魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~ 作:ぼけなす
by一ノ瀬ソラ
朝日に当てられてオレは目を覚ました。本日は快晴なり。
まだほむらは寝ているがソラは外に出て公園へ向かう。彼の日課である鍛練だ。
走り込むやアクロバティックな動きなどをして自分の身体の調子を確認した。
(昨日、まどか達にほむら曰くの魔法少女の真実を言いかけたが、やっぱナニカが邪魔して言えなかったなー)
ソラが言ってることは『抑止の存在』のことである。
世界にはルールがあり、そのルールを守護するのが『抑止の存在』だ。どんな形でどんな生き物かは定かではないが師匠曰く、敵対してはいけない。
人の庭で部外者がどうこう言えないように『抑止の存在』に挑むことは無謀なのだ。
(でもここのルールは寛容みたいだな。神器が使えるし、身体の動きに制限はない)
だがその代わりに魔法少女の真実は言えない。言葉に出そうにも発音ができないそうだ。
ソラは鍛練を終わらせてほむらの家に戻る。そして彼女の朝ごはんを見て驚愕した。
「え、なにこれ?」
「カロリーメイド。ヴィンター」
エネルギー供給食品信者はこの家の主なのでどうこう言えるソラではなかった。
☆☆☆
お昼は適当に済ませたソラは探索をし、どういう町なのか改めて知った。変わったビルが多くガラスを使った細工が多い。
ヨーロッパみたいな町並みなのだが、知識がないのでこれがここ町かというのが感想だ。
夕方、彼はふと立ち寄った工事現場でマミ達を見かけて追いかけた。
どうやら彼女達は魔法少女の体験ツアーというモノに参加しているようだ。なお、ソラも途中参加という形で彼女達に同行した。
「へー、ここが魔女結界――――なんかキモいな」
「薄気味悪いところなのは確かだよね……」
「ま、私がかかればお茶の子さいさいよ!」
「いやティーポットのバットで言われても……」
さやかの武器はバットだったらしいがマミのリボンでティーポット型というスタイリッシュな武器となった。
あれ? そういえばこのバットって学校から拝借したようなとまどかは頭で思っていたが気にしないようにした。
翌朝、バットがお洒落になっていても野球部は気にせず部活してくれるはずだ。
そうに違いない。
そんな強引な未来予想をしながら気にせず魔女がいるところまでマミ達と共に向かう。
「ここね……」
「明らかに女子の部屋の扉ッ! これは青少年にとって秘境の地!」
「そ、そうなのソラくん?」
「いや知らない。師匠の知り合いが言ってたからそうじゃね?」
「あなたの知り合いの知り合いらおかしいわ」
「そうだなー。なんせパンツを頭に装備して戦う淑女だからなー」
「どんな淑女よ!?」
変態という名前の淑女です。
まあそれはさておき、マミ達は扉を開けて魔女を視界に入れた。
顔面が見えず頭に無数のバラを生やしたヘアースタイル。そしてドロドロした粘土みたいなボディ。
まさしく怪物の名前が似合う魔女――――薔薇の魔女が鎮座していた。
「あれが魔女……」
「そうよ。破壊と災厄を振り撒く――――あれ? ソラくんは?」
いつの間にかソラがいなくなっていた。そして彼女達が次に見たのは――――
――――魔女のバラにチャッカンマンで燃やそうとする
「「「なにしちゃってるの!?」」」
まさかの奇行に誰もがツッコまずにはいられなかった。しかも既におそくソラはバラを燃やし始めていた。
「GYAAAAAAAA !」と魔女が奇声をあげた。
まるで「いやァァァァァ私のバラがァァァァァ!?」と叫ぶ少女のように。
イタズラに成功した悪ガキはトコトコと駆け足でまどか達のところへ帰ってきた。
「ただいま~」
「ただいま――じゃないわよ! なんてことしてんのよ!?」
「いやだってあのバラが燃えるか気になるじゃん。だから実験した。後悔してない」
「反省しろ!」
「だが断る!」(バーン)
「あんたはねー!」
ジョ○ョポーズをとるソラにさやかが説教を始めようとしたとき、ソファーが飛んできた。
魔女が投擲したモノだ。
それをソラとマミはまどかとさやかをそれぞれ抱えながら回避することができた。
魔女のヘアースタイルは無惨にも黒い炭の塊と化していた。
「怒ってるじゃん! あれ明らかに怒ってるよね!?」
「……あんなに狂暴化した魔女は初めて見たわ」
「やった。マミさんの初めていただいた」
「いやどうでもいいし、なんであんたはいかがわしい知識を知ってるの!?」
「うちの
またの名をノエルと言う。ソラの師匠の知り合いはろくなことを教えていない。
それはさておき、駄弁ってる場合ではないが、狂暴化した魔女を鎮火させるためにマミはマスケットを展開し、得意の射撃戦を始める。
