魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~   作:ぼけなす

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「前半は完全に悪ふざけだろ……」

by神威ソラ


第五十四話 さあさあ悲劇を喜劇に変えましょうか!

 

 

 

 抑止さんが冥福を祈っていると、まどかとほむらの遺体から光を放つ陣が浮かぶ。そこから声が聞こえた。

 

「なーんて終わると思った? 抑止さーん♪」

 

 抑止さんの耳に入ったのは逝ったはずのピンクの魔法少女のモノだった。彼女はピクリとも動いていない。死んだはずだ。

 

 ではどうして聞こえる?

 

 抑止さんがそう考えたとき、まどか達の遺体が召喚陣に呑み込まれる。そしてそこから、なんとまどか達が出てきたではないか。

 

 しかももどこか雰囲気が違う。どうも大人びていると言うべきか、高校生とは思えないくらい成長しているようだ。

 

 何事かと考えたが、彼女達を分析することで理解した。

 

 雰囲気が違うまどかはソラの神器を拾う。どうやら少し罅が入っていたがまだ使えるようだ。

 

 彼の神器はまだ役目がある。零という少年に渡すことでやっと『無血の死神』の神器は役目を終える。

 

「さーてと、これからどうしようかほむらちゃん」

「そうね……とりあえずマミさん達と合流しましょう。……このときの私の成績と今の(・・)私の頭脳が問題なければいいのだけど。もう忘れているところもあるし」

「大丈夫大丈夫♪ また勉強すればいいよ。あ、とにかく課題を終わらしているか確認してから、明日勉強会をしようよ♪」

 

 まどかはカラカラと笑って、空を見上げる。暗い闇に染まった空はいつの間にか雨が止み、月明かりが照らしている。

 

 そして彼女――――『朱美まどか』は微笑んだ。

 

「さあ、前世の世界で暴れようか♪」

 

 それはいずれきたる戦いに参加表明。

 

 『鹿目まどか』は死に、ソラの知り合いの女神に導かれた。そして彼女達のことで問題を起こさないために喚ばれたのがこの『来世』の少女達。

 

 

 とりあえず、言わせてもらおう。

 

 

――――どうしてこいつらなんだ!?(by神威ソラ)

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「以上がまどかちゃんの紙芝居解説だよ! わかった?」

「「わかるか!」」

 

 海香とカンナはツッコむ。いやそんな荒唐無稽な話を信じろという点がおかしい。

 

 そんな中、みらいを食い殺そうとした『あすなろの昴』がまどかに牙を向ける。

 

 危ない、とカオルが叫んだ刹那、魔女の動きが止まる。

 

 何事かと思い振り向くとほむらがカードを浮かばせて魔女の『時間』を止めていた。

 

「そんなに死にたいみたいね。いいわ……逝かせてあげる」

 

 ほむらは両拳銃から六発、ライフルを二発、バズーカを一発など発砲し、そして魔力矢(極大)を撃つ準備に入る。

 

 銃弾は魔女に当たる寸前まで止まっており、『停止』が解ければ魔女は蜂の巣になる。極めつけに『ティロ・フイナーレ』レベルの魔法が放たれるというオーバーキルにみらいは動いた。

 

「僕のサキに何を――――ッ!?」

 

 みらいの手足が半透明のシールドで止められる。止めたのはボクッ娘変態少女、千香である。

 

「ボク達の邪魔するなら君も同罪だよーん?」

「邪魔するなァァァァァ!」

 

 みらいはテディベアを召喚し、千香に向かわせる。千香は「やれやれ」と呟き、シールドを足場にしてみらいのジェムを奪う。

 

「返せ! 僕の魂を――――ってなにファ○リーズを使ってシュッシュッしてるの!?」

「え、だって戦ったじゃん。だからニオウと思って」

「それじゃあ僕が臭いってことになるじゃん! てか、臭くねぇし!」

「ぶーぶー。文句を言う若者にはこうだー!」

「ぎゃあァァァァァお前なに人の魂を小型洗濯機の中に入れてるのォォォォォ!?」

「こうすればあなたのジェムもピッカピカ! ジャパネット見滝原小型洗濯機、本日発売!」

「どうでもいいわ! てか、小型に需要はねぇよ」

「買うわ! いくらなの!?」

「海香、なんで食いつくの!?」

 

