魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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「魔女の種ごときがこの私をどうにかできるとでも?」

by悪魔ほむら


第五十一話 外道VS悪魔

 

 

 

 ほむらと千香は零の痕跡を辿っていた。気配、いや零には僅かな魔力があった。一時的に彼は魔女モドキとしたことなのか、はたまた元からあったのかはわからない。

 

 しかしその痕跡を辿ることができそうだった。

 

「なーんか、雲を掴むような感覚だねぇい」

「そうね……でもソラに似た魔力が僅かに流れている」

 

 そこを辿ればきっと零が、と思いほむらはダークオーブを仕舞う。千香は彼女に目配せしていることに気づき、彼女は容赦なく隠れていた者を射撃した。

 

「いきなり撃つなんて酷くない?」

「コソコソ嗅ぎ回る駄犬に警告しただけよ」

 

 微笑む双樹あやせにほむらは冷たい眼差しで見据える。

 

「ほほう、これまた変わった髪型の美少女だね。ポニーテールにチョンマゲみたいに括るなんて……。ほむほむ、試してみてよ」

「お断りよ。そんなダサい髪型にするくらいなら眼鏡とみつ編みした方がマシよ」

「……私の髪型を馬鹿にするなんて、それって――――スキくない!」

 

 あやせが純白のドレスに変身したと同時にほむらは魔法少女服へと変わる。千香は変身しなかった。

 

「手を出さないでよ千香。この愚かな女に誰を相手しているのかわからせてあげる……」

「うわー……鍵無零をやっと見つけれることができるのを邪魔されてキレてるなぁ」

 

 ほむらの背中からバサリと黒い翼が生えた。叛逆の力を全開にした彼女は本気であやせを殺るつもりだ。

 

「魔なる者には聖なる者を、と。この純白のドレスがそういうことを表してない?」

「あなたが聖なる者なら犬が神ね。魔なる者は黒いG」

「絶対に吠え面かかせる……!」

 

 ほむらの挑発に乗り、彼女は高熱の炎の塊を放つ。ほむらはそれを回避し、盾からマシンガンをとり、発砲。

 

 あやせはそれを炎の壁で融解した。彼女の視界にはほむらはいなくなっており、ほむらは側面からロケットランチャーを放つ準備に入っていた。

 

「そんなおもちゃで!」

 

 あやせの魔法ならばほむらのロケットランチャーなどおもちゃにでしかない。しかしほむらの魔法は彼女より凡庸性が優れている。

 

 ランチャーが放たれたときほむらの時間停止があやせの足に対して働いた。避けることはできずに彼女はやむ得ず、ルカの力を借りることにした。

 

 ルカの冷凍魔法でランチャーの爆撃は氷の盾で全て防がれた。

 

「なんと珍妙な……」

「あら、あなた二つの魔法が使えるの。いえ、二人で一人ってことかしら? 衣装も紅くなってるし」

 

 双樹姉妹は二人で一人だ。二重人格で魂が二つある珍しい魔法少女である。それは奇襲作戦ならば有効打になるはずだったが、こうも早くネタバレになるとは思いもしなかった。

 

「口調も武士っ娘ね」

「凛々しい武士っ娘は嫌いか?」

「どうでもいいわ。差し詰めさっきの子はお姫様ってところかしら?」

「考えてろ。こちらは本気でいかせてもらおう!」

 

 双樹姉妹の奥の手は二人の魔法を合わせる爆撃だ。衣装も一方は紅く、一方が純白に分かれて二刀流となった双樹は冷凍と火炎を合わせて爆撃を開始した。

 

 爆破に巻き込まれる前に彼女は翼を広げて超低空飛行で回避した。

 

「さあさあ! どうする!?」

 

 ほむらは焦らず冷静になって考えた。爆撃の仕組みは相反する力――――膨張と収縮が合わさることによる反作用エネルギーの爆発だ。

 

 このとき、ソラならどうすると彼女はふと考えた。そうすると笑えた。彼ならば、こうするだろう――――どちらか一つを無力化させておけ。

 

 ほむらは手を叩く。すると双樹から放たれた爆撃はただの冷気の魔法となった。

 

「ッ、なぜ!?」

「私の力――――叛逆の力よ。あなたの熱気による膨張を反転させて冷気の収縮にした。つまりただの冷凍魔法よ」

 

