【ニンジャスレイヤーIF少女AoM】
・舞台は19世紀の産業革命期
・悪の科学技術が秘密裏に異常発展している
・わるいやつらはこそこそとなにかしているようだ
・ニンジャスレイヤーはニンジャをスレイする
【カイセキキカンUINXとは】
・人類史上最古のコンピュータ改善
・スチームと物理エンジンで動く
・FF式でダイアルアップ接続よりインターネット通信速度をはじめとした各種性能アップ
・最小単位の基本的な動作原理を本邦初公開!
【邪悪な敵ニンジャ】
・オーカミ・ニンジャ:ニンジャスレイヤーが倒すべき祖母の仇だ。
・カンリチョー:疑似キョジツテンカンの使い手。未来のニンジャスレイヤー少女にスレイされた。
・まだ見ぬEUシテンノ:今回登場する。こいつらもスレイ対象だ!
【今回のエピソード】
・EUヨーロッパアンダーグラウンドの研究話4
・カイセキキカンUNIXプロト構想誕生秘話!
・そしてEUシテンノの紹介エピソードンだ!
【サイバー・チェンジ・ストラクチャー】
「イチから作り直せ、ですって!?」「正気ですかオーカミ・ニンジャ=サン!」「いまでさえ時代を100年は先行しているのに!?」大小さまざまな理由で歴史に名を残せぬ、スゴイ級、テンサイ級の科学者が集うひみつの会議室は会議冒頭から荒れていた。
茶灰毛皮ニンジャ装束のニンジャ、オーカミ・ニンジャはチャブテーブルをひっくり返すようなことを言ったからだ。「そうだ。カイセキキカンは考えうる限りの改善をし、限界だ。次の段階に進むときがきたのだ。諸君。切り替えろ」と。
EUの運用、運営はオーカミ・ニンジャの手中。決定的な決定権が彼にある。だが科学者集団は納得できない!これまでの成果を用いた予算回収はしない?経済学的にありえない。「今までの成果がパーだ!」「もったいない!」「世界的に販売してシェア確保するべきだ!」反抗的!
「フー。なんというか、お前ら、ズレとるのお」オーカミ・ニンジャが四方に目線を飛ばすと、学者はみな一様に黙った。コワイ!「オレはいままで一度たりとも商売などしてはいない。研究に投資しているのだ。雁首揃えて、何故ベストを尽くさないのか。お前達が金の心配などする必要は無い」
実際科学研究者冥利に尽きる、ありがたい言葉。だが、だが、だが。喉元にこみ上げる反論を、彼らは飲み込む。コワイ!本能に刻まれたニンジャ存在への恐怖が反論を奪う。ただでさえ煮詰まっているのだ、方針を変えるとトップダウンされたなら、組織に拾われた彼ら彼女らに否応もあるまい。
十進方式から二進方式への演算方式切り替え。現代の価値観からしてみれば、少々ソフトウェア上でアウトプットを弄るだけで実現可能だが、カイセキキカンはその構造上、実質ハードウェアからの作り直しとなる。手で顔を覆いたくなるほどのコスト。
「繰り返し言うが、金などあるところから引っ張ってこれば良い。まずは、二進法式への切り替えを決断するに至った経緯について説明する」リアルニンジャの……プレゼン!オーカミ・ニンジャは配布したA4用紙プリントに印刷した【現状の問題点】を噛み砕いて読みあげた。
「……である以上、これ以上のダウンサイジングは不可能。現状は科学技術の発展を待つしかないという結論。ここまでの共通認識はいいかね?」一同は頷く。その現状を如何に打破するかが近年のEUヨーロッパアンダーグラウンドのトレンドであった。
例えば、パイプ配管の効率、各種原材料、スチーム燃料、その他諸々。考えうるすべてが限界だった。スモトリ数人分より小さくするのは性能に制限をかけぬ限り不可能。「いま、コペルニクス的発想転換が求められている」
天動説が信じられていた時代、地動説を唱えたニコラウス・コペルニクスの名セリフを振り返る必要など無いだろう。そう、「基本理論の交代は理論外の契機によって起こる」だ。理外の契機、つまり、ニンジャだ。【発想転換に至る新機軸構想】について、オーカミ・ニンジャは読み上げる。
「論理積を使う。XY軸にそれぞれスチーム配管を通し、クロス点をセル領域と称する。単位をbit。XYダブルチェックを通ったセル領域にのみスチーム注入し01変換、ON/OFF切り替えする仕様。8bitで1Byteとする。1Byteワンルーム構造を大量生産して大きくする」
「ヤバイ」誰かが呟いた。「この1Byteワンルーム構造フォーマットを如何に単純化し、小型化し、量産性を増し、省エネルギー動作させる配管構造を考えるかが今後のお前達の仕事だ」「ヤバイスギル」「なんて画期的なんだ」「故障部位のみ交換で整備性向上」それはヨイショではなかった。
