魔法少女まどか☆マギカ ~全てを開きし者は英雄となる~ 作:ぼけなす
by佐倉杏子
さやかは使い魔を追っていた。一刀に鍛えられた技術と胆力を見せるためじゃなくある意味気合いが入っていた。
そんなさやかを見守るためにソラとなぜかまどかは彼女についていた。まどかとしては親友の心配でついてきたらしい。
「逃げるなオラァァァァァ!」
「気合い入ってるなぁ、さやか」
「なんか今日、幼馴染みの上条くんと遊ぼうって誘ったらしいんのだけど、『バイオリンの練習したいからヤダ』って断られたらしいよ?」
「八つ当たりかよ。いやまあ、使い魔だから理不尽だって同情しないけど」
哀れ。恋する乙女の怒りは止められない。
今追いかけている使い魔は子どものクレヨンで書かれた車に乗ったシュールな女の子だ。彼女に感情がないはずなのに泣いているのは気のせいだろうか。
「よっしゃあ! 死ねや!」
さやかの殺意もとい怒りのサーベル投擲が始まった。
「女の子らしい言葉遣いじゃないよ!?」
「いや最近の女性はこんな感じで逞しい発言しているからな? 今時おしとやかな女性なんていないから」
「そんなこと――――ないから?」
「あ。やっぱ感じてるんだ」
昔の女性の印象は大人しい優しい淑女だったという印象だが、今は逞しい怖い女性が多い。
はっきり言って前者は男の幻想だが。
するとさやかのサーベルが何者かに弾かれた。サーベルを弾かれたさやかはムッとした顔で妨害した人物を見た。
紅い髪のポニーテールでフリフリの洋服を着た強気そうな女の子だ。
「ちょっとちょっとストップ。アイツをココで殺るのは止めときな」
「どうしてよ?」
「あと二、三回人を襲えば魔女に成長するってことさ。放っておいた方が建設的だろ」
使い魔が魔女に成長するのは初耳だが、ソラはこの少女の発言にムッとした。人に襲われるというのは目覚めが悪いし、何より自分が見逃したせいで誰かが傷つくのは気にくわない。故にソラは彼女の言葉が気に入らなかった。
「だから邪魔したの? あたしの獲物を」
「それ以外に何か――――」
「じゃああんたがあたしの獲物ね。そういうことね?」
「――――は?」
一方、さやかは使い魔よりも目の前の妨害した人物を標的にしていた。早く、自分の実力を知りたい。
そんな向上心満点の彼女が起こす行動はやはり戦うことである。
「あたしと戦えやァァァァァ!」
「ちょ、コイツ。バトルジャンキー!?」
「この一週間で何があったのさやかちゃん!?」
親友の豹変ぶりにまどかはビックリ仰天である。一方、ソラは鞄からジュースとお菓子を出していた。
「やっちまえー。ぶっ殺せー」
「ってソラくんは何をしてるの!?」
「観戦。ちなみに観客がいたら賭け事する予定だった」
「いや止めようよ! 魔法少女同士の戦いは危ないよ!」
「え、つまりあの中に飛び込めと? まどかって実は鬼畜? 殺すつもり?」
「鬼畜じゃないから! あと止める気ゼロだね!」
「だってさやかの目が輝いてるもん」
さやかが側面からサーベルを振るうと紅い髪の少女は槍で防いだ。しかしそれを待っていたばかりと左足が腹部に放たれた。
紅い髪の少女は後ろへ後退して回避したが、さやかの攻撃は続く。
右、左、上、下、斜めの斬撃は止まらない。
「アハハハハ、楽しいや! 最高にあたしは輝いてる!」
「ちょ、アンタは正義の魔法少女じゃないのか!?」
「間違ってないけど今は戦いたい! 一刀とソラの鬼のトレーニングで鍛えられた技術と力を知りたいのよ!」
「誰だ! 誰がコイツをバトルジャンキーに変えた!?」
犯人はお菓子を食べてるこの少年です。
なお、その隣にクッキーを食べてるまどかがいたりするわけだが、もはや場がカオスになっていた。
「あ、おいしいね。このクッキー」
「マミさんの手作りだよ。非売品だからねー」
「むー、これは料理を鍛えないと将来が危ないかな?」
「専業主婦になりたいから鍛えたらいいよ。まあどのみち独り暮らしする人には必須だし」
「でもママのような専業主夫を捕まえるのも悪くないし……」
「まあ人生生きてたら良い人に会えるさ」
「そだね。がんばってーさやかちゃーん」
「アンタら何呑気にお菓子を食ってるの!?」
紅い髪の少女は二人の楽観的な観戦にツッコまずいられなかった。するとさやかは彼女の槍を弾き飛ばした。
「しまっ――――」
「もらったァァァァァ!」
サーベルが紅い髪の少女の身体を捕らえようとした刹那、モノクロの世界になった。
時間停止。暁美ほむらの固有魔法だ。
「なんで美樹さやかが佐倉杏子を圧倒しているの……」
ほむらは呆れながら杏子をサーベルから離れた位置に引っ張り、すぐに離した。こうすれば時間停止された対象は一瞬でまた停まる。
「ふう、これでよし」
「それじゃあ解除して」
「はいはい。…………え?」
モノクロの世界が元の世界に戻った刹那、ほむらは誰が声を出していたのかわからなかった。新たなイレギュラーと推測したが、紅い髪の少女こと佐倉杏子は悲鳴を上げた。
