ぼっち・ざ・ろっく・おぶ・ざ・ひーろー! 作:あいむ
前回のあらすじ
湊音、初めてのライブハウスとバンドライブ。
俺たちのロックはこれからだ。
「バンドミーティング?」
結束バンドの初ライブの翌日の昼休憩時、俺は何時ものように例の場所にいた。後藤さんも一緒だ。元々後藤さんがここで昼食を摂っている事もあり、最近は俺もここで食べている。最初に「俺も昼ごはんを一緒しても良いですか」と聞いた時にはメッチャ困惑してたけど了承してくれた。
それはそうと、互いに弁当を食べている中後藤さんからバンドミーティングの事を教えられた。
「はい……、あの後私帰っちゃったので……その……ライブの反省会と言うか……」
『今後のバンド活動について皆で話し合おう! 明日ライブハウスに集合ね!
もし不安だったら星乃くんも連れてきて大丈夫だよ!』
「みたいで……」
「成程ですね」
「よ……良かったらスターリーまででいいので着いてきてくれませんか!!」
つまり、後藤さんはまだ下北沢に1人で行くのは不安って事か。
「後藤さん」
「はい!」
「それって何時からですか?」
「えっと……学校終わってからとしか……」
「あ……なら……多分無理」
「……ゑ?」
俺の返答を聞くと後藤さんの表情はピカソの絵みたいに作画崩壊した。
「いや、着いて行きたいのは山々なんだけど……、今日図書委員のカウンター当番変わっちゃったんですよね……」
実は俺は図書委員に所属していた。と言うのも、部活には入らずに放課後はどっかでバイトしようと考えていた事もあり、委員会には入っておこうと考えていた。図書委員会にした理由としては業務内容が苦じゃないのと、カウンター当番の暇な時は本を読んでいてもいいからだ。幸いこの学校の図書室にはライトノベルもあるので暇はしないだろう。
「一応1時間で終わるんだけど……、ちょちょちょ! 後藤さん溶けてる溶けてる!」
カウンター当番は毎日昼休みと放課後に当番制で行う。因みにおれは何時もは水曜日の昼休みにシフトを入れてるのだが、今日は別の時間の担当であるクラスの人からどうしてもと言われ、こちらも不都合がないと言うことで今日だけ交代した訳だ。
それはそうと、目の前で後藤さんがはぐ〇〇タルみたいになり始めてる事の方がヤバい。一刻も早くなんとかせねば……
数分後……
「落ち着いた?」
「は……はい」
あれから試行錯誤した結果、前回と同じくいちごミルクキャンディーを口に放り込む事で何とか彼女の自我を取り戻す事に成功した。こういう時は甘い物が正義って昔から相場が決まってるんだよ。
今更だけど後藤さん、ゲル〇カフェイスになったり、は〇れメ〇ルになったりと忙しいけど何者何だこの子。
「それにさ……俺、バンドメンバーじゃ無いのに居ていいの?感はあるけど、そこどうなんでしょうか……」
「あっ……えっと……、それは……」
少し意地悪な質問だったのか後藤さんは返答に困っていた。
「まあとにかく……今日は同行出来ないので……。ホントすみません」
「あ、いえ……」
今日は後藤さん1人に頑張って貰うしかない。しかし、今の後藤さんを見てると申し訳ない気もする。あからさまに闇のオーラ出ちゃってるし。そんなに嫌なのか下北沢。
〇 〇 〇 〇 〇
放課後、図書室のカウンターで俺は静かに小説を読んでいた。
結局後藤さんは1人でSTARRYに行くことになったが大丈夫だろうか。いや、伊地知さんと山田さんがいるから大丈夫だろう。
「(そういや後藤さん、いつの間に伊地知さん達と連絡先交換してたんだろ)」
そう思ったが大方伊地知さんが上手く事を運んだろう。一方で俺は未だに誰とも交換出来てないがまあやむを得ないだろう。元々男女の友達などこういう創作上のもので俺はモブAくらいの存在……いや、自分で言っといてなんだけど虚しくなってきた。
「あの〜、本を借りたいんですけど……」
「あ、すみません。……ん?」
「……え? 星乃くん?」
顔を上げるとそこにいたのは……
「えっと……喜多さんだよね?」
「ええ、久しぶりね」
喜多さん。中学時代の同級生だった女の子だ。下の名前は……なんか昔呼ぼうとしたら拒否られてそれ以来苗字でしか呼んでないから……なんだったっけ? なんかこう、もう少しで出かかるけど……
「それにしてもビックリしたわ。星乃くん、秀華高校に来てたのね。てっきり下北沢に進んだとばかり思ってたわ」
「え? まあそれについては……あ、本の貸出でしたよね? 本、預かります」
答えをはぐらかす様に喜多さんから預かった本をバーコードスキャナーに通していく。その本は『ギターについて』の本と『謝り方のコツ』的な本だった。
謝り方? ギターの本は何となくわかるけど喜多さんの事は軽くは知ってるつもりだけどそんなに人間関係で問題を起こす様な子じゃ無いはずだけど……。
「喜多さん……」
「どうしたの?」
「……いや、なんでも無い」
