魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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「断片は知る。自分は人ではなかったと」

byソラ


第四十九話 零の正体

 

 

 

 

 倒れた零と彼をガッチリホールドする魔法少女達をみらいのテディベア屋敷に招いた。

 

 彼女達が何者なのか、サキは警戒心をあらわにしていた。零だった魔女を倒せた実力は未知とも言える。だから彼女は気が抜けなかった。

 

 零をベッドに寝かせてリビングに案内したサキ達は彼女達を座らせて説明を要求した。

 

「さて君達のことを話してもらおう」

 

 そこでソファーから立つのはまどかだ。彼女が最初に出した一言。

 

「お花摘みに行って……いいですか?」

 

 まさかのトイレ行って良いですか発言。

 

 シリアスが台無しである。結果、かずみ勢はズッコケることとなる。そして千香はそれに対して抗議する。

 

「待ってくれ。君は今ここで何をすべきかわかってないじゃないか!」

 

 サキは「そ、そうよ」と千香に同意する。かずみ達もうんうん頷く。しかし、彼女達は千香という変態(ソラの心労)を理解していない。

 

「鍵無零の寝顔をこの写真に収めることじゃないか!」

((そっち!?))

「はっ、そうだね! おトイレという建前なんて必要なんてなかった! 堂々とそう言えばよかったんだ!」

((建前だったの!?))

 

 海香とカオルの内心でツッコむ。

 

 コイツら己の欲望に忠実すぎるだろと海香とカオルは考えていた。

 

「後で、いくらでも撮らせてやるから今は君達か何者か説明してくれ」

「おぉい!? なにちゃっかり鍵無を犠牲にしてるんだよ!?」

「こちらに実害がないから安心していけに――――……ゴホン、犠牲にできる」

「いや変わんねぇから! 生け贄と犠牲変わんねぇからなサキ!」

「「「鍵無(くん)……あなたの犠牲は無駄にはしない!」」」 

「お前らも犠牲前提で話を進めんな! てか、そこのピンクに白髪もこっそり行こうとしてんじゃねぇ!」

 

 カオルにビシッとツッコまれたまどかと千香はわざとらしい舌打ちした。里美やみらいやニコもノリノリだったのはかずみの気のせいではないようだ。

 

「……わたしはどうすればいいのかな?」

 

 ある種の疎外感を感じた彼女はさやかにクッキーが入ったお皿を渡される。

 

「一応、食べとけば?」

「ウェルカム」

 

 かずみはクッキーを手に取り、小動物のごとくポリポリ食べ始める。

 

 ようこそ、かずみ。追いつけない者達同盟へ。

 

「大丈夫大丈夫。頭空っぽにしとけばなんでも受け入れられる」

「オイ、さやか。なにコイツにアホの娘属性を引き込もうとしているんだよ」

「なるほど! 君の言う通りだね!」

「納得すんな! ああ、なんか知らないけどさやかとおんなじ雰囲気を!?」

 

 ウェルカム、アホの娘ワールド。

 ウェルカム、さやか属性へ。

 

 哀れ、かずみも染まってきたということになるがまどかや千香に染まるよりマシだと思う。染まったら立花さんが泣くのは必然だから。

 

「はいはい、みんなー! いい加減にお話を戻そうねー?」

 

 手を叩いて纏めようとするみんなのお姉ちゃん。しかしそれに抗議したのはやはりコイツ。

 

「マミさん、まるでどっかのおばさんみたいに言わなく――――にぎゃあァァァァァ!?」

 

 千香が最後まで言い終える前にリボンが彼女を繭にした。

 

「あら、こんなところに生ゴミが。ちょっと待っててね。捨ててくるわ♪」

「あ、いや、あの……」

 

 サキが何か言おうとしたが、微笑みながらマミは千香だったモノを外へ捨てに行った。その先に聞こえた断末魔は千香のモノだったとサキ達は冷や汗を流しながら思った。

 

 そしてマミが帰ってきたとき顔に数敵と拳に血がこびりついていた。

 

「ごめんなさい。あの生ゴミまだ生きていて……処分するのに時間かけちゃった♪」

((((((殺しちゃった……!?))))))

