Persona3 Temperance 作:人ちゅら
予約投稿の設定時間を魔法科SSの方と間違えました...orz
気付いて即時投稿にしなおしましたが、おかげで中途半端な時間に。
4月13日――月曜日・昼休み。
あなたは職員室の端、自分の席で書類を捲りながら、小さく溜息を吐いた。
緊急入院となった
小テストについては、退院後に別日程で再試験を行うらしい。
まあ結城は転入組だし、成績が悪いってことはないだろう。
不公平感は有るが、こればっかりは仕方がない。
書類を纏めて立ち上がろうとしたところで、職員室の扉が勢いよく開いた。
「シンせんッ――!」
騒々しい。
学校で叫ぶな。
「そんなことより聞いてくれよ! 小テスト! マジ終わった!」
まだ始まってもいないだろうに。
「始まる前から終わってんだって!」
順平は頭を抱え、その場に崩れ落ちる。
周囲の教師が苦笑しながらこちらを見ていた。
あなたは机へ肘をつき、順平を見下ろす。
――どこがどのくらい“終わってる”んだ?
「えーと……全部?」
――なるほど重症、ですね。
順平は「だろ!?」と半泣きで頷いた。
* * *
放課後。
巌戸台分寮のホールには、参考書とノートが広げられていた。
結局、泣きつかれたあなたが勉強を見る流れになったのである。
「うわ、マジで勉強会だ……」
ソファへ座った
「お前が一番関係ねぇだろ!」
「いや、だって順平一人だと絶対逃げるし」
「信用ゼロかよ!?」
「ゼロ? マイナスでしょ?」
即答だった。
テーブル向こうでは、
あなたは順平のノートを覗き込み、小さく眉を寄せる。
……基礎が抜けている。
「マジっすか」
――まず公式からやりましょうか。
「そこから!?」
――そこから。
順平は机へ突っ伏すものの、投げ出しはしなかった。
文句を言いながらも鉛筆を持ち続けているあたり、根は真面目なのだろう。
あなたは問題を一問ずつ区切りながら説明する。
――ここで符号が逆転します。だから答えは……
「……あ、マジだ」
――途中式を飛ばすから混乱するんですよ。
「いやー、シン
率直に褒められ、あなたは少しだけ視線を逸らした。
その横から、ゆかりが覗き込む。
「へー、順平でも理解できるんだ」
「なんだよその言い方!」
「事実でしょ?」
「うっせ!」
再び言い合いが始まる。
あなたは額を押さえた。
――静かにしてください。
「「はーい」」
返事だけは良い。
数時間後。
順平の集中力が明らかに切れ始めた頃、あなたは立ち上がった。
――休憩にしましょう。
「賛成!」
順平が即座に食いつく。
――買い出しに行ってきます。
「え、マジ?」
甘い物でもあれば多少は頭も回るだろう。
財布を取り出したあなたへ、ゆかりが「じゃ、私も行く」と立ち上がる。
結局、真田以外の全員がついてくることになった。
* * *
ポロニアンモール。
夕方のスーパーを、制服姿の学生たちが歩いていく。
「これうまそー」
「順平、それ勉強中に食べるやつじゃないから」
「何で!?」
「匂いキツいでしょ!」
騒がしい。
だが、その騒がしさは不思議と不快ではなかった。
あなたは少し後ろを歩きながら、そんな光景を眺める。
放課後に友人と寄り道をし、菓子を買い込み、試験勉強をする。
そういう高校生活を、自分は殆ど経験しなかった。
理由はいくらでもある。
だが今更、取り戻せるものでもない。
「……先生?」
振り返ったゆかりが、不思議そうにこちらを見る。
「何ぼーっとしてるんです?」
――いえ。別に。
あなたは軽く首を振り、歩き出す。
その時だった。
「あ、そうだ」
果物売り場の前で、ゆかりが立ち止まる。
「結城のお見舞い、何か買ってかない?」
一瞬だけ、その場が静かになった。
そして順平が「あー、いいなそれ」と頷く。
美鶴も静かに頷いた。
あなたは、少しだけ目を細めた。
大型シャドウとの戦闘。
昏睡状態の転入生。
そんな非日常の直後だというのに、彼らは明日の小テストと見舞いの果物について話している。
それは案外、悪くない光景かもしれなかった。
感想、評価、お気に入り、ここすき、いつもありがとうございます。
P3といえば“隣り合わせの死と青春”であります。
人修羅さん、お勉強はそこそこ出来ます。大学受験で苦労したので。
次回でキタローが復帰します。