大変嬉しいです。
頑張って話を進めていきます
(できるかな…)
「「「「かんぱーい!」」」」
「「「「お疲れ様ー!」」」」
「今日はよく頑張った、私の奢りだから好きなもの頼め」
「「「「ごちそうさまでーす!」」」」
「先輩太っ腹~好き~」
「いやお前は自腹だよ!くっつくな!てかなんでいるんだ!」
ライブも成功を収め、前回と同じ居酒屋での打ち上げに
皆でやってきた…とにもかくにも一山越えた…
「というかこの人は誰なんですか?」
「あれ?自己紹介まだだったっけ?私は誰よりもベースを愛する天才ベーシスト廣井きくりで~す!ベースは昨日飲み屋に忘れました~どこの飲み屋かも覚えてない~」
「一瞬で矛盾したんですけど…」
「これが大人のバンドマン…」
「いやサーヤちゃん、この人基準にしちゃダメだよ?」
私も大人に…まだなれるかわからないけど…
大人になったらこうはなるまい…
「ほらお前ら料理どんどん頼んで」
「んーとじゃあ私はアボカドとクリームチーズのピンチョスで」
「私は…海老と空豆のアヒージョにします」
やっぱり陽キャギターコンビは注文するものもオシャレだ…
「ぼっちちゃんは?」
「あっはい…えーと…カラカラディストーションフラッシュバッカーコンプレックス盛り合わせで…」
「えー…カラカラ…カラカラ…ん?どこだ?」
「あっすいませんフライドポテトで…」
私にオシャレオーダーはまだ100年くらい早いようだ…
「私は酒盗…」
「君いくつ~?」
「…いくつに見えます?」
その返しは…通じるの私だけですよ?あと聞いたこと
なかったけど本当いくつなんですかリョウさん…
「あと郁代、今日のライブギター始めたてなのによく頑張った…郁代えらい郁代すごい」
「!?!?」
「ん?いくよって誰?」
「アッハハハ…だっ誰でしょう?そんなしわしわネームダッダレノコトカナ~…」
リョウさんここぞとばかりに喜多さん弄りを…
なんかテンション高いな…まさか酔ってる?
「私のフルネームは喜多喜多です…」
「いやぁ色々溜まってたから少しスッとした…」
「お前性格悪いな」
頼んだ料理が次々と運ばれてきてさらに皆の会話が弾む…
あーこの感じ…やっぱりちょっと楽しいかも…
ふと隣を見ると虹夏ちゃんがいない…そういえば
このくらいのタイミングで外に出てたんだっけ…
あれ、サーヤちゃんも見当たらない?虹夏ちゃんの
様子を見に追っていったのかな?
ズキッ
あれ?なんで…?また胸の奥が痛い…
「あっあのちょっと私トイレに…」
念のため覗いてみたが、トイレにサーヤちゃんはいない…
やっぱり虹夏ちゃんと外にいるんだ…私の時は
虹夏ちゃんが私に本当の夢を教えてくれて
私も虹夏ちゃんに何のためにバンドをするのか語った
大切な時間…あの2人は何を話してるんだろう…?
2人に気付かれないように静かに居酒屋の扉を開けて
外の声に聞き耳を立てる…
「今日はありがとうね。サーヤちゃんが流れを変えてくれなかったら散々なライブになってたよ~」
「いえ、私もぼっちちゃんさんの声がなかったらあのアドリブはできませんでした…」
「それでも私にはサーヤちゃんがヒーローに見えたよ!」
イヤダイヤダ…聞キタクナイ聞キタクナイ
「私には夢があってね~結構無謀な夢なんだけど…」
「夢…確か高校生でメジャーデビューでしたか?」
ソコハ私ノ場所ダッタノニ…
「うーん、本当の夢はその先にあるんだけど…サーヤちゃんにはまだ秘密だよ!そういえばサーヤちゃんは今何のためにバンドしてるのかちゃんと聞いてなかったね!」
「私がバンドをする理由…ですか」
ナンデ…ナンデ私ジャナインダ…
「最初は助っ人で入っただけで何というか使命感みたいな感じでギターをやってたんですけど…ぼっちちゃんさんにギターを教えてもらうようになって」
全部自分ノセイダロ…?