心からの賞賛であった。「基本格子構造で単純」「それだけに拡張性が高い」「しかし、配管をどうすれば……廃熱問題もある」「だが、これなら……」途端にひみつかいぎ室にケンケンガクガクの議論が起こる。なんと頭脳指数の高い議論だ。高度すぎて理解不能。
あえて言うなら、オーカミ・ニンジャもその大部分を理解していない。彼はヤバイ級科学者に用意させたものを読みあげただけだ。「うむ。構想段階で課題は山積。議論のタネは撒かせてもらった。このタネを実りある成果に繋げる事を期待する」「「「「ヨロコンデー」」」」
オーカミ・ニンジャは一足先に退室した。あとは蓄音機が会議を記録するだろう。賢い書記もいるため、難解な科学的表現をオーカミ・ニンジャが理解できるよう噛み砕いた表現にしてくれる。「出番は無かったな。カンリチョー=サン」「オーカミ・ニンジャ=サンのソンケイを以ってすれば」
室外の天井に控えていたアッシュブラウン作業着のニンジャ装束を纏ったニンジャが上下さかしまのままペコペコした。頭が良すぎて物分かりが悪いようであれば、擬似キョジツテンカンを用いるため備えていたのだ。
「構造単純化が実現すれば、フリップフロップ反転効率が向上し、より一層お役に立てるかと」読者諸君におかれてはフィクションファンタジー存在のニンジャにおいて、天井を歩くニンジャを見かけたことはなかっただろうか?木の枝へさかしまにぶら下がるニンジャは?
彼らはみな、いまカンリチョーが使ってみせているサカサ・ジツを使っているか、サカサ・ジツを題材とした創作であろう。タタミ・ジツはサカサ・ジツの亜種発展系。キョジツテンカンホーとは、この虚実虚実虚実虚実虚実虚実虚実虚実なんかとにかくスゴイのだ。分かったね?
二人のニンジャがひみつ研究所の廊下とその天井を並んで歩く。「オヌシのソウルに刻まれしジツがまたひとつ、モータルの発展に寄与した。誇るが良い」「ありがとう存じます」「オレにはまったく分からん感性だが、反転する、という作用は科学者への良い刺激になるようだ」「そのようで」
彼らはどこへ向かっているのだろう?オーカミ・ニンジャが喰らうよりも活用する事に重きを置いた、選抜ニンジャが集う会議室へだ。ガチャ。「ドーモ。オーカミ・ニンジャ=サン。お待ちしておりました」「ッハ。己は待ってネェがな」「無礼者!」室内には3人。
ニンジャネームを冠する武器を所持する彼らの名はそれぞれ、スクラマサクス、ロートチャクラム、フランベルジュ。加えてカンリチョー。EUシテンノを自称する4人に、オーカミ・ニンジャを合わせて5人。「あまり騒ぐな。腹が減る」「スシはこちらに」
スクラマサクスは会議室で最も上座に当たる席へと用意した、イタマエ職人のオーガニック・スシ盛り合わせを指し示す。オーカミ・ニンジャは当然の権利の如く上座に座り、マグロを箸で摘み、ショーユをつけ、咀嚼。「それで?首尾はどうか?」「バルト海沿岸部確保」
紅一点、紅色のニンジャローブを纏うニンジャ、フランベルジュが口火を切った。「スケヴェニンゲン確保」クルタパジャマニンジャ装束ニンジャ、ロートチャクラムが繋ぐ。「ヴォルフハーケン確保」レーダーホーゼンニンジャ装束のニンジャ、スクラマサクスもまた続く。
「俺は周知の通り、擬似キョジツテンカンを発展」そしてカンリチョー。「よろしい。EU経由で新たなひみつ研究所建造を統括せよ。『本業』も忘れずにな」オーカミ・ニンジャがネイルを刺した。念入りに。群れのオサめいて、幹部統括。イクラキャビア・スシを箸で摘み、ショーユをつけ、咀嚼。
「沿岸部は広すぎます。『姫』を使っても?」フランベルジュが確認を取る。「構わん。そちらの構想はとっくのとうに頓挫した。好きにせよ」「ンフフ」妖艶な笑み。よくない表情だ。「フランベルジュ=サンばかりズルいぜ。己にも何かくれ」ロートチャクラムが強請る。
「シュトルムボックをとにかくどうにかせよ。無秩序で敵わん。勧誘する前に、希少なテンサイを幾人か亡くしてしまった」「アレはアレで、ケイオスを作るのに役立つ。それもまた、オーカミ・ニンジャ=サンの望みでは?」「無秩序を統制せよというのだ」「ハハハ。無理難題」
ロートチャクラムは笑いながら首を振った。「土台ベースを作って、後は野となれ山となれ、だ」ナムサン。なんらかのアジテーション行為を用いて反乱の気運を高め、支配構造を決壊させるに至った影に彼の……フランス革命にはニンジャ存在の影が?
