魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~ 作:ぼけなす
by千香ハザードの被害関係者一同
断片――――それは海香達が伝えたソラの亡霊が零に言っていた名称だ。それを聞いたほむらと千香は自分達の考えを間違いだったと気づいた。
(うらやましい……――――じゃなくて! ソラの残留思念が自分の半分とも言える魂を持つ者を断片と言うのかしら? いえ、言わないわ。『もう一人』と言うのが正しい)
(じゃあ、鍵無零は何者? ソラの魂を――――あの彼に似た雰囲気はいったい?)
ほむらと千香が考え込む中でまどか達はみんなに言う。
「早く探しに行こうよ! 鍵無くんが消えたのは不安だよ」
「そうね……考えても仕方ないわ。彼は電話にしていたみたいよ。確か、『石島美佐子』という女の人かしら?」
海香とカオルはあの婦警さんのことだと思うが、言わない方がいい。今の彼女達は冷静じゃないし、何よりやると決めたら容赦がない。
いったい誰の影響なのかは……まあ皆が考えてる通りだと思うがソラである。
まどか達はかずみ達にお礼を言い、零を捜しに飛び出した。
「わたしができることはないのかな……」
かずみも零のことが心配だった。しかしそれはサキに否定される。
「彼女達に任せましょう。わたし達はわたし達で彼女に聞きたいことがあるわ」
そう、彼女――――杏里あいりに聞きたいことがあった。彼女はこの屋敷に連れ込まれていた。
そのときの彼女がシクシク泣いていた声は聞こえないフリをしていたが、もはや聞くまでもない。いったいどんな姿であれ、今はイービルナッツについて聞きたいことがあった……。
「入るわよ、杏里あいり」
あいりが拘束されてる部屋に入ると全員の空気がピシッと固まる。
そう彼女の格好はなんとフリフリの可愛らしい黒いゴシックロリータ――――通称ゴスロリである。なんというか似合っているし、彼女はかずみ達が来るまでこの服を脱ごうとしたが、それは叶わずかずみ達に見られてしまった。
「……死のう」
「「待て待て待て待て!!」」
縄を取り出して首を吊ろうとするあいりを止める。魔法少女だからその程度では死なないのでは?と思っている人がいるかもしれないが、今のあいりは魔法が使える少女になっている。
まどかの『封印』が使われたのだ。
「離せ! 復讐相手にこんな恥ずかしい姿を見られるし、あっちにいるユウリがなんかおかしくなってるし、こんな世界もういたくない!」
「よくわからんが落ち着け! 死んだところで意味なんてないぞ!」
「そうよ! きっといつか良いことあるわ!」
「知らねーよ! つーか、アタシの魔法少女服なんて望んでなかったわよ! あんなもん将来の旦那と友人に見られたら赤裸々モンなんだぞ! アタシはあんな姿をイメージしてなかったのにィィィィィ!」
「コイツ……自身の在り方を否定しやがった……」
みらいは苦笑して冷や汗を流した。今のあいりは昔のあいりだった。なんというか乱暴ではなく大人しい少女になっていたのだ。
原因は
まあそれはさておき海香はどうして彼女がユウリのことを知っているのか気になったので、それを聞いてみるとあいりはまどかが渡した一通の映像電話機器を渡した。
「これは?」
「『円環の理』に繋がる電話機器らしい……。導かれた女の子の電話番号を入力すると繋がるらしい」
かずみ以外はバッと顔を見合わせる。そしてミチルの電話番号を入力する。
しかし帰ってきたのは『ただいまこの電話番号は使われてません。にょほほほ』とわけのわからない返信であった。
海香は嘘をついたのでは?と疑うが、電話が鳴る。あいりがビクッと反応して震え始める。
あいりの代わりに海香が出ると映像に写ったのは本物の飛鳥ユウリだった。
『あら? あいりじゃなくてあなたが出たの』
「久しぶり……ってことね」
『ふふ、そんなに警戒しないで。今の私はただの概念よ。それよりも元気そうで何よりね』
なつかしそうに呟くユウリに海香は単調直入で聞いた――――「なぜ、あいりはあなたに怯えている?」と。
『ふふ、あいりには刺激が強かった世界みたいね……』
「刺激が強かった?」
ユウリは電話越しで円環の理の世界を見せる。そこに映ったのは――――
『ショタロリ万ざァァァァァい!!』
『美少年のネタはないか。高く買うぞ! ハァハァ……!』
『ヒャッハー! 美少女達がたくさんだぜェェェェェ!!』
ある者は幼い少年少女演説を行い。
ある者は腐の道こと美少年同士のカップリングのネタを求めて息を荒げて。
ある者はまだ導かれたばかりの魔法少女達を味見しようと考えたのか追いかけている。
唖然。かずみ達は円環の理の世界を見て言葉を無くす。そしてそれに対してカオルが一言。