「もう、巴さんったら♪ ……ちゃんと気づかれないように後始末した?」

「……もちろん♪」

((((((怖ッ!! この人達こぇーよ!))))))

 

 ニコリと笑い合うマミとほむら。この人達黒い。マジで黒い。

 

 海香達はゾッとマミを畏怖の目で見ていた。一方、かずみとさやかはこんなこと考えていた。

 

(へー、生ゴミ捨てに行ったんだ。優しいなぁ……。あれ? あの白髪の娘は?)

(人様の家のゴミを捨てに行くんなんてさすがみんなのお姉ちゃん……。あれ? 千香は?)

 

 彼女達がどういう状況か呑み込めていなかったりする。

 

(……コイツら、ホントになんとかしねーと)

 

 まどか勢唯一の常識人、杏子は顔に手を当てて苦労していた。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 やっと話を戻すこととなり、まどか達とほむら達は自分達が何者か、なぜここに来たのかを一から説明した。

 

 目的は零と会いに来たことである。そしてまどかは自分が魔法少女の女神であること、そしてほむらはそれを陥れた悪魔であることを説明した。

 

 突拍子のない話だが、嘘はついていないし、既に彼女達は実証済みだ。なので海香達は信じることとした。

 

 ちなみにマミや杏子、さやかが魔法少女から元に戻れたことは説明したが、その戻り方をあえて教えなかった。

 

 理由は抑止さんの念話からだった。

 

『おそらく、飛鳥ユウリこと杏里あいりにイービルナッツを渡した張本人がこの中にいるかと思います』

(理由を聞いていいかしら?)

 

 ほむらの質問に抑止さんは答える。

 

『まず最初にあいりの魔法は変身というモノでしたが、彼女が仮に魔女化させるならばワザワザイービルナッツなどという代物を作る必要はないし、何より作れる代物ではない。よって彼女は利用された傀儡というわけです』

(じゃあなんでこの中に犯人がいると思ったの?)

 

 マミの質問に抑止さんは自身の推理を答えた。

 

『これは推測なのですが、あちらの説明を聞く限り、かずみが誘拐されたところに不可解な点があったからです』

(不可解な点?)

『誘拐するにはいくつのかの条件が必要です。場所、時間、アリバイです。

 

 この際アリバイは関係ありませんが、場所と時間が問題です。時間はかずみが一人のときで、転移で誘拐されたそうですが、かずみを転移させるにはその人物の位置が必要です。

 

 よってイービルナッツを作り出した犯人はかずみの居場所を知っていた。そしてかずみが一人になったことを知っていた。

 

 これはつまりかずみの行動パターンを知る者になります』

 

 抑止さんの推理はかずみがクローンであることを知らないがゆえに出ているが、実は間違っていない。プレイアデス聖団の中に犯人がいたのだ。

 

 そして彼女は鍵無零のことが気になっていた。

 

(アイツは私と同じにおいがする……)

 

 それはかずみや自分(・・)と同じということだ。これは是非ともまどか勢達から聞く必要がある。

 

 と、自分が聞く前に海香が零のことを聞いてきた。

 

「あなた達の目的はわかった。でもこれだけは聞かせてちょうだい――――鍵無零は何者なの?」

 

 それはまどか達の目的の確信たる質問だ。一堂はシーンと静まり、最初に口を開いたのはほむらだった。

 

「二年前……私はまどかを普通の女の子に戻すために悪魔となり、一人で全ての罪を抱えることにした。しかし、それを良しとせず私を普通で女の子に戻るように言った男の子がいたのよ」

 

 ほむらの合図で一人の青年が部屋に入ってきた。海香の目に写ったのは零が成長した姿であるような青年だ。しかし、その顔には生気が感じられない。

 

「……私はそれに対して怒り狂った。あのときの私はどうかしていたわ。彼がその気になれば私なんか簡単に悪魔の力を失わせることができたのに。だけど、彼はそうしなかった。自分からその力を捨ててほしかったのよ……」

