夫婦プライベートスペースの一角、キッチンテーブルへ置く。

 

 

一見してごく普通のネオプロイセン市民にとけこんで生活しているように見えるが、その描写はやや正確さに欠ける。正確には、身のこなしの端々に貴族的な奥ゆかしさがある。ぴんと伸びた背筋、均整の取れた足の運び、そういった部分だ。ベルリンに入り込んで3年目。

 

 

彼はニンジャアトモスフィアを微塵も漏らさず、世界中をぐるぐるしている。意図せぬアトモスフィア漏出など、挙動不審で増上慢なニンジャソウル憑依ニンジャがオモラシするようなもの。アトモスフィアのなんたるかを知れば、ウカツなオモラシなどしない。

 

 

少なくとも、ジョバンニの学んだニンジャ一般常識ではそうだ。そこにはシノビ・ニンジャクランの系譜や薫陶が見え隠れするかのよう……彼は数年周期でシマを変え、クリスマスの夜には近隣都市の子どもたちにプレゼントを配る。

 

 

ふと、メンターであるシンタクラースの小言がニューロンに蘇る……『血で血を洗うモータル史!道徳無くば、こうなるのだ……絶望したであろう、ゼンブラウニー=サン!』「否。希望はまだ失われていない。悪いことばかりではない」独白。まだ帰らない。帰れない……

 

 

少なくともこの老人夫婦のように、善性を残す人間は確実にいる。良い子はフィクションやファンタジーの存在ではない。実在するのだ。しかし、悪い大人達の悪影響で悪い子になっていく……大人を殺してでも守らなければ……

 

 

子どもの守護者を自負するゼンブラウニーことジョバンニは、今日までに何人もの悪い子の心に寄り添い、更生させてきた……しかし、モータル社会に悪い子はあまりにも多い……ゴキブリよりも繁殖力があるのでは?

 

 

彼にはもう、子ども心がワカラナイ……かつて確かに自身にあった在りし日を思い出すために彼はこの靴屋に取り入った。そして、バイトめいた薄給労働とはべつに、自身の特技、スキルを活かした副業「ホーリー・ブラウニー」業務で稼ぎを水増ししているのだ……チリンチリーン!

 

 

ジョバンニは我に返った。「イラッシャイマセー」接客定型プロトコルとともに笑顔。甘いマスクな。「スミマセン。サバットに向いた靴はありますか?」小学校低学年の子どもを3人連れたミドル世帯マダムはジョバンニに尋ねた。

 

 

体温が高いのか、顔を赤らめ上気している。ジョバンニは銀髪茶眼イケメンだ。マダムは子どもをダシにしてジョバンニにすり寄ろうとしているのが分かる。なんとエッチな!情緒教育に悪影響だ!

 

 

彼は巧みな身のこなしで躱した。「それですとこちら、爪先先端部から足の甲にかけてヤワラカマクラと同等の素材を用いた靴が」「ヤワラカマクラ?」マダムはカワイイコぶっている。

 

 

「エー!」「なにそれー」「あんまりつよくなさそう」三兄妹は否定的だ。ジョバンニの目には、彼ら彼女らの善悪カルマが見えている。ジョルリ・ミラーめいたソウル鑑定眼は、とくべつな修行で磨かれる。(こいつらのソウルはやや邪悪の様子)

 

 

カルマ・ニンジャの系譜か、シ・ニンジャやエンマ・ニンジャの系譜か……シンタクラースもまた、かつてそういったソウルに造詣の深いニンジャから学び、ジョバンニに伝授したのだ……「キックした際に大事なお客様のお子様の足の発育が歪んでは大変ですからね。ショック吸収機構なのです」

 

 

あくまでマダムに営業行為するジョバンニ。「アラマ!」化粧で顔の不細工さこそ加工しているが、心が醜い。子どもは無垢ながら、母親に影響され、どんどん悪い子に育ってしまうかもしれない(殺しておくか)ジョバンニの上位存在じみた傲慢なニンジャ邪悪さが顔を覗かせる。

 

 

内心で首を振った。ジョバンニは子どもが良い子でいるには、悪い大人を皆殺しにするしかないという極端な邪悪思想に支配されつつある。若きリアルニンジャ特有の増上慢。いつまでもモータル気分のままでは居られないのだ……しかし絶望に抗っている……

