(あらすじ:フォックス・ニンジャのニンジャソウル憑依者であるハウンドイエーガーは、存在格下ニンジャソウル憑依者、フリーンダスキンをコブンにし、まさに我が世の春であった。増上慢を隠そうともしないハウンドイエーガーは、ことあるごとにソウル自慢するのだが……?)
【忍殺メルヘン紀行】より【フォックス・ニンジャ・リコレクション】
ランベルト地方。鬱蒼と茂る森の中。月は翳り、あたりは闇夜に包まれていた。しかしニンジャ暗視力は闇を見通す。ニンジャコンビは木々の障害をものともせず、次なるモータル狩場を目指して夜を往く。夜はヘンゲヨーカイ、そしてニンジャの時間なのだ。
近隣の寒村でモータルを殺して省みず、好きなだけファック&サヨナラした二人は新たな獲物について話し合っていた。否。とてつもない存在格の黄金ニンジャ毛皮装束のニンジャが一方的に喋り、矮小なニンジャがぺこぺこするばかり。
「ワガハイの調査によると、このネオプロイセン連合王国ではパラディン・ニンジャなるものどもが根を張っておるそうだ。ワガハイを差し置いて超巨大ニンジャ組織など、けしからん。そこでワガハイはパラディン・ニンジャを乗っ取る事にした」またビックマウスが始まった。とフリーンダスキンは思った。
ハウンドイエーガーは壮大なビジョンを語りこそするが、中身は実質スカスカで、実現可能性が見えないのだ。「何か良い知恵はあるのですか?」すかさずヨイショ。相手はかのフォックス・ニンジャのニンジャソウル憑依者である。気分を害せばワカラナイ・キルされてしまう。コワイ!
「ひげだらけのしみったれ、オマケに、ぶち柄ニンジャ装束で腹ぺこのすっとぼけなフリーンダスキン=サン!もっと気が利いたことが言えないのか!」「ハイ、ゴメンナサイ」フリーンダスキンはネコ・ニンジャクランのレッサーニンジャソウル憑依者で、存在格的に反論できない。
「方法論を語る前に、整理しよう」ハウンドイエーガーは賢そうなことを言った。「整理する前にフリーンダスキン=サン。オヌシは何が出来るカネ?」「アッハイ。ボクは常人の三倍の速度で木に登ることができます」「それだけか?」「あとネコカラテ」「オヌシはバカ丸出しだ!」辛辣!
フリーンダスキンは同じことを100回は言われた気がするが、ウカツに言い返せぬ。相手はかのフォックス・ニンジャのニンジャソウル憑依者である。気分を害せばワカラナイ・キルされてしまう。「その点ワガハイはフォックス・ニンジャ=サンのパワで100のジツが使える!」「スゴイ!」
「ニンジャ六騎士のセブンスマン。ニンポマスターとはフォックス・ニンジャ=サンのことよ」ニンポとは、フィクションファンタジーに語られる、マジョやニンジャが用いるとされるニンジャ・マジックだと信じられているものだ。
ニンジャにとり、ジツではない荒唐無稽なものとされているが、あるいはフォックス・ニンジャのニンジャソウル憑依者であれば、実際100のニンポを本当に使いこなすのでは?と思わせる存在格がある。実際ニンジャアトモスフィアがスゴイのだ。
「おまけにワガハイはフォックス・ニンジャ=サンの知恵がいっぱい詰まったソウルを受け継いでおる!ワガハイにフォックス・ニンジャ=サンを掛けて100倍だ!分かるかこの算数が!」「ハイ!イイエ!分かりません!」「バカ!」「私はバカです!」ナムサン。なんたる自己批判だ。
「へっぽこネコのフリーンダスキン=サン!ワガハイに従えばいろいろ教えてやるし、たくさん良い目に合わせてやるから、ついてこい!」「ヨロコンデー」パラディン・ニンジャを乗っ取る方法は?とはフリーンダスキンは聞かなかった。揚げ足取りでワカラナイ・キルがコワイのだ。その時である。
「イヤーッ!」フリーンダスキンは常人の三倍速度で木に登った。彼の敏感なニンジャ野伏力が、敵性ニンジャ存在の接近に気付いたのだ。フォックス・ニンジャのニンジャソウル憑依者ともあろう者が気付いていないとも思えぬ。イクサにおけるワザマエを見ようと、フリーンダスキンは息を潜めた。
「そう、あれはいつだったか……ツル・ニンジャを巧言令色に騙くらかし、一杯食わせてやったのよ……」よく見ればハウンドイエーガーはフォックス・ニンジャとの記憶が混濁したのかトリップ状態になっており、敵性ニンジャ存在に気付いた様子は無い。
自分語りするのに気持ちよくなっている!敵意隠さぬ赤黒のニンジャ存在がずんずん近づいてくる!危険だ。(いや、待てよ。もしやアレは、ハウンドイエーガー=サンのワザマエなのでは?あえて増上慢を演じ、自身をターゲッティングするニンジャからの油断を誘おうという……スゴイ男だ!)
