女スパイになりたくて!   作:運動エネルギー坂本

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一次もたくさん書きたいけど衝動的に初めて二次創作に手を出しました
アニメがとんでもなく面白かったので初投稿です
2期、くるよね……?


転生して同類と出会った

物心ついた時から、世界の裏で暗躍する存在に憧れていた。

様々な組織や国に潜入し、情報を盗む……いわゆるスパイになりたかったのだ。

それもただのスパイではない。

私が憧れたのは、いわゆる女スパイだった。

しかし、それには重大な問題があった。

私は……男だったのだ。

 

そして私は、女スパイになるために人生の全てを費やした。

大人になった時に性転換手術を受けられるようにお年玉やお小遣いを貯金しつつ、美容に気を使い、エアガンで射撃の練習をし、演技、体術、女スパイに必要なことはなんでもやった。

周りの人がだんだんと大人になり、現実的に可能なことを将来の夢として歩き始めても。

ちょっぴりセンチメンタルな気持ちになりながらも、私は女スパイへの道を歩き続けた。

しかし、そんなある日。

 

私は、交通事故で命を落とした。

少なくとも、私の知っているスパイは車にぶつかられても華麗に受け身を取って回避するはずだ。

しかし、度重なるバイトと修行による寝不足でフラフラと歩いているところを、車に轢き殺され。

私は、その人生を呆気なく終えた。

はずだったのだが。

 

 

「あら〜、カゲノーさんのところに遊びに行くの?」

「うん、クレアさんが剣の指導をしてくれるらしいから」

「よかったわねぇ〜、でもサイカちゃん可愛いんだから、気をつけないとダメよ?」

「わかってるよ、ありがとう」

 

私は、どうやら転生したらしい。

しかも、女の子に。やったぜ!

 

 

私はサイカ・テスコという少女に転生した。齢は10歳。

貧乏貴族の長女で、領地の近いカゲノー男爵家とは家族ぐるみの付き合い。

特に私は、カゲノー家の長女であるクレアさんと仲良くしてもらっている。

なんと、この世界は剣やら魔法やらが存在する世界なのだ。

前世では女スパイになるためのバイブルとしてSFなどを好んでいた私にとって、ファンタジー系は盲点だった。

しかし、魔法という技術は非常に素晴らしい。

筋力の増強、周囲の感知、他にも様々なことに利用できるとんでもパワーだ。

これさえあれば、女スパイになるという夢に近づける。

この世界で私は、今度こそ女スパイになってみせる!

 

 

私は、剣の扱いがそこまで得意ではない。

前世ではもっぱら体術や銃撃戦の想定ばかりしていて、そういった武術にはそこまで触れてこなかった。

なので、魔剣士としてかなりの実力のあるクレアさんに稽古をつけてもらえることは非常にありがたいのだ。

しかし、今日ばかりは少し様子が違った。

 

「ど、どうも。シド・カゲノーです。よろしく」

「サイカは初めてよね、シドと話すの」

「は、はい、お話は聞いていましたけど」

「今日から剣術の訓練に付き合わせようと思って。いいかしら?」

「それは、構いませんけど……」

 

シド・カゲノー。クレアさんの弟にして、クレアさんがとんでもないブラコンを発揮する相手。

訓練が終わってからのお茶会タイムになるといつもいつも弟の話を私にし続けるのだ。

ブラコンにも程がある。少し怖いぞ、クレアさん……。

とはいえ、そういった噂は聞いていたシドくん。クレアさんの弟というからには、剣も上手なのだろうか。

 

「じゃあ、とりあえずサイカと模擬戦やりましょうか。シドはそこで見てて」

「わかりました、お願いします!」

 

お互いに剣を構える。正直な話、私はクレアさんと本気で戦えば勝てる。剣を投げ捨て、素手で襲い掛かればおそらく数秒で制圧できるだろう。

この世界の武術はそこまで洗練されていない。私の前世の経験を持ってすれば余裕だろう。

しかし、ここで必要なのは剣なのだ。剣がメインの世界である以上、剣を扱えるようになるに越したことはない。

 

「シド、開始のコールをお願い」

「あ、では、始め!」

 

クレアさんが真っ直ぐに飛びこんでくる。

魔力は量ではなく質であるとクレアさんから教わった。

彼女の剣を最小限の魔力でいなしつつ、攻撃の隙を探すが、なかなか攻め所が見つからない。

クレアさん、また強くなってる……!

