魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~ 作:ぼけなす
by鹿目まどか
和沙ミチルはかずみのオリジナルとなっている少女だ。
彼女は円環の理にいずれは導かれる運命だ。
……いや変態化するって意味じゃない。円環の理=変態感染の園というわけではない。
中には真面目に考えて
彼女達が報われてくれることを常に願うのは抑止さんだったりする。
それはさておき、かずみは遂に自分が何者だったのかたどり着いた。原因は双樹姉妹との戦いだ。ニコが魔女化し、原作通り彼女は真実を知ることなった。
そして彼女は和沙ミチルとプレイアデス聖団の目的を知る。過去を聞かされ、そして彼女は全てを思い出す。
さらに魔女化という爆弾を抱えていたと知った里美に殺されそうなる。
里美は魔女になることや円環の理には導かれたくなかったがゆえに早とちりしてしまった。その結果、皮肉なことに自分が魔女化し、そしてかずみに殺されてしまった。
かずみはその後、自分の罪悪感と『かずみではなくミチル』として見られていたことによる『否定』で逃げ出した。
ここまでが原作通り。そう、『抑止の存在』が望む世界の在り方だ。
――――『悲劇的であれ』
この世界はそういうスタンスで、理不尽だ。だからソラという少年が『無血の死神』という英雄となってしまった。
『最凶』の弟子のせいで流れが変な方向へ向いたが、安定している。排除したいが悪魔ほむらがそれを無意識に出している叛逆の力で妨害していたのだ。
ゆえに静観である。『抑止の存在』はただ世界が安定していればそれでいい。
されど気づいていなかったことがある。キュウべぇがこの日、ある少女と契約した。そしてその少女が後に『神威ソラ』の最大の敵となる化け物であることを――――
――――ちなみに魔女化し、プレイアデス聖団に倒された少女はと言うと。
「ヒャッハー! 汚物は消毒だァァァァァ!」
「また新入りが暴走した!? アントニー、止めてちょうだい!」
「ムッシュ!」
ヒゲわたの使い魔と薔薇をモチーフにした魔法少女がカンナのトリガーハッピーを今日も止めるために苦労する。
薔薇の魔女だった少女は今日も円環の理ではツッコミ役です。
☆☆☆
月明かりが美しい夜。その光に照らされる一人の少女がビルの屋上にいた。
ほむらは零の魔力の残光を見つけ、後を追っていた。千香の推理によれば今の彼は魂だけの存在になっている可能性があるそうだ。
自身の正体に気づくことをトリガーにして、身体が存在できなくなったかもしれない。
(御崎海香は
ほむらはそう考えていると彼女は零の魂を補足することができた。彼女は笑みを浮かべていると、その背後に気配を感じた。
「……なんの用かしら?
――――まどか」
振り帰ると魔法少女服の姿をしたまどかは神器の弓を手に持ち、彼女を見据える。その目にはある種の決意があった。
「……終わりにしようよほむらちゃん。もうソラくんを諦めて」
「諦めるですって? 冗談が過ぎるわ。あなたはソラには会いたくないの?」
「会いたい――――でもそのせいで周りが傷つくのは嫌だ」
「人の願望を叶えるには何かしらの犠牲はつきものよ?」
「その犠牲で誰かが泣くのは私は納得できない」
まどかは生来から心優しい少女だ。今は何かを犠牲にすることには躊躇はないが、だからと言って心を痛まないわけでもない。
彼女は無意味な犠牲――――ソラが望んで迎えた『死』を否定することを良しとはしなかった。
「喧嘩しようよほむらちゃん。最初で最後の本気の勝負を、ね」
「いいわ……愛する人が望むなら、私はそれを良しとするわ。だけど私の『恋』は邪魔をさせない……!」
心暖まる慈愛の
ポツリポツリと雨が降り始め、戦いの火蓋が切った。
そのときマミ、さやか、杏子は強力な力を感じてまどかとほむらが戦うビルに向かっていった。
「どういうこと……暁美さんが鹿目さんと戦っているの!?」
「わかんねぇよ。だけど、それしかあり得ねぇ」
まどかに加勢するべく、ビルとビルの間を飛ぶ先には人影が待っていた。千香の願いで動く人形――――『ソラ』が待ち構えていた。どうやら千香が差し向けた刺客のようだとマミは考える。
「チッ、時間稼ぎかよ!」
「一人だけの鹿目さんじゃ、暁美さんでは辛いわね……。早く終わらせるわよ!」
「応よ!」
