魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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「――――Don't forget.(忘れないで)

Always,somewhere,(いつも、どこかで)

someone is fighting for you.(誰かがあなたのために戦っている事を)

As long as you remember her.(あなたが彼女を忘れない限り)

you are not alone.(あなたは一人じゃない)


by誰かが言った(うた)



第二十五話 未来を描くため

 

 

 

 エピローグ的な話をすれば世界は改変された。

 魔女はいなくなり、魔獣という呪いを撒き散らす化け物がはびこる世界となった。

 魔女がいなくなった影響だろう。

 そして鹿目まどかという人物は人々の記憶からその存在が消えた。

 

 

――――ただ二人を除いて……

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 小さな男の子が地面に一人の少女の落書きを描いていた。その落書きを見て近づく少女がいた。

 頭にリボンを巻き付けた黒髪の少女――――暁美ほむら。

 唯一鹿目まどかを覚えている少女だ。

 

 

「まどか、まどかぁ!」

「うん、そうだね。そっくりだよ」

 

 鹿目タツヤは彼女に向かって笑いながらじゃれつく。

 

「コラ、ダメじゃないかタツヤ。女の人の髪を引っ張るのダメ」

「まどかまどか!まどかぁ!まどかぁはは。まどかぁ。あはは」

 

 父親である知久に注意されていてもなお、彼はじゃれつく。それを見た詢子は申し訳なさそうに言う。

 

「すみません。大丈夫でしたか?」

「いえ、こちらこそお邪魔してしまって」

 

 ほむらは彼に向かって微笑んだ。

 

「まどか……だね」

「はい!」

 

 ほむらは目を瞑りこれまでのことを思い出す。

 改変された世界ではマミと杏子が生きてることなっていたが誰もまどかのことを覚えていなかった。

 また美樹さやかは円環の理に導かれたこととなり、消滅していた。

 この世界では魔女にならない代わりに円環の理に導かれて消滅するというルールがあるのだ。

 おそらく実行してるのはほむらの知る親友だろう。

 

 そしてソラは行方不明だった。マミが言うには彼はいつの間にかいなくなり、今どこにいるのかわからないらしい。

 

「行くよ~」

「さぁ来い~。よっと」

 

 ほむらと詢子は知久とタツヤのボール遊びを見ていた。

 二人が話している内容はタツヤが言う架空の人物(鹿目まどか)のことだ。

 

「まぁその…あの子が一人遊びする時の見えないお友達ってやつ?子供の頃にはよくあることなんだけどねぇ」

「ええ。私にも覚えがあります」

「まどか……ってさ、あなたも知ってるの? アニメか何かのキャラとか?」

「さあ……どうだったか。聞き覚えがあるような、ないような」

「……そっか、アタシもどっかでタツヤと一緒に見たのかなぁ」

 

 詢子は覚えてない。だが、母親だったからこそ、彼女はいたと感じているのかもしれない。ほむらはそう推測した。

 

「たまにね。すっごく懐かしい響きだなって思うことがあるんだよね……。まどか……」

「そうですか」

「お? そのリボン、すごくかわいいね。アタシの好みにド直球だわぁ。ちょっとビックリしたくらい」

「差し上げましょうか?」

「あははは、こんなおばさんには似合わないって。まあ娘とかいたら? 付けさせたかもしれないね」

 

 詢子はそう言って苦笑いした。

 

(確かにいましたよ……あなたに娘が)

 

 風が吹いた。優しく吹いた風は彼女の綺麗な黒髪をなびかせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「らーくん、あい!」

「あだだだだ、なんぞ!? この小さな少年は何ゆえにオレの頭に飛び付くの!?」

 

 詢子は「またか~……」と違う苦笑をしていたが、ほむらは目を開いた。草むらに転がっていた彼をよく知っているからだ。

 

「ソラ……?」

「らーくん、らーくん!」

「いだだだだだ、タツヤくん。髪を引っ張ら――――あ″ぁ″ー!? 髪が抜けた。マジで抜けた!」

 

 何やらセンチメンタルをぶち壊されたほむらは半目になるのだった。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

「ハッハッハッ、少年。どうやらタツヤになつかれたみたいだね!」

「なつかれて髪を引っこ抜かれそうになっちゃったのですが」

「そのままハゲればいいのに」

「ほむらさん、シャレになんねぇッス」

 

 この世界ではソラと詢子達は初対面だ。ソラは覚えているが、詢子は覚えてない。

 知ってるけど知り合いじゃないそんな関係だ。

 

