暴虐の魔法帝国、地球国家と相対する   作:松雨

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本編
プロローグ


 古の魔法帝国……地球とは異なる1つの世界にて遥か古代に名を馳せ、列強諸国ですら足下にも及ばないレベルで魔導技術を極めた、超高度魔法文明国家である。

 

 圧倒的な魔力量を誇る、人間の上位種族『光翼人(こうよくじん)』のみで構成されていて、魔法の使用時には光の翼が展開される事から、そう呼ばれていた。

 

 しかし、こと精神性・国民性に関しては最悪を通り越した邪悪そのもので、光翼人以外を人間として扱わないどころか欲求を満たすための奴隷、酷くなると単なる素材・玩具として扱う一面を見せていた。

 

 例を挙げるなら、同程度の文明を誇っていたインフィドラグーンの国民(竜人)を、バッグの革として使うから寄越せと言う程である。

 

 更に、当然の如く断られると、即座に戦争を仕掛けた挙げ句にコア魔法(魔法版核)を躊躇なく首都へ撃ち込み、滅亡へ追い込む残虐性と救い様のなさを見せつけたのだ。

 

 最終的には神々の怒りを買い、隕石落とし寸前からの未来転移と言う形で逃亡したが、いずれ再び復活する事を諦めてはいない。

 故に、その世界では列強諸国含め、非常に恐れられ恨まれる存在でもある。

 

「おかしい。(しもべ)の星からのデータ送信がないぞ? 未来転移には成功している事だけは確かなんだが。まさか、下等種族共に破壊されたか?」

「そんな訳ないでしょう。僕の星は空力の及ばぬ遥か上、宇宙に浮かべているんですよ。ただ、ビーコンや魔王『ノスグーラ』からの通信も全てロストしているのが気になります。もしや、神々の介入があったのかも知れません」

 

 そんな、回避や対策の難しい天災よりも()()()()()()と言える国の内部、とりわけ『超魔導技術研究・情報部』では現在、技術長と副技術長含む多数の職員が忙しなく働き詰めていた。

 

 何故なら、転移自体には成功したはずなのに、想定していなかった事態がいくつも発生していまい、侵攻計画に支障をきたしてしまっているからだ。

 

 いくら、ラヴァーナルが魔導の極致に至る程の超高度な文明を築いているにせよ、何の情報もなしに世界侵攻を決行するにはリスクがある。

 

 未来を予知する力があれば別であったものの、それはインフィドラグーンの竜神(トップ)含め、加護を得た竜人たちの専売特許とも呼べる()()であり、ラヴァーナル帝国の光翼人には使えるものではなかった。

 

 とは言ったものの、持ち前の邪悪さを発揮させて本来であれば禁忌とも呼べる魔法による洗脳支配を行えば、制限はかかれど意図的に自分たちのために使う事自体は出来ていた。

 

 それをしなかったのは、単に相手がインフィドラグーン以外は圧倒的格下で、手間も費用も資源も使ってまで会得する必要がなかっただけなのだが。

 

「流石に神々の介入はないとは思うぞ。しかし、だとしたら何が起きている? そもそも、この星があの時と同じ星なのだろうか?」

「分かりません。が、即座に追加の僕の星を打ち上げる準備は既に整えてますし、各方角の偵察にパル・キマイラⅠ型1隻と護衛の旧式制空型天の浮舟『マーハス』6機ずつを向かわせてます。ラティストア大陸2000㎞圏内であれば、さほど時間もかからないでしょう」

「どちらか片方だけならまだしも、両方のセットを各方角に向かわせるのは過剰では? 骨董品にするべきだろう。下等種族共に、インフィドラグーン(例外)と同等かそれ以上の文明が築けるとは思えん」

「念のためです。そもそも、しっかり飛べるのかも分からない骨董品は厳しいかと」

 

 なお、未来転移後の侵攻に備えて各種魔導兵器の増産はしていて、ちょうど僕の星の打ち上げ態勢も整っていた上に、Ⅰ型パル・キマイラや旧式の天の浮舟を使った偵察も実行しているため、気が遠くなるような時間がかかる事はない。

 

 ただし、Ⅰ型ないし旧式と言っても彼らと今まで対峙した敵にはもとより、ほぼ拮抗していたインフィドラグーンに対しても、十分有効性のある魔導兵器ではあった。

 

 最新鋭の魔導兵器程ではないにせよ、万が一撃破され喪失してしまえばそれなりの負担にはなってしまう。骨董品では情報精度に難があり、飛行時の安全性も担保出来ない以上、妥当な選択とは言えるだろうが。

 

「何だと!? そんな馬鹿な事があってたまるか!」

 

 そんなこんなで話し合いをしながら、来るべき時に向けて2人が忙しなく働き続けていた刹那、偵察部隊と交信していたとある光翼人が、何の脈絡もなしに叫んだ。無論、その声を耳にした全員の視線が彼へと集中していく。

 

 滅多な事では声を荒げず、冷静沈着かつ優秀な人物として部内はもとより帝国上層部でも広く知られていた光翼人だったが故に、尚更注目を浴びるのも無理はない。

 

「お前が声を荒げるなんて珍しいな、どうした? 何をそんなに声を荒げている?」

「北東方面に偵察に向かった部隊が……アメリカ合衆国を名乗る国の軍に、大苦戦を強いられている模様! 相手の兵器は我が国最新鋭の天の浮舟や対空誘導魔光弾、対空魔船と同等かそれ以上と推定されます! なお、敵戦闘機は魔力探知レーダーで探知出来ず、魔導電磁レーダーでも発見がかなり難しいとの事!」

「「は??」」

 

 そして、声を荒げた理由を尋ねた2人を含めこの場に居合わせたほぼ全員が、彼から信じられないような報告を、耳にする事となってしまった。

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