第一話
「いってぇ」と、目を開ける
地面に大の字で転がっていて、暗い色の空が目に入る
体中痛むが、「生きてる」そう言って上半身を起こすと
「うぐぅ・・・いたい・・・」
と、黒いオオトカゲが、目の前でむくりと起き上がった
「と、トカゲ?!」と、驚きつつ膝を立てて、直ぐに動ける姿勢にする。
体に染みついた、他者に対しての構えだ。
敵か味方か予想できない上に、指先の爪は、自分の手とほとんど同じ大きさに見える
「だ、誰がオオトカゲだ!!」と、自分の声に反応して、オオトカゲがこちらを睨む
「俺はアグモン!・・・アグモン?!」自身で名乗りながら、名乗った事実に驚くオオトカゲ、改めアグモン、未知でありつつ、
「アグモン・・・」と、自分の口から漏れた。
「退化してるううぅぅぅぅ!?!?!?」
と、黒いアグモンはぎゃんぎゃんと混乱混じりの悲鳴を上げた。
なんでぇ、なんでぇ?、と呻くように繰り返すアグモンに対して、自分の頭は何でか冷静だった。
「ここは・・・ダークエリア、か?」
曇天の空に、荒廃した大地、周囲に動く物陰は(目の前で悶絶している黒蜥蜴を除いて)見当たらない
デジタルワールドの下層、罪人や死者が送られ、その罪を問われる、リアルワールドでいう地獄に近い場所
それがここ、ダークエリアだ。
「つまり、デジタルワールド?なんで?」と、首をかしげていると「お前の方がなんでだよ!!」と、アグモンが叫ぶように言う
「フツー人間がデジタルワールドに来られる訳がないのに!」と、地団駄を踏みつつ
「しかも、厳刀ノ型になれたのに、退化しちゃうし!お前のせいか!!」と、泣きそうな目で睨みつけられる。
こっちもこっちでなんのこっちゃな状況なのだが、とりあえず襲われたくはないので、両手のひらをアグモンに向けつつ
「待て待て、ちょっと落ち着いてくれ。俺も状況が分かってないんだ」
と、待ったをかける。
「直前の記憶は・・・」自分のポケットをあさり、スマホを取り出して
「これに通知が来て」と、確認すると、電波は生きているが、まともなアプリケーションが入っていない。
「そのあと・・・」うつろに自分の手に、剣を握った感触が蘇る
「そのあと何?」と、アグモンが顔を寄せつつ、スマホをのぞき込む
「ナニコレ」と、そのまま唯一のアプリを爪の先でタップする
意外と器用だなコイツ、なんて思いつつ「勝手に触るな」と、俺は高い位置に手を挙げて
画面をのぞき込むと《起動不可能》、と通知が出る。
「「なんなんだコレ」」と、同じ言葉を発して、とりあえずお互いの状況を確かめることにした。
一瞬出た《起動条件達成》の通知には気付かずに