魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~ 作:ぼけなす
by巴マミ――――もとい暴走お姉ちゃん
本日は快晴。春風がまだ吹き荒れる今日なのだが、見滝原中学校屋上では雷雲のごとく、荒れた空気となっていた。
「どういうことかしら?」
「えっと……どういうことでしょうかねー……」
修羅のごとく仁王立ちし、苦笑しているソラを威圧していた。
「なんであなたに巴マミがベッタリなってるのよ!」
そう、ほむらが不機嫌な理由はマミがソラを甘えさせているからだ。昼御飯の時間になるとマミに屋上へ来るように言われたソラが向かうとまどかやさやかだけでなく、ほむらもいた。
そこまでは悪くない。しかし、昼御飯に問題があった。
「はい、ソラくん。あーん♪」
「いやオレは一人で食べれますから」
「あーん♪」
「いや、その……」
「あーん♪」
「……あ、あーん」
恥ずかしがりながらも謎の威圧に耐えきれなくなり、ソラはマミの思うがままに甘えさせられた。
その光景は一種のカップルに見えないわけでもない。
だからこそ、ほむらは不機嫌だ。こいつらなにイチャついてるんだゴラ。
「あなた、昨夜巴マミに何をしたのよ!?」
「えっと……頭を抱き締めた?」
「抱き締めてどうしたの!? 狼になったの!?」
「え、オレって狼になれるの? てか、人間って狼になれないだろ」
「そういう意味じゃないんだけどなぁ」
まどかはここでソラの保険体育の知識はゼロだとわかった。
そもそも異性に対しても平等だったし、もしかすると彼の中では性に対する認識は皆無かもしれない。
「ふふ、ソラくんはホントにかわいいわ♪」
「あの……人前で頭をナデナデしないでください。恥ずかしいです……」
「だーめ♪ お姉ちゃんって呼んでくれるまでやめません♪」
「あぅ……」
なんかキュンときた。まどかにも弟がいる。三歳の男の子だが、無邪気で元気な子だ。そんな子どもと同じ雰囲気を感じてしまった。
いつか自分もこうやって甘えさせようと誓っていたりした。
「いい加減にしなさい。真面目な話に移れないじゃない」
「あらあら、暁美さん。そんなにカッカしちゃ駄目よ?」
「カッカするわよ! あなたはいったいどうしちゃったのよ!?」
「ソラくんのお姉ちゃんになりました♪」
ウィンクするマミにほむらはゾクッとした。なんだこの人。
ホントに誰だ?
豆腐メンタルはどこいった?
実家に帰ったのか?
そんなツッコミを頭で思い浮かび、嘆息を吐いた。
「オイオイ、ため息吐いてると幸せ逃げるぞ?」
「誰のせいよ!」
まさか怒られるとは思いもしなかったソラは「解せぬ」と呟くのだった。
☆☆☆
そんなこんなでマミはしばらくの間は魔女退治を休業することとなった。まだ死の恐怖があるため、トリガーを引けないと本人は言っていた。
ソラの頬っぺたにスリスリしながらの発言だったため説得力はないが。
とは言ってもこれでしばらく戦える魔法少女はほむらだけである。まどかは特に問題はないが、さやかはほむらを目の敵として見ている。
第一印象があまりよくないことだったが仕方ないと言えば仕方ない。
さて、ソラはふと病院に立ち寄ってみた。彼はこの病院に既視感があった。
(いつだったかな……。なんこ見たことあるような)
幼稚園児だった頃に来たことあるような。
小学生に上がる前だった頃に来たことあるような。
まあなんにせよ。なんか苦い思い出があった。注射を嫌がっていたという記憶がある。
「にしてもなんだろうな。このデジャブ」
ソラが階段で上の階へ足を運ぶと見知った青い髪が目に入った。さやかがエレベーターで下に降りるのではなく、屋上へ上がっていった。
「うにゃ? どうしたのかな?」
ソラは何かあったと思い、さやかの跡を追いかけた。すると、さやかがキュウべぇと契約を結ぼうとしていた。
「ッ!? 何やってるんだあいつ!」
