クロスオーバー、書いてみたかったんですよ。
三人称視点です。
1話 出会い
「おねーちゃん!遊びに行ってくるね〜!!」
「気をつけてね、こいし。あと、心配するから、何日もフラフラしないで頂戴ね」
「はぁい!」
古明地さとりの仕事部屋にノックもなしに凸り、遊びに行くと大声で宣言した古明地こいしは、元気よく地霊殿の外へと飛び出した。
「あ、そうだ。お燐とお空の様子を見てから地上に行こーっと」
そう言いながら足を止めた彼女は、回れ右をして灼熱地獄跡へ向かう。
核の力で大分暑くなっているその場所で、彼女は探していたペットたちを見つけると、直ぐ側にふらっと飛んでいった。
「お空〜、順調かい?」
「あ、お燐!今日もいい感じだよ〜」
「うんうん、よかった。持ってきた燃料はいつものとこに放り込んでおくよ。あと、もうすぐお昼時だから、一区切りついたら一緒にさとり様んとこに戻ろう」
「おっけ〜!今日のお昼ごはんは何かなぁ」
のんきな会話をしている二人は、こいしには気づかない。無意識の能力を使ったまま二人の様子を見ていたこいしは、満足気に頷いたあと、来たときと同じようにふらっと飛んでその場を後にした。
彼女の今の行動に別段深い意味はない。本人は長くは家を空けないつもりでいるのだが、なにせ存在が『無意識』のため、気づいたら何日も経っていたなんてことがよくある。こいし自身、なんとなく今回のお出かけもそうなるような気がしているので、愛しの家族の様子を見ておこうと思っただけであろう。
今日はどこに行こうか、何をしようか、魔理沙に弾幕勝負を仕掛けようか、フランちゃんに会いにいくのもいいな…
そんなことを考えながらふらふらと漂っている彼女の姿は、誰にも見えていなかった。
★★★★★★
「…あれ、ここどこだろ〜?」
ふと立ち止まってすっとんきょうな声を上げた古明地こいしは、暗い洞窟の中に立っていた。あちこちに見たことのない草が生えており、また、見たことのない宝石のような岩が生えていた。
「幻想郷にこんなとこ、あったかなぁ」
むむむと首をかしげて唸った彼女は、すぐに顔を上げて
「ま、どこでもいっかぁ。それより、面白そうなものないかな〜」
と、のんきに呟いて、またふらふらと漂い始めた。
魔物が多いこの洞窟を一切襲われることなくゆっくりと漂う彼女。それもそのはず、なんたって彼女は誰にも見えていないのだから。
それは、今しがた彼女の視線の先にいる一匹のドラゴンと一匹のスライムにも同じことが言える。
「わぁ…こーんなおっきなドラゴン、見たことない…!水色のぷにぷにさんとお話してるのかな?」
そう呟いたこいしは、ふらふらと近づいていく。しかし、スライムの真後ろまで来ても、話し声は聞こえない。しかし、スライムがぽよんぽよんと揺れている様子は、目の前のドラゴンと話をしているようにしか見えない。
すると突然、ドラゴンが高笑いをした。
じっとその様子を見ていたこいしは、二匹がどんな話をしているのかが気になって仕方がなくなり、ついに声をかけた。
「ねえねえ、なんのお話をしてるの?」
(うわっ!?誰!?)
(おわっ、な、なんだ急に!…貴様、今一体どこから現れたのだ?まさか、この我を相手に完璧に気配を断っていたのか…?)
「わぁ!頭の中に声が聞こえる〜!」
まるでもとからそこに居たかのように、急に現れたこいしに驚く二匹。こいしはこいしで、突然聞こえた念話に目をぱちくりさせてはしゃいでいた。
(えーっと…ヴェルドラ、知り合い?)
(なわけなかろう。我、ここにずっと一人で退屈しておったと言っただろうが)
(ですよねー…で、君は誰?)
「私、こいし!はじめまして!ドラゴンさん、ぷにぷにさん」
(ぷ、ぷにぷにさん…俺のことだよな)
(ふむ…見たところ、お前は我の魔素溜まりから生まれた魔物というわけではなさそうだな。それどころか魔素を一ミリも感じないが、まさか人間というわけでもあるまい…。お前はどこから来たのだ?)
「ん〜覚えてない!適当にお散歩してたんだけど、気づいたらここにいたんだ〜」
(覚えてない…じゃあ、記憶喪失なのか?)
「違うよ〜。私、無意識だから」
((無意識…?))
はてなマークを頭の上に浮かべる二匹に、こいしは満面の笑みで頷く。
「うん!『無意識を操る程度の能力』を持ってるんだ〜」
(…?えっと、何言ってるかはあんまり分からなかったけど…でもここで会ったのもなにかの縁だし、君も俺たちと友達にならないか?)
「お友達?いいよ〜!」
(クァーハッハッハ!面白い!まさか暴風竜と恐れられる我に、またしても友達ができるとは思わなかったぞ!)
(ははは…まあこれでヴェルドラももう寂しくないだろ?)
