魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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「終わりの始まり」

by千香


第三十三話 決戦前

 

 

 

 ソラの部隊は遊撃だ。攻撃に周り、防御に入る部隊。しかし隊長であるソラは個人で行動する。隊の兵士に気にせずどんどん前へ進んでいく。

 

 千香がそれをまとめてソラに続くように行動するが、仮にソラが囲まれればどうなるか?

 

 答えは簡単。彼はそれですら突き破る。集団戦で挑まれた彼は喜んでそれを一人で対処する。彼は常に誰よりも先へ行き、切り開いていく。

 

 ピンチを好機に変えていくのだ。それが英雄と呼ばれる由縁。

 

 味方には敬意の畏れを抱かせ、頼もしい守護者。

 敵には恐れを与え、全てを蹂躙していく破壊者。

 

 彼を止められる者はそこらの有象無象では話にはならない。トップクラスの実力者が相手しないと戦いにはならないのだ。

 

 今現在、その状況を表していた。ソラはどんどん前へ進む。千香は彼の後ろ姿を見ながら思う。

 

(君はいつもボク達の前へ行くんだね……)

 

 彼女が望むのは彼の隣にいること。

 

 いつか届きたい。

 いつか認めてもらいたい。

 

 しかし、ソラはそれを否定するかのように千香達に目をくれず進む。仲間が倒れおうが傷を負おうが、そして命尽きようが彼は前だけしか見ない。

 

(君はいったいどこへ行こうとしているんだい……?)

 

 千香はいつかソラはどこかへ遠くに行きそうような気がしてならなかった。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 同盟により着実に魔王軍は追い詰められた。もうじき最終拠点を落とせばこちらの勝利をもたらせる。

 

 夜の丘にてソラはボンヤリ空を見ていた。

 

(明日で終わり……か)

 

 全ては明日で終わる。ソラはこれまでの十年間を思い出す。

 

 

――――師匠を失って間違いだと気づいた

 

――――まどかと再会し、自分に余裕を持てた

 

――――千香を助けたが、彼女が変態化した。オレは無力だ……はぁ

 

――――アルスを失って本当の無力というモノを知り、女神と契約した。そしてオレは最強の神器使いになろうとした

 

――――勇者と出会い、昔のオレと重なった。改めて馬鹿だと思えた

 

 

 そして今、彼はここにいる。悲劇を重ね、辛い現実と理不尽に立ち向かい、泣いて笑って生きてきた。

 

 ソラは目を閉じて交わした約束を思い出す。

 

 彼女との約束を果たすための手だては大方ついた。概念化した存在を実体化させることを理論化した人がいたらしい。その人を参考にして彼はまどかをほむらに会わせるために、この戦いが終われば見滝原に帰るつもりだ。

 

 あそこは辛いことしかないけれど、同時に楽しいことや充実した日常があった。

 

 笑みが自然と出てきた。もうすぐだ。もうすぐ彼女達に会える。もしかするとまどか以外は自分のことが誰かわからないかもしれないけど、そのときは驚かそう。自分はここまで大きくなったことを、びっくりさせよう。

 

 そしてもう一度遊ぼう。馬鹿みたいに騒ごう。できなかったことをして、笑って楽しもう。

 

 ソラは覚悟を決めた目で空を見上げるのだった。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 暁美ほむらは限界だった。もうソウルジェムが濁り切っていた。もうじき自分はまどかに導かれる。それはうれしいことだ。しかし――――

 

(ソラに……さよならできないわね……)

 

 円環の理に導かれた世界はどんなところだろうか?

 

 何もない世界なのだろうか?

 

 それとも夢のように悲しみのない世界なのだろうか?

 

 まあ、そんなことはどうでもいい。今は眠ろう。疲れた。

 

 ほむらは倒れて目を閉じた。幸せな夢を見ようと彼女は眠りに落ちる――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暁美ほむら。君には一つの実験体になってもらうよ」

 

 白い悪意――――いや好奇心を持つ生物が彼女に手をかける。それは一つの終わりの始まりを示す。

 

 円環の理と――――ソラの終わりを…………。

 

 

 全ては必然。英雄となった彼が見滝原を訪れるとき、全ては終わる。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

「という占いだわさね」

「占い婆、それマジで?」

 

 ソラと千香は最終決戦前に占いをしてもらった。占い婆とは町一の占いをしてくれるおばあさんだ。その人の占いが外れたことはない。

 

「お前さんがその見滝原に訪れるとき、全てが終わるだわさ」

「全てって……?」

「お前さんの約束、お前さんの故郷、そしてお前さんの人生が……ね」

「デタラメ言わないでよババア」

 

 千香は冷めた目付きで占い婆を睨む。しかしソラはそれをやめさせて彼女に言った。

 

「オレは終わるつもりはないさ。ましてや、そう簡単に死ぬと思っているのか?」

「それは……」

 

 千香はソラの言葉に反論できなかった。それに、とソラは続ける。

 

「オレの人生が終わったとしても、オレが作った絆は消えない。こんなヤツがいたんだって思い出してくれればオレはそれでいいよ」

 

 ソラは椅子から立ち上がり、歩き始める。千香はそれについていった。残された占い婆は呟く。

 

「たとえその結末が死だとしても、それを受け入れ歩む……か。本当にそれでいいのかどうか賛否両論分かれることだねぇ……」

 

 しかし、と占い婆は言った。

 

「お前さんの言う通りだわさ。作り出した絆は消えないさ――――永遠に」

 

 雑踏の中へ占い婆は消えていく。それ以来、この老婆は姿を見せなくなった。

 

 彼女が何者だったのか。

 彼女がどこからきたのか。

 

 それは誰にもわからない。けれど、これだけは言える。

 

 彼女はソラに『未来』を教えてくれた。悲しい結末でも、喜ばしい結末でもないがその未来へソラを導く。

 

 いずれ来る彼の幸せのために…………。

 

 




来世の話ですがソラは苦労人でドタバタした毎日を過ごします。占い婆はそのことを言っていたりしますが、ソラは気づかぬまま終わります。さて、叛逆ですが少し加筆するところがあるかもしれません。
まあ楽しんで読んでいただくのが自分の願いです。

次回、決戦、魔王軍――――そして……

――――嘆け、苦しめ、狂え……ここが地獄の入り口だ!
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