魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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第四話 可笑しなお菓子なお貸しの物語――――つまりマミさん生きろ

 

――――巴マミは死ぬ

 

 原作のお話、はたまたほむらで言う起こりやすい事象というべき未来がある。どの未来でも彼女は頼れる先輩だが、同時に危うい心の持ち主だ。

 

 その理由にメンタルの弱さからだ。

 

 人間は一人になると余裕がなくなる。これは独自解釈になるが巴マミのメンタルの弱さは孤独感からではないだろうか?

 これまで一人で生きてきた。誰にも頼れる者などおらず、たった一人で戦ってきた。

 心の拠り所なんてなかった。だから彼女の心は弱かったと推測している。

 とは言えこれはあくまで推測だ。自分が考えた解釈だ。

 だから正しいとは断定しない。これが正解とは言わない。

 

――――なぜこのような無駄話から始めたのか?

 

 では話そうか。彼女の希望、いや彼女の心の拠り所となったお馬鹿さんのお話を、ね。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 さやかの日課は幼馴染みである上条恭介のお見舞いだ。いつものようにお見舞いを済ませた彼女が病院の外に出るとグリーフシードがあった。

 今日はまどかも一緒にいたのでこのままでは彼女も巻き込まれてしまう。

 いや、なにより恭介も巻き込まれてしまう可能性がある。ゆえにさやかはまどかにマミを呼ぶように頼み、自分はグリーフシードを監視する役割を担った。

 

(……あれ? なんでマミさんとアドレス交換しなかったのかな?)

 

 今さらである。そしてグリーフシードは羽化し、魔女結界が展開された。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

まどかとマミはやっと見滝原病院についた――――がさやかは魔女結界に取り込まれてしまった。

 これはまずい。このままではさやかが危ない。

 彼女達はなりふり構わず突入した。しばらく歩いていき、マミはふと立ち止まる。

 まどかはどうしたのという顔でマミの表情を見ると険しい。その理由は彼女が言い出してからわかった。

 

「隠れているのはわかってるわ。出てきなさい」

「…………」

「ほむらちゃん?」

 

 そうほむらがあとを付いていたのだ。ほむらの目的はマミを今回の魔女と戦わせないことだ。

 なぜなら今回の魔女で巴マミ高確率(・・・)で死んでいる。ゆえに戦わせない。ほむらの最終目標のために。

 そのことを踏まえて説明をしたがマミにとって彼女が獲物を横取りするとしか捉えなかった。なので彼女はリボンでほむらを縛り上げる。

 

「くっ……」

「じっとしていればそのリボンの縛りは強くならないわ。私が魔女を討つまで大人しくしてなさい」

「待って! 今回の魔女は一味違うわ!」

 

 しかしマミはほむらの警告を聞かずにまどかを連れてドンドン奥へ進んでしまう。

 

 

――――また……またあの人を……失う

 

 

 最初の時間軸でお世話になった頼れる先輩。誰にでも優しく、ときには厳しく、そして誰よりも寂しがり屋な人。

 ほむらとしては切り捨てたくない戦力であり、恩人だ。

 何もできないことに彼女は歯を食い縛る。

 ここで原作通りならば悲劇的で残酷な結末を迎える。しかし忘れてはいけたい。

 この時間軸にはヒーローを目指す愚かでお人好しとも言える純粋な少年がいることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにやってんのほむら? SMプレイ?」

 

 色々ツッコみたいがほむらの前に希望が現れる。悲劇を回避するイレギュラー――――ソラがそこにいた。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 マミは羽化した魔女を打撃と銃撃の猛攻を与えていた。先程、まどかの魔法少女なります宣言に彼女の心は受かれていた。

 最悪なことに油断とも言えるそれを心の重荷がなくなったことで気づいていなかっはた。

 

(私は一人じゃない……だから何も怖くない。負ける気がしない!)