「なんだこの変態達の世界は!?」
円環の理の世界は変態達の巣窟だったのかと言いたいばかりに抗議したくなった。ある意味楽園だが、常識人達にとってこれは地獄だ。
みらいはと言うと「怖いよサキー!」と泣いていたし、サキもぎこちなく彼女をなだめていた。サキもまたこの世界に恐怖した。
里美なんかは「この戦いが終わったらミーちゃんに会いに行くんだ」と死亡フラグを立てており、ニコはもう寝ていた。見たくない世界から視界をシャットダウンしていた。
なお、かずみだけは「楽しそうだなぁ」とテーマパーク感覚で見ていた。
『お気に召さない?』
「召すわけねーだろ! こんな世界あいりだって行きたくねぇよ! ……ちょっと待て。ユウリ、お前もまさか……」
『ご名答! 私、筋肉フェチになっちゃった♪』
「サムアップして答えんな変態!」
『いいわその罵倒! もっと……もっと罵って!』
「コイツ……目覚めてる!?」
もはやユウリをどうにも止められそうもない。あいりが絶望し、泣き虫になるのは無理もない。
大好きな親友がこんな姿となっていれば、ジェムが濁ろうが関係無しで死にたくなる。
唯一の救いはまだミチルがこの世界にいないことか。
彼女が変態化した知れば確実に海香達のジェムが濁る。そして変態ワールドへ入場だ。永遠に抜け出せない牢獄で地獄を味わうのだ。
「決めた……絶対魔法少女システムから脱却してやるわ」
「私もだ……こんな結末迎えてたまるかァァァァァ!」
海香とサキの心が一つになった瞬間であった。
『あ、ちなみにこんな世界になったのは女神サマのおかげだよ。ここって娯楽ないから』
「「元凶はアイツかァァァァァ!!」」
鹿目まどかはプレイアデス聖団の敵とここで判明した。
☆☆☆
「クシュン!」
「あれ? まどか、風邪?」
「うーん、違うと思うよ。たぶん、円環の理の真実にたどり着いたみたい」
「? あたしはそこには行けないからわかんないけど」
「さやかちゃんとなぎさちゃんにはまだ早いよ♪」
事実を隠すまどかさんは黒い。それはさておき、零を捜すがなかなか見つからない。
いったいどこにいるのか検討もつかないわけで、このままだとじり貧だ。
「あたし達には探索魔法がないしね……」
「うーん、どうしようかねー?」
まどかとさやかが足を進めていると、少女の悲鳴がした。彼女達は足を止めて何が起きたのか話し合う。
「誰かの悲鳴だね」
「絹を裂く悲鳴よね」
「誰かが襲われてるってことかな~? ティヒヒヒ♪」
「そだね~♪ はっはっはっ♪」
ドンッと彼女達が駆け出したのは笑い終えてからだ。駆けつけたときには既に中学生くらいの少女が事切れていた。
「傷がないね……」
「通り魔……というわけでもなさそうだね」
まどかが彼女の身体をペタペタ触っていると誰かの視線を感じ、振り向く。
「まどか、何かいた?」
「いた……と思う。けど、すぐにいなくなったよ。私の視線に気づいてね」
「なんかあんた変わってきたわね……」
「ソラくんの継承によるかも。あの人、何十年も戦い続けたから」
「まどかがニュータイプになった」
ひどいなーとカラカラ笑うまどかは、ふと真剣な表情になる。この殺人(?)事件はどこかおかしい。
まるで何かを抜き取られてこの女の子は事切れたかのように。
(まさか……ね)
まどかはとにかく少女を人気の多いところへ運ぶのだった。
そして事件を起こした張本人――――犯人は双樹姉妹は離れたところから戦慄していた。
(アイツって魔法少女?)
(否。ただの少女だが、おそらく戦いに慣れている)
(クスッ、残念……魔法少女だった私のコレクションにできたのになぁ)
彼女達の次なる標的は既に目に入っていた。黒髪でクールな印象を与える少女は自分の魂たる者を出していた。
姉妹の次なる狙いはダークーオーブ。暁美ほむらと天ヶ瀬千香に魔の手が迫っていた。
(黒々しくて綺麗なジェム)
(暗闇の命の輝き)
((それをモノにしたいのが私達の願望))
二人で一人の少女は襲撃する準備に入る。しかし彼女は気づいてない。
天ヶ瀬千香は彼女に気づいていたことと、暁美ほむらは魔法少女ですらないことを。
双樹姉妹の魔女って外道魔女と呼ばれてるそうですが、外道と呼ぶべきだろうかとたまに迷います。
うちの主人公なんて知り合い程度なら普通に人質ごと殺っちゃってましたし、戦う理由を聞かずに問答無用に戦う人でしたから。
まあ戦争だったという理由がありましたし、こう比べて見ますとソウルジェムをコレクションにする姉妹と問答無用でブッコロする主人公のどちらが外道なのか考えてしまいます。
さて次回、外道VS悪魔
――――魔なる者を少女が相手はしてはいけない