ブラッシュ・アップ・ぼっち!   作:氷英

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お気に入り数が0じゃないことに驚いています。
つまり誰かが見てくれているということですね。
とても励みになりますありがとうございます。

ある程度までは考えているけどそこまで書いても
続きが思い付かなかったらどうしよう…。
まぁなんとかなるか!(白目)


後藤ひとり2周目

……暗くて狭くて落ち着く……

ここはおそらくお母さんのお腹の中…

人生を最初からやり直すって本当に最初からなんだ…

小さい頃…いや今も小さいのか…

1周目の小さい頃、お腹に戻りたいって発言してた気がする…

まさか本当に戻れる日が来ようとは…

自分のお腹の辺りを手で探ってみる…

おへそに何か繋がってる?ああこれがへその緒か…

というか私、1周目の記憶持ったままになってる…?

これってかなりのアドバンテージなのでは…?

それにしてもここ本当に落ち着く…

もうずっとここにいたい…

などと色々考えてはいたが、無論そうはいかない

順調にすくすくと育ち、出産の時を迎える

暗いところから急に明るい場所へと…

 

「後藤さん、産まれましたよ!」

 

「…しかし産声を上げませんね…」

 

あっ…そうか…おぎゃあとか言わなきゃいけないんだっけ…?

 

「あっおっ…ひああ…あーあー…」

 

「これは…泣いてるのか?」

 

「…こんな静かな産声初めて聞きましたよ」

 

でしょうね。中身15歳ですからね。

こんな大勢の前で大声上げて泣くなんて恥ずかしくて無理です…

心配になったお医者さんがその後色々検査したが、

当然異常は見つからず、無事両親の元へ戻された

 

「うわ、かわいい!ようこそ後藤家へ!」

 

「ふふふ、これからよろしくね…?」

 

満面の笑みの両親が顔をのぞかせる

うわぁ2人とも若いな…15年前だから当たり前か…

 

 

生まれてから数日が経過してわかったことがある…

私の性格…赤ちゃんに向いてない…!!

 

(ううっ…お腹空いた…オムツ気持ち悪い…

でもお父さんもお母さんも仕事とか家事で疲れてるよなぁ…

今声を上げて機嫌を損ねたらもうお世話してもらえないかも…)

記憶は持ち越しているものの、面倒を見てもらわなければ

生きていけないのは1周目と変わらない

とは言えその意思を両親に伝える方法は

泣いたりじたばたしたりするしかなく

向こうからあれこれしてくれる時はいいが

そうでない時は些か不便であった

中身は15歳なのでもちろん無駄にグズッたりはしない…

 

「ひとりちゃんは本当に静かな子ねー♪」

 

 

「そうだなぁ、毎晩夜泣きで寝不足になるくらいは覚悟してたんだけどなぁ」

 

一応赤ちゃんなりに両親の負担にならないように心がけた

これも少しぐらい徳に加算されるよね…?

 

「でも…」

 

 

「なんだか何かを我慢してるようにも見えるのよね…

少しくらいわがままになってもいいのよ?ひとりちゃん」

 

鋭い…さすが母親…

 

 

問題はまだあった。赤ちゃんって

いつまでが赤ちゃんなんだろう…?

どれくらいからしゃべっていいんだろう

その気になればもう立って歩くこともできたけど…

そのタイミングがわからない…

なので両親の要望が来るまで待つことにした

 

「ひとりー。ほら、おとーさん、おかーさん、って言ってごらん?」

 

え?もう言っていいの?

 

「もう、パパ、さすがにまだ早いんじゃないかしら?」

 

あっまだなの?どっちなの?

 

 

そんなこんなで変に気を遣い続けて

少々窮屈な赤ん坊時代が過ぎた…

 

 

そしてとうとう離乳食解禁

 

「ほーらひとり、あーーん…」

 

1口ずつお父さんが口に運んでくれる

 

久しぶりの固形物だ…ずっとミルクばっかりだったからうれしい…

まだ歯がいらないくらい柔らかいけど…

 

「っ…うまっ!」

 

あっ声出ちゃった…でもこれおいしい…

 

「そうかーうまいかー。すごくきれいな発音の『ウマッ』だったな!よーしどんどん食べなさい。ほらあーん…」

 

食べられることってこんなにも幸せなんだなぁ…

それにうまっ!って言っただけで褒められた…

ハードルが低い分何でも褒めてくれるのか…

しばらくはこれで承認欲求を満たせそう…

 

 

 

3歳を過ぎると比較的自由に家の中を歩き回れるようになり

私はお父さんの部屋に入り浸った

目当てはもちろんお父さんのギターだ

まだ体格的に弾けないけど、眺めたり触ったりするだけでも

日々募るギター欲を紛らすことはできた

 

「お、ひとりまた来たのか。本当にギターが好きなんだなー!こんなに早く興味を持ってくれてお父さん嬉しいぞ!」

 

お父さんがいる時は少々うるさかったが…

後10年の辛抱だ…10年…結構長いな…

 

 

 

 

そして幼稚園に入園…2度目の幼稚園

周りの園児に混じってお遊戯する15歳…ロックかな?

