Persona3 Temperance   作:人ちゅら

9 / 11
ペルソナ3リロード、待ち遠しいなあ。

あ、本作はこのままバニラ(PS2版)&P3Pのハイブリッドでいきます。
(整理できてないことをハイブリッドと言い張る)



#009 巌戸台分寮

「彼は養護教諭の間薙(かんなぎ)シン君だ。彼も特殊課外活動部(S.E.E.S.)に協力してくれることになった」

 

 理事長――幾月(いくつき)修司(しゅうじ)――は昼間の魔道士然とした陰鬱な表情とは異なり、人間味の感じられるヘラヘラした笑顔であなたを紹介する。

 

 ここは月光冠学園の学生寮、巌戸台(いわとだい)分寮のラウンジ。

 クラシカルな洋館を思わせる地上四階建ての西洋建築の中は薄暗く、照明も何故かムーディな雰囲気を演出してしまっている。

 学生寮としてどうなんだコレ。

 

「えっと、どうも」

 

 あなたの素っ気ない挨拶では、生徒たちの印象を良くすることは出来なかったようだ。

 夕方、仕事終わりに保健室からそのまま連行されたので、心の準備ができていなかったのだ。

 軽いパニックの中から出た覇気のない声は、ただただ困惑を伝えただけだった。

 

「外傷治療には自信があるそうだから、負傷した際には遠慮なく頼らせていただこう」

 

 いち早く立ち直ったのは、一度顔を合わせていた桐条(きりじょう)美鶴(みつる)

 ワインレッドのスカーフが無いことを除けば、着ているものは昼に見た制服と変わらない気がして、あなたの混乱は再度深まる。

 

「大丈夫なんですか? その、だって影時間には――」

 

 彼女の隣にはピンクのブラウスを着た少女。

 こっちは私服だよな?

 

「ああ、岳羽(たけば)くん。心配は要らないよ。彼も適性が有るようでね」

「そうなんですか。その、この人も研究所の……」

「ああ、いや。彼は違う。彼の■があの時の事故でね」

「そうなんだ……えっと、ですか……」

 

 ああ、()()だったのか。

 

 あなたの実の■は確かに十年前、爆発事故で亡くなっている。

 しかし再創世前の記憶では、その死因は珠閒瑠(すまる)市での()()()()が原因だった。

 だが再創世後はどういうわけか、()()()()()()()()()()()()になっていたのだ。

 

 ふたつの事実が共存して矛盾しない記憶を「おかしい」とは感じながらも、死別してから六年が過ぎていた。

 新しい生活にも慣れたし、心の整理もつけたつもりだ――それでも記憶が刺激されれば、少なからず心が揺れてしまうことは否めないが。

 だからその違和は“(いず)(きた)(とき)”を待つ新たなコトワリに必要なものなのだろうと、あなた自身の行動の結果である考え、そのままにしてきた。

 

 (かれら)はここで死んだのか。

 

 遺体は見つからなかった。

 研究所のひどい損壊、散乱する肉片は混ざり合ってしまい、科学的調査にも限界があったそうだ。

 あなたの中のふたつの記憶は混ざり合い、今では不可分(ひとつ)のものとなっている。

 

 その地に今は夜の女神(NYX)が眠っている。

 なにか関係が有るのだろうか?

 機会があれば彼女に聞いてみることにしよう。

 

「そっか。あなたの■も……」

「……済まない」

 

 ゆかりと美鶴が何か言っているが、考えに没頭しているあなたには聞こえていなかった。

 

 

*   *   *

 

 

「ふむ。場所を変えようか。そろそろ時間だ」

 

 理事長に肩を揺すられ、呼びかけられて、ようやくあなたは我に返る。

 時間とは……ああ、そろそろ午前0時か。

 

「観察の欠かせない少年が居てね。昨日、入寮した子なんだが」

 

 階段を登って最上階の一室へ。

 細い通路と壁面いっぱいの特大モニターは、まるで映画で見る作戦室のよう。

 そしてそこには、一人の少年がベッドに横たわる姿が映し出されていた。

 

 なるほど。

 彼か。

 

 あなたの目には、枕元からジッとキタロー少年の寝顔を覗き込んでいる()()()()()()()

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。