一年前、異聞帯として大西洋にアトランティスが出現してからしばらくが経った頃のこと。
オデュッセウスは恐怖した。
訳のわからないことを叫びながら赤子の手を捻るようにアトランティスの兵士達を倒していく。
それをたった一人で無傷で行った化け物に。
オデュッセウス自身は早々にぶん殴られて海に落とされてしまい、船上から落ちてくる部下達を見ていた。
ORTマンと名乗ったそれは一通り兵士を船から叩き出すと、魔獣を生み出すために作られたエキドナに近付いた。
オデュッセウスはなんとか船に乗り、ORTマンが何をしようとしているのかを見た。
見てしまった。
オデュッセウスの目線の先には上機嫌に歌いながらエキドナの体を弄っているORTマンの姿。
「君は鍋~♪」
小一時間後、エキドナはカレー製造機と化していた。
オデュッセウスは泡を吹いて気絶した。
後に近くの島に漂着していたオデュッセウスを回収したキリシュタリアは事の顛末を聞いて腹が捩れた。カイニスはガチで焦った。
しばらくの後、人理により召喚されたサーヴァント達によるオリュンポス進行が始まろうとしていた。
人理側のサーヴァントではないにも関わらず、いざ出港というタイミングでアトランティスの船が現れた。
当然警戒したが、出てきたのは明らかに友好的な銀ピカの男。
気が抜けたものの、サーヴァントではあるようなので同行を許すこととなった。
ORTマッと名乗ったそれに対する評価はよくわからんが強そうなやつといった印象ではあったものの戦力になるかどうかはわからないといった状態であった。
しかし、その評価はすぐにひっくり返されることとなった。
「ソードビッカー!」
「「「グワァァァ!」」」
オルパルドンの攻撃で吹っ飛ぶアトランティスの兵士と船。
後に同じ船に乗っていたマンドリカルドはこう語る。
「全部あの人一人で良いんじゃないっすかね・・・」
彼はその後も無双を続け、船が近づけば沈没させ、ポセイドンもちょっかいをかけに来るとその数倍の損害を与えられ追い返されていた。
ポセイドンが倒されなかったのは単に彼が仲間の英霊達に自分の攻撃が当たらないようにしていたからである。
「まーけたー!」
衛星軌道からの攻撃もカリギュラが精神攻撃を無効にすると、アルテミスは物理的な攻撃に切り替わった。勿論船を狙った攻撃がされたが、ORTマンが庇ったことで被害は何故かORTマンの尻が焦げた程度であった。
「貴様、よくもORTマッの哀れなケツを!」
「お前は何にキレてんだ!」
そんなこんなでオリュンポスの入り口までたどり着いた英霊達はここまでの旅路から、いずれ来るカルデアを導く者が必要だと考えた。
その結果、神を倒す作戦はここまでやって来た英霊達で行い、カルデアをオリュンポスまで導く役割をORTマンに任せることとなった。
正直何人かはORTマンに神を倒してもらえば良いのでは?と、考えたが、そこは我の強い英霊達。
ここまでORTマンの介護でやって来たのだから神は俺たちで倒そう!といった具合でORTマンにカルデアを任せたのだ。
そして、ORTマンは見事にカルデアをアトランティスまでたどり着かせた。
「ストームボーダーは嵐の壁を突破したよ!」
「うむ、それは良かったのだが・・・」
インド異聞帯の後、サーヴァント、ネモの宝具を進化させたストームボーダーは大西洋異聞帯に突入した。
新所長ゴルドルフはチラリと甲板の上を写すモニターを見る。
『カレー作り世界チャンピオン、ORTマッ!』デーデッデッーデデデ!デデッデデッー!
「なんで仮称ORTマンが私達の船の甲板でカレー作っているのかね!?」
「しかも嵐の壁を乗り越えたってのにあのキッチンセット何事もなかったかのように鎮座してるぞ!?」
「この船は僕の体の一部みたいなものだから言わせてもらうけど、あのキッチンはボーダーに一ミリも触ってないよ」
「ドラ○もんみたいに浮いてるのかな?」
「それよりも彼とカレー作ってるあの女の子なんなのかな・・・?」
実に不思議である。
ぶっちゃけるとキッチンセットとカレーを作ってる女の子はエキドナの成れの果てである。
ORTマンの宝具と化してしまったのだ。
しかし、本人達が幸せそうなのでオールオッケーである。
さて、アトランティスに突入したカルデアであったが、妨害らしい妨害もないまま、オリュンポスの入り口にたどり着いてしまった。
勿論ORTマン含む汎人類史のサーヴァント達によってアトランティスの防衛網は完全に破壊されてしまったからである。
「目標はオリュンポス。仮称ORTマンから渡された資料によればオリュンポスの底部は完全に制圧しているとのことだ。ゼウスからの何らかの妨害はあるだろうが西側になら着陸させられるとシバからも予測が出ている。先程ORTマンが正体不明の方法でオリュンポスのサーヴァントに連絡をとったようなので向こうで騒ぎが起きている頃だろう」
「つまり、行くなら今しかない、と言うことだな経営顧問」
「その通りです」
ホームズの纏めた通りに作戦を実行することを決めた一行はオリュンポスに突入するのであった。
おまけ
「異星の神の使徒のアルターエゴだ!」
「もうここが嗅ぎ付けられたのか!?」
汎人類史のサーヴァント達の拠点の一つ。
アトランティスにあるそこに二人の人影が突っ込んでくる。
「さて、チェックメイトだ諸君」
「悪いがこっちも仕事なんでな!」
アルターエゴのラスプーチンと村正である。
本来であればこの襲撃を始めとするアルターエゴの襲撃で英霊の数は激減して行く事になったのだが、ここにはORTマンがいた。
「別人格キラー、ORTマッ!」デーデッデッーデデデ!デデッデデッー!
「なんだこいつ、いきなり攻撃してきやがった!」
「何故か私への攻撃の方が激しいのは気のせいだろうか?」
結局、その場は逃走して事なきを得た村正達であったが、その後別の拠点に何度襲撃を仕掛けても必ずORTマンによって被害をゼロにされてしまうのであった。
こうして、二人は霊基が常に傷ついていたとかなんとか。