ぼっち・ざ・ろっく・おぶ・ざ・ひーろー! 作:あいむ
ご報告とあれこれ
前話の前書きにてキャラクター達があれこれする茶番風あらすじを試みましたが、何やら前書きでも台本形式だとタグが必要であると指摘を受けました。なので、前回のあらすじは書き直し、あらすじにおいては当面の間、簡潔に行うかもしれません。また、違う形で茶番風あらすじを行うかは未定です。
また、不足情報や誤字報告の方もあり、教えてくださった方には感謝を申し上げます。
今後も、間違ってる部分や「これは違うのでは?」という部分がありましたら、コメント欄にお願いいたします。
良ければ今後とも応援の程、よろしくお願いいたします。
「でねっ、あたしがそこでドリンクバイトやってて……」
「あ、はい」
「うちのお姉ちゃんが店長やってるんだ〜」
「は、はい」
俺と後藤さんは伊地知さんの案内の元ライブハウスへと向かってる。
しかも現在、後藤さんの顔を見て話しかけようとしてる伊地知さんとそんな彼女から必死に目を逸らそうとする後藤さんが俺の周りで攻防戦を繰り広げていた。
どうしてこうなったのか。
それは……
〇 〇 〇 〇 〇
「僕、星乃湊音といいます」
「あ、もしかしてひとりちゃんの友達? あたし伊地知虹夏。よろしくね!」
飲み物を買ってきた後、後藤さんの元に戻ると伊地知さんに声をかけられており、状況を飲み込めない俺はタイミングを伺って声をかけた。俺の存在に気づいて無かったのか伊地知さんは本気でびっくりしていたけど、話してみるとすんなりと受け入れてくれたようだ。
「いや〜、ごめんね気付かなくて」
「いえ、こっちこそ割り込んですみません」
「にしてもひとりちゃん男の子の友達いたんだね〜………って、ひとりちゃん?」
当の後藤さんは「トモダチ……トモダチ……ワタシノトモダチ」とボソボソと言い始めた。
「おーい、後藤さ〜ん?」
「はっ! ……はい」
後藤さんが元に戻った事で再び話を整理しよう。
まず、伊地知さんが所属しているバンドが今日ライブをやる。しかしメンバーの1人がまさかの当日に蒸発し、そのギターの人を探していたのだが見つからず見かけた後藤さんに代理ができないか訪ねていたということだ。
「それでひとりちゃん! お願い出来るかな!?」
本題に戻り、伊地知さんは後藤さんに頼み込んだ。しかし、後藤さんは何やら歯切れが悪かった。
「後藤さん? 無理なら相談してみたら…」
「ありがとう! じゃあ早速ライブハウスへGO!!」
あれ? もしかして、伊地知さん……意外と人の話聞かない人だったりします? しかもそのまま困惑する後藤さんの手を引き、公園を立ち去ってしまったし……。
てかちょっと待って? 俺、置いてけぼり?これ……もう目的は果たしたここに用は無い的なアレですか?
さて、ここで1句
我1人 音もならぬと 暮の春
「あ、君も良かったらライブ見に来てよ!!」
どうやら余計な心配みたいでした。
てな訳で、伊地知さんの言うライブハウスへと向かっているという事になる。
「2人は下北沢よく来るの?」
「いや、あんまり来ないですね……」
「へえ〜、ひとりちゃんは?」
「あっ、いえその……」
先程から後藤さんは伊地知さんと俺の後ろを着いてくるように歩いている。素人目に見ても人混みに慣れていないのがわかる。
「あ、ライブハウスもうちょいだよ」
伊地知さんは気を使ってかよく話しかけてくれる。
ライブハウスかぁ……。1度でも行ってみたいなとは思ってたけどどうにも1人で入るにはハードルが高い気がしていたからこれはいい機会かもしれない。
「後藤さん、大丈夫ですか?」
「あ、もしかして歩くペース速い?」
「い……いえ、」
相変わらずオドオドした状態から治らない後藤さんに俺たちは声をかけるが「お構いなく」と言うように目を逸らされた。
「今日出演するライブハウス、私の家だから緊張しなくても大丈夫だよ」
「あっはい」
「最近オープンしたスターリーってところなんだけど」
「あっはい」
うん、伊地知さんは頑張って話しかけようとするが後藤さんは返答に困ってか会話どころか目も合わせられない始末。これ本当に大丈夫なんだろうか?
「ねえ、ひとりちゃんって実は運動出来る?」
「い、いえ……。あ、でもドッジボールは最後までいつも残ってました。……何故か」
うん、それ辛いやつ。俺も昔かくれんぼやってて皆から忘れられてた事あるし。誰も来ないな〜って思ったら予鈴のチャイム鳴って同級生の元に行ったら「ごめん忘れてた」ってストレートに言われたからね? 今思い出すと泣けるで。
「ワタシハブドウカンヲモウメタオンナ……」
「「!!?」」
突然どうしたと言わんばかりの目線を向けられたからか後藤さんは再び萎縮してしまった。
その後、伊地知さんの後ろを着いて行く後藤さんだがなんか匂いを嗅いでいる用にも見えたけど………まあ、気のせいだろうウン。
その後は伊地知さんが後藤さんに「バンドは組んで無いのか」とか「どんな曲を弾くの?」とか聞いていた。それに対して後藤さんは「いつバンドに誘われても良いようにココ最近の売れ線バンドの曲は弾けるようにしてる」との事。伊地知さんは反応に困ってたけど、音楽を自分で鳴らせるだけでも十分凄いと思うんだよなぁ。
「そういえばカバーで言えば凄い気になってる人がいるんだよね」
「気になる人ですか……」
「ギターヒーローって人何だけど、2人とも知ってる?」
え? ギターヒーロー?
