魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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「ヤバいヤバいヤバいヤバい……!」

by■■


第四十六話 プレアデス聖団

 

 

 買い出しに出掛けていた零は視線を感じていた。何者かに見られている気配がする。

 

 そんな気がしてならない。

 

(いったい誰がつけている?)

 

 理由は?

 目的は?

 

 それがわからない。情報が少ない。とにかく零は背後にいる者に注意していた。

 

(やっと自分の手がかりを見つけることができたのに……。いや手がかりを見つけたから付け狙われたのか?)

 

 『一ノ瀬』の家族構成の中に行方不明となって死亡となっていた少年がいることがわかった。名前はソラといい、彼は成長すればもう中学生となっているはずだった。

 

 しかしそれは生きていればの話でもう亡くなっていると決まっていた。

 

 だが、零が見た夢はそのソラという少年の特徴が一致していた。そして巨大な魔女と戦い、敗北している。過去に見滝原で大きな被害があった災害などを調べてもらったが全くそんなモノはなく、ただ夜空が青空になるという怪奇現象があったことが判明した。

 

 なぜ夜に青空が広がったのかはわからないが、零はそれがソラが起こしたことだと瞬時に理解した。

 

 ゆえにソラは実在する。生きていると判断し、美佐子に魔法少女についての情報を与えた。

 

 まだ不可解なところがあるが魔法少女はソウルジェムを格として戦う少女達で、中学生に素質がある子が多い。

 

 そして魔法少女は願いによって方向性が決まった魔法を駆使して魔獣達と戦う。

 

 ただしジェムは濁っていく。

 

 今のところ零が思い出して、説明できたのはそこまでだ。ジェムの濁った先に何が待つのかまだわからないが、ろくなことではないとわかっている。

 

 零は思い出すのは夢を見たこととそしてトリガーとなる言葉によってだ。つまり、自然と記憶が甦り、いずれ魔法少女がどんな存在かわかる日が来る。

 

 それは日常としての時間を大切にしなければならないため、零は今日まで平穏に生きた。しかし今日でそれは覆された。

 

 いったい誰が?

 そして魔法少女なのか?

 

 零は意を決して路地裏に潜り込んだ。ここならば待ち伏せができる。隠れるところも多い。

 

 零は角へ回り息を殺して待つ。そして近づいてくる者の腕を掴み関節を決めた。

 

「いたたたた!? ちょ、離してよ!」

「御崎、海香さん?」

 

 眼鏡をかけたロングストレートの少女が零を追跡していた犯人だった。零は関節技を解いて、謝る。

 

「すみません。なんか誰かに追われていたので、つい迎撃を……」

「いつつ……追跡って前にもあったの?」

「はい。昔、壊滅させた組の報復が来まして撃退した」

「とんでもない過去ね」

 

 零の非常識ぶりにも海香はゲンナリし、彼は苦笑する。

 

「でもなんでオレのことを追っていたんだ?」

「ちょっとあなたのことが気がかりで……」

 

 甘えるようにすがり付く海香に、零はギョッとした。彼には女子の免疫などない。

 

 内心ドキドキしながら海香の体温とその色香に惑わされる。

 

(気になる!? オレのことが気になるってどういうこと!?)

 

 こんな美少女に気になると言われれば彼が淡い期待を持つのは無理もない。海香は零の顔を固定して徐々にその顔を近づける。

 

「零さん……」

「御崎さん……」

 

 その顔は徐々に近づき、そして零は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んなわなけあるかァァァァァ!!」

「ッ!?」

 

――――突き飛ばし、転がっていた鉄棒を降り下ろす。海香は拳銃でそれを防ぐ。

 

「オイ、偽物。お前の目的はなんだ? なんのつもりでオレを付けていた?」

「……零さん、何を言って――――」

「惚けんな。既に御崎海香のことを解析済みだ」

 

 零は既に御崎海香という少女のことを調べていた。かずみによる(食べ物で釣った)口コミと海香の過去。

 

 それをまとめ上げある程度予想した海香の魔法――――それは本関連(・・・)だ。つまり海香の魔法は本を使った力になる。もちろん正解は(食べ物で釣った)かずみが証明済みである。

 

「なぜ御崎海香に化けたのかは彼女は付けていたし、オレを調べていた。その情報を視野に入れていた上で化けてたんだろ?」

「……気づいていたのか?」

「だてにばか騒ぎに巻き込まれてねぇんだよ。報復、復讐で返り討ちするにはこれくらい頭が早くなくちゃ、宗一郎さんに迷惑かけちゃうしな」

 

 もちろんそれだけではない。ここ最近見る夢のせいでもある。その内容は『無血の』と呼ばれるようになった彼の戦いだ。

 

 その戦いには復讐、報復なんて当たり前。ハニートラップもあった。だから彼はこの手の罠にはかからない。

 

「もう一度聞く。お前は誰だ偽物」

 

 剣呑な顔で彼女を睨むが、海香の化けの皮を被ったその少女は笑いながら正体を現した。金髪のツインテール――――飛鳥ユウリだ。

 