 

 リボンで魔女を拘束し、自身の最大の魔法――――『ティロ・フィナーレ』を撃つ準備に入る。

 まどかとさやかにとってマミの戦いはヒーローショーだ。正義は必ず勝つ。そんなショー。

 されど現実は違う。リアルファイトは必ずしも命を失うリスクがある。

 

「えっ――――」

 

 果たしてこの言葉を言ったのは誰だったのだろうか。人形の形をした魔女の口から顔がピエロで身体が芋虫というコミカルな生物が出てきた。

 鋭利な歯を開けてマミの前まで迫っていた。

 

(私……ここで死ぬの?)

 

 走馬灯が流れる。

 初めて魔法少女となって魔女と戦った光景。

 初めてできた弟子を相棒にして戦ってきた毎日。

 そして魔法少女を志す後輩達の笑顔。

 

 まだ死にたくない。でも迫ってきてるのは死だ。

 マミは呆然と芋虫の口を見つめ、そして頭を噛み潰される――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アベン死マリアァァァァァ!!」

 

――――訂正。謎のテンション高めで現れた少年によって芋虫がドロップキックで飛ばされた。

 その少年、青い瞳で黒髪。赤いシャツに黒い短パンを履いた大馬鹿者。

 

「んじゃ、正義の味方のソラくんのヒーローショーにご賞味あれ!」

 

 一ノ瀬ソラはいつものように言う。化け物退治はヒーローの役割だ。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 ソラのテンション高めに魔女がドロップキックされて助けられたマミは思わず、悲鳴を上げていたが呆然としていた。まどかもさやかもその光景に呆然としていた。

 ソラは神器を構えていた。ヒーローショーのつもりらしいが、彼の中では実はそうではない。師に教わった彼はこの戦いは命をレートにした化け物退治。

 ゆえに顔は引き締まっていた。

 

 先制は魔女からだった。

 

 魔女の巨体がマミごとソラに突撃してきたが、ソラはマミをお姫様抱っこして空中へ回避した。

 

「ふぇ、へ?」

「あー、マミさん。舌噛むから閉じててね」

「ちょ……!」

 

 小さな子どもとは言え、男の子に抱っこされたことに紅く染まる頬だが、ソラは気にせず追撃してきた魔女を回避すべく神器を足場にして降下。

 魔女の歯はソラ達をとらえず、空気を咀嚼しただけだ。

 

「んじゃ。まどか、さやか。たのまー」

「ちょっと!」

 

 さやかの声に振り返らず、ソラは手を前に出す。すると手から離れた神器がまた出現した。

 これが召喚術のメリット。離れたところから武器を喚び出せる魔法だ。

 

「よっと!」

 

 魔女が尻尾でソラを叩き潰そうとしてきたが、身軽なこの少年には無意味。ピョンピョンとお菓子を渡って、魔女に向けて電撃魔法を浴びさせる。

 

「痺れろー痺れてしまえー!」

 

 電撃を浴びた魔女は骨格が透視し、バリバリと感電して倒れた。

 

(え? こんなあっさり?)

 

 ソラもマミのように油断してしまった。ゆえに魔女の口から芋虫が出てきたことに驚き、一瞬だけ硬直してしまった。

 魔女の口がソラに迫ってきたが、側面から爆発が起きる。魔女の口はソラから逸れて虚空を噛んだだけだ。

 

「油断しないの!」

「サンキューほむら!」

 

 さてどうしたものかとソラは起き上がる魔女を見て考える。

 口から脱皮して傷を癒すなんてどこの蛇だお前とツッコみたい衝動があったが、ソラはあることを閃いてニターと笑う。

 ほむらはそれを見て「あ、ろくでもないこと思い付いたなコイツ」と思った。

 

「魔女ちゃーん、こっちにおいでー? 食えるモンなら食ってみろデブ!」

 

 ソラの罵倒に反応したのかお菓子の魔女は大口を開いてソラに迫る。ほむらが援護射撃しようとしたとき、驚くべき光景が目に映る。

 なんとソラが魔女の口の中へ突っ込んだではないか。口は閉ざされ、ソラは飲み込まれてしまった。

 

「ソラくんーーーー!!」

「きゃあァァァァァ!」

 

 マミも含めた悲鳴が結界に響く。魔女はペロリとしたを舐めて満足そうにしていたが――――突如、お腹が痛そうに身体を曲げる。

 ん?とした顔でほむらは魔女のお腹をみた。そこには盛り上がって部分があった。

 

「ま、まさか……いやそんな非常識は……」

 

 ブシャァァァァァ!!