 

 

営業に集中。彼は口を動かす。カマめいたフィッチ(先端蹴り)はサバットにおいてオーソドックスなケリ・キックであり、ヤリめいたサイドキックに比べて正面突破破壊能力に劣るが、カラテ遠心力作用によって比較的カラテが低くても最低威力保障のある技だ。

 

 

だからと言って身の程を弁えぬ子どもがカマめいたフィッチを繰り出し、爪先先端部に発育阻害が出た事例も。「そういうことなのです」ジョバンニはサバットにおける靴選びの大切さと怪我の危険性をマダムに説く。二人の顔が近い。結果、128足の展示靴のうち3つも同時に販売!

 

 

プレゼンがうまい!なんたるビジン・ニンジャめいたゲゼン営業か!しかしこれはゲゼン・ジツではない!モータル社会の荒波にもまれて知識発明したホステスアクションだ!「お買い上げアリガトウゴザイマス。ショック吸収機構が機能した際は、修理をぜひ「こどものくつや」へ」

 

 

抜け目の無い商人の手口で修理営業まで!なんという集金サイクルだ!安定した収入源確保!しかしミドル世帯マダムや小学生たちは満足した様子で帰っていった。チリンチリーン。相互に満足感。ウィンウィン関係だ。(なんと汚らわしい!清掃!)

 

 

次のお客様に備えんと、室内を清掃すべく掃除用具入れからハタキや雑巾を持ち出すジョバンニ。どこか所帯じみている。老い先短い店長夫婦は「こどものくつや」の仕切りをほとんど彼に任せ、ライフワーク趣味じみて靴作りに精を出しており、靴のクオリティーは実際高い。

 

 

そういった創造的な仕事は、ジョバンニにはもはや難しい。トレース・ジツが、彼に模倣のワザマエばかりを磨かせる……チリンチリーン。再び来客。「イラッシャイマセー」来客アイサツしたジョバンニが露骨に眉を顰めかけ……かろうじて堪えた。接客業!

 

 

(なんと血みどろに赤黒く穢れたソウルなのだ。こんな、子どもが)現代に蘇ったマイニュ・ニンジャかと錯覚するほど、この世すべての子供達より遥かに邪悪そうなソウル傾向をした、赤いビロードの頭巾を被り、ケープを羽織る子どもが「こどものくつや」に入ってきたのだ。

 

 

「ドーモー。ホーリー・ブラウニーに依頼しに来ました」おひるの平和なホッフェンハイム・ストリート靴屋に、ベルリンで人知れずニンジャを何人も殺してきた、実質グリムリーパー(死神)のエントリーだ!「なんでさ」絶望!こんな子どもが実在するなんて、メンターから聞いてない!

 

 

◆タイプ休憩◆

 

 

◆タイプ再開◆

 

 

「……困りますよ。ホーリー・ブラウニーの受付は深夜2時から2時半です」ジョバンニはやや嘘をついた。ちょっとした小物の修復程度ならば、昼間に依頼を受け、人目のつかぬうちに終わらせる。他者へと安易に見せられない、闇のヨロズ修復業を深夜にやっているというだけ。

 

 

だが、相手が、マズイ。明らかに。とにかくどうにかやり過ごさなければ。「どうして嘘、つくのかな?かな?」少女は首を傾げた。(ウカツ!コイツもソウル感知系統な!?嘘発見的!?)ジョバンニは焦りを顔に出すかわりに、アルカイック・スマイルを浮かべた。

 

 

「あ、ああ、治してほしいものは、闇の逸話があるものなのだろうお嬢ちゃん? 私は職業柄、そういうもののアトモスフィアを感じる。そういう一品は深夜営業な」「そーなんだ……どうしよう……」悩む少女の姿が、ジョバンニには人間に擬態したモンスターのようにしか見えなかった。

 

 

「物品を預かり、後日修復後の物品を返却するというやりかたもある」「エート、それじゃ、これ」モンスター少女は肩がけスラッシュ編みカゴから、一目で誰かから強奪したものと見られる、穴が空いて血に濡れた原稿用紙用封筒を取り出した。「アブナイ!困りますよ。分かってくださいよ」

 

 

一般常識が分かっていないのだろうか?そんなものが野ざらしになっていたら一発で警察沙汰だ。ジョバンニには目の前の少女が人間に擬態したモンスターのようにしか見えなかった。「ウーン……それじゃ、また夜に、ウシミツアワーに来るのだわ」チリンチリーン!