「まどか……ね」

「少年は知ってるのかい?」

 

 詢子の質問に是だった。ソラは頷いて続けた。

 

「女の子の名前ですよ。辞書によれば『満ち足りて安らかなさま』、『おだやかなさま』などの意味を込めてつけられる名前です」

「博識だな少年」

「まあ、オレには師がいてその人にスンゴイ英才教育を受けましたから」

「笑顔でサムアップしてるけど、顔が青いぞ……」

 

 ソラとしては二度と体験したくない教育だ。なんせ、間違えればムーの群れに落とされるという恐怖が待ってるからだ。

 もちろん無双して生き残れたが。

 

「でもオレが思うにこの名前には違う意味があると思うのですよ」

「違う意味が?」

 

 詢子は聞きたそうな目でソラを見ていた。ほむらも同じくだ。そんな二人の幼い子どものような「なぜなぜ?」という無邪気な問いに、ソラはクスリ笑って答えた。

 

「絶望を振り払う希望。押し寄せる闇を振り払える光じゃないかと思ってます」

 

 まどかはほむらにとって光だった。みんなにとって押し寄せる闇を振り払える女の子だった。

 そんな女の子がいたから、希望(まどか)いたから一時だが絶望(ワルプルギス)を乗り越えることができた。

 

「あ……――――」

 

 ほむらには見えたような気がした。ソラの後ろに彼女が、まどかが手を振っていたのを。

 彼女の目から雫がこぼれ落ちた。

 

「さてと、ほむらが澪尽くしになってるところを悪いけど。オレはもう行きます」

「どこにだい?」

 

 詢子はこの少年がただの子どもじゃないと感じていた。いやどこかで会ったような気もする。しかし、まどかを介して繋がった関係だったため思い出せない。

 だからこそ、この少年はどこから来て何者だったのか聞きたかった。

 

「ここじゃないどこか……。争いばかりの地です。もしかするとオレは人殺しを強要されるかもしれません」

「ッ、じゃあ尚更行くべきじゃ……!」

「行かなきゃ駄目なんです。そこがもうオレに残された居場所なのだから……」

 

 ここにはもう居場所なんてない。思い出があっても帰る場所なんてない。

 だから彼は師の元へ向かう。師が収集をかけてきた。

 おそらく師のいる世界はとんでもないことが起きてるに違いない。

 

「ソラ……私達じゃダメなの?」

「ほむら……」

「私達じゃあなたの居場所にはなれないの?」

 

 ほむらは不安そうに聞いた。ソラはそれに首を振った。

 嫌じゃない。けど、彼女達に甘えてばかりじゃいられない。

 

「大丈夫。ここには悲しいことや辛いことばかりだったけど、うれしいことや楽しいことがあったんだ……。だからオレはまたここに帰ってくる。戦争が終わったら帰ってくるよ」

 

 ソラは神器を召喚し、ドコでもドアを展開した。

 

「じゃあな、また会おう……!」

 

 ソラはそう言ってドコでもドアを抜け、ドアは消えた。それを見届けたほむらは呟いた。

 

「さようなら……心優しき神器使いさん」

 

 ほむらは彼の旅立ちを祝福し、よくわかってない詢子を落ち着かせるように行動に移すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――こうして彼の物語……少年の頃の苦い思い出はおしまい

 

――――絶望的で、希望もない、ただ悲しいお話だったけど

 

――――彼が交わした約束は、ほむらやまどかにとって忘れられない希望になるだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、そんな少年の思い出話は終わりだ。

 ではここから話そうじゃないか。

 

 ソラが『無血の死神』となった最低最悪な軌跡を。

 理想を捨て、現実を見るようになった絶望を知る人間の話を……ね。

 




以上でまどマギ編は終わりです。ちなみに最終章は叛逆の物語です。

そこでソラは終わります。はい、宣言しておきます。
このお話はソラの前世の悲しい物語なのでバッドエンドのようなビターエンドのような清々しく終われない結末を迎えます。ハッピーエンドじゃないかもしれません。

報われた人生は来世なので前作をご覧ください。
さて、最終章と言いましたがあくまでそれはソラの前世が終わるのであって来世の物語をここで書こうかと思います。

駄文で表現力がいまいちながらもこれからもよろしくお願いいたします。

次回、無血の死神編――――第二十六話 師を失い彼は理想を捨てる

――――共に戦った少女は夢を見た。悪夢で最悪なお話を
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