「オーディション受かって、路上ライブで人前で演奏する楽しさを知って、皆でライブTシャツのデザイン考えてってやってるうちに結束バンドがドンドン大切な存在になってきて」
自分デ教エテ育テテ導イタ…
「今では私のかけがえのない居場所になりました!私はそんな結束バンドを皆で盛り上げていくためにこれからもギター頑張っていきたいです!」
「そっか~ありがとう!それ聞いて確信したよ!サーヤちゃん達皆でなら夢を叶えられるって!」
ソノ結果ガコレダ…
「だからこれからもたくさん見せてね!サーヤちゃんのロックを!」
「はい!頑張ります!!」
コレデモウ…私ハ必要ナイ
「うっ…」
頭がクラクラする…視界が歪む…立ってられない…
「あっぼっちちゃんどうしたの?」
「ぼっちちゃんさん?」
しまった気付かれた…でも動けない…
「だっ大丈夫ですか!?気分悪いんですか?」
「もしかしてお酒飲んじゃった!?きくりさんに飲まされたとか!?」
来ないで…来ないでください…
コノ子サエ…やめろ!考えるな!
「ぼっちちゃんさん、しっかり」
「しばらく外の空気吸った方が良さそうだね」
優しくしないで…私はそんなことしてもらう資格なんて…
コノ子サエ…違う違う違うそんなことない!
「大丈夫ですか…?」
駆け寄ったサーヤちゃんが背中をさすってくれた…
本当に優しくて良い子だな…
コノ子サエイナケレバ…
「…っさっ触らないでください!」
「えっ?」
「ぼっちちゃん?」
「あっ…」
やってしまった…これで終わりだ…何もかも…
「くっ…うっ…!!」
「あっ待ってぼっちちゃん!」
「ぼっちちゃんさん!!」
自分でも驚くくらい素早くその場から逃げ出していた…
これが火事場のなんとやらか…?
本当はわかってた…この醜くてドス黒い感情を…
心に蓋をして必死で考えないようにしてた…
表に出てこないように夢中でギターを教えた…
でもサーヤちゃんが成長すればするほど膨れ上がってきて
今日のライブでもう決壊寸前だったんだ…
もうちょっとだけ我慢できると思ったんだけどな…
「…はぁっはぁっはぁっ…おぇっ…」
がむしゃらに走ってたら見覚えのある場所にたどり着いた…
というかもう体力の限界で走れない…ここで休もう…
オーディションのことを伝えるために追いかけた時
虹夏ちゃん達がいた空き地…そこの土管に入る…
暗くて狭くて落ち着く…夜だから暗いのは当たり前か…
さっきから着信とロインの通知音が鳴りやまない…
まるで友達たくさんの陽キャだ…ハハ…
「やっちゃったなー…これからどうしよう…」
もう皆に合わせる顔がない…
サーヤちゃんにも嫌な態度とっちゃった…
このまま家に帰って引きこもって2度と皆に会わなければ大丈夫かな、家は遠いし今回は誰も来たことないし姿を眩まそう
「ぼっち見っけ」
「うわぁっ!?リッリョウさん!?」何故ここに?
「何してるの?皆探してるよ?」
「どっどうしてこ、ここにいるってわかったんですか?」
「私が何周ぼっちのお守りしてると思ってるの?」
「うっ…」説得力エグいです…
その間も着信とロインは止まらない…
「皆心配してるよ…電話出ないの?」
「むっ無理ですよ…サーヤちゃんにもひっ酷いことしちゃったし…」
「…話聞くよ?」
「あっ…はい…さ、さっき」
私は先程の出来事と自分の中の黒い感情について話した…
「そっそういうわけで…もう皆さんといっ一緒にはいられません…すいません…」
「そう…ぼっち…」
「それ普通だよ」
「えっ?」
ふつう?
