Persona3 Temperance   作:人ちゅら

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P3発売当時はまだIMAGINE出てなかったんですよねえ。



#007 先生心配だわー

 2009年4月7日。

 

 キタロー少年の見送りをした翌日。

 一時限目、月光館学園高等部の体育館では始業式が行われた。

 普段から話の長い校長が「文筆頻々(ブンピツヒンピン)(シカ)(ノチ)君子(クンシ)」などと呪文を唱えると、隣に立っていた女性――確か国語担当の鳥海(とりうみ)先生――が「それを言うなら文質彬彬(ブンシツヒンピン)でしょうに」とブツクサ呟いていた。論語の言葉らしい。

 

 あなたは無難に挨拶をこなし(カンペをよみあげ)、生徒たちから「うわ」「えー」という反応を引き出した。

 やはり保健室の先生が若い男性というのは、あまり印象が良くないようだ。

 

「そりゃそうよねえ」

 

 式が終わり、生徒たちを教室に送り返すと、先程ぶつくさ言っていた鳥海先生があなたに話しかけてくる。

 あなたに対する生徒たちの反応のことだろう。

 

「こんな若い、かわいい先生がいたんじゃ、女子が保健室に入り浸らないか、先生心配だわー」

 

 この人はあなたの就任の挨拶以来、ずっとこの調子だ。

 あなたの肌を撫でながら「若いって良いわねー」とか、顔をまじまじと眺めて「うーん。七十五点」とか。

 あなたも彼女のくすんだ肌を見つめ返して「ちゃんと寝てますか?」などと訊ねてしまったのがいけなかった。

 

 出てくる出てくる愚痴のオンパレード。

 汲めども尽きぬ泉の如く、「教職なんてやるもんじゃないわー」というボヤキ節から始まり、国文学に興味のない生徒たちに対するボヤキもあれば、古文の江古田(えこだ)先生の堅物ぶりや、倫理の(かのう)先生の偽乳(にせちち)疑惑、話好きな校長の長くて中身のない話、学園運営をほっぽらかしてる理事長のこと。

 そして最近落ち目のネットゲーム(MMORPG)の話など。

 

 特にゲームネタは他に話せる教師がいないらしく、かつてインドア少年であったあなたが理解を示すと、それはもう怒涛の勢いで様々なゲームの話が展開されていった。やたらと人気のゴルフゲームや、覇権をとったマンネリRPGなどに圧され、ひたすら劣勢に立たされている推しゲーのこと。

 なんでも「二度と手に入らない」と銘打った限定アイテムを、誤って再販してしまって炎上したらしい。

 「いいじゃないねーそれくらい」と言った彼女は、最初の販売時に買い逃したが再販時に買ったのでセーフ。らしい。

 たぶん最初に買ってたらブチブチ言ってたんだろうことは想像に難くない。

 

 というか寝不足の原因、深夜のゲームだろうそれ。

 あなたは言葉(ツッコミ)をぐっと飲み込んで適当に相槌を打っていると、いつしかあなたは職員室で()()()()()()と見なされるようになっていた。

 ちなみに鳥海グループとは「ちゃらんぽらん」の意であるそうな。

 

「あ。でも手を出したらダメだからね。犯罪よ、犯罪」

 

 そういや氷川(若ハゲ)もそんなこと言ってたなあ。

 そっとため息をつくあなた。

 

「ま、めげずに頑張んなさい。仕事終わったら相談にのったげるから」

 

 真に受けて相談すれば、こちらが愚痴に付き合わされることになるのは間違いない。

 「はあ」と気のない返事をすると、再びケラケラと笑われてしまった。

 

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