 千香ちゃんは今日も絶好調。テレビ通販のノリで、みらいという被害者をつくり海香という客の心を握る。

 

 そんな中でほむらは時間停止を解除した。集中砲火を受けた魔女は弱まり、そしてほむらのマジックアローが放たれた。

 

「ティロれ、魔女」

 

 巨大な弓矢は魔女を貫き、爆発を起こした。みらいは呆然として見守り、ほむらに斬りかかる。

 

「よくもよくもよくもサキをォォォォォ!」

「うるさいわね。静かにしなさい」

 

 大剣を振り回すみらいをあっという間に無力化し、地面に叩きつける。それから手足に魔弾を撃ち込み、動けなくさせる。

 

「お前、らァァァァァ……」

「大人しくしてなさい。さっさとこちらも仕事を終わらせたいのよ」

 

 今度は周りに時間停止を発動し、かずみが入ったシリンダーをカンナから奪う。時間停止は解除され、カンナはかずみが奪われたことを認知したときにはほむらはサキのグリーフシードを千香から受け取ったときだった。

 

 かずみを解放し、彼女の耳にあるソウルジェムにグリーフシードを使う。浄化されたかずみのジェムは綺麗になったと同時にサキのグリーフシードはピンクの光に呑み込まれて消失した。

 

「あ、あぁ……サキが……」

「変態の国へ逝ってしまった……」

 

 別の意味で海香とカオルは絶望した。サキにはある意味シスコンという素質があったため、もしかすると彼女はレズビアンとして目覚めるかもしれない。

 

 そんな未来にみらいは絶望した。

 

「みらいだけに……プークスクス♪」

「黙れェェェェェ絶対に殺すゥゥゥゥゥ!!」

 

 みらいは最後の力を振り絞り千香に大剣を投げつける。千香はそれを受けたが刺さらず、打撃を与えただけになる。千香の身体にはシールドが展開されており、斬撃が通らない仕組みとなっているのだ。

 

「いいね! さあ、もっと……諸ともボクを罵っていじめてよ!」

「もう……ヤダ。コイツ……」

 

 それを最後にみらいはピンクの光に呑み込まれた。『円環の理』に導かれたのだ。

 

「いえーい! これで同志が増えるねまどか!」

「うんうん理解者が増えてまどかちゃんはうれしいよ。いえーい♪」

 

 やったぜと喜ぶ二人に海香とカオルは「コイツら外道……」と考えていた。こんな形で亡くなるのは来世の恥になる。

 

 やはりプレイアデス聖団の真の敵は『円環の理(変態の使者達)』だ。

 

「はん、こちらとしては好都合だね。かずみは浄化されて、復讐対象は二人も消えた。感謝するぞ人間!」

「人間? あなたは違うの?」

「当たり前さ。こちらは人間より進歩した存在――――合成人間『ヒュアデス』さ」

 

 胸を張って宣言するカンナにまどかは首を傾げる。

 

「サイコショッカー?」

「それは人造人間よまどか。そうね……おそらくショッカーに改造された人間のことよ」

「それも違うから。改造人間じゃなくて合成人間さ。要するにあの可愛い顔は擬態で本来の姿は頭が羊で顔と身体はライオン、尻尾が蛇という魔物なんだよきっと!」

「「うわ……キモ」」

 

「お前らそんなに人の心を傷つけて楽しいのか!?」

 

 千香のカンナがキマイラということにドン引きするまどかとほむらに、カンナは半泣きである。彼女だって感情がある人間なのだからえぐりくる発言には傷ついて当然だ。

 

「もうお前ら許さない! やれ、魔女共!」

 