 

 

少女はヤバイ級封筒を肩がけスラッシュ編みカゴに仕舞いなおし、靴を一瞥すらせず退店した。「フゥーッ……おいおいおいおい、ベルリンにあんなニンジャモンスターがいるとは聞いていないぞドブネズミ=サン。いや、彼はニンジャに無縁であったか……」

 

 

ジョバンニとドブネズミは、相互に数度のビズをやりとりする程度の仲であった。つまり、さほど親密ではないという意味だが。しかし悲しいすれ違い。ジョバンニは彼女がドブネズミからの使いとは思わなかった。勘違いだ。

 

 

(それにしても、なんと邪悪な)もしも何かの間違いで、アレがただの子どもであったなら、なんとか更生してやりたいとジョバンニは思った。しかし彼がこれまでモータル社会の荒波にもまれて学んだ手法では、その邪悪さを取り除くことはできそうにない。

 

 

それこそ、記憶の一切を漂白し、聖なるカテドラルへシスター修行に出すくらいしなければいけないと思った。「反省を促すナイトメア・ジツしかない」悪い子にナイトメアを見せるのはクリスマスだけなのでは?否。

 

 

それはシンタクラースのミームであり、ジョバンニのミームではない。彼のナイトメア・ジツは未熟であり、闇のエテルが最も高まる時間帯にしか使えない。次の来客時に、仕込む……シズケサ重点にジツ・アンブッシュ……ジゴクへの道は、善意で舗装されている……

 

 

こうしてニンジャスレイヤー少女は、草木も眠るウシミツアワーにグリム童話初版原稿を託し、敬愛する祖母の仇情報が手に入るカモと思いながら眠りについたあと、ナイトメアの悪夢を見ることになるのだ……010101111011010101……

 

 

……………………

…………

……

 

 

1010101111夢の中の夢の中。ノンレム睡眠のその先で、少女の無意識は01二進数となって暗号化され、揺蕩っている。黒墨めいた汚染ウイルス存在が不定形に蠢き、秘めやかにダウンロード読み取りに働いた。

 

 

ナイトメア・ジツは深層心理の二進数コードを読み取り、その者にとって「絶対にこうはなってほしくない」悪夢ストーリーを自動で構成、再生するたいへんシンピテキなジツであった。

 

 

果たして少女の悪夢は、彼女が敬愛する祖母の形を取った。「(理解した)死んだグランドマザーを愛する少女。アナタの夢は私のもの。アナタに相応しいナイトメアは決まった」内容はシンプルだ。すなわち、グランドマザーが少女を殺すべく襲いかかるというもの。

 

 

ナイトメアはジツにこめられた制約効果に則る、半ば自動的な、実質ニンジャビースト存在。トラウマ再現するヘンゲヨーカイ伝説の種類は世界各地で地域差がありさまざま。ナイトメアはその一形態なのだ。

 

 

やがて少女がこれまで見てきた邪悪ニンジャの愉悦表情を模倣するかのように、少女のグランドマザーと化したナイトメアは邪悪ニンジャめいた笑みを浮かべた。コワイ!

 

 

【0101010111へ

 今夜はずっと雨が降るそうだから、外へ出ちゃダメだよ。

 悪い狼さんがうろついているからね。

 お婆ちゃんが帰ってくるまで、

 ちゃんと良い子で留守番していなさい。

 それと地下室は絶対入っちゃいけないよ。

 -祖母より-】

 

 

シチュエーションが大事。ナイトメアは深層心理領域から動かず、少女のレム睡眠意識へオリガミメールを送った。地下に潜るムーブメント、すなわち深層心理領域まで主観意識を潜らせ、精神的に無防備なところを襲うプラン。フーリンカザンだ。

 

 

人間は禁忌を犯したがるもの。そして、実際ルールを破ったところを咎められたとき、心がビクッとしてヘイキンテキが乱れ、精神的劣勢となって弱ったりする!その習性を利用しようというのだ!なんたる原始的催眠洗脳作用を悪用した邪悪ナイトメアか!