一方、さやか達に使い魔が襲撃してきたがソラが彼女達を近づけさせないように、戦う。黒い斬撃が一つ一つの線を描く毎に使い魔は光の粒子と化す。
「いやっふゥゥゥゥゥ!」
ソラは生き生きとした顔で化け物退治を楽しんでいた。それを見た二人の少女は苦笑を浮かべずにはいられなかった。
「なんかソラくんが輝いてる……」
「なんであいつは生き生きしてるのよ……」
それがソラクオリティなのだと気づくのは未来の話である。
☆☆☆
マミの魔女退治は最後の使い魔を切り裂いたと同時に終わった。マミはまどかとさやかにグリーフシード――――所謂魔女の卵について説明する。
このグリーフシードがソウルジェムの穢れを取り除く手段らしい。ソラから見れば呪いを取り除くために使われる呪いのアイテムだと思っている。
するとマミは誰もいないはず方角へグリーフシードを投げた。そこにいたのはほむらで彼女は険しい顔をしていた。
彼女にとってまどかが危険なところへ向かうこと――つまり魔法少女になるきっかけは良しとできなかった。
「あと一回くらいは使えるわよ?」
「……必要ないわ。これはあなたの報酬。私が用があるのは鹿目まどかと一ノ瀬ソラよ」
ソラという言葉を聞いてマミ達は微妙な顔となった。そのリアクションにほむらは「え、どうしたの?」とオロオロとした表情となった。
「な、何があったの?」
「い、いやー。なんかソラが魔女を怒らせて大変なことになったのよ転校生……」
「私も魔女が怒った姿なんて初めてよ……」
「あれが女の子だったと思うともっと怒っていたかも……」
答えを言ってるまどかにドキッしたほむらだがキッとソラを睨み付ける。
「あなたはいったい何をしてたのよ!」
「好奇心に赴くままに行動してやったぜ!」
「なんで爽やかにサムアップしてるのよ!? 巴マミよりあなたが悪いってことじゃない!」
「いやー魔女って燃えるんだなー。さすが乙女。髪を燃やされたら怒るわ怒るわ」
「怒るわよ! 髪は女の命よ!」
ほむらが言うとなおさら説得力があった。サラサラした綺麗な黒髪美少女にビシッと言われれば誰だって反省するが、残念ながらソラには意味がない。
心は子どもなので無邪気で平等だし、何より情操教育が皆無な彼なので異姓の扱いはわからない。
「うーん、そんなに怒ることなの?」
「「「「怒るわよ!!」」」」
女性陣の批難に肩を狭くするソラだった。
やりたい放題がスタンスです。
☆☆☆
夜の公園にて、ほむらとマミは対峙していた。理由はやはりまどかとさやかの魔女退治体験ツアーをやめさせることだ。
ほむらとしては危険で何よりまどかが魔女になる可能性を消したいという目的だからこその否定だが、マミは魔法少女が魔女になることについて知らない。
だからほむらの警告は自分の後輩の可能性を消すことしか聞こえない。
利害は一致しない。ゆえに彼女達は敵対する。
ふと、マミはソラのことを口に出した。
「あなた、ソラくんのことをどう思ってるの?」
「……私の相棒かしら? まあ彼は私を利用しているし、私も彼を利用するつもりよ。まだ彼の目的はわからないし」
「……ありえないわ。ソラくんがそんな打算的なことを考える子かしら?」
「こういう子に限って疑うべきよ。純粋な者なんて――――」
「嘘ね。ソラくんはそういう子じゃないわ」
(相変わらず甘いわね……。そういう子が一番腹黒いのよ。)
ふと、ほむらは思う。ソラのこれまで行動は打算的だったのだろうか?
打算的にしても建前の目的は今のところ故郷と見識を広める旅らしい。あんな力を持つ少年はいったい何をしようとしてるのか?
――――なお、ほむらはこのとき誤解している。ソラは打算的に行動せずに自分に正直に生きる純粋なお馬鹿くんであることを
「……まあいいわ。早くこの町から去りなさい。怪我をしたくらなければ、ね」
「それはこちらのセリフよ」
すれ違うかのように彼女達は踵を返して反対方向へ去っていった。
そこに見守る一人の傍観者はいた。その者は「プハッ」と緑の茂みから出てきて呟く。
「打算的なのかなオレ……」
そんなに深くは考えていないソラである。
閑話休題
一人の少女がいた。あすなろ市という町の路地裏にて、惨劇を起こした張本人である。
バラバラに散らばる人体のパーツ。それは成人した男性のモノだ。
首は絶望した表情で死んでいる。その首を蹴り転がしながら、彼女は笑う。
「ああ、ホントに楽しい……最高ぉ」
福神常世。快楽殺人者と全てを開く少年と出会うのは近い……。
最後に出てきたのはオリキャラです。この人物が後にソラ達にとんでもないことを引き起こす予定です。
純粋な彼が、優しい彼が、酷いことに巻き込まれる。そんなお話を考えてます。
さて次回は、可笑しなお菓子なお貸しの物語――――つまりマミさん生きろ
――――原作通りにはいかない。なぜなら彼は異常だから