フリーンダスキンは声をかけず、とにかくどうにか自分だけは助かろうとより一層息を潜めた。(タタミ4枚距離!イザ!ハウンドイエーガー=サンはどうする!?一体どんな知恵と機転で乗り切るのだ!?まったく予想がつかない!)「イヤーッ!」「アバーッ!サヨナラ!」「え?」
敵意隠さぬ赤黒のニンジャ存在のトビゲリが頭部にクリティカルヒットし、首が360°回ったハウンドイエーガーはしめやかに爆発四散した。結局彼は今際の時まで自分語りをしていただけだった。(……い、いや!そんなはずは無い!彼はフォックス・ニンジャのニンジャソウル憑依者だぞ!?)
そう、きっと、あの爆発四散こそがニンポで、本体はあの一瞬で、どこかに身を隠したのだ。そして自分では全く理解できないなんらかのなにかで……フリーンダスキンはとにかくどうにか目の前の現実を都合よく曲解しようとした。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
敵意隠さぬ赤黒のニンジャ存在が両手を合わせてオジギした。常人の三倍速度で木に登ったフリーンダスキンに向かって。(……なるほど!俺がやつをひきつけているうちにアンブッシュするのだな!)「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン!フリーンダスキンです!イヤーッ!」
フリーンダスキンは位置アドバンテージを活かし急降下ストンピング!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはバック転回避!「ニャーッ!」フリーンダスキンはネコめいた柔軟性で着地と同時にニンジャ溜めの原理を働かせて落下推進力を90°直角変換!「ニャーッ!」
ニンジャスレイヤーもまたネコカラテ対応!「ニャーッ!」フリーンダスキンはミニマルなネコパンチ!「ニャーッ!」ニンジャスレイヤーはネコパンチをダッキング回避しつつ前足ネコ足払い!「ニャーッ!」前足ガードしネコ前足蹴り!「ニャーッ!」小ジャンプ回避しコンパクトなネコパンチ!
「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」「ニャーッ!」ミニマルでコンパクトなネコカラテ応酬はまさにカラテの小宇宙!
「ハウンドイエーガー=サン!イマダー!」フリーンダスキンのシャウトに反応し、ニンジャスレイヤーは瞬間360°カラテ警戒!「ニャーッ!」「ンアーッ!」フリーンダスキンのマネキネコパンチがニンジャスレイヤーのガラ開きボディーを捉えた!「バカめ!一手遅れたな!」
ニンジャスレイヤーはその場にくずおれ、フリーンダスキンは勝ち誇った。ハウンドイエーガーが姿を現さぬのはフシギであるが、一時的に正体不明ニンジャ存在となることでニンジャスレイヤーの対応幅に制限を加えようというタクティクスであろう。
彼に一生ついていこうとフリーンダスキンは思った。(だがこのイサオシは頂きますぜ!)「フハハハハーッ!オヌシごとき、ハウンドイエーガー=サンの手を煩わせるまでもないわ!このままバックマウントポジションからファックし立場を分からせてくれる!俺は平坦もイケるクチよ!」
フリーンダスキンのボー・オブ・ザ・コラシメルがエクレチオンしている!危険だ。しかしフリーンダスキンに学があったなら、ミヤモト・マサシのコトワザである「調子に乗っている奴から負ける」という言葉を戒めに、最後まで油断することはなかったであろう。
フリーンダスキンが黄黒ぶち柄ニンジャ装束の下半身部分を露出しようとした、まさにその時!「ニャーッ!」不屈の憎悪で四つ這い姿勢となったニンジャスレイヤー少女のネコアシ・ノバシ・アシ!「アバーッ!」股間に痛打!