 

 ほむらの嫌な予感は当たって、魔女のお腹からソラが神器を突き出す形でぶち抜いてきたのだ。

 魔女は断末魔をあげる。

 

「もう一丁じゃァァァァァ!!」

 

 魔女は「もうやめて! なぎさは辛いのです!」と言ってるつもりだが、後に鬼畜容赦なしになる未来がある我らの主人公には関係ない。

 再びお腹から入っていき、今度は顔をぶち抜く形で出てきた。

 

 哀れ。魔女はそんな形で倒された。光の粒子となってグリーフシードと黒い液体でベタベタになったソラを残して消えた。

 

「うぇー……。ヌルヌルしてキモい……。ほむらー。後でシャワー貸してよ」

「貸してあげるけど、自分がしたことを少し考えて……」

 

 額に手を当てて呆れるしかないほむらである。こんな非常識な形で悲劇を、巴マミが救われることになろうとは思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 その後、ほむらの宅ではなくマミの家でソラはシャワーを浴びた。ほむら曰く、今のマミは危うい精神らしくいつ魔女になってもおかしくないらしい。

 それもそうだ。命の危機を直に体験したのだから。

 

「マミさんー、ありがとうー。ベタベタ落ちたから」

「あ、はい……」

 

 こんな風に反応が薄いのだ。どうも彼女はショックを受けてるそうだ。

 果たしてそれは情けない自分の不甲斐なさか、それとも自分の恐怖によるモノなのか。

 しかし、この少年は気にせずマミの両頬っぺたを引っ張る。

 

「きゅ!?」

「アハハハー。昨日の仕返しー♪」

 

 これが先ほどの命のやり取りをした少年だろうか。マミは信じられなかった。

 

――――どうして笑っていられるのか?

――――怖くなかったのか?

 

 一種の怒りが沸き、同時に何を八つ当たりにと自己嫌悪に陥る。それを見かねたソラは頬っぺたを離して、彼女の手を握る。

 

「あ……」

「怖いのは仕方ないよ。誰だって死ぬのは怖い。マミさんの気持ちはオレにもわかるよ」

「ソラくんは怖くなかったの……」

「そりゃ怖いよ。でももう慣れちゃった。何度もあんなふうな命のやり取りしていたら、ね」

 

 この少年は自分より死にかけたことがあった。怖いモノは怖い。けれど立ち止まっていたら死ぬ。

 死ぬのは嫌だから抵抗する。抵抗して、足掻いて、そして苦しみの果てに勝利を得る。

 それが無邪気で純粋な少年がこれまで体験してきたことだ。

 

「大丈夫。もうマミさんを脅かすモノはいないよ。

 

 泣いてもいい。

 叫んでもいい。

 

溜めていたモノを吐き出していいんだよ?」

 

 ソラの小さな身体がはマミの頭を包み込む。マミはそれを聞いて安心した。そして吐き出した。

 

「怖かった……怖かったよぉ……!!」

 

 久しぶりに彼女は泣いた。両親を亡くしたとき以来だ。ソラはマミを優しく撫でながら兄のようにマミを慰めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの……もう離れてくれないかなマミさん」

「ヤッ」

「あぅ……甘えるお姉ちゃんの扱いがわからない……」

 

 甘えるマミさんを引き離すことができないソラだった。なお、この『お姉ちゃん』という単語をマミさんに言ったとき鬼気迫るほどその呼び名をするようにお願いされるという未来があるのだが、また別の話。




攻略完了! 次回からマミさんはお姉ちゃんキャラ化します!

憂鬱な日々のお姉ちゃん化はこれが原因です。そして豆腐メンタルが実家に帰りましたね、はい。
孤独じゃなくなった人間は余裕が生まれ、余裕が生まれば物事を広く見れる。そんな持論がこのお話にあります。

まあ自己解釈ですけど。

次回、お姉ちゃんキャラは最強です

――――こいつホントにあの巴マミか!?
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