 

「受けてばかりじゃやられるわよ!」

「わかってますっ、よ!」

「ほらほらほら!」

「姉さん、楽しそう……」

 

剣と剣がぶつかり合う。私も、体勢を崩されないようにするので精一杯で、攻撃をする暇が見つからない。

それでも、負けっぱなしは性に合わない!

クレアさんの剣の勢いに押され、ついに体勢が崩れる。しかし、そこが狙い目だ。

 

「やぁぁあっ!」

「っ……くぅ……!」

 

倒れながら剣で下から斬りあげる。

しかしそれもクレアさんに受け止められてしまったが、今のはなかなかいい攻撃だったんじゃないだろうか?

 

「サイカ、最後の攻撃はヒヤリとしたわ。もう少し攻めてもいいかも」

「ありがとうございます、クレアさん」

「じゃ、次はシドね」

「えぇー、僕はいいよ」

「何いってるの!模擬戦くらい文句言わずしなさい!」

 

シドくんの話をする時のクレアさんは、ブラコン全開な感じだが、今のクレアさんは厳しい姉って感じだ。

弟の前だと正直になれないのだろうか?

それにしても、シドくん。

一見弱そうに見えるけど、何か得体の知れないものを感じる。

一体これはなんだ?

……そんな私の疑問は、クレアさんとの模擬戦で明らかになることになる。

 

 

 

一言で言えば、クレアさんとシドくんの試合は、奇妙だった。

確かにぱっと見ではクレアさんの攻撃でシドくんがボコボコにされただけのように見える。

だが、動きが最適化されている。

そう、これはまるで、やられ役として最も最適な行動をとっているような、そういう違和感。

完璧なレベルで負けを演じている。

そして何より、その剣、そして魔力の使い方。

クレアさんから教わった魔力の使い方を、おそらく彼女に教えたのは彼だ。

おそらく無自覚だろうが、彼は自らの剣、魔力、体術、全てにおいて最適解を常に選び続けている。

この試合では弱そうに振る舞っても、染みついた動きは取れるものではない。

彼に、私と同じものを感じる。

情報社会の中で生み出された、完成された武術。

それを学び、努力し、身につけたものの動き。

まさか、彼は……。

 

 

それから少し修行をした後、お茶会が始まった。シドくんも無理矢理参加させられている。

そして、クレアさんが少し席を外したすきに、私は彼に疑問をぶつけてみることにした。

「あの、もしかして」

「間違ってたらごめんなさい」

 

あれ、シドくんとセリフが被ったぞ。

これは、やっぱり。

 

「転生者、だよね」

「転生者、ですか」

 

あぁ、やっぱり。

この少年、シド・カゲノーは、転生者だ。

 

「君……サイカだっけ?身のこなし、かなりのものだよね?どうやって身につけたの?」

「シドくんだって、あの動き、かなりの努力が見えるよ。一体何を目指してるの?」

 

 

 

クレア・カゲノーには、弟分と妹分がいる。

弟分……というか、弟であるシド。

生意気な弟だが、彼の剣から私はいろんなことを学んでいる。

私にとって一番大事なものであり、家族として、絶対に守ると決めたものだ。

 

そして妹分。

幼い頃から剣術を教えている、サイカ・テスコ。

彼女は私の剣からあらゆるものを吸収しどんどん強くなっていく。

シドとは正反対の、真っ直ぐな性格をしているが、何故か彼と重なるところもある、不思議な少女だ。

 

二人とも、私にとって大切なかけがえのない存在。

本当はシドと会わせるつもりはなかったけど、シドの様子を見れば彼女ならもっと強くなれるんじゃないか。なんて思って、今回の場を作った。

でも。

 

「そこまで仲良くなるなんて聞いてないわよ……」

 

少し席を外した間に、二人は非常に仲が良さそうな状態でニコニコと談笑している。

何か通じ合うものがあったのだろうか。あの割と人見知りするタイプのシドがあそこまで打ち解けるなんて。

あんな笑顔、お姉ちゃんだって見せてもらったことないのに!

大事な二人が、仲良くしている。

私に見せたことのないところを見せている。

……クレアは、現在進行形で脳が破壊されていた。




脳破壊クレアすき アレクシアの一件の時も脳破壊されてそう
サイカ・テスコのテスコはTS娘からとりました
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