「さっすがにスゲーなアンタ。ここまでできるとはね……」

「何が目的でオレに近づいた?」

「言いたいところだが、もう達成されてる」

 

 「なんだと」と零が言った刹那、彼の心臓が高鳴った。

 

 胸を押さえ込み、膝についた彼が見たのは黒いナニカが胸に埋まっている。

 

「これは……『グリーフシード』?」

「おや、それを知っているってことはやっぱ魔法少女関連か? まあどのみちアンタはここでアタシの手駒になるけどな」

「グリーフシードは……魔女の卵。なのにこれはオレを魔女化させるために蠢いている、だと……?」

「そこまで来たら正解だ。そのイービルナッツはあらゆる生物を魔女化させる魔法道具さ。前にあの女刑事に使ったけど、失敗だったが」

 

 美佐子にまで使ったことを暴露した辺り、もう零に勝利条件は皆無ということだろう。最後の力を振り絞り、零はポケットにある携帯で、最近登録したかずみの携帯へ電話にかけた。

 

「何が目的で……オレを魔女に!?」

「復讐さ! プレイアデス聖団に対するアタシの親友であり、恩人である飛鳥ユウリに対するのな!」

「お前は、飛鳥ユウリという名前じゃねぇのか……?」

「アタシはユウリになりたいという願いをしたただの女だ。ま、お前にはもう関係ないことだがね」

「そいつは……ざん、ねん――――ぐがァァァァァ!!」

 

 遂に零の理性は魔女化に支配され、魔女化が始まった。零の魔女はスマートだ。

 

 影が人間の形をし、そして手にはカギのような剣が握られていた。そして顔は泣いてる顔と笑っている顔の半々の仮面をつけた。

 

 道化師の魔女。性質を問うならば『心情』。心に対する感情を優先し、ユウリになることを望んだ少女の願いを叶えるための道化師。

 

「……ご命令を」

「はっはー! スゲーな。この魔女、喋れるのかよ。これならアイツらを!」

「……マスター。ご命令を」

「アタシについて来い。仕事だ!」

 

 二人は闇の中へ消えていった。残されたのは誰かに通話状態の携帯のみだった。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 かずみは困惑していた。携帯に繋がったのは最近登録した零からだ。海香とカオルは魔女に拐われ、プレイアデス聖団こと浅海サキ、若葉みらい、宇佐美里美、神那ニコと共に救出することに成功した。

 

 しかしその喜びの束の間に起きた知り合いの魔女化とユウリの目的。それを知ったかずみはプレイアデス聖団に伝えた。

 

「どうやら魔女化させてる魔法少女はその飛鳥ユウリモドキってことね」

「早く助けに行かないと!」

「無理よ。場所がわからない。それに……」

 

 海香が恐れていた事態が起きた。零のポテンシャルは魔法少女に渡り合えるくらい技量ができていた。それが魔女化したとなればその強さは計り知れない。

 

(最悪殺すつもりで挑まないとこちらが死ぬ可能性がある……)

 

 それだけは避けたい。かずみを死なせる事態は避けたい。

 

 するとかずみの携帯からまた着信が届いた。宗一郎からだ。

 

『かずみ、零がどこにいるか知らないか? まだ帰ってないんだ』

「わかりません。ごめんなさい……」

 

 かずみは嘘をつくしかなかった。また巻き込んでしまったことに対する罪悪感によるモノだ。

 

『別にいいが……。あと変なファックスが届いたんだ。えっと……』

 

 宗一郎が届いたんだファックスの内容は以下の通りだ。

 

『明日の深夜の0時にて、アスナロドームでショーが開催されます。魔法少女一同は是非ともご参加くださいな。楽しい楽しいキッチンと剣劇が待っていますよ?』

 

 明らかに宣戦布告だ。剣劇はおそらく零のことだ。

 

 かずみは宗一郎にお礼を言って通話を切った。それからプレイアデス聖団に頭を下げた。

 

「どうか……わたしの友人を助けて!」

「「「「「「「もちろん」」」」」」」

 

 決戦の前日。その夜が終わり朝日が出る。

 

 新たな戦いに気合いを入れるかずみを見る男が時計台にいた。

 

 そして彼は自らの主に情報を伝えた。

 

「……目標、魔女化されてアスナロドームで囚われました。明日の深夜0時が決戦です」

『そう……なら、私もこれが終わり次第参加するわ。明日でテストは終わるしね』

 

 黒髪の少女が電話越しで楽しそうに笑っていた。明日、彼女達を招待し、この戦いに参加するつもりだ。

 

 見滝原の魔法少女達がアスナロ市に来るとき、全てが交錯する。三つ巴の戦いが始まろうとしていた。

 

 

 




魔女化した彼。それはかずみ達にとって絶望に陥れる化け物です。

――――彼はただマスターの言うことを聞く人形
――――彼はただマスターの命令を実行する執行者。

かずみ達に勝算はありません。
まあソラの知り合いである魔法少女達ならば話が別ですけど。

次回、三つ巴の戦い

――――合い言葉は、最後にカオス!
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