魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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「大馬鹿者。それがソラだ」

byソラの師匠より


第一話 出会いは折檻から(笑)

 

 

 鹿目まどかは夢から覚めた。おかしな夢だったことは確かだが詳しく覚えていない。

 しかし彼女が覚えていたことがある。

 

「淫乱じゃないもん……」

 

なぜか失礼なあの黒髪少年のことを覚えていた。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「たははは、本当におかしな夢だね」

「もう、さやかちゃんッ。私は怒っているんだよ!」

 

 登校中にまどかは小学校の頃からの親友に自分が見た夢を話すと案の定笑われた。

 この親友こそ、将来寝取られに合う『あたしってホント馬鹿』な女代表の美樹さやかである。

 

「なんか失礼なこと言われたッ? 主に地の文で!」

「どうしたの? さやかちゃん(アホのさやかちゃん)

「あれ? なんかまどかにも言われた? アホって言われたよね、あたし」

「ティヒヒヒ♪」

「なんで笑ってるの!?」

 

 世の中知らないことが良いことだとまどかはフッと影のある笑いを浮かべる。それに反応するさやかは必死だったりする。

 普段ならばまどかが弄られる立場だが、今回ばかりはまどかが逆襲するときだった。

 将来彼女がスゴい女性になる前触れかもしれない。

 

「それでどんな少年だったの?」

「えっと確か、黒髪で青空のような綺麗な瞳で。そうそう、あんな感じ、に……ぃ……?」

 

 まどかが少年の容姿を答えていると彼女達の前に件の少年がいた。

 青いジーパンに『見よ、素晴らしき筋肉』というプリントされたシャツを着て、何やら捜しているように見える。

 少年はどうもなぜ自分がここにいるのかがわかってないのか調べているところをまどか達に遭遇したのだ。

 

「いたたた……。あの黒髪病院にも関わらず撃ちやがって。ゴム弾だからよかったものの……ん? お前は確か……」

 

 少年もまどかに気づいて誰だったのか思案していた。そしてポンッと手を叩いた。

 

「あー! お前は確かあのときいた淫乱ピンク!」

「あのときっていつ!?」

「今でしょ!」

「違うよね!? というか、私は淫乱じゃないもん!」

「そうなの? ピンクの女の子って桃からエネルギーを蓄えるって師匠に聞いたのだけど……それもか?」

「それも嘘だからッ。あれ、これデジャブ!?」

 

 見たことある光景にまどかのツッコミはさえ渡る。さやかは「ほほう」と目を光らせて感心していた。

 

「あのまどかにここまでツッコミをさせるなんて……あんたやるわね」

「いや~、それほどでも~♪」

「なにを褒めているのさやかちゃん! 親友を助けてよ!」

「くっ、このあたしとしたことが! アタフタ姿の萌えまどかを愛でるか親友として助けることという二択を迫られるとは!」

「迷わず後者を選んでよ!」

 

 お前ホントに親友なのかとまどかが目で訴えていると「そこまでよ!」と誰かが叫んだ。

 

「いたいけな少女をいじめて喜ぶなんて最低ね。私が説教してあげる!」

 

 金髪のドリルとも呼べる髪型で何よりまどかと同じ見滝原中学校の制服を着た女の子がいた。

 おそらくまどか達より一つ歳上だが、その女の子の胸部は中学生と言えないくらい成長していた。なぜか知らないけどまどかに敗北感を与えることとなっていたりする。

 

「え? いやオレは別にいじめて――」

「あ、お姉さん。この人、うちの親友いじめてました」

「ってオイィィィィィ! あっさり裏切りやがって擦り付けるなよ! お前もやっていただろ!」

「やだなー。あたしがまどかをいじめるわけないじゃん~。…………愛でるけど」

「最後の何!? 愛でるってどゆこと!?」

「やかましいわね! しつこい男は嫌われるわよ!」

「ひでぶッ!」

 

 少年はさやかに鞄で撲殺されるように頭で叩かれた。教科書やノート、弁当などが入ってるのでかなり重いし、痛い。

 なのであまりの衝撃に少年は涙目だ。

 そして罪を擦り付けるさやかはマジで外道である。

 

「さあ、まどか。行くよ。仁美が待ってるわよ」

「いや、お前――――ひでぶッ!」

「あら、逃がさないわよ。お仕置きが終わるまで逃がさないわ」

 

 金髪のお姉さんがどっから取り出したマスケット銃で少年を撃っていた。

 惨劇が行われているにも関わらず、誰もツッコまないのはさやかとまどかの二人が既にこの場から逃げていたからだ。このお姉さんに気圧されて。

 

「いだだだだだだだッ! この人、なんとかしてェェェェェ!!」

 

 断末魔のような叫びを上げて少年はお仕置きに合うのだった。まどかはその叫びを妖精さんの悲鳴として扱った。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 さて視点を変えると黒髪少年である。彼の名前は一ノ瀬ソラ。歳は十歳だ。