 

 

こんなジツを考えた存在はそうとう性格が悪いに違いない!……実際、少女はどんな悪夢を見ているのだろう?一度視点を切り替え、見てみよう……「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!こんなのぜんぶ、悪い夢だ!」

 

 

少女はユメミル空間めいた未知のダンジョンを彷徨っていた。体感経過時間を忘れるほど敬愛する祖母の家リビングで待っていたが、どれだけ待ってもなにも変わらなかったのだ。そしてついに、謎めいた地下ダンジョンに降りはじめたところである。

 

 

何らかの何かを達成しなければ、永遠に目覚めないかのような感覚が、禁忌を破る後押しをした。少女は敬愛する祖母の家の地下にこんなダンジョンがあるなど信じられなかった。でももしかしたら、少女が忘れているだけで、実際あったのかもしれない。記憶力に不足。

 

 

ナラクやゼクスマイレンは居ない。ジャミングめいて、精神のチャネルが合わない……少女はひとりぼっちで、地下ダンジョンを降りていく……「イヤーッ!」アンブッシュ存在!「ニャーッ!」ネコめいた柔軟性でスウェー回避しカウンターカラテ!「グワーッ!」

 

 

フェイスレスめいた黒ベーシックニンジャ装束のニンジャがネコカラテパンチ一発で爆発四散。少女の悪夢が見せている、幻覚だ。しかしその目元にどこか見覚えが……「こんなのイヤだ!」

 

 

過度のストレスで少女のヘイキンテキが乱れに乱れている。平時の半分もカラテが出せない。腕にカラテが入らないのだ。ダンジョンの階段を降りる。地下二階、地下三階、四階、五階……

 

 

右にニンジャがいる!「イヤッー!」「グワーッ!」スリケン殺!左にニンジャがいる!「イヤーッ!」「グワーッ!」スリケン殺!後ろにニンジャが!「イヤーッ!」「グワーッ!」スリケン殺!どこか見覚えのある目元の黒ベーシックニンジャ装束のニンジャが次々と爆発四散!

 

 

それはランダムエンカウントめいて……地下六階、七階、八階……「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」少女の思考力が鈍化し、ニンジャ本能だけが鋭敏化し研ぎ澄まされていく。

 

 

「イヤッー!」「グワーッ!」「イヤッー!」「グワーッ!」父と会っては父を殺し、母と会っては母を殺す。ナムサン。ニンジャスレイヤー少女はもはや身も心もニンジャスレイヤー存在になってしまったのか!?このままでは少女の自我がトラウマ漂白されてしまうぞ。

 

 

それがナイトメアの狙いなのだ……危険すぎるぞ少女………地下九階、そして、十階。原始的催眠洗脳において、10進数の繰り上がり地点である10という階層はシンピテキな役割を持つ。意識と無意識の境界。ジッカイの成立にも関わっている概念。

 

 

見渡す限りの大宇宙。足場構成するフレームワークグリッド構築の地平線。緑色の01風が吹き、暗号化された少女の無意識が流れる領域に、悪夢はいた。「なんと愚かな……何故この禁断の地下領域へまで潜ったのですか?」欺瞞!

 

 

少女に背を向けるニンジャ存在は、大きな耳をしていた。エルフニンジャ、あるいはニンジャエルフ。白髪の上から被った赤緑チェック柄ナイトキャップ。チェック柄カッポギ・エプロンニンジャ装束の上から羽織る赤ケープ。

 

 

「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」少女の心は千々に乱れた。「好奇心は自らを殺すのです。懺悔して反省しなさい」少女の悪夢は振り向き、両手を合わせてオジギした。「ドーモ、【ピーッ!】=サン。ヒバナ・ニンジャです」少女は耳鳴りがした。直後!

 

 

「ゴボボーッ!」四つ這い嘔吐!ニンジャスレイヤー少女のニンジャ本能が、敬愛する祖母を殺さなければ悪夢から目覚めないと悟ったのだ!悪夢は取り除かなければならない!だが!(いやだ!)センチメントが心を呪縛!

 

 

ニンジャスレイヤー少女はこのようなブザマでグランドマザー・ナイトメアに勝ち、悪夢から目覚めることができるのか!?

 

 

(「マスト・バイ・リムーブ・ナイトメア」#2終わり。#3につづく)

 

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