「……」スクラマサクスは奥ゆかしく、何も語らない。「なんか言えよヘンタイ」ロートチャクラムが煽ると、スクラマサクスは彼を睨み返した。「……幼女が足りない」「ヘンタイ!」「騒々しい。静かにせよ。幼女?趣味嗜好は自由だ。オレのビジョンを妨げぬ限りはな」「ありがたく」
ヘ、ヘンタイだ!幼女性愛など……いや、思えばニンジャに生殖能力なし。幼女であろうと老婆であろうと、絶世の美女であろうともファックして孕ませることはない。逆説的に健全な?「汚らわしい」フランベルジュが辛辣!「レズビアンに言われたくは無い」険悪なアトモスフィア。
「ソコマデ!ヤメテダゼ!」カンリチョーが場を仕切った。「おのおのがた、我ら仲良しこよしのニンジャ幼稚園生にあらずんば、オーカミ・ニンジャ=サンをオサに集いし秘密結社。諍いは掲げられしビジョンへの悪影響無くするように」「もとよりそのつもり」「右に同じく」
オーカミ・ニンジャは食が進むのか、ずんずんスシを咀嚼していく。あらかた平らげ、マッチャで締める。「なかなか面白い余興であった。ツマミ代わりにはなったかな」「それはようござんした。道化になった甲斐もあるというもの」「ギャハッ!ホンネ!」
スクラマサクスはロートチャクラムを睨み付けた。「方針は下した。ベストを尽くすべし」解散、と言いかけたオーカミ・ニンジャは重点連絡事項を付け足す。「ニンジャを部下にするのは構わんが、オレの目の届くところに置いて喰らわれても文句を言うなよ」
部下の部下は部下ではない。言外にそういうオーカミ・ニンジャのスタイルを、彼らは理解している。時には己が喰われぬがためのイケニエめいて、部下ニンジャを運用することもあろう。彼らを繋ぐ一体感は、オーカミ・ニンジャにだけは殺されたくない、という生存本能に近い。
それを念頭においたとしても、オーカミ・ニンジャの群れ統括能力カリスマに感服する者、腹に一物含む者……サブ感情はさまざま。伝説のニンジャモンスター、ニンジャヒュドラめいて、ひとつふたつ頭を潰しても残る頭が牙を剥こう。
ニンジャスレイヤー少女。未来に敵対する秘密結社は、想像以上に懐が深いぞ。EUヨーロッパアンダーグラウンド……かれらはあまりにも、ワールドワイドだ。「以上、解散!」「「「「サン!」」」」瞬きする暇もあらば、その会議室からニンジャ5人は姿を消した。
【サイバー・チェンジ・ストラクチャー】終わり
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#108【スクラマサクス】◆少女◆
スクラマサクスはヨーロッパ紀元前より原型のある片刃の直刀で、実質欧州のカタナブレードツルギといっても過言ではない。スクラマは「深い切り傷を負わせる」、サクスは「刃」を示す古高ドイツ語から来ている。
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#109【ロートチャクラム】◆少女◆
チャクラムは、古代インドで用いられた投擲武器の一種。日本では円月輪とも呼ばれ忍者が使用したという伝説が。インドのカラテ、カラリパヤットの中にその運用技法は隠されている。つまりこうだ。古代インドにニンジャが実在した。
◆忍殺◆ニンジャ名鑑#110【フランベルジュ】◆少女◆
フランベルジュは波打つ大剣である。刀身の揺らめきが炎に見えるため、炎を意味するフランス語のフランブワンにちなんで命名されたという。その特殊な刀身が止血を難しくするため殺傷能力が高く「死よりも苦痛を与える剣」として知られる。