待って何その名前。なんかカッコイイ。
「滅茶苦茶上手いって1部で話題なんだよ!
………名前はちょっと痛いけど」
「え?」
「え?」
え? 痛いのこれ?
俺普通にカッコイイと思ったんだけど?良いじゃんギターヒーロー。なんか特撮にいてもおかしく無さそう。
「私、ギターヒーローさんの動画アップされるのいつも待ってるんだ〜。良かったらひとりちゃんと星乃くんも見てよ!」
「わかりました。僕も気になりましたしこれを機に動画閲覧します」
「ありがとう! ひとりちゃんは……茹でダコみたいになってる!?」
一方で後藤さんは何故か前述の通りタコのように顔を真っ赤にしていた。ただ、何故か嬉しそうなのが気になったが……。
「あ、着いたよ〜」
そんな事をしてる間に目的地に到着。
どうやらライブハウスは階段を降りたところにあるみたいだ。
中に入るとザ・ライブハウスという感じだった。まあライブハウスだからそうなんだけど。
「私の家……」
「え!? そうなの!?」
「いや違うよ!? あたしの家だからね!?」
まさかの後藤さんと伊地知さんって知らない間に同じ所に住んでたのでは?と思ったがそんなことは無かった。そういや後藤さんってどこから来てるのか聞いた事無かったな。あんまり人の家の事とか聞かない方が良いのかと思ってたけど……今度きっかけがあったら聞いてみようかな?
「あそこにいるのが照明さんで、そっちにいるのがPAさんね」
「PA? 外人の方?」
「違うよ〜。音響担当エンジニアの人のことをそう呼ぶんだ」
「へえ〜。因みに本名って……」
「えっと……、知らない」
いや知らんのかい!
「おはようございます……」
「あ、おはようございます?」
おっと、つい反射で言ってしまった。てかもう昼だよね?
にしても見た目凄いな。清楚系みたいな顔して耳だけじゃなくて口元にもピアスつけるし。あれ痛くないのかな?
「いいいいいイキってすみません……」
「後藤さん!?」
「急にどうした!?」
後藤さんは後藤さんで半泣き状態。
さっきから凄く百面相してるけどこの子感情豊かなのか情緒不安定なのかどっちなんだ。
「やっと帰ってきた」
そんな中、青髪の美少女がやってきた。
なんだろう、美少女とは言ってもイケメン寄り? こういう人の事を確かユニセックスって言うんだっけ?
「あ、リョウ! この子、後藤ひとりちゃん。奇跡的に公園にいたギタリストだよ」
「へえ」
何となく無表情な為か取っ付きにくいというか……、分かりにくい人って感じがするなぁ。
「この子はベースの山田リョウだよ〜」
「ごごご後藤ひとりです!大変申し訳ございません!!!」
「ちょ……、大丈夫だから。リョウは表情が出にくいだけ。因みに変人って言ったら喜ぶよ〜」
「嬉しくないし」
「「(嬉しそう……)」」
この時、俺と後藤さんの心が初めてシンクロした瞬間であった。
まあ……意外とユーモア感のある人なのかな?
