Persona3 Temperance 作:人ちゅら
「それはペルソナ使いだろう。
現代の魔道士であるところの
――ペルソナ使いってなんだ?
「ペルソナ。もともとの意味は劇で使われる
――可能性……
「そう。ペルソナ使いのペルソナは、心理学者のカール・グスタフ・ユングが提唱した、無意識の中に潜む“抑圧された自分”のことだ。これは単なるコンプレックスではなく、人格から切り離され独立し、もはや個人では認識できない、普遍的で先天的なものだという。彼が提唱するところの、全人類が等しく有する集合的無意識においてそれは、時に神や悪魔のあり方とよく似た姿をしている……と、彼は喝破した」
――なる、ほど?
「ペルソナ使いは人間の中にある、神や悪魔に等しいものとなりうる可能性がある……という
――だから魔道士ではない、あくまで魔術師だと。
「そうだ。しかしそうか、桐条は孫娘を検体にしたわけか」
――どういうことだ?
「なに。エルゴ研、エルゴノミクス研究所というのは、桐条グループ総帥の桐条
覚えていないはずがない。
あなたはその事故で■を失ったのだ。
「その爆発事故以前に発見されたのがシャドウという存在。そしてそれをベースにペルソナ使いが開発されたと聞いている。おそらくその、這いずり回る影というのがシャドウだろう。それがどういった性質のものなのかまでは、秘匿されていて調べることは出来なかったが……そうか、出現するようになったのか」
――で。検体ってのは?
「ペルソナは人間の持つ集合的無意識から発生する。ならばその実験には人間が必須となる。そしてそれは未成熟な人間、未成年でなければならない。まあ桐条なら孤児でもなんでも集められそうなものだが、手近なところで済ませたのか、何らかの理由があったのか。そこまでは分からない」
――エルゴ研由来でない可能性は?
「ペルソナ使い自体は一九九六年のセベクスキャンダルで既に存在が確認されていたんだが、彼らについては現在でも追跡調査が行われている。桐条の本家である南条の御曹司がその一人だが、彼もエルゴ研とはなんの関わりもない。そもそもセベクスキャンダルのペルソナ使いに比べると、エルゴ研のペルソナ使いは別物と言っていいほど能力に違いがある」
つまりエルゴ研は、あくまで独自の手段でペルソナ使いを開発した、ということか。
自分の孫娘を検体にするのか。
子供を持ったことのない、親になったこともないあなたにとって、血を分けた子や孫がどれほど大切なものかは分からない。
だが一般論として、それは非道と誹られる行為ではないだろうか。
「魔術師とは、魔道とはそういうものなのだ
それを否定したのは他ならぬ
センセイの祈りに応えたことを悔いる訳では無いが、時折、これで本当に良かったのかと考えてしまうことはある。
「誰も彼もが幸せに、とは為らぬものだな
一度は神の座に手をかけ、あなたによって打ち砕かれた
それに言い返せるような経験を、今のあなたは持ち合わせてはいない。
まったく嫌味な男だ。
あなたはその苛立ちを舌打ちに変えた。