とある桜が散る有様   作:ウィルフル

2 / 7
書けそうなときにじわじわ書いていきます。


新芽は芽生えど開花は遠く
第一話


「いってぇ」と、目を開ける

地面に大の字で転がっていて、暗い色の空が目に入る

体中痛むが、「生きてる」そう言って上半身を起こすと

 

「うぐぅ・・・いたい・・・」

と、黒いオオトカゲが、目の前でむくりと起き上がった

 

「と、トカゲ?!」と、驚きつつ膝を立てて、直ぐに動ける姿勢にする。

体に染みついた、他者に対しての構えだ。

敵か味方か予想できない上に、指先の爪は、自分の手とほとんど同じ大きさに見える

 

「だ、誰がオオトカゲだ!!」と、自分の声に反応して、オオトカゲがこちらを睨む

「俺はアグモン!・・・アグモン?!」自身で名乗りながら、名乗った事実に驚くオオトカゲ、改めアグモン、未知でありつつ、

「アグモン・・・」と、自分の口から漏れた。

 

「退化してるううぅぅぅぅ!?!?!?」

と、黒いアグモンはぎゃんぎゃんと混乱混じりの悲鳴を上げた。

 

なんでぇ、なんでぇ?、と呻くように繰り返すアグモンに対して、自分の頭は何でか冷静だった。

 

「ここは・・・ダークエリア、か?」

 

曇天の空に、荒廃した大地、周囲に動く物陰は(目の前で悶絶している黒蜥蜴を除いて)見当たらない

デジタルワールドの下層、罪人や死者が送られ、その罪を問われる、リアルワールドでいう地獄に近い場所

 

それがここ、ダークエリアだ。

 

「つまり、デジタルワールド?なんで?」と、首をかしげていると「お前の方がなんでだよ!!」と、アグモンが叫ぶように言う

 

「フツー人間がデジタルワールドに来られる訳がないのに!」と、地団駄を踏みつつ

「しかも、厳刀ノ型になれたのに、退化しちゃうし!お前のせいか!!」と、泣きそうな目で睨みつけられる。

 

こっちもこっちでなんのこっちゃな状況なのだが、とりあえず襲われたくはないので、両手のひらをアグモンに向けつつ

 

「待て待て、ちょっと落ち着いてくれ。俺も状況が分かってないんだ」

と、待ったをかける。

 

「直前の記憶は・・・」自分のポケットをあさり、スマホを取り出して

「これに通知が来て」と、確認すると、電波は生きているが、まともなアプリケーションが入っていない。

「そのあと・・・」うつろに自分の手に、剣を握った感触が蘇る

 

「そのあと何?」と、アグモンが顔を寄せつつ、スマホをのぞき込む

「ナニコレ」と、そのまま唯一のアプリを爪の先でタップする

 

意外と器用だなコイツ、なんて思いつつ「勝手に触るな」と、俺は高い位置に手を挙げて

画面をのぞき込むと《起動不可能》、と通知が出る。

 

「「なんなんだコレ」」と、同じ言葉を発して、とりあえずお互いの状況を確かめることにした。

 

一瞬出た《起動条件達成》の通知には気付かずに

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。