魔法少女服となった少女達と『ソラ』との戦いもまた切って落とされた。
☆☆☆
今回の戦いでほむらは悪魔の力を使おうとしなかった。同じレベルでまどかに挑むつもりだったのだ。ほむらのグロックがまどかの魔力矢を撃ち抜き、次に魔力弾を込めたデザートイーグルでまどかに発砲した。
まどかはヒラリヒラリと躱すが、頬を掠る。お返しとばかりに今度は魔力矢を天に向けて放ち、雨のように降り注がせる。
ほむらは足を動かす『時間』を早め、なんとか回避した。
(互角……に見えるけど、僅かな差があるわね)
僅かな経験値。まどかはこれまでにあったことを記憶はしているが身体にはその経験した記憶がない。対してほむらはループし、身体には戦いの記憶が刻まれている。
ゆえに戦いの経験値はほむらに軍配が上がっていた。
「ほむらちゃん、流星群は好き?」
ゾッと背筋を凍らせたほむらは咄嗟に魔力障壁を展開した。まどかが放った魔力矢は宣言通り流星群のごとく一斉に流れてきた。
まどかは防御しているほむらに『解錠』の概念を込めた魔力矢を放った。魔力障壁は
流星群が止んだとき煙から現れたのは黒い翼に包まれたほむらだった。翼で耐えきったのだ。
「さすがだね……」
「驚いたわ。翼を出すつもりなんてなかったのだけど、どうやら私も本気で挑まないと駄目みたいね」
ほむらは魔力矢を受けて実感した。まどかの力が徐々に戻りはじめている。そのため、一撃一撃の威力が高くなっている。おまけに円環の魔力を取り戻しかけているのか、無尽蔵の魔力を感じられる。
「決着をつけるわ。私の最高の一撃――――受けきれる?」
魔法少女服から黒いドレスに変わったほむらから黒い翼が一種のエネルギーの翼に変える。
『穢れゆく翼』――――かつてのほむらの最大魔法。
その翼は相手を滅ぼし、汚していくエネルギー体だ。
一方、まどかもまた白いドレスへ姿を変えた。彼女は『誰でもない魔女』を滅ぼしたときに見せた魔法の準備に入り、弓を引く。
「やあァァァァァ!!」
「はあァァァァァ!!」
それぞれの滅びの一撃が放たれた。まどかには既に『円環の理』の力を取り戻し、ほむらの翼を浄化していく。
(くっ……やっぱり強い)
しかし負けられない。負ければ彼女がまた概念化してしまう。また一人になってしまう。それは嫌だ。
ソラも失い、その次にまどかを失う。それだけは嫌だ。
ほむらの力がまた上がった。彼女の悪魔の力が、まどかの力に『叛逆』したのだ。力が上まった翼は流星群の弓矢を全て汚染していき、相殺した。
絵の具を溢したかのような光景がほむらの前に広がる。『穢れゆく翼』の魔法による影響だ。
それが晴れたときにはほむらは目を開くこととなった。
そこには倒れているはずのまどかはおらず、姿がない。
どこにと辺りを見回すとまどかがこちらに近づきながら、弓矢を構えていた。ほむらは翼でまどかを捕らえることに成功した。
(これで私の――――なっ!?)
まどかの手には神器をほむらに投擲したのだ。ほむらが次に目に入ったのは弓から剣となった神器だった。
「抑止さーん!」
「合点承知」
神器は光輝き、ほむらの目を眩ませる。そしてその神器がほむらを貫いた。
「あ、が……」
ほむらは膝について苦しそうに呻く。
力が、力が抜けていく。悪魔の力がなくなっていく感覚に支配される。
ほむらからダークオーブが溢れ落ちていく。そのオーブはソウルジェムへと姿を変えた。
ジェムは既に黒く染まりかけて、『円環の理』に導かれる運命を物語っていた。
「また……一人になるの? またあなたを失うの……?」
愕然とし、絶望するほむらに元の姿となったまどかが彼女を抱き締めた。
「ほむらちゃんは一人じゃないよ。私がいるもん」
「まど、か……」
「前にも言ったよね? 一人になっちゃいけないって」
ほむらは泣いていた。最初の頃の泣き虫な彼女に戻ったかのように、ほむらは泣き始めた。まどかは彼女が導かれるまで抱き締めて安心させるのだった――――
――――しかしこの世界はいつだって残酷だ
『悲劇的であれ』と言うのがルールであるかのように、まどかごとほむらを貫いた男がいた。
二人は見開いた。なぜならその男はあの変態が動かしている人形なのだから。
「そ、ら……どういうつもりなの……!?」
「
アルスの剣を引き抜いたとき、ほむらは違和感を覚えた。
――――今、この男はなんと言った?
