Persona3 Temperance 作:人ちゅら
(というか毎週更新と決まってるわけではないんですが)
「やあ」
ひどく気の抜けた声とともに始業後はじめて保健室の戸を開けたのは、
「いやあ、始業式の挨拶ご苦労さま。大変だっただろう」
見た目ばかりは穏やかな笑顔を湛えたこの男が、この月光館学園高等部の理事長。旧エルゴ研の出身で、氷川と面識のある
「あいも変わらず無口だねえ。校長は今日も絶好調だった、の、に……?
オヤジギャグともダジャレとも言えないような自分のセリフが気に入ったように、何度も繰り返しては肩を震わせている。だが、時折チラチラとあなたを見やるその様は、笑わせようとしている必死さが伝わってきて、寒々しさが増すばかりだ。
「ところで君。君は一日が二十四時間ではないと言ったら、信じるかね?」
唐突にぶっ込んできたな。
* * *
「世の理とされるものに疑いの目を向けるのが
自転周期が23時間56分4秒とかって話ではないだろうな。
「この世界には隙間がある。神話や伝承、おとぎ話の中に伝えられる、神界、魔界、桃源郷、竜宮城。魔道士の間ではまとめて【
ある。
だがそれは再創世を為した後、
彼が例に出したもののほとんどは、悪魔たちの住まう【魔界】により近い。
女神スカアハによると、人間の魔術師たちが【異界】と認識しているものは、人間たちの住まう
そうした知識については口外しないよう、氷川からも
知られれば間違いなく、面倒な有象無象が寄ってくるから。
「ある。あったのだ。私たちはそれを発見した。その
魔道士たちにとって【異界】とは極めて貴重な資源であり、同時に非常に危険なものでもある。なにしろ物質界に比べて、悪魔たちが非常に出現しやすい環境なのだ。
もっとも、出現しやすいと言っても高位の、神話伝承において強大な力を持つ悪魔たちが容易く出られるわけではない。殆どの場合、そこに現れるのは低級の悪魔や、そのまた影――“
とはいえそれでも人間にとっては脅威であるし、異能に目覚めた魔道士、魔術師といった存在にとっても十分以上に脅威である。
故に彼らの中には、それを管理する者がいるそうだ。
まあ、仲魔たちは「人間たちが勝手に自称してるだけ」でしかないらしいが。
「まあ、十年前の事故で研究所が失われてしまってからは、生き残った私が管理者として、協力者を募って管理しているんだがね。なにしろ私には戦う力は無いから」
ああ、だからか。
魔道士と言いながら、その
それで良く【異界】を奪われずにいられたものだ。
何か秘密があるのだろう。
「そこで本題だ。君にも協力して欲しい」
なるほど、ここでその話になるわけか。
この職を
――なにをすれば良い?
あなたはここに、人生の休息を取りに来たのだ。
あまり面倒事には巻き込まないで欲しい。
ただでさえ、先日あの
「大したことじゃない。我々の活動のサポートをして欲しいだけだ。主に怪我の治療と、メンタルケアだね。彼らがやる気を削がれないよう、学業に支障が無いよう、上手くやってほしい」
まあ、それくらいなら。
そう言おうとして、ふとおかしな台詞に気がついた。
――
「そう。現在、【異界】の管理をしているのは月光館学園高等部の
あーこれ面倒事確定だわ。