「それで彼は?」

「私が殺したのよ……この手でソラを!」

 

 ほむらは手で顔を覆い泣き始める。まどかは心配そうに彼女と寄り添い、抱き締める。

 

「彼はソラの遺体をボクの願いで動く人形さ。彼の肉体には不完全な魂しか入っていないんだ。だから残りの魂である神器――――鹿目まどかが持つソラの神器が必要だった」

 

 けれど、と千香は続けた。

 

「鍵無零という存在が出てきたことにより、ボクはある推測を立てた。そして彼を直に見て確信した。彼はソラの残りの魂だとね」

「じゃ、じゃあ。あなた達の目的は零さんを……」

 

 かずみは殺すとは最後まで言わなかった。それは自分勝手な願いで他人を犠牲にすることだ。千香は「ボクとほむらはそうだよ」と答えて残りはそうじゃないと否定した。

 

 そんな中、海香だけは違うことを考えていた。

 

(でも残りの魂ならば私が見た青年――――ソラはなぜ断片と呼んだの? それじゃあまるで……残留思念(残り火)じゃ)

 

 このとき海香は答えに近づいていた。しかし、その考えがすぐに打ち消されることとなる。

 

 零の様子を見に行ったマミがリビングに駆け足で入ってきたのだ。そして彼女は言った。

 

「零くんが……いないの!」

 

 それはまどか達が居ても立ってもいられないことになったと意味した。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

――――かずみ達とまどか達がカオスなことをしていた頃に時間を遡る。

 

 零は目を開けて、ベッドから起き上がる。どうやら誰かの家に寝かされていたようだ。

 

 零は起き上がると机には彼の携帯があった。どうやら誰かが置いてくれたみたいだ。その携帯が鳴り始めた。

 

 着信履歴には石島美佐子の名前がビッシリ詰まっていた。ヤバいと思い彼は電話に出た。

 

『どうして出なかったの? 心配したじゃない!』

「すみません。誰かに誘拐されてましたが、オレの知り合いの方が助けていただきました。もう心配いりません」

『全く……もう』

「それより思い出した記憶があるんです」

 

 零が思い出しだしたのは魔法少女の結末。ジェムが濁った先にあるモノだ。ソウルジェムは魔女を産み出す卵のグリーフシードになり、そうならないように『円環の理』が魔法少女を導き、この世から救済する。

 

 零の推理は当たっていたのだ。椎名レミはもうこの世にはいない。

 

『そんな……ことって……』

「信じられないかもしれませんが……。ですが仮に魔法少女と出会ったら確認すればいいと思います。それよりもオレに何度も電話をかけたのは何かわかったからではないですか?」

 

 零の問いには美佐子は黙ってしまった。彼は彼女の名前を呼ぶと美佐子は電話越しで答えた。

 

『一ノ瀬家は一度家庭崩壊を起こしているのよ。その原因は一人息子が――――零くんが聞きたかった少年が行方不明になっていたからよ』

「崩壊したって……え、ちょっと待ってください。一人ですか?」

 

 零は自分が一ノ瀬家に関わりある人間だと思っていた。帰るべき家族だと推測していた。しかしそれは間違いだった。

 

『兄弟なんていないわよ。今は一人娘がいるみたいだけど……』

 

 カチリと零の頭に何かがはまったような気がして彼は身体の力がフッと抜けるような感覚に襲われる。

 

 彼は最後の力で美佐子に怪しまれずお礼を言って電話を切った。

 

「そうか……そう、だった……のか……――――」

 

 彼がそう呟いたとき、彼は消えた。煙のように彼は消え去り、携帯しか残されていなかった――――

 

 

 

 




零の正体はソラの残留思念――――と言いたいところですが、残留思念とは少し違います。

彼はソラと別人であり、同一ではありませんので少し違います。そして彼は『鍵』です。

神器は出せません。魔法少女と戦えば負けます。では『鍵』とはどういう意味になるのでしょうか?

それは追々説明させていただきます。

次回、捜索

――――前半カオス、後半シリアス?
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