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◆「ミラーミラー?あなたはだあれ?」『ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。私は天に召します我らが主に遣わされたブッダエンジェルのビジョン』『今日はあなたを救済しに来ました。穢れ無き純粋な少女よ。復讐など忘れ、心を入れ換えて日々を誠実に生きなさい。それがあなたの最善の選択です』◆
【ミラー・ミラー・フー・アー・ユー?】#2
「復讐を、忘れる?」少女は困惑した。『死んだニンジャスレイヤー=サンの家族は、みなテンゴクで憩っています。あなたが【心を入れ換える】と誓うなら、あなたも【テンゴク】に行けるのです』なんたるセッポーだ。アクマめいた声とは別ベクトルに少女を誘惑!
しかも重点をリフレインさせているのでサブリマナル効果倍点だ!「テンゴク?テンゴクに行けば、パパもママもおばあさまもいるの?」『ええ。もちろんですとも』鏡の中のシスター少女が頷くと、鏡像はスチーム影響めいて曇り、何も映らなくなった。
やがて曇りが晴れると、ユメミルノハラで楽しげに歓談するニンジャスレイヤー少女の父親と母親と敬愛する祖母を映したではないか。『あらニンジャスレイヤー。そんなところで何をしているの?』『こっちにおいでよ』『美味しいアップルパイもあるよ』
死した少女の家族が、鏡の中から少女に手を振っている。当然、罠だ。だが少女の年相応に幼い自我を揺さぶって余りある誘惑であった。果たしてそのミラーは、なんらかのニンジャアイテムなのだろうか?元はミンナペロリが骨董屋から故も知らずに買い漁ったナリキンアイテムの一つ。
詳細は分からぬ。確かなことは、邪悪なニンジャソウルを封殺せんとするシスターニンジャが鏡を媒体に見せている幻影という一点!彼女は少女と己の精神的ポジションをキャスリングめいて入れ換え、肉体的主導権を握ろうとしているのだ!
ナムアミダブツ。テンシめいた声だろうが少女の肉体を欲するのは【ピーーーーーー】と大差ないではないか!『憎【プーーーーーー】!忘【パーーーーーー】殺【ポーーーーーー】!』「ンアーッ!」耳鳴り!少女は頭を抱えた!『【改心】しなさいニンジャスレイヤー=サン。これは【チャンス】なのです』
耳鳴りの中、テンシめいた声だけが、するりと耳に入り込む。重点が何度もリフレイン!『【改心】しないまま死んだら、行き先は【ジゴク】ですよ?』少女はもはや鏡を見ていられない。耳鳴りで頭が痛いのだ。
だが、鏡から目を逸らしているはずなのに、その網膜にアビインフェルノジゴクめいた殺戮光景が!「ンアーッ幻覚ンアーッ!」そのジゴクを作り上げているのは、ニンジャスレイヤー少女ではないか!『心穏やかにならねば、あなたは破壊と殺戮をふりまく邪悪なニンジャ災害へと成り果てるでしょう』
狡猾な揺さぶり!『おばあさんもそれは望まないのでは?』敬愛する祖母の声が少女を嗜める!『ニンジャスレイヤーちゃんがそんなことする子だとは思わなかったわ』「ヤメテ!」少女は激しく動揺!『さあ、【心を入れ換える】と誓うのです!テンゴクへ行きましょう!』テンシめいた誘惑!
なんと邪悪な神聖さだ!このような神聖な邪悪さが許されて良いのですか!教会の教えはどうなっているんだ教えは!……やがて少女は、足をプルプルと震えさせながら立ち上がり、うつむいたまま、吸い込まれるように大きな姿見に近づき……両手で鏡の縁を掴んだ!「……ウソだ!」
少女は鏡に映っていたシスター少女を鋭く睨む!アンコめいた甘露の誘惑に抗うべく!『何ですって?』鏡に映るシスターニンジャ装束の欺瞞少女は問い返す。「ウソだ!ママはアタシのことニンジャスレイヤーなんて呼ばない!おばあさまはそんなこと言わない!アタシ!もっと素敵な名前だモン!」
CRASH!姿見無残!『ンアーッ!』破壊したのはニンジャスレイヤー少女だ!「アタシは!アタシは!アタシの名前は!……アタシは、だあれ?」名前を忘れていたことすら忘れていた少女は、自己を定義する自我確立において最も基本的で大切なものが、何故か漠然として定かならぬことに驚愕した。
「え?」名前があるはずだ。愛されて生まれてきたのなら。だが思い出せない。ふわふわしている。メルヘンめいて。「ミラーミラー?アタシは、だあれ?」返事は無い。鏡は既に割れている。少女が割ったのだ。数秒間の静止。次の瞬間、少女のカンニンブクロは急速沸騰!