この男は自分や千香を主として付き従う人形だった。そう、主である二人を――――
「誰が……あなたを」
「
彼は黒いナニカを彼女達の元に置いて、踵を返してその場去った。残された血で染まる彼女達は身体を横にした。
「はぁはぁ……千香ちゃんが、こんなことを……」
「千香じゃ、ないわ……。ほら、その証拠にグリーフシードよ……。彼女は『ソラ』に殺されたのよ……」
もちろん彼女だけではない。ほむらの知らないところで、マミは首を切り落とされ、さやかは両腕を切り落とされ、杏子は千香の亡骸を守るかのように覆い被さったまま腹部から血を流して息を引き取っていた。
何者かが『ソラ』の所有権を奪い、自分達を殺すように命じたのだ。
「私達……死ぬのかな? 円環の理に戻れないまま死んだら私は……死ぬのかな……?」
「わからないわ……でも、そうだと良いわ……。だって、私も死ぬのだから……」
「ほむらちゃん……」
ほむらはギュッと抱き締め合う。そしてハニカんだ笑みを浮かべた。
「これからも……ずっと一緒よ――――私の最高の友達さん……」
「うん……ずっと、だ……よ…………」
そして彼女達も息を引き取った。残されたのは満足な顔で逝った二人の少女の亡骸。
雨で濡れていく神器の抑止さんは哀れと思いながら、彼女達の冥福を祈った――――――
☆☆☆
暁美ほむらから離れた悪魔の力は空気中を漂っていた。『彼女』は消えたくなかった。
この想いを……愛を……恋を消したくない。だから足掻く。擦りきれて、徐々に消えていくのが早くなろうが関係ない。
自分に宿れる器がほしいから『彼女』は行動した。そして見つけた。
一人の魔法少女が――――六歳になる少女が死にかけているところに遭遇した。
『生きたい?』
「だぁ……れ?」
『答えて。生きたい?』
「いき、たい……生きてまたおにいちゃんに会いたい……よ」
彼女は生きて血の繋がらない義理の兄に会いたかった。母が拒絶した彼を自分が受け止めるために、強い自分になりたいと願った。しかし、ここに来る途中で『おにいちゃん』に似た男に襲撃されて殺されかけた。
命からがら逃げることができたが、もう風前の灯火だ。だから『彼女』はこの少女を助けるために、利用するために宿ることにした。それと同時に自分は消えてしまうが、この想いは彼女に宿る。
『いいわ……あなたを助けてあげる』
「ほん、と?」
『その代わりに私の想いを……この想いを消さないで。この永遠の
そして『彼女』は少女の中に消えていった。少し苦しそうな呻き声をあげていたが、しばらくして傷が治り立ち上がる。
そんなとき、彼女の口が三日月を描く。
「そうだったんだ……やっぱりスゴかったんだね――――『
これが後に敵対する最大の悪魔――――『シイ』という化け物が誕生したときだった。
一ノ瀬シイはそして闇の中に消えていった……。
まどかとほむらが死んだ!(←この人でなし!)
はい、というわけで前作と繋げるために『鹿目まどか』達一行は終わりを迎えさせました。
これが後にソラの心労となる彼女達の誕生というわけですが、やっぱり前世から芽が出ていたということでしょうか……。
しかし『抑止の存在』はそれを良しとは考えてません。『ソラ』に敵う相手がいない世界では黒幕の一人勝ちになります。なので、『抑止の存在』はあることをしました。
『鹿目まどか達』は死にましたし、蘇生は許されないので『召喚』を行います。
ヒントは前作の『ヤツら』です。…………人選ミスじゃね?な女性達ですよー(棒読み)
次回、ここから始めるよ
――――かずみは自分を知り絶望した。しかし彼女は希望を捨てない