感想、評価も予想以上で嬉しい限りです。
今回山田リョウがたくさんしゃべります
寡黙なリョウ先輩が好きな方はご注意下さい。
伏線回収しきれてるかが不安だ…。
何を聞かれたのかわからなかった…
いや違うな…何でリョウさんから
そんな質問をされるのかわからなかった…
「あっあっあのえっと…」
「わかりづらかった?」
リョウさんは顎に手を当ててうーんと考えている…
そうか、あんないい歌詞をこんな短期間に書けるなんて
なんて才能…!こんなの人生何周もしてないと無理でしょ!
ぼっち今何周目!?っていうニュアンスの問いかけだったん
「…今のぼっちの人生何周目?」
あっ違うこれ…ガチで聞いてるやつだ…
「あっ…うっ…」
言葉に詰まる…どう言えばいいんだろう…?
「ちなみに私は4周目」
「よっ4!?」
「ぼっち、しー…」
お客さんと店員の視線が刺さる…
「あっはいすいません…」
「…場所変えようか」
リョウさんが席を立ち私も後に続く…
「ぼっち…ここ、奢って」
「えっ」
え?この状況で…?
「お・ご・っ・て」
「あっはい」
あれ?リョウさん少し怒ってる?
会計を済ませ外に出るとリョウさんが待っていた…
「こっち、付いてきて」
それだけ言うとリョウさんはすぐに歩き出す…
「あっはい」
場所を変えるってどこに行くんだろう…?
どれくらい歩いただろうか…
そろそろ私のクソザコ体力も限界が近いです…
「ここ、入って」
「え?あっはい」
下向きながら歩いていたから気付かなかったけど
目の前にはやたら大きな豪邸が…
「あっあのリョウさん?勝手に入って大丈夫なんですか!?」
「ここ私の家」
「あっそっそうなんですね…」
通してもらったリョウさんの部屋はベースだけでなく
たくさんのギターも壁に飾られていた…
よく見ると部屋の隅にバイオリンも置かれている…
「適当に座ってて」
「あっはい」
リョウさんは私を残して部屋を出ていったが
3分とかからずに戻ってきた…
「コーラでいい?」
「あっはい、ありがとうございます…」
飲み物を取りに行ってたようだ…
缶のままなところがリョウさんらしい…
自分の分の飲み物の缶を開けて1口飲みながら
椅子に座るとリョウさんは話を再開した
「それで、どこまで話したっけ?」
「あっえと、リョウさんが今4周目ってところまで…です」
「ああそうだったね…で、ぼっちは何周目?」
ここまで事情がわかっているのなら隠す必要もないよね…
「あっに、2周目です」
「そう…やっぱりね」
そう言い終えるとリョウさんは「ふぅっ…」
と深くため息をついて背もたれに寄りかかった…
「え?リッリョウさん!?」
「やっっっっっとこの話題を共有できる…!」
そっそんなに話したかったんですね…
わざわざ家に招いてまで…
「どのタイミングで話そうかずっと考えてた…長かった」
確かにどんなに気心の知れた相手でも「今何周目でしたっけ?」なんて聞けるわけないよな…
「…あっあのいつから私を…その、そうだと思ったんですか?」
「ああそれは最初から。なんだったらぼっちに会う前から」
そう言うとリョウさんはスマホの画面を見せてくれた…
guitarheroのアイコンが写っている…
「これ…ぼっちでしょ?」
「あっ…はい…す、すいませんわざと隠してたとかじゃなくて…」
「大丈夫わかってる…私も知ったの2周目の時だし…」
に、2周目に…?
「2周目でぼっちと虹夏が話してるの聞いちゃったから」
初ライブの打ち上げで虹夏ちゃんと話してた時のことだ…
「だから4周目でguitarheroのチャンネル登録者数が異常に多いのを見たときにピンときた」
「私が…2周以上してると…?」
「うん。でも確信したのはぼっちがSTARRYに来た時」
「そっそれは…どうして?」
「虹夏に強引に連れてこられでもしない限り、入ったことないライブハウスに1人で入れないでしょ?」
うっ…それは全くその通りでございます…
あの公園で虹夏ちゃんが私を見つけてくれなければ
そんな大それたこと…ん?あれ…?