(許せない!おばあさまの声を騙って!)ゴウッ!憎悪の炉から火が滾る!内燃機関燃焼!カンニンブクロはばくはつすんぜんだ!(((ひとまずチョージョー。一時は退けた。だが憎悪や殺意を損なえば、容赦なく奴は自我を食い破ってくるぞ!さあ、儂に身体を貸せ!どうにでもしてやろう!)))
「うるさいなァモォーッ!みんなして、なんなのさ!」少女はアクマめいた声をも拒絶!その視界が滲み、世界の解像度が下がる!ふわふわローカルコトダマ空間へと無意識にリンクし、すべての判決を下すため、その平坦に宿るメルヘン幻想、もりのさいばんしょを映す!……01101000101……
……0110……カンカンカン!カンカンカン!少女は木槌を打ちました。
「せーしゅくに!せーしゅくに!」木槌に合わせて言いました。
サイバンチョ席に座る少女は、カンキンコンとやりあっている、褐色少女とシスター少女を見下ろしました。
「マナーがわるい!サイバンのときは、しずかにして!せきにすわりなさい!」
少女は二人に指定席を指差しました。
すると二人は、コトダマイメージに合わせて、座標を転移固定させられました。
『な、なんと!?なんというコトダマ適正……ッ!』
シスター少女はヒコクニン席に座りました。
『…………』
褐色少女はニンサツ席に無言で座り、あちこちに目をやりました。状況判断めいて。
そして、このコトダマイメージは裁判場であり、異端審問会であり、処刑場でもあるのだと判断しました。
(イクサのルールが変わった!コムスメの作るフーリンカザンを利用し殺すべし!)
ベンゴ席には敬愛する祖母が座っています。
「おばあさまはどうしてここにいるの?」
少女はおばあさんに聞きました。
『その子は悪い子じゃないんだよニンジャスレイヤーちゃん』
「ウソつき!」
少女が指を突き付けると、おばあさんは夜空の流れ星となって消えました。
「アタシ、ちゃんとわかっているのよ!おばあさまはもういないのよ!」
少女はぷりぷりと怒って、シスター少女を睨みました。
先ほどの鏡のやりとりで、犯人は分かっているのです。
「サイバンチョをバカにしたので減点です」と少女は言いました。
カンカンカン!カンカンカン!少女は木槌を打ちました。
「ヒコクニンは名乗りなさい」と少女は言いました。
『ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ゼクスマイレンです』シスター少女は名乗りました。
次に少女は、褐色少女に聞きました。
「ニンサツカン。この人は何者ですか?」
『そやつはダマシ・ニンジャクランの精鋭、ローライト・ニンジャのニンジャソウル憑依者だ!そやつはネイル・オブ・ザ・テンコマンドメンツというニンジャギアを用いたジッカイ・ジツで、まんまとコムスメのローカルコトダマ空間に入り込んでおる!万死に値する重罪!死刑相当!殺せ!』
カンカンカン!カンカンカン!少女は木槌を打ちました。
「せーしゅくに!せーちゅくに!」木槌に合わせて言いましたが、少女はうっかり噛みました。
それから、口のなかをもごもごしてから言いました。
「今からなんのサイバンするのか言います」
少女はオリガミメールを開きました。
「ヒコクニンのゼクスマイレン=サンは、アタシのパパとママとおばあさまがテンゴクにいると騙って、アタシを騙そうとしましたね?」
『誤解です!テンゴクに実際居ます!証拠ビジョンも提出します!』
少女はヒコクニンを睨みました。
「ウソつきの反論は認めません」
『そんな!?』
カンカンカン!カンカンカン!少女は木槌を打ちました。
「ウソつきはタタミ針千本の刑です。慈悲は無い」
『マッタ!話を聞いてくださッ!ウッ!ウグーッ!オゴゴーッ!』
少女はゼクスマイレンにタタミ針を千本飲ませました。
少女はニンサツカンをヒコクニン席に座標移動させ、ゼクスマイレンをシンモン席に座標移動させました。
「ではヒコクニンは名乗りなさい」と少女は言いました。
『ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。【ピーーーーーー】です』
褐色少女は名乗りましたが、名前がよく聞こえません。