何回か通っているうちに慣れたが、

ここでもぼっちなのは変わらなかった

 

「かーくれんぼする人この指とまれ!」

 

…1周目で私が私の性格をハッキリ自覚するイベントが

再び発生した。今なら全力で勇気を振り絞ればあの指に

手を伸ばすのは容易い…多分…だけど

存在感の薄い陰キャぼっちの私がかくれんぼに参加して

果たして見つけてもらえるだろうか…

そもそも参加していることを忘れられて帰りの時間まで

放置されるのでは…?いやでも鬼役なら…

ダメだ…直ぐに見つければ空気読めてないヤツって思われるし

時間をかければなかなか終わらせられない無能者扱い必至…!

ダブルバインド…どちらに転んでもいい結果になるはずもなく…!

 

考えすぎなのはわかってる…でもこういう性分なんです…

 

この初動の遅さで1周目と同じく募集は締め切られた

2周目も悉く、声高らかに遊び相手を募る

陽キャ予備軍達の手を取ることはなかった…

 

 

 

 

色濃い幼児期を過ごしあっという間

とは言えないがなんとか小学校入学まで成長したが…

そろそろ限界が近かった…ギターが弾きたい…

最初の6年我慢できたのはその内半分くらいが

自分が小さかったからという一種の諦め的な要素が

あったからだ…1周目の自分に倣うなら

後もう6年我慢しなければならない…

無理だ…ギターの楽しさを知ってしまっている今

ぼっち生活確定の小学校6年間をギター無しで過ごすのは

拷問すぎる…!!

 

「ひとり小学校入学おめでとう!入学祝いは何がいい?普段ひとりは全然おねだりとかしないんだし何でも言ってくれていいんだぞ?」

 

パンパンに膨れ上がったギター欲が決壊したのは

お父さんのこのセリフだった…。

私、もういいよね?ちょっと早いけどいいよね…?

気付くと私は齢6歳にして親の前で跪くと懇願していた…

 

「お父さん…ギターが…弾きたいです…!!」

 

「ええ…そんなバスケがしたいですみたいなテンションで!?」

 

「できればお父さんのギターがいい…です」

 

ううーん…とお父さんが悩む。年季の入った大切なギターだから仕方ない…でも

 

「1回…弾かせて?そうすればわかるから…」

6年ぶりだが自信はあった…

納得させるほどの経験(もの)を私は持っている…

 

「何でもって言ったよね?」

 

「…よし!わかったやってみなさい」

 

さしずめSTARRYでのオーディション

審査員はお父さん…かなり甘々な判定になりそう…

 

 

体の小ささは丁度いいハンデだ…見せつけてやろう

1周目で積み上げた技…ご覧あれ!

 

 

ジャーン

 

「どうだった?」

 

今まで弾けなかった鬱憤を吐き出すように夢中で掻き鳴らした…

多分というか絶対やりすぎた…

 

「ブッ……ブラボォォォー!!」

 

「ウブフッちょっお父さん苦しい…」

 

勢いよく抱き締められるやっぱりやりすぎた

 

「天才だ!お前はギターの申し子だったのかぁー!」

 

「えっへへぇへぇ」

 

予想通りだけどうれしい…これでまたギターのある生活が

 

「こんな才能を後藤家内だけにしておくなんてもったいない!そうだ!オーチューブにアップして全世界の人に聴いてもらおう!」

 

あれ?なんか雲行きが怪しくなってきた…?

 

「さっきひとりが弾いてたフレーズ聴いたことないけど超カッコよかったぞ!あれ上げてみようか!」

 

ごめんなさいそれはつい弾いてしまった

結束バンドの曲のヤツです…

なので無理です…調子乗りすぎたかも…

 

「早速アカウント作って…アカウント名は何がいいかなー!天才美少女ギタリストひとり…!本名はマズイか…しかし天才美少女は外せないから…」

 

「あっ…じゃあ…guitarheroがいい…」

 

「guitarheroか…いいじゃないか!ひとり、お前は世界の音楽大好きな人達のヒーローになるんだ!」

 

普通にお父さんのギターを弾かせてもらえるだけでよかったんだけど…

うーん…でも私のことだから近いうちに動画上げて反応見たくなっちゃうだろうしな…

親バカスイッチの入ったお父さんの行動力に流されて

guitarheroの活動も予定より早く始めることになってしまった…まあそこまで支障はないか…。ないよね…?




次回ぼっちちゃん(2周目)ようやく高校生に
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