そしてニンジャスレイヤーがフリーンダスキンの視界から消えた!一体どこに!?「お留守をイタダキ!イヤーッ!」「アバーッ!」背後から暗黒カラテ、ボディチェック崩れの変則肘撃ち炸裂!フリーンダスキンはカラテ衝撃で正面大木に打ちつけられた。「ハ、ハウンドイエーガー=サン!助けてくれ!」
フリーンダスキンのヘルプ要請にニンジャスレイヤー少女は今一度全方位カラテ警戒!カイシャクより先に未知数ニンジャ存在を警戒するべし!(((バカ!ただのブラフよ!この場にニンジャはコヤツ一人!)))「ッ!バカにして!イヤーッ!」ニンジャスレイヤー怒りのボトルネックカットチョップ!
「アバーッ!サヨナラ!」首切断されたフリーンダスキンはしめやかに爆発四散した。「フゥーッ。ハァーッ」プシューッ!スチームめいた熱気が放熱され、徐々に褐色となりつつあった少女の皮膚が白魚めいた白肌に戻っていく。
(((グハハハハ!キンボシ・オオキイ!よくぞフォックス・ニンジャを討ち取った!)))ナラクは上機嫌だ。(どっちがフォックス・ニンジャだったの?)少女は小首を傾げた。正面アンブッシュにも気付かぬニンジャアトモスフィアばかりデカいサンシタと、確かなニンジャ野伏力を持つ二人組。
ニンジャスレイヤー少女はナラクに警告されるまで、木に登って潜んでいたニンジャ存在に気付いていなかったのだ。(((無論、アンブッシュしたほうよ。アヤツは強大すぎるフォックス・ニンジャのソウルを御しきれず、実質サンシタであった。あの程度で爆発四散するなど思わなんだのであろうよ)))
(((生前時と憑依時とのニンジャ基礎能力の差にアジャストできておらぬ……くやしかろうのう。くやしいかろうのう。くやしいのう。くやしいのう。グググググ!グハハハハハ!)))ナラクはとても上機嫌だ。実際珍しい。
(((アヤツが真にニンジャソウル憑依適合しておったなら、実際100のジツを使いこなす、恐るべきマスターニンポとの死闘を覚悟する準備が必要であった。コムスメがフォックス・ニンジャのアウト・オブ・眼中レベルの未熟なへなちょこであったからアンブッシュが通じたのよ)))
(へなちょこって言うなーッ!)ニンジャスレイヤー少女はナラクに反抗しつつ、再びランニング速度で走り始める。ニンジャ山賊団をスレイした帰り道。まだまだカラテ至らぬ。「勝ってメンポを確かめよ」というコトワザを倣うかのように、ニンジャスレイヤー少女は気を引き締めた。
少女は「フォックス・ニンジャ=サンは100もジツ選択肢があったのに、たった1つカラテが出来なかったのかしら?」とつぶやくのでした。
【フォックス・ニンジャ・リコレクション】終わり
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#102【ハウンドイエーガー】◆少女◆
恐るべきフォックス・ニンジャのニンジャソウル憑依者であり、自分をこの世の王と信じて疑わぬ、典型的な増上慢。実際のイクサにおいて100の選択肢があったとて、状況に応じたジツを使いこなせたかどうかは怪しいものだ。
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#103【フリーンダスキン】◆少女◆
おそらくミンナペロリと同等か、やや劣る程度のネコカラテの使い手。ニンジャ野伏力ではミンナペロリを上回る。ニンジャソウル憑依者としてフリーダムに生きていたが、ハウンドイエーガーの謎めいたジツにより存在格差を分からされていた。