でも2周目はそうならなかった…
実際に連れてこられたのはサーヤさんで
そうなったきっかけは…あ…
「…あっあの」
「なに?」
「……リョウさんですよね?」
「うん?」
「…リョウさんがああ言ったから虹夏ちゃんが…」
「なにを?」
『今の時間なら下北沢駅周辺を探し回ればギター背負った子の2、3人すぐ見つかる』
「リョウさんの一言のせいで虹夏ちゃんは私の所まで来なかった…!」
「…そうだよ」
どんな感情で返事してるんだろう…
まともにリョウさんの目が見れない…
悲しさと悔しさ…ほんの少しの憤り…
「そ…そんなに…私はお荷物でしたか…?結束バンドにとって…いらない存在でしたか…?」
「…それも説明するけどその前にぼっちに聞かないといけないことがある…」
「なっなんですか…?」
「1周目の最後…覚えてる?」
最後とは…?私が…死んだ時…?そんなの…
「思い出したくない?」
必要な…事なんだよね…?リョウさん…
「…ふた…妹がライブ観に来てくれて…そ、その帰りに…交通事故で…いっ妹は無事でしたけど…」
「そう」とだけ言ってしばしの沈黙…
視線はずっと私から離さないでいる…
「“ぼっちの”1周目はそうなんだね」
含みのある言い方だ…どういう意味だろう…
「“私の”1周目はもっと悲惨だったよ…」
「リョウさんの…1周目?」
リョウさんも言うのを少し躊躇っているように見える…?
「交通事故に遭ったのは“ぼっちの”1周目と一緒、でも…“私の”時はぼっちと妹さん、両方亡くなったんだよね…」
「…え?」
「記憶にないでしょ?その後は大変だったよ…結束バンドは当然解散、虹夏は責任感じて音楽やめて引きこもっちゃうし私と郁代もみんなバラバラ…まあ証明する術はないんだけど」
「しっ信じます…」
嘘を言ってるようには見えないし…
「ありがとう、それで私の2周目、交通事故を防ぐために色々やったよ。ライブ出演は止められなかったからわざと遅刻して
開始時刻遅らせたりアドリブたくさん入れて
演奏時間伸ばしたり…帰り際のぼっち呼び止めたりもした…」
「それでも…ダ、ダメだったんですか?」
「うん…今度は妹さんだけが亡くなった…私が変にずらしたせいでぼっちが庇えなかったみたい…」
その記憶も私にはない…
「ぼっちはそれから2度とギターを弾かなくなったよ…
私達も慰めたり説得したりしたけどダメだった…」
確かにふたりをそんなふうに亡くしたら
シスコン拗らせてる今の私じゃなくても
ギターを弾く気なんてなくなるだろう…
「で、3周目…ぼっちにとっては1周目だね。今度は妹さんの行動も変えようと思ったんだ」
「ふたりの…?」
「縁石に乗ってライブ中のぼっちのカッコよかった所のまねをしてたって聞いたから…ぼっちの見せ場を増やせば何か変わらないかと思ったんだけど…」
見せ場…ああっ!
「あっだからあの時…急にギターソロ…入れてくれたんですか?」
「うん、効果はなかったみたいだけど…」
その結果ぼっちだけが…
そこまで言うと目をそらして俯いてしまった…
落ち込んでるの…かな?
