魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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「さあさあ幕開けだよん。ご都合主義であり、理不尽な中盤が……ね」

by混沌の神器使い


第十話 初恋は叶わない。そして快楽殺人者は少年に牙を剥けた

 

 

 美樹さやかは報われない。どんな世界においても彼女の初恋が実ることはない。

 彼女の幸せな世界はもしかすると『別のほむら』が見届けているかもしれない。されど、このお話において初恋は実らない。

 彼女の悲恋は魔法少女になってから決定している。

 

 なぜこんなお話を始めるかと言うと、さやかが志筑仁美に宣戦布告されたからだ。

 運の悪いことに昨夜、ソラの失言で悩み苦しんだ最中の布告。最悪である。

 

 さて、今回始まるお話は救われず魔女となった魔法少女が助かる(・・・)お話だ。

 

 え? 矛盾している?

 

 君達は誤解している。

 

 魔女になったから救われないと誰が決めた?

 魔女になったから倒さなければならないと誰が決めた?

 

 そう、やはりお馬鹿さんは彼女を助ける。奮起する。

 

 愚かで優しいヒーローを志すこの少年は諦めない。

 たとえ、どんな形であっても。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 さやかは夕方の仁美の宣戦布告で呆然自失だった。親友が好きな人は自分が長年思い続けていた幼馴染みだ。

 

 応援したい。けれどそれは……。

 

 さやかに葛藤が生まれた。自分はもはや人間じゃない。だから上条恭介とは付き合えない。

 そんな言い訳で彼女は逃げた。そして、約束の日――――

 

 

 

 

――――彼女は恭介に告白することなく、仁美の告白を見守った。

 

 

閑話休題

 

 

 一方、ソラはまどかとさやかに無視されてしまったことに落ち込んでいた。

 やはり昨日の失言が原因である。とは言え、ほむらの手引きで自分と彼女達が接触する機会を待つしかない。

 

「……誰? さっきからコソコソと」

「クヒヒヒ……よくわかったわねぇ」

 

 振り返るソラの前に魔法少女がいた。紫の髪にツインテール。

 顔立ち美少女だが、目が濁っている。そんな彼女の手には禍々しいくらい黒いサバイバルナイフが握られていた。

 

「魔法少女? グリーフシードなら魔女に求めろ」

「私がほしいのは君の命さ」

「えー……。命を狙われるほどのことは…………ヤベ、してたわ。かぐや姫の世界で寝てる彼女の顔にヒゲを書いたわ」

「クヒヒヒ、とんでもないクソガキだね君」

 

 でも、と続けてソラの間合いに移動していた。

 

「さっさと死んでよ」

 

 黒い閃光。ソラはバックステップすることで回避した。

 虚空を描いたナイフはそのまま投擲されたが、神器で逸らすことができた。

 

「焼却死!」

「ッ!?」

 

 ソラの足元から火炎が噴火した。突然の火の出現で空中へ回避したソラだが、次に来たのは雷だった。

 

「感電死」

 

 ソラは神器を投げて避雷針にすることで回避した。ふと、彼は考えた。

 

(魔法? 火で殺すに、電気で殺す……。『人間を殺す』ことに関わりある魔法ってことか?)

 

 火と雷をヒラリと回避しながら彼は魔法少女の間合いに詰めた。

 待っていたばかりと邪悪に笑う魔法少女を確認してソラは魔法の障壁を構築した。

 

「溺死しろ!」

 

 ナイフ先から水の激流がソラに襲いかかる。障壁とは言え、耐えることはできてもその強い力を押し返せるほどの力はない。そのため、水の激流に飲み込まれた少年は肺から空気を奪われながら地面に叩きつけられた。

 手から神器は離れており、無防備な姿だ。

 

「クヒッ♪」

 

 魔法少女は逆手に持ったナイフで、咳き込むソラの頭を突き刺そうしてきた。

 獲った!と彼女が笑った刹那、ソラの手に神器が現れた。

 ソラは高速とも言える斬撃でそのナイフを弾き、がら空きになった身体に雷の魔法をぶちこんだ。

 