(ククク、その通りだな。…そうじゃ、スライムよ。お前達に名をやろう。その代わり、お前たちで我に名前をつけるのだ!)
(名前?なんで?)
(同格ということを、魂に刻むのだ。人間で言う、ファミリーネームみたいなものだな。そこの緑の…こいしといったか?こいしにも我が名前の上書きをしよう!こうすることで、お前たちは我の“加護”を受けることになる)
(なるほど…俺とこいしでそのファミリーネームを考えればいいわけだな。…うーん、俺センス無いんだけどなぁ…)
スライムがうんうんと唸りだしたのを見て、こいしも真似して考え込むポーズをした。
(…テンペスト、なんてどうだ?)
(クァーハッハッハ!素晴らしい響きだ!決まりだな!)
「すごーい!かっこいい〜!」
(あ、いいんだ)
(今日から我はヴェルドラ=テンペストだ!そしてお前には…“リムル”の名を授ける。リムル=テンペストを名乗るといい!)
(おぉ…リムルか)
(そしてこいしにも我から改めて“コイシ”と名付ける。お前も今日からコイシ=テンペストを名乗るといい!)
「私もおそろい?やったぁ!」
3つの名前はそれぞれの魂に刻まれ、この3人(全員人間ではないが)に魂の繋がりができた。
こうして暗い洞窟の中、ここに新たな友情が生まれたのである。
(ところで…ヴェルドラのその封印って解けないの?)
(我の力では無理だな。ユニークスキルでもあれば可能性はあるが…我のスキルも我とともに封印されてしまったしな)
(うーん…どうしたものかな)
リムルは自分のスキルと相談を始め、暇になったヴェルドラとコイシはおしゃべりを始めた。
(して、コイシよ。お前から魔素を感じないのはどうしてだ?)
「まそ〜?なぁにそれ」
(…魔素を知らない?もしやコイシ…この世界の者ではないのか?)
「ん〜わかんない!幻想郷をお散歩してたらいつの間にかここにいたもん。あれ、これさっきも言ったっけ?」
(ゲンソウキョウとやらがどこかは分からぬが…その調子だと、もしかしたら異世界から来たのかもな)
「へぇ〜ここって異世界なの!!」
花が咲いたようにぱぁっと笑みを浮かべるコイシに、ヴェルドラは苦笑いをする。
(まったく、楽観的なやつじゃ。普通、異世界に来てこんなに迫力のある竜種と出会ったら驚いたり恐れたりするだろう)
「そ~かなぁ」
(おーいヴェルドラ!封印を解けるかもしれない方法が見つかったぞ!)
(む、本当か!?流石だぞ、リムルよ!)
(ああ、単刀直入に言うぞ。お前、俺に喰われてみないか?)
リムルの説明を聞いたヴェルドラは、さも楽しそうに笑った。
(クァーハッハッハ!面白い!ぜひやってくれ。お前に我のすべてを委ねようぞ!!)
(おいおい、俺から提案しといてなんだが、そんな簡単に信じていいのか?)
(無論だ!ここでお前たちを待つより、リムルの中で『無限牢獄』を破るほうが楽しそうだ!!なぁに、我とリムルの二人でかかれば、こんなものすぐに突破できるだろう!!)
(…よし、俺も覚悟決めたぞ!じゃあ早速お前を喰うけど、さっさと脱出してこいよ?)
(クハハハ!任せておけ!そんなに待たせずに、お前たちと相見えようぞ!!)
「リムル、ヴェルドラを食べちゃうの?」
コイシは二人の会話を聞いて、不思議そうな顔をした。
(ああ、でもこれはヴェルドラの封印を解くためだ。絶対また会えるから大丈夫だぞ)
「そうなんだ!頑張ってね、ヴェルドラ!」
(おう!)
そしてリムルの『捕食者』によってヴェルドラは洞窟から消え、ここからリムルとコイシの冒険が始まるのであった。
それから、ヴェルドラの消失により世界中に激震が走ったのは言うまでもない。
《古明地こいしのステータス》
名前:コイシ=テンペスト
種族:
加護:暴風の紋章
称号:なし
魔法:なし
技能:???スキル『無意識を操る程度の能力』
耐性:精神攻撃無効、物理攻撃耐性、自然影響耐性、状態異常耐性
こいしちゃんは、第三の目と同時に心を閉ざし感情がほとんどない。
よって精神攻撃は無効にしました。これ地味に原作キャラたちは“無効”じゃなくて“耐性”だから、ベクトルの違う強さがあるかも。ちな他の耐性は、まあ「妖怪」やし…って感じで適当につけた。
ん?名前のゴロが悪いって?うるせえ慣れやがれください!
ここからリムルと洞窟を放浪することになりますが、ふとこいしちゃんの食事は…?って思っちゃいました。なので…
妖怪だから妖力さえあれば死なないということにしよう
↓
じゃあ、この世界の魔素を勝手に妖力へと変換できることにもしちゃおう
↓
たしか洞窟の中はヴェルドラの魔素で溢れてるよね
↓
よし、平気だな☆
というご都合設定を作り出しました。