「レギュラー争いしてる運動部とかセンター取り合ってるアイドルとか…誰だって他人と比べちゃうしその居場所が羨ましいとかズルいとか思っちゃう…私もね」
「えっリョウさんも…?」
「2周目で虹夏とぼっちの話聞いてたって言ったよね?その時に…ぼっちを少し恨めしいと思ったんだ…私の方が虹夏と長く一緒にいるのに…って」
「あっなっなんかすいません…」
「でも、確かに私は虹夏の味方にはなれてもヒーローにはなれない…ぼっちみたいにはなれないって納得もしたから…それに」
「それに…?」
「逆に言えばぼっちも私みたいにはなれないから…だから私は私のままでいいって勝手に私の中で解決したんだ」
「リッリョウさんは強いんですね…」
私はそんな簡単には…割り切れないや…
「同様にぼっちはサーヤみたいにはなれない…サーヤも一緒でぼっちみたいにはなれないよ」
「いっいえ…サーヤちゃんはなれてますよ…今日のライブが…その証拠です」
「あれは“サーヤが”頑張った結果。でもサーヤはまだ作詞が出来る訳じゃないし、2人も生徒を持つギターの先生でもない…“今の”ぼっちみたいにね」
「いっ今の…ですか?」
「1周目から引き継いだ2周目のぼっちが生きてきた15年の日々の積み重ねが今のぼっちだよ。1周目と違うのは当たり前…まあ何が言いたいかというと、ぼっちの悩みは普通に皆が大なり小なり抱えてることで居酒屋から逃げて土管に引きこもる程じゃないってこと」
うう…自分が今やらかしてることをそんなハッキリ言われると恥ずかしい…でもそうだよね…全部自分がやったことの結果だもんね…
「で、どうする?このままでいる?」
「はっ話して少し…楽になりました…ひっ引きこもるならせめてその前にサッサーヤちゃんに謝ってからにしたい…です…」
ピコン
「…ちょうどサーヤこの辺探しに来てるみたい」
「…え?」
「一緒に行こうか?」
「あっだっ大丈夫です…!」
その時何度目かのサーヤちゃんからの着信…
「あっあの…もしもし…」
『あっもしもし!ぼっちちゃんさん?よかった繋がった…』
「きっ急に逃げてごごめんなさい…そっその、今どっどの辺にいますか?」
『今ですか?えーと…』
「はい、はい、わっわかりました…あっあのリョウさん私いっ行ってきます…!」
「うむ、武運を祈る」
正直まだモヤモヤは完全には晴れてないけど…そうだよね…
1周目で私が経験した奇跡のような日々の連続が
今はサーヤちゃんに起きてるってことなんだよね…
その環境でサーヤちゃんが今日まで一生懸命頑張ったから
ライブを成功させられたんだ…ギターを教えたのも
最初は結束バンドのためだったけど…あの頑張る姿を
見てたらいつの間にかサーヤちゃんに教えるのが
好きになってた…不思議だな…
嫌な気持ちも一緒に増えていってたのに…謝らなきゃ…
謝って仲直りしてまたギター教えたいな…
居酒屋へ戻る道の途中、反対側の歩道にサーヤちゃんの姿が見えた…
「あっサッサーヤちゃん…!あっあの!」
「あっぼっちちゃんさん!急にどこかに行っちゃって心配しましたよ」
「うっすっすいません…あっすぐそっち行きます」
横断歩道を隔てて私とサーヤちゃんが向き合う…
皆より先に早く謝りたい…自然と足早になる…
先ずはごめんなさいって言おう…誠心誠意謝れば
サーヤちゃんは許してくれるかな…?
ごめんなさいの後はどうしようかな…
そうだ私は決してサーヤちゃんのことが
嫌いなわけではないってことも伝えなきゃだよね…
…向こうはもしかしたらもう嫌ってるかも知れないけd
プツン
…あれ?私いつの間に寝ちゃったんだろう…
しかもこの感じ立ったままだ…
それに明るい…?夜だったはずなのに…
ゆっくり目を開けると…いつか見た光景が広がっていた…
「え?」
何も聞こえず何もない真っ白な空間…
ここに来るのは2度目…故にここがどういう場所なのか
何故ここにいるのか理解するのに時間はかからなかった…
「…嘘だ…お願い…嘘だと言って…」
それでも信じたくなかった…
私の2周目が終わってしまったことを…
次回 OnceAgain