「ぐびゃァァァァァ!?」

 

 ソラもまた待っていたのだ。相手が油断したとき、無防備な自分にとどめをさそうと近づくこの女に致命的なダメージを与え、今度は自分がとどめを刺すという逆転撃を待っていたのだ。

 

 ソラの黒い一閃は魔法少女を――――

 

「ナメないで!」

 

――――とらえることはできなかったが、バックステップした魔法少女に蹴りを与えてやった。

 

 ゴロゴロ転がる相手にソラは神器を構えたまま睨む。

 

「クヒ……やるねー。油断したよ……」

「お前は誰だ? なぜオレを狙う」

「別に~? ただ殺したいから殺そうと思っただけだけど?」

 

 こいつ今なんて言った?

 

 殺人を暇潰しのように行うこの女にソラは怒りを覚えた。

 意味もなく行う殺人――――いや、ソラとしては殺人そのものは間違ってると思っている。

 人間が行うことじゃないとすら思ってるからこそ、この女が言ってることが許せなかった。

 

「なら、二度とできないようにする!」

「残念無~念♪」

 

 魔法少女は閃光弾を使い目眩ましを行い、逃げた。

 舌打ちするソラの耳にまだ女の声が聞こえた。

 

『私の名前は福神常世。覚えてて~♪ 私の獲物ちゃん』

 

 ソラは逃げた魔法少女を思いながら神器を握る力を強めた。

 彼は彼女を許さない。絶対に倒すと決めたのはこのときだった……。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 一方、杏子はさやかの戦いを見て異常を感じた。

 いくら身体がゾンビに似たモノだからって無茶苦茶だ。まるで狂戦士のような戦い方だ。

 

(見てらんねーぞコレ……)

 

 杏子はさやかが他人のために願ったことをマミから聞いた。

 馬鹿なことだと思った。けれどかつての自分もそうだ。

 だから自分に悲劇として返ってきた。これはその報いなんだ。

 

 さやかが影の魔女をズタズタにすることで結界は解除されたがさやかはグリーフシードを拾わなかった。

 

「オイ、グリーフシード……」

「いらない」

 

 バッサリとそう言って彼女はフラフラと放浪しながらどこかへ行った。まどかは何も声をかけることができず、その後をついていくことしかできなかった。

 

(これはまずいな……)

 

 杏子はまだ魔女の正体を知らないがさやかがまずいことに気づいていた。このままじゃ、彼女はいつ死んでもわかったもんじゃない。

 

 故に彼女は決意する。明日、さやかを自分の教会に誘い、自分のことを話すことを。

 

 

 

 

 

 

――――さあさあ、債は投げられた。

――――悲劇から喜劇へ

――――そして喜劇から悲劇へ

 

――――この少年の物語にご都合主義はあっても幸せ(ハッピーエンド)はない

 

 

 

 

 




ご都合主義――――まあリアルにはない主人公やヒロイン達を助ける救済装置ですね。

でも考えたことはないでしょうか?

ご都合主義こそ、何者かの力によって誘導させる装置であることを。
自分はご都合主義は嫌いじゃありません。

救われる者は救われるのが嫌いなわけがありません。
しかし、何か腑に落ちない。それがご都合主義を否定してしまう。

もしかするとリアルにはない何かを感じているかもしれません。

それが『何者かによる誘導』です。

チビソラの物語も誘導されています。まあこの場合ですと自分(作者)だと皆さまは思いますが、自分以外と仮定してください。

誘導する者はソラにとって、いや彼だけでなく魔法少女達にとって最強の敵です。

ワルプルギスをも越える敵だと予告しておきます。
そして『彼女』にとって因縁のある――――いや、ここから先は伏せておきます。

その敵は鹿目まどかが倒すべき敵だと言うことを最後にあとがきを終わらせましょう。

次回、間違ってない願い。間違えた正しさ

――――佐倉杏子。君はホントに間違ったのかな?

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