止めておこう。人の気持ちに不自然に踏み入れる事はしない方がいい。俺もさっき彼女の言葉を素通りしたんだ。
「返却日は1週間後です。延長希望の場合は後日本を持ってきた際にお伝えください」
「ええ、ありがとう」
必要な業務をこなして終了……したはずだけど喜多さんはまだそこにいた。
「こういう真面目な所は相変わらずね」
「え?」
「ほら、中学の頃もこうやって図書委員やってたでしょ?」
「まあ図書室ってなんか落ち着くからね」
こういう静かで人の少ない空間は異様に心が落ち着く。何より周りの目を気にする必要も無いと言うのがいい。
「私も……星乃くんみたいにしっかりしてたら……」
「喜多さん?」
「ううん、何でもないわ! それじゃ!」
そう言うと喜多さんはそのまま図書室を出た。
「……なんだかなぁ」
パソコンに表示されている『貸出完了』のボタンをクリックして、そのまま小説に視線を戻した。
〇 〇 〇 〇 〇
現在、私は虹夏ちゃんとリョウさんと一緒にバンドミーティングを行っています。
とは言っても、虹夏ちゃんも「何話せば良いかわかんない」と身も蓋もない事を言ってしまう始末。とりあえずはリョウさんが持っていたサイコロで話すことを決めて会話が成り立っている。いや、ほぼ2人に進行して貰って私は聞かれた事に答えてるだけだからこれは会話と言えるのだろうか……?
これまで『音楽の話』をして、今は『学校の話』をしている。
「そういえばぼっち」
「は、はい」
「あの……確か星乃って男。どんな人なの?」
「へ?」
リョウさんから投げかけられた質問に私は困惑していた。どういう人、って言われても……。
「えっと……とても優しい人で……よく私に話しかけてくれてます。…………ナゼカ」
うっ……、私自身彼がどんな人なのがわかって無いからこんな言葉しか出てこない。
本当に何故なんだろう。
始めは私が落とした生徒手帳を届けてくれたところから始まったけど……。それ以来、あの場所にもよく居るし、よく世間話をしてくれて私がギターが好きだと分かったら気を使ってくれているのかそれ関係の話をする事が多くなっている。
一応、友達とは思っていいのだろうか? 星乃くんは確か「友達」って言ってくれてたからもう友達でも良いのでは? いや、もしかしたらあれは社交辞令的なものかも……
「……それだけ?」
「あっ……えっと……」
どうしよう、それ以外の情報が出てこない。思えば星乃くんとの会話の中であんまり彼は自分の事を話してなかったような……。
「まあまあ。それにしても珍しいね。リョウ、バンドマンじゃない相手にそんなに興味を持つなんて」
「別にそんなんじゃない」
「え? じゃあ何で聞いたの?」
「答えたくない」
リョウさん、表情が変わらないからどう思ってるのか分からない……。でも何か言いたげな感じなのはわかった。
「確かに、あたしも彼の事は少し気になってたな〜。一応聞くけどぼっちちゃん、実は付き合ってたり……」
「つ……付き合っ!? ちちちちち違います違います!!!」
私が!!?星乃くんと!!?無理無理!!人生で友達もいなかったの恋人とか絶対無理!!そもそもそんな青春コンプレックスを刺激するようなことが現実で起きようものなら……ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!
「ごめんごめん!!そんな悪い意味で聞いた訳じゃ無いから!!だから落ち着いて!!」
「えっ……、あっハイ」
「うわ!急に落ち着いた……」
虹夏ちゃんは驚きながらも取り直して話を続けた。
「えっと……ところでぼっちちゃん、星乃くんって音楽関係どうだったりするの?」
「えっ……? ……すみません、わかりません」
「そっか〜」
だったら無理っぽいかな〜、と虹夏ちゃんは零した。確か音楽には疎い……って言ってたけど……。
それからと言うもの、特に彼に関して目立った話はなくガコバナは終わりノルマの話へと移行した。チケットノルマとかお金とか……いろいろと頭を抱えそうな話が飛び交っていた。
「と、言う訳でライブのノルマ代稼ぐ為にバイトしよ〜!」
「はい………」
「バイトぉ!!?」
「今日1声出たね……」
そしてこの後、お母さんが私の結婚資金用にと貯めてくれてたお金を差し出してバイトを勘弁してもらおうとしたものの、却下されてしまった……。
後で『宝くじ 当たる確率』で検索かけなきゃ……。
オリ主くんのプロフィールとかそのうち載せたいね。需要があるかはわからんけど。
とりあえず今判明してる事を纏めると
・ぼっちちゃんとは友達
・喜多ちゃんとは中学時代、同級生だった
うん、情報少なっ。まあこれから色々分かりますよ、多分。
良ければ高評価、コメントよろしくお願いいたします。私の承認欲求モンスターが喜びます。
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