女スパイになりたくて!   作:運動エネルギー坂本

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二次創作は筆の進み具合が早い 書きやすい


シャドウガーデン結成!

陰の実力者を目指すシドくん。

女スパイを目指す私。

方向は違えど、夢を忘れず歩き続ける私たちが仲良くならないわけないよね、って話で。

カゲノー男爵家に訪れる際には必ずシドくんと秘密の特訓や装備の開発、イメトレなどを共にやるようになった。

なんと、シドくんが陰の実力者になった暁には私を彼の元でスパイとして働かせてくれるらしい。やったぜ!

 

 

というわけで。

私はシドくんと共に、定期的に盗賊を狩るようにしていた。

実戦の訓練を積むため、そして開発した技術を試すためだ。

そして今日は。

 

「う、うおおおぉお……!」

体のラインがよくわかる、ぴっちりとしたスーツ。

黒いそのスーツは、なんとスライムでできていた。

通称スライムスーツ。魔力の通りが非常にいいスライムを用いて制作されたこれは、なんといっても非常に女スパイが着そうな装備である。

……まあ、今の私には少しばかりスタイルが足りないが。ほんとはもっと妖艶な体が欲しいが、10歳には難しいか。

魔力の制御でさまざまに形を変えるスライムスーツ。まさに多機能、スパイに相応しい最高の装備ではなかろうか。

対するシドくんは、スライムで作ったコートのような服を羽織っている。

これも彼の思い描く理想のスタイルだ。

最高すぎる……これもシドくんの開発したスライムスーツのおかげだ。

スライムを用いて自分の武器を作る練習もしっかりした。

これで盗賊狩りがもっと捗るぞ〜!

 

 

「よし、じゃあ行こうか、サイカ」

 

万が一顔がバレないように、顔にバイザーをつけ、口元をスライムでマスクのように覆い隠せばカンペキな不審者スタイル。

二人で盗賊のアジトの入り口に立ち、防衛にきた下っ端と向かい合う。

 

「ヒャッハーー!」

「有り金全部だせーっ!」

 

シドくんのスライムを用いた攻撃で盗賊たちの手足がもぎ取られていく。

私も仕事しなくっちゃな!

 

「舐めんじゃねえぞこのチビ!」

 

突然だが、この世界にも銃は存在する。

しかしいわゆるフリントロック式が主流であり、連射もできず、魔法での身体強化を行う魔剣士には歯が立たない、魔力の使えない人々のせいぜい護身のための武器程度の能力しかない。

しかし、このスライムは魔力によって容易に姿をかえ、素早く動かしたり、硬化させたりできる性質を持つ。

なら、このスライムを用いて銃を作ればいいのではないか?

そう思った私は、研究を重ね、ついに再現することに成功した。

自動拳銃『FN Five-seveN』、私の好きな女スパイが装備していた銃を!

 

盗賊が銃を発射する前に放たれた私の銃弾が、盗賊の頭をしっかりと撃ち抜く。

 

「よしよし、しっかり機能してるね……!」

「さっさと金出せって言ってんだろ……」

 

そこからは蹂躙だ。

シドくんのスライムソードと私のスライム拳銃の試験運用も兼ねて行われた今回の襲撃だったが、二つともとってもいい出来だ。

途中に出てきたボスみたいな男も数秒で倒してしまったし……。

 

「よし、商隊のみんな、仇は取ったよ」

「シドくん積荷あった!さっさと色々持っていこう!」

 

ということで、金貨やら美術品やらを漁り、持ち帰る準備をしていく。

これらのお金が、私たちの活動資金になるのだ!

だから安心して眠ってください、商人の皆さん。

すると、布に隠れた檻がガタリと音を立てる。

 

「なんだろ、奴隷かな」

「流石に売れないし解放してあげよっか」

 

近づいて布を捲ると……。

 

「……悪魔憑き、かな」

「腐りかけてるけど、まあ生きてる?」

 

……そして、シドくんがこの肉を使って魔力制御の練習がしたいということで、連れて帰って実験を始めた。

そして一ヶ月後、私がカゲノー家に訪れた日。

 

「クレアさん、シドくんどこにいます?」

「……ねぇ、最近シドと仲良いけど、どういう関係……?」

「えっ、友達、ですけど……」

 

怖いってクレアさん……!

微妙にハイライトが消えてる感じ、ヤンデレみたいで恐怖を感じる。

ブラコン拗らせてついにここまで来ちゃったか……?

 

「友達、ともだち、友達ね……まぁいいわ、結局は赤の他人だものね、私はシドのお姉ちゃんなんだから……お姉ちゃんより弟のことを理解している他人なんているはずがないわ……ふふ……」

 

怖いよぉ……。

シドくんの居場所は聞けそうにないので、とりあえずあの肉を放った空き家に行ってみたのだが。

 

 

「……あなたがそれを望むなら、私はこの命を懸けましょう」

 

な、なんか金髪の美少女がいる!全裸だ!!!