「もっとやりようはあったと思うんだ…それこそぼっちと妹さんを拉致するくらい無茶なことすれば少なくとも…」
ああ…そういうことだったんだ…
リョウさんは…
4周の間ずっと…
『喜多ちゃんが歌い終わった後にお姉ちゃんだけでギュイーンって弾いてるところがスゴかった!』
「ギッギターソロの効果抜群でしたよ…ふたりはすっすごく喜んでくれました…!そっそれにそのお陰でふたりとの距離が近くなって…それでふたりを守れましたから…」
「ぼっち…」
「あっあの、リョウさんは守りたかったんですよね?」
「え?」
「結束バンドも…ライブも…私達のことも…
全部を守ろうとしてくれたんですよね?」
「…でも結局守れなかった」
「“今”は守れてますよ?ほっほら私まだ生きてます!」
ラジオ体操第2みたいに大袈裟に手足を動かしてみる
「虹夏ちゃんに助言したのもそうなんですよね…?
私が結束バンドに入らなければ交通事故を回避できると思って…」
「guitarheroの影響でギター始めてる子が多いから
もしかしてと思って言ったらうまくいっただけ…
それでもぼっちが乗り込んできたのは予想外だったけど…」
「あっそれは…すいません…」
「いい、私が逆の立場でも同じようなことしてたろうし…
大事なんだよね?結束バンドのこと」
「あっはい!」
「…私が今日言いたかったのはね…生きてほしいってこと」
「は、はい」
「もうあんな思いしたくないから…たまにフラッシュバックが…」
「あっがっがんばります…!」
「…ふう、話せてよかった…それじゃ、はい」
リョウさんは手を出してきたなんだろう?
「あっなっなんですか?」
「『ギターと孤独と蒼い惑星』と『あのバンド』の歌詞…あるんでしょ?」
「あっはい」
「拝読いたす」
「あっあのこの2曲…作ってくれるんですか?」
「私とぼっちが初めて作った初めての結束バンドの曲
だよ?なかったことになんてできない」
リョウさん…
「はい…」
もう知ってるはずなのにリョウさんは黙々と読む…
リョウさんといて今までで1番心地よい静寂…
「うん…やっぱりぼっちの書く歌詞はおもしろい」
「うへ…うへへ…」
「ん?ぼっちこの『忘れてやらない』と『星座になれたら』って?」
「あっそっそれはタイトルと曲の世界観だけを
思い付いて書いただけでまだ曲名しか…」
「うん…ぼっち考えてたことあるんだけど」
「あっはい」
「あの事故の日を乗り越えたら…結束バンドに入らない?」
…ええええええ今なんと!?
「あっおっえっうっいっいっいっいいんですか!?」
「私の一存じゃ決定はできないけどそうなれるように
動いてるから」
「あっ…だから作詞を担当させてくれたんですか?」
「それもあるかな…とりあえずライブの日を越えるまでの
辛抱だね。この2曲の歌詞書けたらまた見せて」
返された歌詞ノートに涙が落ちる…だめだ…止まらない…
「っ…ありがとうっ…ございますっ…」
「…私も…ぼっちのいる結束バンドで音楽やりたいから」
暫く私のすすり泣く音だけが響く…
「…落ち着いた?」
「ズビッ…はい…」
「そう…それじゃ」
「お説教ターイム」
「え?」
「まああんまり言いすぎるとぼっちまた泣いちゃうから
簡潔に言うね?ズバリ作戦が杜撰すぎる!」
「えっずっズサン?デスカ?」
「うん今から順を追って指摘していくから」
あったくさん言われてまた泣いちゃうやつかも…
次回後藤ひとり2周目山田視点
↓おまけ
「ぼっちもあの真っ白な変な空間に行った?」
「あっはい…リョウさんも?」
「案内所みたいな所も?」
「あっはいありました」
「……来世、何て言われた?」
「あ…えっと…笑いませんか?」
「うん」
「……アフリカの…ナントカって湖の…ネコゼミジンコです…」
「……プフッ」
「!?…リッリョウさんはどうでした?」
「私?」
「えー山田リョウ様の来世は…爬虫類等の餌用冷凍マウス(ハツカネズミ)ですね」
「……は?」
「リョウさん?」
「…秘密」