ほむらに何度も注意されていた。
もし、まどかやその友達が契約をしようとしていたら、何がなんでも止めろと。
ほむらにとって知人だった人達が魔女や死ぬことはとても目覚めが悪い。なので彼女はソラに何度もお願い――もとい脅迫していた。
重火器を眉間に当てられたら誰だって頷きます。
ソラはさやかにやめろと叫びながら駆け出す。
しかし時既に遅し。さやかからソウルジェムが顕現され――――
――――ズッコけたソラが彼女のスカートをずり降ろした。
「…………へ?」
「イタタ……うにゃ? なんだこれ?」
「…………(パクパク)」(真っ赤な顔)
「どしたのさやか? そんなに顔をあか――――ぶげらァァァァァ!?」
できたてホヤホヤの魔法少女の平手打ちは効いたとソラは後に語る。
☆☆☆
さやかの願いは幼馴染みの左手を治すことだ。その願いの元に彼女は魔法少女となる。これはほむらが知る彼女が魔法少女となる根拠だ。
「……えっと、なんであたしは縛られたのかなー?」
「美樹さん、あなた。魔法少女になったのね?」
「ええっと、はい……」
「それがどれだけ危険かわかる? どれだけ命懸けなのかわかってた? 私が死にかけたことを忘れたのかしら? マミるって単語があと少しで誕生していたのがわかってたかしら?」
「ちょ、マミさんメタいです! というか願いもあったし、別に問題が」
「その願いが問題よ! あなた、見返りの無い願いがどれだけ最悪なことかわかってないでしょ!」
マミがさやかを説教する理由は願いの内容だった。全ての魔法少女はだいたいは自分の願いだが、さやかがしたのは家族でもない他者の怪我を治すという見返り無しの願いだ。
つまりデメリットもなければメリットもない旨みのない願いは報われない結末がある。そのことがマミが説教する理由である。
「あなたとその幼馴染みが恋人同士ならわかるけど、友達同士でしょ。このままだとあなたは報われないわよ」
「別にいいじゃないですか! それにマミさんの願いだってただ生きたいという願いじゃないですか! その願いもどうかと思いますけど!」
「臨死体験だから仕方ないわ。というかちょっぴり後悔してる! ソラくんみたいな弟をお願いすればよかった!」
「それ欲望全開ですよね!?」
「関係ないわ。ソラくんを愛でるためなら自重しない。私、もう何も怖くない!」
「オイィィィィィこの人、ほんの数日でキャラ崩壊しちゃってるよ!」
お姉ちゃんモードのマミはたまに暴走モードなるらしい。ほむらはそれを見て嘆息を吐いた。
なんせこの時間軸はおかしいからだ。マミのお姉ちゃん化などもそうだが、まさかさやかの契約のときがもろパンというスカートずり落ちな形で結ばれたのだ。しかも小さいとは言え、異性に見られるという形でだ。
正直、自分も体験したくない契約シーンである。
「イターイ……。なんでパンツ見られたくらいで怒るんだ?」
「異性に見られることが恥ずかしいのよ」
「? 別に問題ないだろ。好きでもなんでもないヤツに見られても」
(この子、ホントに女心というか性の知識が薄い……)
ほむらの何度目かの嘆息が吐かれたとき、ほむらの携帯からまどかから通話が届いた。
どうやら仁美が魔女の口づけで操られ、大変なことになってるそうだ。
「……魔女が現れたわ」
「なら、私も行く」
「……好きにすれば」
「よし、マミさんは夕飯作ってて。だいたい七時半には帰るから」
「はーい♪ 今日はあなたの好きな焼肉定食よ」
「「オイ、なに親子してんだ」」
家族ごっこをする二人にほむら達の額に青筋が立っていた。
安定のお姉ちゃんクオリティ。それがニュー巴マミ!
彼女には自重することはないです。
というか親子関係だよねこれ?
次回、箱の魔女は涙目です。彼女はテレビじゃないのに……
――――デジモン映せやコラァァァァァ!!by一ノ瀬ソラ
――――無理っぷゥゥゥゥゥ!?by箱の魔女