「それでこの子が星乃湊音くん。ひとりちゃんのお友達だよ」
「ふーん」
どうでも良いですよと言わんばかりの反応。うん、なんだろうそういう扱いは初めてじゃないけどやっぱり辛いわ。
あー、なんだろう。ちょっとトイレ行きたい。トイレの中で男泣きしたい。しかし、男は涙を見せぬもの。ヒーローも涙を堪えて辛い世界に身を投じたんだ。これくらいで泣いたら男が廃る。
「そう言えば店長が時間まで練習しとけって。後、虹夏が勝手にライブハウスから抜け出した事、怒りながら買い出しに行った」
「ひぃっ〜! それそれ早く言ってよ! 戻ってくる前にスタジオ行こっ!!」
そういや、伊地知さんのお姉さんが店長やってるとか言ってたっけ? どんな人なんだろうか……。
「ほら、ひとりちゃんも!」
「あ、はい」
「じゃあ星乃くんはライブが始まるまでゆっくりしててね〜。その辺の椅子自由に使っていいから」
「了解でーす」
いつの間にか後藤さんは2人の仲間として受け入れられてた。
流石に俺は友人とは言えメンバーでは無いからか控え室までは行けないらしい。
「あ、後藤さん」
控え室へと向かう後藤さんを呼び止め……
「頑張ってください。応援してます」
自分なりのエールを彼女に送った。
〇 〇 〇 〇 〇
その後、カウンター付近の椅子に腰を掛けて時が来るのを待っていた。
周りは友達連れが多いのか「このバンドが〜」とか「もうすぐだね〜」という会話が行き来する。ボッチの俺がなんだか場違い感があるのは気の所為であって欲しい。
「そういやチケット売り場って何処だっけ?」
周りを見渡し、カウンターらしき場所を探す。とりあえずそれっぽさそうな所な話を聞きに行くのが1番だろう。
「あの〜、チケット売り場ってここで合ってますか?」
「あ?」
カウンター下から出てきたのは先程のPAさん………ではなく、目付きの鋭い金髪の女性だった。
その気迫に思わず身震いしそうになった。
「あぁ、お客さんね」
「お……押忍」
「押忍……?」
若干ビビリつつ何とか返答する。いや、普通に圧が強いのよ。恐ろしく鋭い目付き、俺でなきゃチビっちゃうね。
「すみません! 高校生1人チケットください! サー!」
「なんで急に軍人口調になってんだよ……。チケット1枚2000円な」
高校生に2000円は割と痛手ではあるがやむを得ない。素直にお金を払い、ドリンクを受け取ってライブ会場へと向かう。
ライブは既に始まっており、他のバンドが演奏をしているところだった。
「(後藤さん達は……もうちょっと後かな? 早く入りすぎたかな?)」
まあ、折角だし見ておこうかなと思い近くの壁に沿いながらライブの様子を見ていた。後関係ないけどやっぱり壁際ってなんか落ち着く。
「皆さん! 今日はありがとうございました! まだまだ未熟ですけどもっと練習して立派なバンドになりますので応援お願いします!」
ボーカルが挨拶を終え、名も知らないバンドがステージを後にした。それと入れ違うように新しいバンドが演奏準備に取り掛かり、時間もかからぬ間にMCが始まり、演奏が始まる。
「(……………)」
正直、音楽の事は素人目線でしか分からない。コードとか、オクターブとか、後藤さんと話した事で齧った程度には分かるけどそれでもまだまだ素人だ。
ただ、ステージで演奏してる人は皆、楽しそうだった。
半分上の空になりながらステージを見ていると、交代の時間がやってきた。いよいよ………、あれ?バンド名なんだっけ?………後藤さんたちのバンドの出番になったようだ。
「初めまして! 結束バンドでーす! 今日は皆も知ってる曲を何曲かやっていくので聞いてください!」
あ、結束バンドって名前なのね。皆で仲良くなろう的な意味合いなのかな?
ところで………
「なんで段ボール?」
ステージの上にはドラムの伊地知さん、ベースの山田さん、そしてギターの完熟マンゴーの段ボール……いや、あれ後藤さんか? なんで段ボールに? もしかして上がり症で人前に立つの苦手だから段ボール入ってた方が落ち着く的な感じでそうなった?
そんな考え事をしてる間にドラムの音が響き、それに続くようにベース、ギターの音が重なる。うん、パッと見だと音が合ってるような合ってないような……。とりあえず技術面では素人が偉そうに言ってもどうにもならないから一旦置いとくとしよう。
ただ……何となく感じた事は1つあった。これは結束バンドだけに言える事では無いんだけど……
「(楽しそうだな……)」
あの段ボールの中の後藤さんがどんな表情をしてるのかはハッキリとはわからない。でも、いつかバンドを組みたいって言ってたような気がするし、今の状況は彼女にとって転機とも言えるのでは無かろうか。………段ボール姿でステージに上がるのがどういう意図かは置いておいて。
バンドは星……なんて何かの作品で言ってたっけ? あ、これボーカルは星か。
まあなんて言うか……今の俺は不思議な感覚に陥っていた。目の前にあるのは……近いそうなのに、自分の手では掴めない。そんな物を見ているようだった。さっきまで近くにいた友は今そこにいるのかと思うととても形容し難い思いだ。
「(やっぱ後藤さんって……面白いな)」
〇 〇 〇 〇 〇
「次のライブまでにはクラスメイトに挨拶出来るくらいになっておきます!!」
「なんの宣言!?」
ライブが終わり、楽屋の付近まで来たものの友人とは言え関係者以外が入っても良いものか……と考えていると謎の宣言とツッコミが飛び交っていた。
何だ? 何がどうなってる?!
俺の中で楽屋内を除きたいという好奇心とルールは守れという自制心が大喧嘩した瞬間だった。
因みにこの後、後藤さんが飛び出し、後から出てきた伊地知さんに軽く挨拶をしてライブハウスを後にした。その際に「また何時でも遊びに来てねーー!」と言われたので何時かお言葉に甘える事にしよう。
「……あ、星」
その日、薄らと見えた星は気の所為かいつもより遠く感じた
雨にも負けず風にも負けず、ただ不動を貫きたい。
因みにギターヒーローの話が出てくるタイミング、アニメと漫画で違うんですよね。今回は湊音がギターヒーローの事を知るキッカケとして漫画のタイミングで話して貰いました。
高評価やコメント来てくれることを祈りつつ、次回も頑張ります。