思わず体を隠して観察する。

金髪の女の子……耳が長いのでエルフだろうか?

彼女は全裸でシドくんに傅いている。

ま、まさか私以外に仲のいい子が、しかも全裸で傅かせる仲の女の子がいるなんて……。

これは、クレアさんが聞いたらついに爆発してヤンデレ解放されるんじゃ……!

……前世からトータルして考えると、シドくんももう立派な大人だ。

こういう危険な遊びを子供に教え込むのはやめなさいって、怒った方がいいのだろうか。

そうして私は、意を決して飛び出した!

 

「あの、シドくん?一体何を……」

「……シャドウ、彼女は?」

「え?!あ、あ、あぁ〜……。えーっと、彼女は……」

 

シドくんは目を泳がせながら、少し考えた後、こう答えた。

 

「彼女はサイファ。僕らの組織、シャドウガーデンの二人目のメンバーだ」

 

 

 

「……つまり、彼女はあの肉で、魔力暴走を制御した結果ああなったと?」

「うん、なんか僕も予想外だったんだけど……」

「そして彼女に、ありもしない適当なストーリーを聞かせて陰の実力者プレイの一環にしたと?」

「うん……つい盛り上がっちゃって……」

「……最高じゃないか!」

「……あ、怒られる流れじゃないんだ」

 

いい設定じゃないか!ディアボロス教団に悪魔憑き、英雄の子孫!

すごく、それっぽい!まるで本当にあるみたいだ!

 

「ねぇ、私もシャドウガーデンのスパイになっていいってことだよね!」

「うん、まあそういう約束だったし」

「やったぁ〜〜〜!!」

 

たとえごっこ遊びでも、肩書を得たことに変わりはない。

私は今日からシャドウガーデンの女スパイだぞ!やったぁ!

 

 

……そして、この時の金髪エルフ……アルファが捨て猫みたいに悪魔憑きを拾ってくるもんだから、シャドウガーデンのメンバーはどんどん増えていくことになる。

そうやって、私の2度目の人生は、かなり面白い形で進んでいった。

 

 

 

僕、シド・カゲノーにとって、サイカ・テスコは初めてできた同志だった。

みんなから認められず、それでも陰の実力者を目指して一人で頑張ってきた僕にとって、向かう方向は少し違えど、同じように目指すものを持って頑張り続けているサイカは、短い付き合いでも今までの人生の中でいちばんの友人となった。

そう、多分これは親友というやつだ。前世で友達がいなかったわけではない。でもそれは、僕の存在をできるだけモブにするための理由にすぎず、仲良くしても本当の意味で心の底を見せ合えた友達はいなかった。

だからこそ、僕はサイカと出会えたことはとても幸運だったと思う。

彼女の体術に関する知識は、僕の持っているものより専門的な部分も多く、また僕の知識は、彼女に足りない部分を補えた。

そしてシチュエーションも完璧だ。

孤高の陰の実力者と、彼を一人支え続ける凄腕スパイ……。

彼女は僕の元でスパイとして働いてくれるみたいだし、きっとこういう役柄もしてくれるだろう。

これ以上に闇夜が似合うコンビがいるだろうか?いや、いない!

 

 

そんな生活を続けていると、ある日お姉ちゃん……クレアから話しかけられた。

 

「あの、サイカとは、最近どう?上手くやれてる?仲がいいみたいだけど」

「え?うん、友達、だけど」

 

途端にぱぁっと顔を明るくすると。

 

「そうよね!友達よね!シドにそんな子ができるわけないもんね、心配して損したわ!」

 

何を心配したのだろうか。

 

「それで、サイカとはいつも何して遊んでるの?」

「本を読んだり、工作したりしてるよ」

 

間違ってはない。

魔力に関しての文献やこの世界の神話などの設定を仕入れたり、スライムを使った新しい技術の開発をしているのだ。

断じて間違ってはいない。

 

「あら、じゃあ今度、お姉ちゃんが読み聞かせしてあげましょうか?まだ難しい本とかあるでしょ?」

「もう10歳だし、一人で読めるからいいよ」

「……じゃ、じゃあ一緒に工作する?」

「今は特に作りたいものはないかな」

 

「……どうしてサイカとは遊ぶのに私とは遊んでくれないのよ〜〜〜!!!」

「あっ、お姉ちゃん!」

 

クレアが泣きながら立ち去っていく。

一体なんだったんだ……。




オチとして優秀なクレアさん。

サイカの言う好きな女スパイというのは、某ゾンビパンデミックシリーズの中に出てきた女スパイのことです。
FNはその寄生虫をテーマとしたナンバリング作品の中のモードの中でその女スパイが使ってた武器ですね。

銃はそこまで詳しくないので、変なこと言ってたら教えてください。
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