 とは言え彼は小学校には通っていない。

 彼はかつて神隠しに合い、どこだが知らない場所に飛ばされ、故郷がどこだったのか覚えてないのだ。

 まあ、そのおかげで彼は恩師に出会い、それなりの強さを手にいれたわけだが。

 

 当然、彼には夢がある。

 

 救いのヒーローという子どもらしい夢だ。彼の師匠としてはさっさと目覚めて現実を見てほしいがためにソラに旅をさせたが、如何せん彼は優秀すぎて強すぎた。

 あらゆる悪意と困難を気合いと根性で立ち向かい、文字通り救いのヒーローみたいになっていたのだ。

 ゆえに彼は敗け知らずの純粋なお馬鹿だ。

 

「うぅ……あの人ホント容赦ないぃ……めちゃくちゃ痛かった……」

 

そんなお馬鹿だが、先程のお姉さんこと巴マミにお仕置きと説教されてズタボロだった。ソラの中で彼女は怒らせてはいけない人ランキングランクインとなった。

 

「……ここが故郷だといいな」

 

ソラとしては見識を広めるためだけではなく自分の故郷を探す旅でもある。彼はまだ諦めていない。

 自分の家族といつか会いたいのだ。

 

 それはさておき、彼の探索は夕方まで続いていた。疲れが出てきたがまあ、じっとしないだけでもマシである。

 しかし腹の虫だけは黙っていなかった。グーグーと朝と昼の分を合わせた夕食を腹の虫は求めていたのだ。

 

「お腹空いた……森に行ってサバイバル精神で生活したかったけど……ここ森ないじゃん」

 

 ソラは現在無一文で寝床無しのホームレス小学生である。

 ピンチ。ヤバい。このままでは飢え死にだ。

 そんなことを考えていると銃撃音が聞こえた。工事現場からだ。

 ソラはそこへ足へ運ぶことにした。誰かが戦っているような気がして。

 予想通り以前であった黒髪少女がいた。あの白いナマモノと討伐しようと躍起になっていた。

 

「逃がさない。絶対に逃がさないわ!」

 

執念と呼べるべきモノを感じたソラだったが今はどうでもよかった。

 理由は今彼は空腹だ。飢えた獣だ。そんな彼が見るからに柔らかそうな生き物を見ればどうも思うだろうか?

 

「ッ、君は僕が見えてるのかい? なら、助け――」

「お~肉~み~けッ!!」

「きゅぷいッ!?」

 

 神器を召喚し、白いナマモノを殺ろうとしたが失敗。舌打ちして逃げ出すその生き物を追いかける。

 

「逃がすかゴルァァァァァ! 今日の夕飯はお前じゃァァァァァ!」

「た、助けてェェェェェ!」

 

 キュウべぇを追いかけるソラの隣に黒髪少女が話しかけてきた。凛とした声が彼の耳に届いた。

 

「あなたは……」

「オレはソラ。夕飯はこいつ!」

「いや知らないわよ。というかキュウべぇを食べるつもりなの?」

「もちのろん! あの柔らかそうなお腹にかぶりつきたいのが人間の本能よ!」

「サバイバル精神まっしぐらね……」

 

 彼女は呆れるしかなかった。なんせお腹が空いたからキュウべぇを食べるという発想だ。どこの獣だお前だとツッコみたいが彼女としては都合のいいことだ。

 

「なら――」

「断る! お前にキュウべぇの肉は渡さん!」

「いや違うから! なんで私もキュウべぇの肉を所望するのよ!?」

「一緒になって討伐とは分け目を与えること。それ即ち食いっぱぐれのオレにとって大打撃だから協力はいらないから出直してこい貧乳!」

「誰が貧乳よ! 私だってこれから先は成長するわよ!」

 

 自分のコンプレックスを指摘されて顔を紅くする。ソラは気にせずキュウべぇを追いかけていると、キュウべぇと走っていた場所は上階だったので、天井を走っていたためガシャンと一緒に落ちてしまった。

 

「逃がすかァァァァァ!」

「きゅぴィィィィィ!?」

 

遂に捕まえると思った矢先、誰かがソラの前からキュウべぇをかっさらって、彼は柱に激突してしまった。

 

「うぅ……は、鼻がぁ……」

「な、何をしてるの!?」

 

 犯人はまどかだった。彼女がキュウべぇを守るべくソラからそいつを奪ったのである。

 ソラは怨めしそうにまどかを見ながら言い出す。

 

「何すんだよ。オレの晩飯だぞ!」

「こんな子を食べようとしないで良心が傷まないのッ?」

「傷まない! むしろさっさと食いたい」

「えぇ!? そ、それは駄目だよ!」

「なんで? ウサギだろうが蛇だろうがなんだろうがオレは食えるぞ? そいつを食うことに何か悪いことでもあるのか?」

「そ、それは……!」

 

 まどかは考えた。キュウべぇを救うためには何をすればいいのか。そして閃いた嘘をそのまま口に出した!