 カンナは双樹姉妹のジェムにイービルナッツを埋め込み、『外道魔女』を誕生させる。まどか達は好戦的な笑みを浮かべて零に『全てを開く者』を投げ渡した。

 

「それを渡したってことはわかってるよね?」

「ああ……もうそれしかないんだな?」

「うん。あなたには悪いけど、それしか彼女達やこの世界を救える手だてはないよ。なんせ、あっちには『ソラくんの肉体』があるのだもん」

「…………そうか。じゃあ仕方ない、よな……――――」

 

 彼はそう言ってかずみ達の前まで行く。背後には魔女と戦う三人の少女達。それでも彼は伝えることを伝えるまで振り返るつもりはない。

 

「今まで世話になったなかずみ。それに二人にも悪いな……なんか迷惑かけたし」

「零さん、何を言って……」

「お別れさかずみ」

 

 零は神器で自分の周りに陣を描き始めた。魔力の線で造り出した陣だ。それを描きながら彼は言葉を続けた。

 

「オレはこの世から去る。それは必然であり、避けられぬ運命だ。けど、意味もなくこの世から去るのは嫌なんだ。だから何かの犠牲になる」

「犠牲にって、どういうことなの!?」

「生け贄、かな。ま、別にいいだろ。それが最善だから」

「良いわけないよ!」

 

 かずみは零を逃がすまいと抱きついた。彼女は泣き始めていた。

 

「消え去らないように一緒に考えようよ!」

「かずみ、でもな……」

「でももなんでもないよ! わたしは海香やカオルに生きてほしいって言われた。だから生きようって決めたんだ。それなのに、どうして君は生きようと思わないの!? どうして自分の『死』を受け入れるの!?」

 

 そうだ。立花宗一郎がいる。彼ならばきっと零に生きてほしいと言うはずだ。

 

 かずみは宗一郎のことを棚に出そうとしたが、口を開く前に指で止められた。

 

「『死』を受け入れる……か。たぶん、ソラも死にたくなかったんだろうな。でも、あいつは受け入れたんだよ――――ほむらに殺されることを」

「なん、で……?」

「それはきっと好きだったんだよ。友達として、大切な相棒として……。そしてきっと彼女を救ってくれるたった一人の友人のことを信じて死んだんだ。だからあいつは後悔はしてなかった」

 

 零はかずみを押した。かずみが陣から離れたと同時に零の特殊な召喚が始まろうとしていた。

 

「かずみ、言っとくがオレは死ぬんじゃないよ――――『還るんだ』。あいつの……ソラの元に」

「零さん、零さん!」

「泣くんならこれからここに来るヤツに頼む。『みんなを守れ』って……な♪」

 

 零は最高の笑顔を浮かべて光に呑み込まれた。彼は消えていくところをかずみ達は見守る。そして神器も砕け散った。それは『一ノ瀬だったソラ』の神器がなくなったことを意味する。

 

 

――――それにはもちろん意味がある

 

 

 理由は零が召喚した者が証明していた。

 

 銀髪で青い瞳。普段はどこかやる気がなさそうだが、今は剣呑な顔になっている。その男の手には砕け散ったはずの神器が握られていた。

 

「儀式召喚か……。やれやれ、どこのどいつだ。こんな犠牲を出す大バカヤローは」

 

 彼は呆れた物言いでため息を吐いた。海香は彼が何者か聞いた。すると、彼はいつものように答える。

 

「神威ソラ。転生した『無血の死神』のソラだなんだけど、ヤベ。スカさんに連絡一つ渡さず消えたっぽいし、大丈夫かな……」

 

 少し気まずそうな彼――――神威ソラはポリポリと頬を掻いた。

 

 




遂にソラが『復活』!

時間系列的にはスカさんのところで働いている最中だったところです。零は己を生け贄にしてソラを召喚しました。

また零の名前には意味がありました。

鍵無零→『鍵』のない零
零→『空っぽ』→『空』→ソラ

よって鍵のないソラという発想で生まれた名前です。気づきましたか?

さて、次回は神威ソラと『ソラの肉体』

――――キュウべぇは苦労していた……
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