「ピー=さんの名前が聞こえません。もう一回」少女はリピートを求めました。
『何度名乗っても無駄よ。そやつが儂の名乗りを封じておる。スゴイ・シツレイ!これは死刑相当では?』
【ピーーーーーー】はそう指摘して、ゼクスマイレンの死刑を求刑しました。
『オゴゴーッ!ウグーッ!ウグーッ!』
カンカンカン!カンカンカン!少女は木槌を打ちました。
「せーしゅくに!せーしゅくに!」木槌に合わせて言いました。
少女はシンモン席のゼクスマイレンに聞きました。
「ピー=サンの言うことは本当ですか?本当なら印象が悪いです」
『オゴゴーッ!ウグーッ!オゴゴーッ!』
ゼクスマイレンはまだタタミ針千本を飲み干しません。
「早く飲んで。役目でしょ」
少女が言うと、タタミ針千本はネンリキめいて、喉の奥へ奥へと入っていきます。
ゼクスマイレンのニューロンをすごく傷つけて、タタミ針は飲み込まれていきました。
『ウゴッ!ウゴーッ!オゴゴゴゴーッ!』
ゼクスマイレンのテンシめいた声はダテンシめいた声になりました。
『アバーッ!ゴハァーッ!ゴハァーッ!』
「シンモンカン。この人は何者ですか」
(ニンジャスレイヤー=サン……実際恐ろしい子……!)
カン!カン!少女は木槌を打ちました。
「黙ってて印象が悪い!はやく質問に答えること!」
ゼクスマイレンは両手を組んで、コトダマイメージを再定義し、ダテンシめいた声をテンシめいた声に戻してから言いました。
『黙秘します』
「印象が悪い!」
『マッタ!理由があるのです!』ゼクスマイレンは言いました。
『その邪悪なるニンジャソウルの名を封じることは、ジッカイ・ジツの維持に繋がるのです。よって、質問されても答えません』
「印象がとても悪いですが、言いたいことは分かりました」
カン!少女は木槌を叩きました。
「それでは今からなんのシンモンするのか言います」
少女はオリガミメールを開きました。
「ヒコクニンのピー=サンは、アタシの肉体を求めて繰り返し執拗に何度も誘惑しましたね?」
『その通り!全てはニンジャを殺すため!』
『なんと非道な!永年禁固刑が妥当かと!』
ゼクスマイレンもオフェンス状況と判断し、禁固刑を求めました。
カンカンカン!カンカンカン!少女は木槌を打ちました。
「エッチなのはいけないと思います」少女は褐色少女に厳重注意しました。
『そ、それだけ!?私はタタミ針千本飲んだのに!不当判決!』
ゼクスマイレンは控訴を訴えました。
カン!「シンモンカンの印象が悪いので聞きません」
『そ、そんな!?』ゼクスマイレンは絶句しました。
サイバンチョをバカにしたり、ウソをついたり、黙秘したり、ごまかそうとすると、印象が悪いのです。
印象が悪いと、実際様々な局面でジリー・プアー(徐々に不利)となります。
このようなものごとの流れを、インガオホー、といいます。
みんなはしないようにしようね!
少女は【ピーーーーーー】をニンサツ席に座標移動させました。
それから、サイバンチョ席を立ち、とてとてとヒコクニン席に移動しました。
カンカンカン!カンカンカン!少女は木槌を打ちました。
ヒコクニン席で打ちました。
サイバンチョ席から持ってきたのです。
「ヒコクニンは名乗りなさい」と少女は言いました。
「名前を聞かれても分かりません」つづけて少女が言いました。一人遊びめいて。
次に少女は、むっつりと黙って腕を組む褐色少女に聞きました。
「ニンサツカン。アタシの名前を言いなさい」
『コムスメの名になぞ興味無し!ニンジャを殺すための何のタクティカル・アドバンテージにもならぬわ!』
「ニンサツカンはニンジャのスレイにしか興味がなさそうなので、もういいです」
次に少女は、うちひしがれたシスター少女に聞きました。
「シンモンカン。アタシの名前を言いなさい」
シスター少女はビクッとしました。
ジッカイ・ジツの維持に必要なコラテラル・ダメージだと正直に言っても、なんとか言いくるめて誤魔化そうとしても、うまくいくとは思えません。
「早く言って。役目でしょ」少女の目つきはとても鋭く、狂気が渦巻いていました。
(「ミラー・ミラー・フー・アー・ユー?」#2終わり。#3に続く)