 ほむらは手を向けてグッと握る。すると双樹の身体がピタリッと止まる。

 

 彼女の時間停止は回りを停止させなくても止めることができるくらい進化していた。

 

「そんな力って……」

「終わりよ。殺さないだけマシだと思いなさい」

 

 ほむらは銃弾ではなくマジックアローで双樹を撃破した。煙が晴れたとき、彼女は辛うじて立てていた。結構タフなようだ。

 

「早々立ち去りなさい。私達は忙しいのよ」

 

 ほむらが踵を返した刹那、双樹姉妹は内心でほくそ笑みを浮かべた。チャンスだ。

 

 彼女はイービルナッツをほむらと千香に投げたのだ。それが当たり、彼女達が魔女化することを頭に描く。魔法少女は魔女となれば、もはや『死』と同じだ。

 

 だが彼女達の予想は呆気なく裏切られた。ほむら達は魔女とならなかったのだ。

 

「な、なぜ!?」

「愚問ね。私の相方は既に魔女であり、また私はかつて魔女になった。そして今は――――それ以上におぞましい存在になってるのよ?」

 

 魔法少女服からほむらは黒いドレスに変えた。妖しい微笑みを浮かべた彼女の視界には震えている双樹の顔が写る。

 

「さあ、どうする――――人間?」

 

 バフンッと冷気を強め、熱気を最小にした魔法で煙玉のように視界を隠した。双樹あやせの魔法は既に快復していたが、彼女もまたほむらに挑むだけの勇気はなかった。

 

 ほむらは翼で煙を払い、双樹姉妹が逃げたことを確認してから元に戻った。

 

「逃がしてよかったの?」

「ええ、どうもあの魔法少女だけが魔法少女狩りをしてるわけでもなさそうね……。そのために逃がして噂を広めてもらうのよ。そうすれば私達に近づく魔法少女も少なくなるわ」

「ま、魔法少女狩りが一つでも確認されたら複数あるって考えた方がよさそうだねー」

 

 千香はそう言って足を進め、ほむらはそれについていく。妖しく美しい少女達の夜はまだ続く……。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 零はどこかの家の前にいた。気がつければそこにいた。

 

 なぜ自分がここにいるのか、どうして自分がこんなところに来たのか、わからない。

 

 しかし何か意味があるはずだ。だからインターホンを押そうとした。

 

 が、その前に誰かが押してきた。誰がと思い、顔を見ると彼は顔を見開いた。

 

 その人物は夢でみた少年だったのだ。彼は緊張か期待を込めた顔でインターホンを押したのだ。扉から出てきたのは若々しい女性と小さな少女だ。

 

 この少年の顔を見たとき女性は驚くべきことを口に出した。

 

「ソラ……なの?」

 

 ソラだと?

 

 零は初めてこの少年の名前を知り、驚いた。あの戦争で戦っていた少年はこの少年だ。つまり、この少年はいずれその戦いに赴くことになる。

 

 母親と再会したのにも関わらず、なぜ?

 

 そう思ったとき次に目に入ったのは結界だ。それは化け物が作り出した結界だと知るも彼は呆気なく倒した。これでハッピーエンドかと思い気や、母親はソラのことを否定し拒絶した。

 

 それはこの少年を絶望させるには充分だった。それを見届けた零は愕然としていた。

 

 

――――なんて、なんて救われない話なんだ

 

 

 再会するためにここまで生きてきたのに否定された。拒絶された。この少年はなんと哀れなのだろう。

 

 だから彼はあの戦場にいたのだと思えてきた。すると声が聞こえた。

 

『断片……お前の使命はわかっているだろうな?』

 

 使命? なんの?

 

『お前は鍵だ。そしてその鍵を使い、オレをここへ――――導いてくれ』

 

 自分の使命がなんなのかわからないまま彼はまた眠りにつく。次に目覚めるのは……自分の真実に近づいたときだと思えた。

 

 

 

 




断片の役割――――それがわかる最後でした。

『一ノ瀬だったソラ』は蘇りません。死者蘇生は抑止さんが否定する事象ですので。
なので零の役割は蘇生の生け贄ではありません。

さて次回、私の最高の友達

――――そして、彼女達の人生が……終わった
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