「ど、どうしたのよ!?」
「な、なななない!」
「えっと、何が?」
「アタシが着けてた下着がない!」
その場にいた女の子達は驚愕した。誰がこの一瞬で下着ドロをしたのだ。
ほむらは「え? まさか私?」と身体を触って確認した――――すると、ポロリと可愛らしいクマちゃんイラストのパンティが……。
「「「「……………………」」」」
「ち、違うわよ!? 私の時間停止で佐倉杏子を移動はさせたけど、パンツは剥ぎ取ってないわよ!」
「転校生……あんた」
「ほむらちゃん、もういいんだよ? あなたがどんな趣味でも友達だから……ね?」
「信じて! それでも私はやってない!」
そう犯人は彼。時間停止でも動けた彼の仕業だ。
まあほむらの半泣きに罪悪感が沸いてきたから目立つように宣言するわけだが。
「ハッハッハッ! ノーパンの気分は如何かねガール!」
ソラは高らかに笑いながら自分がやりました宣言した。ほむらはホッと安心したが、後でソラをシバくことを決めた。
「テメーの仕業か! どうやって取った!」
「なんかモノクロの世界になって周りが止まったからあんたの下着を取ってやろうと」
「なんのためにだよ!」
「いや師匠の知り合いが戦いを止めるならノーパンにさせた方が良いって言ってたから」
「いや確かに止まるけどどんな止め方だよ! てか、アンタの師匠の知り合いは変態か!?」
「よくわかったな! ちなみに取ったパンツは頭に被る派の女性です!」
「どんな女性だよ! てか、返せ!」
「いいよー」とソラは答えてほむらからパンツを取って、さやかへ投げようとしていた。
「ちょ、あたしに他人の脱ぎたてほやほやの下着を投げないでよ! きたないじゃない!」
「そうか? じゃあまどかにプレゼント」
「私もいらないよ! それならほむらちゃんにどうぞ!」
「まどか!? 私にあげてもなんのメリットはないわよ!? というかソラも私に向けてきたないモノを投げないで!」
「えー? 脱ぎたてほやほやのパンツはご褒美じゃないの?」
「「「それはソラの知り合いのご褒美だから!」」」
「お、お前ら……いい、いい加減にしろよ……グスン」
杏子もガチ泣きである。自分の下着を他人に見られるわ、きたないモノ扱いされるわ、メンタル的に集中砲火を受ける。
ええ。そりゃ、泣きますよ。
すると騒ぎを聞きつけやってきたマミは泣き出す杏子に、ほむらに拳骨され説教されるソラ、オロオロするさやかとまどかを見て呟く。
「なにこのカオス……」
未来ではとある人物が起こしそうな光景だったりする。
ちなみにソラは女性の下着の価値をよくわかっていませんのでイタズラ気分でやった。後悔してないと供述していたらしい。
☆☆☆
やっと杏子の目的をソラ達はわかった。マミさんのいない見滝原の魔女狩りするつもりできたようだ。
彼女の本来のスタイルは悪びれて言う口調だが、今は泣きながら話していたのでなんだこの萌えキャラは、というスタイルになっていた。
「なるほど、つまりマミさんの休業中に代わりに魔女退治したいってことだね!」
「ち、ちげーよ! アタシはマミの狩り場を横取りしようとしてるんだよ!」
「涙を流しながら言われてもねー……」
「うっせーよ! 一ノ瀬ソラ、ぜってーお前だけは許さねぇ!」
「おお! 熱血主人公発言だぞさやか! こいつ、もしかしたらお前のライバルキャラだ!」
「そうなのね! なら、今日からあんたがあたしのライバルよ! 熱血美少女キャラのポジションはあたしのモノよ!」
「オイィィィィィ誰かこの馬鹿とアホの暴走を止めろォォォォォ! だんだんとカオスになってるから!」
無理。まどか、ほむら、マミはそう思った。
こいつらの暴走を止められるほど彼女達のツッコミは上達してない。
「そうだわ。今日から佐倉杏子に彼と彼女のブレーキ係に任命しましょう」
「あ、名案ねそれ」
「あなたの力でこの二人を止めてね!」
「待てテメーら! なに人をブレーキ係に任命してんだよ。アタシの胃を破壊するつもりか!?」
「「「大丈夫。鉄の胃袋だから!」」」
「マミはわかるとして、ピンクと黒髪! アンタらがなんでアタシの胃袋が強いってわかるんだよ!?」
カオスは止まらない。彼と彼女達のばか騒ぎはしばらく続くのであった。
なお、さやかは杏子の発言が許せんために密かに再戦を申し込んでいたりしていた。ぶっちゃければ、中途半端に終わったことへの欲求解消が主だったりする。
それに気づいたまどかは彼女達を止めるために、その日。彼女達をつけていたそうな。
――――そして、知ることとなる
――――魔法少女は生者ではない、ということを
カオスになっちゃった……。
まあこれが未来では日常になりますが。
なお、未来では杏子じゃなくソラがツッコミになります。過去がこんなんだからツッコミにまわされる羽目に……哀れソラ。
次回、恋する乙女がゾンビだろうが生者だろうがお前はお前
――――物語が動き出した……!