 

「わ、私のペットだから!」

 

 あからさまな嘘だ。誰もが見破る嘘。そんな嘘をソラは、

 

「え、そうなの? 残念……」

(えぇ!? 騙されちゃった!?)

 

 騙された。彼女が悪意ある嘘ならば彼は見抜いていたが、それ以外ならソラは嘘を見抜けない。

 純真な少年は心優しい少女に敵わないのである。

 

「騙されちゃ駄目よ。彼女は嘘をついてるわ」

「え? う、うーん……」

「ち、違うよ! ホントのことだから!」

「う、うにゃー……」

 

 二人の美少女の言葉に純真な彼は迷う。どちらが正しいのかわからないし、何より空腹で頭が回らない。

 するとどこからか消火器が飛んできて煙幕を造り出した。

 

「まどか、こっち!」

 

 さやかの仕業である。まどかは彼女の声に従ってキュウべぇを抱えたまま、さやかのところへ向かう。

 なぜかソラも付いてきたが。

 

「ってこの子確か、今朝の?」

「あ。お前は確か――――まやかだっけ?」

「美樹さやかよ」

「泣きさやかね。わかります」

「美樹よ、美樹! どこを間違えれば泣きになるのよ!」

「んで、ピンクはなんでここにいるの?」

「あたしを無視するなー!!」

 

 騒がしいさやかを無視してソラはまどかに話しかける。

 ちなみにしっかり自己紹介を済ませてから彼女は説明した。

 まどかとさやかはどうやらキュウべぇの声に導かれてここに来たらしく、そしたらキュウべぇを襲っているソラと暁美ほむらがいた。

 暁美ほむらとはあの黒髪少女のことらしく、今日転校してきた美少女だ。才色兼備という言葉が似合う彼女は他にいないとまどかは思っている。

 

「それでマカデミア村田さんがキュウべぇをなぜか襲っていたと?」

「どこをどう間違えたらマカデミアが出てくるのよ?

まあ概ねはそうね。てか、あんたも敵じゃないの?」

「えっとソラくんはお腹が空いたからキュウべぇを襲ったそうで……」

「野生児かあんたはッ!」

「うにゃ? なんでオレは野生児だ?」

 

 純真無垢な彼にとって理解できない言葉だ。ただ正直に生きているだけなのに。

 さやかとまどかが呆れているとそこでやっと気づいた。空間が変わっていることに。

 ソラはそれに反応して険しい顔になる。

 

「な、何よあれ!」

 

 彼女達の前に出てきたのは白い綿毛から髭が生えてる魔物だ。そいつらが持つ武器はハサミで切られれば死ねる大きなモノだ。

 そいつらこそが魔女の使い魔という魔物だ。

 ソラは狼狽える少女達を守るように前に立つ。

 

「離れるなよ。離れたら危ないって思え」

「ちょっ、なんであんたは平気なのよ! あれがなんなのかわかるのよ!?」

「わかんない。けど、敵だろ?」

 

 だから倒す。

 だからぶっ潰す。

 ソラは神器を召喚し、構えた。

 

「来いよ。マシュマロ共。全員まとめて斬ってやる」

 

 使い魔達が一斉にソラ達に襲いかかる。ソラはそれに反応してまどか達に近い使い魔を斬り、次に近い使い魔を斬った。

 斬られた使い魔は断末魔をあげるように苦しみ、光の粒子となった。

 

「何よその武器!」

「神器だよッ。よっと!」

「きゃッ!?」

 

 ソラはさやかを片手で抱えて、彼女の足を切ろうとした使い魔を蹴り飛ばす。彼の脚力は強いので使い魔は抉れるような形で討伐された。

 次々と来る使い魔を殴り、蹴り、斬る。それがしばらく続くが止みそうもない。

 

「ヤベー、そろそろ限界近いなぁー……」

「ちょ、がんばってよ!」

「無理。朝、昼の分がないからめちゃくちゃ辛い……」

 

 エネルギー切れはそろそろだった。使い魔はチャンスとばかりにソラへ襲いかかってきた。

 しかし、ソラは無傷だ。理由は何者かの魔力弾と銃弾が彼を守ったからだ。

 

「よくがんばったわ」

「あとはお姉さん達に任せて♪」

 

 ほむらは凛と答え、マミさんはウインクしてお茶目に答えた。




この頃からソラはぶっ飛んでます。ちなみに歳を変更しました。小学六年でしたが四年です。より子どもに近く、ときどき深く考えやすい子どもです。

まあソラの師匠の英才教育でそうなりましたが。

次回、とりあえず何か食べたい。

――――腹が減っては戦はできぬ。戦はしないけど
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